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「リトと唯 第十話 ハートの夜 後編」(2010/03/18 (木) 23:14:38) の最新版変更点
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<p>「あれ、唯。どーしたんだよ? みんなは?」<br />
「下は相変わらずよ」<br />
唯はさっきのララとのやり取りを思い出したのか、憮然とした顔をしながら真っ暗な部屋の<br />
中に足を踏み入れた<br />
どういうわけか、少しぼろぼろになっている唯の有様にリトは眉を顰める<br />
「それよりもセリーヌちゃんは?」<br />
「ああ、セリーヌならもう寝たよ。遊び疲れてたのかな。今日はすぐに寝たんだ」<br />
「そうなの」<br />
唯は持ってきた本を所在無げに彷徨わせた<br />
「セリーヌちゃんのために本を持ってきたんだけど、いらなかったみたいね」<br />
「本?」<br />
「ええ。あの子、この絵本を読んであげると、寝付きがいいから」<br />
と、パラパラとページを捲ったのは、セリーヌの好きな動物の絵本<br />
唯は部屋の真ん中にあるミニテーブルの上に本を置いた<br />
「ま、ちゃんと寝たんならいいわ。ちょっと心配してたのよ」<br />
「そっか」<br />
何気ない会話の中、リトは内心、心を弾ませていた<br />
唯が、本当にセリーヌの事を大事に想っていてくれるからだ<br />
自分と同じ、もしかしたらそれ以上かもしれない愛情を注いでくれる<br />
「なんか、急にお母さんって感じになったよな。唯って」<br />
「えっ!? お、お母っ…!?」<br />
「いつもありがとな! スゲーうれしいぜ! オレもセリーヌも」<br />
「そ、そんな事っ……あ、当たり前じゃない! だって私にとってあなた達は———って、<br />
は、裸っ!?」<br />
唯は言葉を呑み込むと、真っ赤に染まる顔を両手で隠した<br />
窓から差す月明かりが部屋にほのかな灯りを灯し、リトの上半身を浮かび上がらせていた<br />
暗がりで気づかなかったとはいえ、リトの裸に顔が熱くなるのを覚えると、唯は慌てて後<br />
ろを振り返る<br />
「何やってるのよ!? バカっ!!」<br />
「う…ご、ゴメン」<br />
特に悪い事をした覚えはないのに、唯の大声につい謝ってしまうのは、もうクセなのかもしれない<br />
リトは頭をポリポリと掻くと、手早くクローゼットを開けた<br />
「と、とにかく、私の用事はそれだけだから、早く下に来なさいよね!」<br />
と、言葉も短く、唯はその場から逃げるように部屋を出ようとする<br />
リトは、慌てて振り返ると、小走りで唯に駆け寄って腕を掴んだ<br />
「待った」<br />
「え」<br />
リトがまだ服を着ていない事に唯の顔は、苺みたいに赤くなる<br />
間近で見るリトの胸板に顔がますます熱くなるのを感じると、唯は慌ててぷい、と明後日の<br />
方を向く<br />
「…何よ」<br />
「ちょ、ちょっと待っててくれ」<br />
「え?」<br />
「すぐ終わるから」<br />
そう言うと、リトは再びクローゼットに戻ってしまった<br />
そして一分も待たない内に再び唯の前に戻ってくる<br /><a>「何なの?」<br />
「えと…」<br />
後ろ手に何かを隠しながら、リトは必死にいいセリフがないか頭を巡らせる<br />
何か、とっても大切なモノを渡すために<br />
「結城くん?」<br />
「その……あ、あのさ、ちょっと後ろ向いてくれないかな?」<br />
「後ろ…?」<br />
さっきから挙動不審なリトに怪訝な思いになるも、唯は言われた通りにリトに背中を見せた<br />
「これでいいの?」<br />
「ああ。で、ちょっとの間、目を瞑ってくれ」<br />
「目を? …わかったわ」<br />
言われた通りに唯は目を瞑った<br />
真っ暗な何も見えない世界の中で、ごそごそ、と何やら物音だけが聞こえる<br />
(……何なの? もしかしてハレンチな事なんじゃ…!?)<br />
いろんな事が頭を過り、思わず眉間に皺が寄ってしまう唯<br />
少しすると、急に胸元に冷たい感覚を感じた<br />
「え…!?」<br />
冷たさは一瞬。肌の温度で温められたのか、すぐに冷たい感覚は消え去った<br />
けれども首筋から胸元にかけて、何かの感触がある<br />
唯は小さく震える手でそっと、その"感触"に触れた<br />
「何…コレ」<br />
ソレは、小さな、金属の様な感触<br />
「もういいよ。目開けて」<br />
「え…ええ」<br />
リトの声に唯は、恐る恐る、ゆっくり目を開けた<br />
目を開けると、手の平に乗る小さな金属が飛び込んでくる<br />
唯の手の平の上で光っているモノは、二つのハートが鎖の先で揺れる、ペンダントだった<br />
「こ…コレ」<br />
「その、プレゼント。クリスマスの」<br />
「え、プレゼ……そ、それならさっき下で貰ったじゃない?」<br />
驚きを隠せない唯に、リトは照れくさそうに頬を指で掻いた<br />
「下で渡したのとは別ってゆーか、その……特別って意味で」<br />
「特…別」<br />
特別、という言葉に胸の奥が熱くなるのを感じる<br />
「父さんのトコでちょっとバイトしてたっつーか……どーしても唯に何か特別なモノあげたくて」<br />
「あ…」<br />
リトの言葉で唯はある事を思いだした<br /><br />
「え、明日? わりィ。ちょっと用事があってさ」<br />
クリスマス前、唯がせっかくデートのお誘いをしたのに、リトは来る日も来る日も、断り<br />
続けていたのだ<br />
「ゴメンな!」<br />
「ま、まあ…いいわよ。ええ、気にしないで…」<br />
と、なんとか気丈な態度を崩さなかった唯だったが、内心は、寂しさと不安で、いっぱい<br />
だったのだ<br /><br />
「じゃ…じゃあ!?」<br />
「プレゼント買うためとはいえ、いろいろゴメンな唯」<br />
と、両手を合わせてペコっ、と頭を下げるリト<br />
申し訳なさ全開のリトの弁明を唯は、腰に手を当てて黙って聞いていた<br />
やがてポソっと口を開く<br /></a> 「……バカ」<br />
「ご、ゴメン」<br />
「…もう、本当にバカなんだから!」<br />
「うう…」<br />
「…………でも…ありがと!」<br />
「…唯」<br />
リトの目に、月明かりに照らされた唯の極上の笑顔が映し出される<br />
張り詰めていたモノが一変、リトはやっと安堵の溜め息をついた<br />
「よかったァ。喜んでくれて」<br />
魅力的な胸元で輝く二つのハートに満足そうに頷いていると、急にそのほっぺをムギュっ、と<br />
抓られてしまう<br />
「ほへ?」<br />
「…言っとくけど、デートに行けなかった話は、まだ終わってないんだからね?」<br />
「へ…」<br />
「結城くんがいないと寂しいし、いつもよりなんだか寒く感じるし」<br />
リトの目に一瞬、唯の瞳がうるうると揺らいだ様に思えたのは気のせいだろうか?<br />
唯の表情はすぐにムッとしたものに変わってしまう<br />
「許さないんだから!」<br />
「ご、ごめんなひゃ…」<br />
と、ほっぺを抓られた情けない顔のまま謝ろうとした時、ふいにリトの唇が塞がれてしまう<br />
(————え?)<br />
目の前いっぱいに映る唯の顔<br />
そして、唇に感じる柔らかい感触と、甘い香り<br />
真っ暗な部屋の中で、月明かりに照らされた二人の影が重なる<br /><br />
きっかり五秒後、唯の唇がおずおずと離れていく<br />
「え…えと…唯」<br />
「……っ」<br />
リトの声に唯の華奢な両肩が震えた<br />
唯は両手を握りしめると、キッとリトに視線をぶつける<br />
「す…すっごく寂しかったんだからね! 不安だったし! それなのに一言ぐらい……も<br />
う、バカ! ホントに結城くんのバカっ!」<br />
「わ、悪かったって! ホント!! 唯のこと驚かしてやりたかったから…」<br />
「ふん」<br />
「…どーやったら許してくれる?」<br />
「そんな事…自分で考えなさいよ」<br />
唯は消え入りそうな声でそう呟くと、赤くなった顔をふいっとリトから遠ざけた<br />
もうお互い答えは出ているのだ<br />
何も訊かずとも、何も答えずとも<br />
やがて、リトが半歩、唯に近づく<br />
「あ…」<br />
と、短い呟きのあと、唯の唇にリトの唇が重なった<br /><br />
最初は軽いキス<br />
唇と唇が重なるだけの、クリスマスケーキよりも甘いキス<br />
「ん、んっ…」<br />
何度も交わしていると、離れていくリトを追っていくように、唯はリトに抱きついた<br />
体を密着させ、腕を首筋に回し、さっきよりもずっと深いキスを贈る<br />
「…ン…っ」<br />
唯の甘い匂いがリトの理性を溶かしていき、リトの熱い吐息が唯の鼻をくすぐる<br />
やがて、どちらともなく舌を出して絡ませ合っていく<br />
舌は二人の真ん中で絡み合い、時には唯の口の中を、リトの口の中を、蹂躙し、いっぱい<br />
にしていった<br />
たっぷり数十秒のあと、息継ぎを兼ねて唇を離した二人の間に銀色のアーチがかかる<br />
「はぁ…ぁ…」<br />
「唯の口、なんかすげー甘い」<br />
「そ、そうなの?」<br />
「さっきチョコ食ってたせいかな?」<br />
「……甘いのはキライ?」<br />
上目遣いでそう訊いてくる唯にリトは、「スキだよ」とだけ呟くと、再び唯の口に吸い付いた<br />
舌を絡ませ合い、唾液を交換し合い、さっきのキスとはまるで違う、まるで貪る様なキスを<br />
二人は繰り返す<br />
「ンン…っ…ちゅ…ンくっ…ン、ンッ、ンン」<br />
唯の細い腰に回していたリトの手が唯の体をさらに抱き寄せると、唯の口元で唾液が妖しく輝く<br />
リトは薄目を開けると、もう片方の手で唯の頭に触れた<br />
「や…っ!」<br />
と、まるで鈴が鳴った様な可愛い声と共に唯の口がリトから離れていく<br />
リトは一瞬目を丸くさせた後、苦笑した。それを見て、唯の頬が膨れる<br />
「何したの?」<br />
「何って頭触っただけだけど…ダメだった?」<br />
唯はリトが触れたところと同じところに触れる<br />
毎日触っている自分の髪なのに、リトが触ったところだけ何だか暖かい、不思議な気持ち<br />
を抱かせてくれる様な……<br />
唯は髪に触れたまま、ぽそぽそと口を開いた<br />
「…ダメ…じゃない」<br />
唯の言葉にリトはうれしそうに顔を綻ばせると、また髪に触れる<br />
「やっ…ン」<br />
うれしさと恥ずかしさでどうすればいいのかわからなくて逃げる唯をリトの手が優しくひき止める<br />
そして、長い髪を手櫛で何度も何度も梳いていく<br />
「唯の髪ってすげーキレイだ! オレの自慢の一つだぜ!」<br />
「!!?」<br />
リトの何気ない言葉に唯は、一瞬、自分の息が止まるのを覚えた<br />
リトは唯の頭を撫で続ける。うれしそうに、幸せそうに<br />
「ホントにキレイだよな…いい匂いもするし! って唯…?」<br />
唯はリトの手にいいようにされながら小さく震えていた<br />
ぷるぷる、ぷるぷる、顔を真っ赤にさせながら<br />
「えと…なんかオレ怒らす様なこと…」<br />
さっと顔から血の気が引いていくリト<br />
逃げ腰になるリトの胸板に唯はとん、とおデコを当てた<br />
「え? え…?」<br />
唯の行動に訳がわからないリトは、行き場を失った手と同様、目を彷徨わせる<br />
そんな情けない態度のリトの胸板に唯は、じっと顔をうずめていた<br />
「…どきどきしてる」<br />
「え?」<br />
「結城くんのムネ…。私と同じ」<br />
唯はうずめていた顔を上げると、上目遣いでリトを見つめた<br />
長い睫毛の下で濡れた瞳が、ジッとリトの顔を見つめ続ける<br />
一秒…二秒…三秒……リトの胸に両手を当てたまま、唯は小さく笑った<br />
「…私も自慢よ」<br />
「な、何が?」<br />
「ヒミツ」<br />
一人意味がわからず、目をパチクリさせるリトに笑みを深くさせると、唯はベッドに腰掛けた<br /><br />
すらりと長い脚は、今は、黒のハイニーソックスに包まれ、ブラウンのブーツを履いている<br />
唯はブーツのジッパーに手を伸ばすと、時計の針の音しかしない部屋に、ジジジ、と<br />
ジッパーを下げる音を加えた<br />
ブーツは簡単に脱げ、唯の形の良い長い脚が現われる<br />
唯はブーツをベッドの隣にキレイに並べると、やっとリトに向き直る<br />
いつも隣にいる唯。改めて見ても唯は、キレイだと思った<br />
長い髪も、黒い瞳も、白い肌も、そしてサンタの衣装を完璧に着こなしているスタイルの良さも<br />
けれどもリトの視線は、別のところにあった<br />
赤いミニスカートの裾周りの白いファーと黒のハイニーソックスの間<br />
すなわち唯の太ももに<br />
その視線に気づかないのか、唯は座り心地を直すために腰を捩った<br />
すると、ぴったり閉じていた両腿がほんの少しだけ開き、その奥にあるショーツを覗かせた<br />
リトの喉に生唾が落ち、心拍数が急上昇を始める<br />
「何よ…。どうしたのよさっきから」<br />
「い、いや…」<br />
唯の両腿は閉じてはいない。なので、リトの位置からは、スカートの奥が完璧に覗ける事<br />
ができた<br />
きっとクリスマスに合わせて穿いてきたのだろう。タータンチェックのショーツ<br />
「変な結城くん」<br />
唯はクスっと笑うと、ベッドの上に女の子座りをした<br />
そしてジッと見つめてくる<br />
怒っているわけでも、睨んでいるわけでも、訝しんでいるわけでもなくて<br />
ただ、リトに、大好きな人の顔に、唯は視線を送り続ける<br />
その視線にリトの心臓は早鐘を打つ<br />
「本当にどうしたの? 変よ?」<br />
スカートの中が丸見えになってるよ、なんて言えないリトは、なんとかスカートの中から<br />
視線を逸らす努力をしてみる<br />
けれどもその姿は、唯からしてみると、どう見ても挙動不審に見てしまうわけで<br />
「ん?」<br />
唯はコクン、と首を傾げた<br />
赤い衣装が唯の白い肌をさらに際立たせ、そしてリトの視線を逃がさなくする<br />
リトは、喉の奥に唾が落ちていくのを感じながら、やっと口を開いた<br />
「に…似合ってるなーって思ってさ」<br />
「え? 似合う?」<br />
「その、唯のサンタのカッコ」<br />
「えっ!?」<br />
リトの言葉の意味を理解した唯は、サンタの衣装と同じ、真っ赤に染まる<br />
「普段、そんなカッコしないから、なんか新鮮だなーって」<br />
「なっ、何言ってるの!? もう…!」<br />
唯は腕を組んでふい、とそっぽを向いた<br />
ははは、と苦笑いを浮かべるリトだったが、視線は唯から離れない<br />
唯が動くたびに揺れるスカートの裾が絶妙なポジションとなって、リトを誘惑する<br />
リトのリミッターは、今や、限界寸前まで上がっていた<br />
「…ま、まったく、またそんなおかしな事言って…! そんな事言っても誤魔化され<br />
ないんだからね!」<br />
どう見ても顔が緩んでいる唯だったが、それでも最後の一線だけは死守なのか<br />
唯は両手をベッドの上に置くと、さっきから口が止まってしまったままのリトに視線を向けた<br />
「結城くん? まだ何かあるの?」<br />
「……っ」<br />
リトの顔を下から覗きこむように、少し前のめりになっている唯の肩から、長くて柔らかい<br />
髪がサラサラと落ちていく<br />
続いて真っ赤なチューブトップから覗く大きな胸の谷間がリトの視界の中いっぱいに飛び<br />
込んでくる<br />
思わずリトは、唯の両肩に両手を置いた<br />
「唯っ!」<br />
「な、何?」<br />
オウム返しに訊く唯だったが、すでに唯の心の中では、これから何が起こるのか答えが出ていた<br />
その証拠に、これから始まるコトに、期待とうれしさで、胸の中が熱くなって仕方がない<br />
近づくリトの顔に唯の胸がドキドキ、ドキドキと高鳴る<br />
「唯…」<br />
「ゆ…結城…くん」<br />
リトの体温と息遣いが直接伝わってくる<br />
そして、その事が唯のドキドキに拍車をかける<br />
両肩に置いたリトの両手がほんの少し力をいれただけで、唯の体は簡単にリトに傾いてしまった<br />
目を閉じる瞬間までリトを見つめ、唯はリトと唇を重ねた<br /><br />
何度もしたキス<br />
いつも想う————幸せだな、って<br />
唇の柔らかさも、舌の感触も、唾液の味も、息遣いも、みんなみんな<br />
唇が離れた時、唯の顔はもう完全に溶けていた<br />
肩から離したリトの手が、唯の下腹部に触れる<br />
クチュ、という水音と一緒に、唯の吐息のような声がこぼれる<br />
ずらしたショーツの間から入ったリトの指が割れ目を広げ、二度三度と秘所を掻き回していく<br />
「んっ…あっあ、ン、ンっ」<br />
ぐっしょりと濡れた秘所から、シーツの上にポタポタと蜜が落ちていく<br />
あっという間にシーツに水溜りが生まれる<br />
唯は両腕をリトの首に回すと、リトの顔をぐいっと引き寄せた<br />
「唯…」<br />
「結城くん…っ」<br />
熱でしっとりと濡れた、懇願するかのような唯の瞳がリトを見つめる<br />
唯の桜色の唇が震えながら、吐息混じりの言葉を紡いでいく<br />
「…ン…っ…して」<br />
「え?」<br />
「ッ!?」<br />
真顔で訊き返してくるリトに思わず、唯は辛辣な視線を作ってしまう<br />
顔が引きつるリトが何か言う前に、首に廻っていた唯の腕がリトの顔を抱き寄せた<br />
「…本当に鈍いんだからっ」<br />
「え、何が…ンン!?」<br />
唇が重なり、そしてキスの嵐<br />
口の外に出したリトの舌を、唯は口を窄めて丹念にしゃぶる<br />
舌を愛撫されたリトが「お返し」とばかりに唯の秘所を掻き回していく<br />
上の口と下の口、両方がリトでいっぱいになる<br />
次第に、二人の体が縺れ合ったまま、ベッドの上に沈んだ<br />
「ぷはっ」と息継ぎを兼ねて顔を離したリトを唯の腕が捕らえ、引き寄せる<br />
「イヤっ!」<br />
「って、息が…!?」<br />
「イヤなの! 離れちゃダメ!」<br />
甘えた声にリトの心拍数が強上昇を始める<br />
「うう…」と涙を滲ませながら見つめてくる唯<br />
いつか唯が小さくなった時の姿と、今の姿が重なる<br />
リトはすぐ真下で、なんだか拗ねた様にほっぺを膨らませている唯にふっ、と笑みを浮かべた<br />
そして、膨らんだ頬にそっと手を触れた<br />
「離れねーよ! 絶対!」<br />
「ぜ…絶対?」<br />
「絶対!!」<br />
リトの力強い返事に唯は、「うん」とだけ返し、そして、体の力を抜いた<br /><br />
軋むベッドの上に広がる、唯の長くてキレイな黒い髪<br />
夜の光に照らされた髪は真珠のような輝きを見せる<br />
それはまるで、胸元で光るハートの輝きの様に<br />
「すごいキレイだ」<br />
「何よ急に」<br />
柔らかい笑みを浮かべる唯にリトは軽い口づけをした<br />
それと同時に、ミニスカートから伸びる、白い太ももに手を置いた<br />
「んっ」<br />
唯の体が強張る<br />
それを解きほぐす様にリトの手が優しく唯の頬を撫でる<br />
「唯」<br />
「……ッ」<br />
「スキだ」<br />
「……ッ!?」<br />
湯たんぽの様に唯の顔が熱くなる<br />
真上でニカっと笑うリトを唯のうるんだ瞳が見つめる<br />
「…バカ」<br />
と、リトの少年の様な笑顔に応えるように、唯はうれしそうに表情を崩した<br />
心の準備が出来た唯の折り曲げていた膝が、シーツに沈む<br />
無防備になる下半身に、止まっていたリトの手が動き出す<br />
タータンチェックのショーツの上からリトの指が割れ目に触れた<br />
「んっ」<br />
ピクン、と腰が小さく震え、それに連動して胸がぷるん、と揺れる<br />
暗がりの中、リトの指の動きに合わせて、唯の乱れた息遣いだけが、部屋にはあった<br />
やがてリトの指が割れ目に沿って、何度も擦っていく<br />
「あっ…ぁ」<br />
可愛い声が大きくなり、ほどなく、卑猥な水音が下腹部からなり始める<br />
リトを見つめる唯の視線が強くなる。その視線を横顔に感じながら、リトの息遣いが興奮<br />
で荒くなっていく<br />
割れ目をなぞる指に少し力が入る<br />
「んっん、ん…」<br />
ショーツはみるみる、とおねしょをしたみたいに濡れていく<br />
「唯のココ…もうびっしょりだ」<br />
「やっ…違っ…そんなワケなぃ…んだからっ」<br />
言葉とは裏腹に下腹部を覆う熱の正体は、唯自身が一番わかっていた<br />
リトの手が動くたびに聞こえてくる水音もはっきりと耳に届いている<br />
「直接触ってもいい?」<br />
「……ッッ」<br />
リトの顔を真っ直ぐに見つめながら、真っ赤に染まった唯の顔が縦に揺れた<br />
ミニスカートを捲り、そしてショーツを脱がしていく<br />
リトの手が唯の肌に、一番大事なところに触れた<br />
「んんんっ…」<br />
恥ずかしさと、リトに触れられている、という事実が唯の体をますます熱くさせていく<br />
唯は思わずリトの腕にしがみ付いて、しっとりと濡れた目を向けた<br />
普段の唯からは想像もできない、弱々しくて、そしてドキドキとさせる顔<br />
唯の吐息とぬくもりを直に感じながら、リトは割れ目に中指を当てた<br />
「ひゃんっ!?」<br />
聞いているほうがこそばゆくなる様な声を出しながら、唯の腕がまた強くリトに抱きつく<br />
ぷっくりとした入口を親指と人差し指で広げ、露わになる膣内に、リトはゆっくりと中指を入れていく<br />
指に絡みつく、ざらついた肉と熱い蜜の触感<br />
欲望を刺激するソレらは、リトの指の動きを激しくさせるには十分すぎる<br />
一本だった指は二本に増え、唯の膣内を責め立てる<br />
「あっあ、ん…んッッ———ッ!?」<br />
体の中から込み上げてくる堪える事のできない感覚<br />
ぎゅ〜〜っとリトにしがみ付く唯<br />
リトの横顔に寄せていた半開きになった口から、小さな舌が伸びる<br />
「なっ!?」<br />
ふいに耳に感じるぬらっとした肉感<br />
秘所を責め立てるリトに「お返しよ!」と言わんばかりに、唯なりに精一杯の反撃をしてみる<br />
耳の穴を中心に弧を描くように舌を這わせ<br />
最後は耳たぶをカプっと甘噛み<br />
熱い吐息が耳にあたり、睦言が耳元で囁かれる<br />
「ちょっ…唯…!?」<br />
背中にブルっと電流が走り、リトの指が唯の一番弱い部分を擦った<br />
「くっ…ん、んんん———ッッ!!」<br />
キュッと膣内が狭まり、リトにしがみ付く唯の両腕に力が入る<br />
噛み締める様な声と、断続的に吐かれる荒い呼吸が耳をくすぐる<br />
お漏らししたみたいな水たまりがシーツの上に広がっていき、次第に唯の全身から力が抜けていった<br />
濡れた瞳は、とろけきった瞳へと変わり、唇が小刻みに震える<br />
リトは唯の顔をジッと見つめた<br />
自分の痴態を一部始終見られたことに恥ずかしさが込み上げてきたのか、唯はリトの視線<br />
から逃げるように顔を背ける<br />
リトは唯の横顔を見つめながら、赤く上気している頬に触れた<br />
そして、耳や耳たぶ、鼻や唇を愛しむように手で触れていく<br />
「や…ンっ」<br />
ずっと声を出すまいと我慢していた唯だったが、それもすぐに限界にきてしまう<br />
ついに声を上げてしまうと、ムッとほっぺを膨らましながら、ようやくリトと視線を合わせた<br />
「何よ…」<br />
「すごい可愛かったなって!」<br />
「……ッ」<br />
唯の頬が、さきほどまで浮かべていた赤とは違う意味の赤を浮かべ始める<br />
(カワイイ…!)<br />
リトは唯を両腕でギュッと抱きしめた<br />
リトの腕の中で、唯の肩が小さく震える<br />
震えながら、唯は、リトの胸にそっと頬を当てた<br />
頬からリトの体温が伝わってくる。耳にリトの鼓動が伝わってくる<br />
唯は目を瞑って、体いっぱいにリトを感じた<br />
「結城くん…」<br />
唯の頭にリトの手が触れ、優しく髪を梳かしていく<br />
リトは唯の前髪を手で上げると、おデコにキスをした<br />
「…唯。その、挿れてもいい? そろそろガマンできなくて」<br />
「……ッ」<br />
二人は今、密着状態<br />
いろんな部分が触れ合って、互いの体の状態を相手に伝えている<br />
もちろん、さっきから自己主張しっぱなしのリトの下腹部も唯には筒抜けだった<br />
唯はリトから顔を離すと、少しうれしさが滲む声でポソっと呟く<br />
「…ハレンチな!」<br />
「ゴメン」<br />
申し訳なさそうにリトは苦笑した<br /><br />
ヌプヌプッ、先端が膣壁を押し広げながら奥へ奥へ挿っていく<br />
すっかりリトの形になっているとはいえ、唯の中はリトをギチギチと締め付ける<br />
気を抜けばすぐにでも射精してしまいそうなほどに<br />
「挿っ…た!」<br />
「…ん…っ」<br />
体の中でリトをより強く感じる。唯の瞳が切なそうに揺れる<br />
唯の手がベッドの上のリトの手を探し、そして手繰り寄せるように絡み、ギュッと握りしめる<br />
「動くな?」<br />
「うん」<br />
コクン、と唯の頭が縦に動いた<br /><br />
ゆっくりと、リトの腰が後に引いていく<br />
リトを離したくない膣壁が竿に絡みつき、後を追っていく<br />
「あぁあっ」<br />
背筋にゾクゾク、と日常では感じ得ない快感が生まれる<br />
思わず唯の爪がシーツの上を走り、シーツをクシャ、と握りしめた<br />
リトは、腰を打ち付けた<br />
絡みついた膣壁が、今度は押し戻される<br />
さっき感じた以上の快感が唯の背中を走り抜けていった<br />
「あぁ…あっああ」<br />
たった一往復しただけなのに、唯の膣内は悦びの声を上げる<br />
「もっとぉ…もっと…してぇ」<br />
唯のお願いにリトの腰の動きが増していく<br />
膣内で生まれた蜜は、たっぷりと中で掻き回され、より濃くなって結合部から溢れだす<br /><br />
パチュパチュ、と肉を打ち付ける音と水音が混じり合った音が、今は心地よく感じる<br />
普段なら決して、許す事のできない事でも、今はとても幸せに思える<br />
リトをずっとずっと近くに、強く、感じることができる<br />
誰にも邪魔されない、二人だけの幸せの時間<br />
もっと長くこうしていたい、と唯は想う<br /><br />
「ゴメンっ…もう」<br />
膣内でパンパンに膨らんだリトの竿は、もういつ暴発してもおかしくはなかった<br />
歯を食いしばるリトの顔に、少し残念そうに顔を曇らせる唯<br />
けれども、コクコク、と首を振った<br />
「口…開けて」<br />
言われたままに唯はあーん、と口を開く<br />
間髪入れずに秘所から引き抜かれたリトの竿が、唯の口の中に入ってくる<br />
「んっ、んっ」<br />
「…飲んで」<br />
唯の返事を訊かないうちに、リトは唯の頭を掴み、喉の奥まで竿を押し込んだ<br />
「んっ!? んん、んぅっ!」<br />
呻き声と睨みつける様な視線に冷や汗が浮かびそうになるが、今は、とっくに限界を迎え<br />
ている射精感の方が優先<br />
「ゴメン…出っ…!!」<br />
鈴口から熱い欲望が喉の奥まで流し込まれる<br />
「んんっ…んんううぅ!!」<br />
口の中いっぱいの濃くて、鼻に付く強烈な牡の臭い<br />
舌を襲う決して慣れないプリプリの体液が生む嫌悪感<br />
唯の端整な眉が歪み、目尻に涙が浮かぶ<br />
それでも唯は、少しずつ喉を動かし、精液を嚥下していく<br />
射精の快感で腰を振るのを止められないリトの顔を見つめながら、少しずつ、少しずつ<br />
竿を咥えている口元から溢れた白濁液が、唯の白い喉を伝い、汚していっても<br />
「んく…ちゅる…ぱっ…んん…ぅ、んっ」<br />
リトの腰の動きに合わせて唯は口を動かしていく<br />
舌で竿を舐め取り、裏筋に刺激を送り、口をすぼめて鈴口に残った精液を吸い出す<br />
「ちゅぱ…ちゅ…ん、んん…ん」<br />
「すごっ…唯の口の中…っ!」<br />
上目遣いで見つめてくる唯とリトの視線が交わる<br />
端整な顔立ちが淫らに染まっている姿にリトは息を呑んだ<br />
口の中で萎えかけていた竿が、再び元気を取り戻し始める<br />
唯は、口いっぱいの肉棒を咥えるのをやめると、亀頭の先端に軽くキスをした<br />
そして鈴口を舌を使ってチロチロと舐めていく<br />
「…ン…ンっン…」<br />
リトの下腹部から背中を電気の波が走り抜けていった<br />
「ど…どーしたんだよ今日。なんかいつもと違って積極的っつーか」<br />
「クリスマスだからかしら?」<br />
裏筋に舌を這わせるのを一旦休憩すると、唯はクスっと笑みを浮かべた<br />
灯りがとぼしい夜だからか、唯の笑みがリトには蠱惑的に映る<br />
「毎日がクリスマスだったらいいのに」なんてバカな事を思っていると、すっかり復活を<br />
果たした肉棒を前に、唯はすっとベッドの上に立ち上がった<br />
「え、何?」<br />
「…して」<br />
「へ?」<br />
「もっとして…結城くん」<br />
口元を白濁液で汚しながら、唯のとろけきった瞳がリトを見つめる<br />
いつもの漆黒の瞳が今は、赤く輝いている様な錯覚すら覚えるほどに、唯は、熱い視線を<br />
送り続ける<br />
送り続けながら、唯はリトの膝の上に跨った<br />
「え、ちょ…」<br />
「してくれないの?」<br />
「そ、そーじゃなくて…!」<br />
泣きそうな顔で見つめてくる唯にリトは、息を呑んだ。言葉がうまく出てこない<br />
唯は自分で割れ目を広げると、位置を確かめながら、ゆっくり腰を落としていった<br />
先端が入口を掠り、何度もすれ違いが続く<br />
「ん、く…」<br />
それでも唯はやめない<br />
何度も位置を確かめながら、リトを求める<br />
ふるふると震える唯の体。端整な顔は、火が付いた様に朱色に染まっている<br />
羞恥と欲望の狭間で揺れているのか、唯の瞳はリトの顔を捉えたまま、ゆらゆらと揺れ動く<br />
その正体が涙だとわかるのにそんなに時間はいらなかった<br />
リトは唯の細い腰に腕を回すと、唯を導く<br />
「もうちょい、こっち」<br />
「こ…ココ?」<br />
やがて、先端が入口を捉え、クチュ、と水音が鳴った<br />
不安げだった唯の顔に、柔らかい笑みがこぼれる<br />
目からこぼれた涙がつう、と頬を伝っていくのを、リトは指で拭き取った<br /><br />
「ムリしすぎだって」<br />
「だって…」<br /><br />
これで終わってしまうのがイヤだったから<br />
離れてしまう事が、寂しかったから<br />
あんなにギュってくっ付いていたのに<br />
一緒にいても、こんなにも想ってしまうほどに、想いが込み上げてきて、止まらない<br /><br />
リトの顔を見つめながら唯の腰がゆっくりと沈んでいく<br />
割れ目にキスをしていた先端は、入口を押し広げ、膣内へ挿っていく<br />
コツン、と子宮の近くで音がしたのを感じると、唯の動きが止まった<br />
「感じる…結城くんが私の中にいるの」<br />
「オレも。唯のことすごく感じる」<br />
「うん」<br />
唯はふっと笑みを浮かべた<br />
誰が見ても見惚れてしまう様な笑顔を<br />
その笑顔を独占している事にリトは、誇らしさとうれしさをまったく隠そうともしない満<br />
面の笑顔を唯に返す<br />
唯はリトの頬にキスをした<br />
「…動いて」<br />
リトの耳元をネコが甘えた様な声がくすぐる<br />
リトは腰に回していた手を離し、唯と両手を繋いだ<br />
普段なら思わず「痛い」と言ってしまうほど、強く強く、握る<br />
そして二度三度とキスを交わす<br />
キスが終わらない内にリトの腰が唯を突き上げた<br />
「あぁああっ」<br />
キスを終えた唯の口から甲高い声が上がる<br />
カリ首が膣壁を擦り、先端が子宮口を押し上げる<br />
「奥ぅ…そんな奥ばっかりしたらも、もう、イッ…うぅ」<br />
リトの腰の動きに合わせて唯の体が上下に弾む<br />
パチュパチュ、と肉と肉がぶつかり、唯の長い髪が乱れ、踊る<br />
リトは唯の手を離すと、チューブトップの胸元に手をかけ、一気に裾をズリ下ろした<br />
プルン、と震える大きな胸がリトの目の前に現れる<br />
胸の動きと一緒にペンダントのハートが揺れ、鎖が音を立てる<br />
リトは吸い寄せられるように、胸に口を近づけていった<br />
「唯のココ…すごいイイ匂いがする」<br />
「そんなわけっ……汗掻いてるのよ?」<br />
リトは桜色をした突起を口に含んだ<br />
唯の口から高い声がこぼれ、背中がのけ反る<br />
唯の反応を上目で窺いながら、リトは、首筋から胸の谷間を伝い落ちていく汗の雫を舌で<br />
舐め取った<br />
「んっ…く、汚いわ…よ?」<br />
「そんな事ねーよ。汗の匂いだって唯は、すげーイイ匂いだよ」<br />
「や…っめ…もぅ、何言っ…てるのよ!?」<br />
口ではそんな事を言いつつも、唯はリトを両腕で抱きしめた<br />
唯の柔らかい胸に顔をうずめるリト<br />
その感触をもっと堪能しようと、リトの両手が唯の腕の隙間から胸に伸びていく<br />
柔らかい。本当に手に吸いついてくる胸の感触にリトは、完全に虜になってしまう<br />
両手いっぱいを使って唯の胸を上下左右に弄るリト<br />
唯の両肩がふるふると震え、唯はリトの首筋近くに顔を寄せた<br />
「もっと」<br />
「へ?」<br />
「もっとして……もっと動いてくれないとイヤっ」<br />
唯の長い脚がリトの腰をキュッと掴み、下腹部がもぞもぞと動く<br />
「切ないの」<br />
膣内がリトをキュンと締め付ける<br />
「して」<br />
唯の声はネコの鳴き声の様にこそばゆくて、ハチミツの様に甘く、リトの頭の中をとろけさせていく<br />
リトの顔を真っすぐに見つめる唯の黒い瞳は、涙でいっぱいで、今にもこぼれそうだった<br />
「唯がもっとって言うなら…!!」<br />
リトの両腕が唯の腰に回り、体を抱き寄せる<br />
リトは杭を打ち付けるように腰を突き上げていった<br />
先端がコツコツ、と子宮口を責めるたびに、唯の体がリトの腕の中でのけ反る<br />
「あぁああ…ン、ンっン———ッッあぁあ…んっく」<br />
二人は強く抱き合ったまま、息遣いを、腰の動きを合わせていく<br />
キスを繰り返し、顔を離したリトの口が唯の胸に吸い付く<br />
手は汗で濡れる背中を撫で、反対の手は頭に、愛おしむ様に髪をクシャ、と掴む<br />
「結城くん、すごいハレンチな顔してる」<br />
「唯だって」<br />
「見ちゃダメ」<br />
「なんで? ハレンチな顔してたって唯は可愛いと思うけどな」<br />
と、唯の赤い頬にリトはキスをした<br />
もっと顔を赤くさせる唯の「ば、バカ!」という声に苦笑を浮かべながら、リトは、唯の唇にキスをした<br />
「…唯」<br />
「ん?」<br />
「出していい? もう…」<br />
リトの頬を流れる汗を舌で掬いながら唯はコクン、と返事をした<br />
そして、リトの首筋に腕を回して抱きつくと、ぽそぽそと囁く<br />
「ちょうだい結城くんの。結城くんの子種、私の中に」<br />
「!!?」<br />
リトの腰の動きが一瞬、止まる<br />
「欲しいの。結城くんのでいっぱいにして」<br />
ゴクリと唾を呑みこむ事よりも速く、リトの腰が動き出す<br />
今度はさきほどまでよりもずっと速く、激しく<br />
首筋に抱きつく唯の腕に息苦しさを覚えるも、今はそんな事すらどうでもよく思えてしまう<br />
リトは一心不乱に腰を突き上げていった<br />
「唯、唯、唯」<br />
「…城くん、結城くん、結城…」<br />
お互い名前を呼び合いながら互いの顔を見つめ、そして、キスを交わす<br />
下腹部を襲う刺激とは違う、甘い蜜の様な感覚が口の中いっぱいに広がる<br />
舌を出し、唾液を呑み込み、口内を貪る<br />
「ん…くちゅ…ン…ンン…むっ…ぷっはぁ…は…ぁ」<br />
たっぷりキスを交わし終えたお互いの顔は、すっかり溶け崩れている<br />
「唯っ…もうっ…!!」<br />
コクコク、と頷く唯の口は、もう返事すらまともに返せないほどに震えている<br />
リトは唯の体を目いっぱいに抱くと、最後の仕上げと、竿を一番奥に向かって突き上げた<br />
「唯!!」<br />
「あぁ———ああぁああッッ!!?」<br />
リトの腰がぶるぶる震え、唯の子宮に欲望を吐き出していく<br />
子宮を満たしていく熱い奔流に、唯の爪がリトの背中に食い込み、唯の腰が二度三度と大きく震えた<br />
「はっ…ああ…ぁ…はぁっ…ン…ッッ」<br />
ぐったりとリトにもたれる様に抱きつく唯<br />
断続的に吐かれる乱れ切った息がリトの耳をくすぐる<br />
リトは唯の頭を撫でながら、汗で濡れる横顔を心配そうに見つめた<br />
「へーきか?」<br />
「……ッ」<br />
唯は何も応えない。応えられない<br />
下腹部を襲う強烈な波で口が言う事を訊いてくれない<br />
だから代わりに唯は、リトの頭をクシャクシャになるまで抱きしめる<br />
抱きしめながら、リトの射精を、ぬくもりを体いっぱいに感じる<br />
子宮の中に広がる感触————それが唯にとびきりの幸せを味わわせた<br /><br />
どれぐらい抱き合っていただろうか<br />
唯はゆっくりと体を離すと、恥ずかしそうに顔を俯かせながら、上目遣いでリトを見つめた<br />
「…いっぱい出したわね」<br />
「え、そ、そうかな?」<br />
コクン、と真っ赤に染まった顔が縦に揺れる<br />
「だって私の中いっぱいになってるもの」<br />
唯はそう言うと、リトの手を取って、ちょうど子宮があるおヘソの辺りに触れさせた<br />
白くて柔らかい肌触りにリトの顔が赤くなっていく<br />
「ね、わかる? ココにいっぱい出したのよ」<br />
「あ、ああ」<br />
おかしな緊張を滲ませるリトに唯はクスっと小さく笑みを浮かべた<br />
そして甘〜いクリームの匂いで惚けた様な目をしながら、唯はリトのおデコにコツン、とおデコを当てた<br />
「セリーヌちゃんの妹か弟ができるかも」<br />
「えっ!?」<br />
「もしそうなったら責任取ってくれる?」<br />
「そ、そりゃ、その時は…」<br />
「…ぷ…はは…冗談よ」<br />
どう返していいのか困っているリトに、唯はおかしそうに笑みを浮かべた<br />
サンタの格好をした黒ネコの困ったイタズラにリトは、頬を赤くさせたまま頭を掻いた<br />
「……でも、いつかほしい、かな」<br />
「え?」<br />
唯は一瞬、真面目な顔をするも、リトの視線にすぐに表情を崩してしまった<br />
そんな唯を真っすぐ、ジッと見つめ続けるリト<br />
見つめ続け、やがて、リトは想いを口にし始める<br />
「…去年のクリスマス、オレの言ったこと覚えてる? 『来年のクリスマスはもっとお前<br />
のこと好きになってる。もっと気持ちが大きくなってる』って」<br />
「ええ」<br />
と、唯は頷く<br /><br />
初めて二人で過ごしたクリスマスなのだ<br />
忘れた事なんてない。みんなみんな覚えている<br />
カッコわるかったところも、情けなかった顔も、うれしくて涙が溢れてきた言葉も<br /><br />
近づく二人の顔<br />
唇と唇が触れ合う寸前でリトは再び想いを口にする<br />
「唯が好きだ」<br />
その一言だけで唯の胸がキュンと音を奏でる<br />
「去年よりも、昨日よりも、今日の朝よりも昼よりも、ずっとずっと唯の事が好きだ!」<br />
リトはそっと唯の頬に触れた<br />
「唯、オレ、今日すげー幸せだった。お前がいて、みんながいて」<br />
「わっ、私…も」<br />
震える口がようやくそれだけを呟く<br />
「オレ、来年は今年よりももっとお前を幸せにする! その次の年はもっともっと! その<br />
次の年はもっともっともっと!!」<br />
リトの両手が唯の両肩を掴む<br />
「唯とこの先もずっと一緒にクリスマスしたいんだ! お前の事が大好きだから!」<br />
「……っ」<br />
あまりにも真っすぐで純粋な言葉が唯の胸を直撃する<br />
リトらしい、飾りっけもカッコよさもなにもない、だけど一番欲しい言葉が<br />
唯は胸で輝くペンダントを指で掴んで持ち上げた<br />
キラキラと輝く、二つのハート<br />
ゆらゆらと揺れるハートは、重なっては離れ、重なっては離れてを繰り返す<br />
まるで自分たちと同じように<br />
唯はペンダントとリトの顔を重ねると、小さく笑った<br />
「ねェ、結城くん」<br />
「ん?」<br />
「来年は……指輪がほしい、かな」<br />
「え、それって…!?」<br />
目をパチクリさせるリトに今度こそ唯は、口に手を当てて笑った<br />
そして、またリトに顔を近づける<br />
「私も好きよ。結城くんが、大好き」<br />
「ゆ…」<br />
リトの言葉を遮るように、唯の口がリトの口を封じる<br />
あわあわと両手を宙でバタつかせるリト<br />
(…好き、大好きだからね、結城くん)<br />
大慌てなリトに心の中で苦笑しながら、唯は想いをいっぱいに詰め込んだキスを送り続けた<br />
二人の想いが混じり合って、溶け合って、一つになっていく<br />
長い長いキスを終えると、リトと唯は見つめ合った<br />
「唯…」<br />
「ん?」<br />
「もう一回しよっか。ダメ…?」<br />
「ハレンチなんだから」<br />
唯は微笑むとリトの左頬に甘いキスをした<br /><br /><br />
それから数時間後、唯はベッドの上で目を覚ました<br />
重い瞼を持ち上げて、どんな寝顔をしてるのかしら? と見ようとした相手————リト<br />
の姿がない事に起きたばかりの胸に不安が過る<br />
だって、腕枕をしてもらって、それで頭をいっぱい撫でてもらって、ギュって抱きつき<br />
ながら寝て、さっきまでそのぬくもりをいっぱい感じていたのに<br />
「結城…くん?」<br />
全裸のまま、唯は体を起こした<br />
真っ暗な部屋の中は、しん、と静まり返っている<br />
唯はキョロキョロとリトを求め、首を動かす<br />
その時、冬の夜の冷たい風が唯の髪を撫でていった<br />
「キャ!」<br />
と、髪を手で押さえて、風が吹いてきた方を見ると、窓の向こう、ベランダにリトの姿を見つけた<br /><br />
「何してるの?」<br />
「ん、空見てた」<br />
「空? 何よそれは…」<br />
声に少しトゲを含ませながら、唯は纏っていた毛布を広げ、リトの肩にかけた<br />
「もぅ、風邪ひいたらどうする気よ」<br />
「ごめん…」<br />
「まったく…」<br />
一枚の毛布に包まりながら、二人はぼーっと外を眺める<br />
外はまだ薄暗く、空には星が瞬いている<br />
朝の冷たい風が唯の長い黒髪にいたずらをする<br />
「ん…」<br />
髪を右手で押さえながら、唯はリトの横顔を見つめた<br />
相変わらず頼りなさげで、優柔不断そうで、少し眠そうで、そして————<br />
「なんだよ」<br />
「えっ!?」<br />
いつの間にか自分を見つめるリトの視線に、唯は慌てて視線を逸らす<br />
「べ、別に何でもないわ」<br />
「ん?」<br />
コクン、と首を傾げるリト。やがて、手摺から手を離すと、唯に毛布を預けた<br />
「あ、ちょっと!」<br />
「いいから。ちょっと待っててくれ」<br />
「え…」<br />
リトは唯をベランダに残すと部屋の中に戻って行った<br />
「何なのよもう…」<br />
勝手にベッドからいなくなるし、一人でどこかに行くし<br />
あんなに一緒にいたのに……<br />
ほっぺを膨らませる唯の首に、ふわり、と柔らかい暖かいモノが触れた<br />
「え、何!?」<br />
咄嗟に首に巻かれたモノに触れると、それは自分が一番知っているモノだった<br />
「マフラー…」<br />
「そ、毛布一枚じゃ寒いと思って」<br />
と、ニッと歯を見せて笑うリトの首にも同じマフラーが巻かれている<br />
「コレ長いからさ。こーやって二人で使えるんじゃないかって思ってさ! ぴったしじゃん!」<br />
「あ…」<br />
思わず唯は目を丸くしてリトを見つめてしまう<br /><br />
考えもしなかった。だって作っている時は、本当に夢中で、一生懸命で<br />
出来上がってからは不安で、そわそわしっぱなしで、何度も見直しとかもして<br /><br />
唯は、自分とリトを繋ぐマフラーをギュッと握りしめる<br />
白いマフラーは、庭に降り続ける雪と同じ真っ白で<br />
ピカピカと輝くモミの木の灯りに照らされたすっかり赤くなった顔を唯は、白いマフラー<br />
の中にうずめた<br />
「うん…」<br />
囁くような声で返事をする唯<br />
すこしもじもじ、そして、リトに体を寄せた<br />
ピトっ、と肩が触れ、触れ合う部分がぽっと温かくなる<br />
(あったかい……結城くん)<br />
マフラーのぬくもりと肌のぬくもりが、二人を包みこむ<br />
そんな幸せなぬくもりを感じながら、二人はそれ以上何も言わず、ぼーっと外を見つめ続けた<br /><br />
しばらくそうしていると、ふいにリトが空にむかって腕を伸ばした<br />
「唯、あそこ」<br />
「え?」<br />
「あそこ見てみろって!」<br />
リトが指さす方向<br />
一つの流れ星が星空の中を流れていく<br /><br />
「あっ…」<br /><br />
唯は急いで目を閉じた<br />
そして、慌てて願い事を心の中で呟く<br />
「…………」<br />
目を開けると、リトが自分の事を見つめていた<br />
「結城くん…?」<br />
「願い事」<br />
「え?」<br />
「願い事、なに願ったのかなって」<br />
唯の頬に瞬時に赤が射す。唯はぷいっとそっぽを向けた<br />
「そ、そんな事言えるわけないじゃない! だ、だいたい…願い事とか話しちゃったら…<br />
もう叶わないとか言うし…だからその…」<br />
「だな…」<br />
気まずそうに頭を掻きながら、リトは「ゴメン」と苦笑した<br />
「でもさ、オレたちおんなじ願い事ならいいよな?」<br />
「え…」<br />
リトの声に何を感じたのか。唯はムッとしていた顔を改め、リトに向き直る<br />
「同じ…?」<br />
「ああ。オレと唯の願い事が一緒ならイイなって思ってさ!」<br />
「……ッ」<br />
唯は目をパチパチさせながらリトの横顔を見つめた<br />
そして小さく「うん…」とだけ返すと、また体を寄せた<br />
さっきよりももっと、ギュッとくっ付く<br />
(願い事が一緒か…)<br />
頭の中で、願った事をもう一度、言ってみる<br />
何度も何度も言っている内、唯の手は、自然と柵の上に置いてあるリトの手に重なっていた<br />
リトの手が冷たくなった唯の手を掴み、握りしめる<br />
「ちょっと寒くなってきたな」<br />
「うん…。でも…もうちょっとだけ…」<br />
唯の指とリトの指が絡み合い、恋人繋ぎとなって、お互いの手を温め合う<br />
唯は少しだけ高い位置にあるリトの肩に頭をトン、と乗せた<br />
「……」<br />
「……」<br />
どちらも一言も話さないまま<br />
ジッと朝焼けの空を眺めていた<br /><br />
"これから先もずっとずっと一緒にいられますように"<br /><br />
200%の気持ちを込めてそう願った<br />
唯は願い事をした時の気持ちと同じ強さで、リトの手を握りしめる<br />
クリスマスは終わっちゃったけど、また来年<br />
これから先、何度だって一緒に過ごせるのだ<br />
そう約束してくれた<br />
「離したら許さないんだから…」<br />
心の中だけで唯は、そう呟いた<br />
けれどもその声に応える様に、リトは唯の手をもう一度、握りしめた<br />
唯と同じぐらい、強く、強く</p>