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「ん、今年もこの時期が来たんだなぁ」
吐く息が白に染まり、夜の燈に照らされて家路を急ぐ。
その手には3人へのプレゼントが入った袋を持っていた。


隼人さん(やっと呼ぶのに慣れた)には一昨年がトラナと一緒に選んだピックを、去年は留学時に作り貯めていた歌を送っている。だから今年は原点に立ち返ってピックを用意することにした。
ピックというものはやっぱり消耗品だから、ツアーで各地を飛び回ることが多い隼人さんなら
これが一番ぴったりなんじゃないかなと思ったからだ。

(……なにより、私がその場にいなかったとしても一緒に居られるし。)

神奈にとってそれが偽らざる本音であった。
そして、今日はトラナが寝たらちょっと夜更かしして隼人さんに付き合ってしまおうとも考えていた。

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半ばに差し掛かるところで暁地鶏を丸鶏でローストしたものが売りだされてるのを見た。
基本的な味付けの多い暁には珍しく、映画で見て興味を抱いたのだろう店が売りはじめたのが
きっかけの外国料理だ。
映画を作るようになって、そういう意味ではこの国は大きく変わったのかもしれない。

「ん、これを一つくださいな」
「あいよ!」

皆の口に合えばいいんだけどなと思いつつ、購入。今日はちょっと豪華にできるかもしれない。
今夜の催しが終わってから、ね。


そして、トラナへのプレゼントは一昨年はすみれ色のスカーフ。去年はリボンでコサージュを作った。
今年は……そう、ぬいぐるみだ。藩王が作っているのを偶然見てしまったからでもないけども。

うちの国にいるという虎の神様のぬいぐるみ。こういう小物が手に入るようになったのも
やっぱり映画を広めたおかげなのかも知れない。

(ぬいぐるみ……喜んでくれるかな)

やっぱりトラナの笑顔は何者にも代えがたいものだった。


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ファンタジアさんには裕王から許可を得て蔵から出した今年作られたお酒を贈ることにしている。
実は重量で言えばこれが一番重い。それはそのはず一升瓶なわけだし。
映画とともに観光地が栄えるにつれ、各所でほほにしきを使った清酒が作られてきている。
これもその一品だ。実際にそれぞれの現場を見て回った時に勧められたのがこのお酒だったからというのもある。

ファンタジアさんには本当にお世話になることが多い。
だからこそ、感謝を込めて贈ろうと思った。

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3つのプレゼントを手に家路を急ぐ。
今日は聖なる夜。世界に愛を。
彩る歌は高らかに。