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「唯とリト 外伝」(2008/03/09 (日) 20:57:45) の最新版変更点
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「え…?」<br />
リトは言われたことの意味がわからず、顔をぽかんとさせる<br />
「だから、責任取ってくれるの?って聞いてるんだけど…」<br />
顔を赤くさせながらそう呟く唯<br />
「おまえ何…言って…」<br />
頭ではわかってはいても、この状況がまだ理解できないリトは目を彷徨わせる<br />
(せ、責任って…つまり……)<br />
リトだって男だ<br />
普段は奥手で純情なリトでも、唯の言葉やその表情で何が言いたいのかわかってしまう<br />
ゴクリ――――と、リトは唾を呑み込んだ<br />
自然と視線が唯の太ももや胸にそそがれ、頬が赤く上気していく<br />
「あ、あのさ古手川。その…」<br />
「……」<br />
唯はさっきからずっと無言だ。相変わらず目を合わせようとはしない。けれどもリトの返事を待っているその顔は、どこか期待に満ちている様に見える<br />
俯く唯の肩からキレイな黒髪がさらりと頬に落ち、リトの鼻に唯の匂いが届く<br />
「責任ってつまり…ええっと……」<br />
しどろもどろな言葉を繰り返すだけのリトに、唯の視線が向けられた<br />
赤くなった顔、少し濡れたような黒い瞳にリトの心臓が一瞬で跳ね上がる<br />
ドクン、ドクンと二人きりの教室に、二人の胸の高鳴りだけが聞こえるような感覚<br />
触れ合ってもいないのに、近くにいるだけでそのぬくもりが、伝わるかの様な距離<br />
いつしか二人の距離は知らず知らずの内に縮まっていた<br />
体も心も<br />
「あ、あのささっきのコトなんだけど…」<br />
「なに?」<br />
リトの体がさらに唯へと近づく<br />
その息遣いが体温が直に触れ合うほどの距離に、唯の中で昂まる感情とは別に、<br />
少しずつ冷静になってきている部分があった<br />
「古手川…」<br />
顔を赤くしながらも、いつもとは違った雰囲気を出すリトの表情に、唯はふいっと目を背ける<br />
(私は…)<br />
目は泳ぎ、心がどんどん揺れる<br />
そんな唯にまったく気付くことなく、リトの両手が唯の肩を掴む<br />
「あ…」<br />
唯の短い吐息と、リトの唾を呑み込む音が重なる<br />
真っ赤になりながら顔を近づけてくるリトを前に、唯の心はますます乱れていく<br /><br />
本当にこれでいいの?<br />
こんな――コト……<br />
だって、私は別に結城くんのコトなんて――――<br />
ただ、私は――――<br /><br />
リトと知り合ってからまだ半年。なんだかんだと少しずつ共に過ごす時間が多くなってきてるとはいえ<br />
それでもまだまだ、唯の中ではリトの評価は悪いままだった<br />
それでも、リトのたまに見せるやさしさや、男らしさにドキっとなったりすることも事実<br /><br />
だからって……<br /><br />
目の前のリトの顔を見ていると、迷いが大きくなっていく<br />
初めてのそれもとっても大事なモノが、これからこの少年に奪われていく<br />
それは自分の中の譲れないモノが失われるかの様で……<br />
床に座り込んだ唯の手がギュッと握り締められる<br />
「ゆ、結城くん…やっぱり私…」<br />
ゴメンなさいと言おうとしたその時、廊下で言われたあの言葉が頭に浮かんだ<br /><br />
あなた恋をしたことないんじゃなくて?<br /><br />
「……っ!」<br /><br />
(私…私だってそれぐらいっ)<br />
ギュッと力強く手を握り締める唯を、リトは少し不安な面持ちで覗き込んでいた<br />
「なぁ、ムリならやっぱやめたほうがいいんじゃねーかな?その、オレなら別に気にしないっていうか…その…」<br />
バツが悪そうに一人、頭を掻いているリトに唯は慌てて声を出す<br />
「待って!その…嫌とかじゃなくてこれは…心の準備というか…。<br />
と、とにかく私は大丈夫だから結城くんも心配しないで」<br />
どう見ても大丈夫とは思えない唯にリトは、遠慮気味に声をかける<br />
「いやだって古手川おまえ…」<br />
「いいのっ!!」<br />
唯の声が教室に響く<br />
その声に自分でもびっくりしたのか、唯はリトから顔を背け、ぼそぼそと声を出す<br />
「ホントに大丈夫…だから。あなたもそんなに心配しないで」<br />
「あ…ああ」<br />
それでも納得できないリトだったが、どこか必死な唯の表情に頷いてしまう<br />
そして沈黙が教室に流れる<br />
お互いどちらもなにもしゃべらないまま、時間だけが過ぎていく<br />
どこか気まずい空気<br />
お互い少し時間を挟んだことで、気持ちが落ち着いてくる<br />
自分の言った言葉。行動。<br />
様々なモノが頭の中でぐるぐると回りだす<br />
「ねぇ…」<br />
そんな中、唯の小さな声がぽつりとこぼれる<br />
「しないの?……続き///」<br />
「え!?」<br />
予想外の唯の言葉にリトの心臓は跳ね上がる<br />
「え?で、でも…」<br />
「責任…取ってくれるんでしょ?」<br />
上目遣いに見つめてくる唯の目は、まだ彷徨っている。けれど、その中に大きな決意を宿していた<br />
「じゃ、じゃあホントにする…からな?」<br />
唯はなにも言わず首だけをコクンと振る<br />
それが合図だったかの様にリトの手が、再び唯の肩を掴む<br />
「あっ!待って!!」<br />
「なんだよ?」<br />
唯は少し言いづらそうにぼそりと呟く<br />
「き…キスは待ってほしいの。その…まだ…」<br />
唯の言おうとしていることがわかったリトは、一瞬きょとんとなったが、すぐにやさしく唯に笑いかけた<br />
「じゃあキスはやめとこっか。ってオレ達別に付き合ってるワケでもないしな」<br />
「ゴメンなさい…」<br />
「いいっていいって!そんなコト気にすんなって」<br />
リトの心遣いに唯は顔をしかめる<br />
(付き合ってるワケでもない……か…)<br />
それは本当のコトだし、間違ってはいない<br />
それでもその言葉はなぜか唯の胸を締め付ける<br />
心のどこかでソレを否定する気持ち<br />
(違う…)<br />
それは、唯の心の奥にある本当の気持ちを揺らめかせる言葉<br />
(私、は…)<br />
リトの言葉は唯をざわつかせ、そして、ゆっくりとある感情を広げさせていく<br />
(結城くん……)<br /><br /><br />
一方リトはというと一人パニックになっていた<br />
キスどころか女の子と付き合ったこともないリトにとって今の状況は、とても耐えられるものではなく<br />
おまけにこれからするのはおそらくというか、間違いなくえっちなワケで……<br />
(ど、ど、どーしたらいいんだよ……)<br />
えっちの知識なんて本やネットの中だけ<br />
本来なら女の子の扱いすらもわからないというのに。その上<br />
キスはダメ<br />
これがリトをますます悩ませていた<br />
(そんなのいったいどーやって始めたらいいんだよ!?)<br />
ムネから触ればいいのか?<br />
(いきなりそんなコトできるワケねーよ…)<br />
太ももを撫でればいいのか?<br />
(んなコトしたら……)<br />
脳裏にいつものハレンチなっ!と殴られる姿が浮かぶ<br />
リトは慌てて首を振って、妄想を払いのける<br /><br />
一人悩み続けるリトがふと顔を上げると、自分をじっと見続けている唯の姿があった<br />
自分を待っている唯の姿<br />
いつもの毅然とした強気な顔つきとは違う女の子の顔<br />
リトの手がギュッと握り締められる<br />
「古手川…」<br />
リトの声に唯の体が小さく震える<br />
いつもとは違う真剣な声と表情<br />
いつもとは違う男の顔<br />
リトの普段とは違う雰囲気に唯は小さく息を呑んだ<br />
(結城くんってこんな顔…するんだ)<br />
リトの腕がゆっくりと唯の腰に回され、その体をそっと抱きしめる<br />
「……」<br />
いつものなにかの拍子で抱きつかれたり、触れられるのとは違う感触<br />
とってもあったかくて、心地良い感覚<br />
胸の奥から溢れ出す熱いなにかに唯は、黙ったままリトの胸に頬をあてた<br />
胸の中の唯を少し見下ろす形で、リトはその体をギュッと抱きしめる<br />
やわらかい女の子特有の体の感触<br />
控えめなシャンプーの匂いとは別の唯自身の匂い<br />
夕日を浴びながら二人の影が一つに重なる<br />
どちらもなにも言わないままただ、お互いのぬくもりを鼓動を確かめ合う<br />
やがて、長い長い沈黙の後、リトの手がゆっくりと唯の頭に置かれる<br />
ビクンと少し強張った顔つきになる唯を伺いながらも、リトの手が唯の頭を撫でていく<br />
キレイでいて艶やかな黒髪がリトの指の間から滑り落ちていった<br />
(すげー……サラサラじゃん)<br />
今までこんなに女の子の髪を触ったコトなどなかったリトは、その感触に夢中になってしまう<br /><br />
指で梳かす様に、何度も何度も髪を撫でるリト<br />
その時、自分の胸の中から少しくぐもった声が聞こえた<br />
(やばッ!)<br />
慌てて手を引っ込めるリトをよそに唯は一人複雑な表情を浮かべていた<br />
今までこんなにも無遠慮に自分の髪を触られたコトなどなかった唯は、どう反応していいのかわからないでいたのだ<br />
それでも怒るでもなく、突き飛ばすでもなく黙ってリトに任せていたのは<br />
自分の中にくすぐったい様なうれしさがあったから<br />
そんな唯の気持ちなどわかるはずもないリトは、怒らせてしまったんだと内心大慌てになった<br />
なんとかして唯の気持ちをほぐそうと、この場の雰囲気を変えようと必死に頭を動かす<br />
けれど、慣れない状況にうまく考えられない<br />
「それでもなんとかしないと」とリトは思った<br />
自分は男だからちゃんとリードしないと<br />
不安にさせないように、怖がらせないように<br />
震える体をなんとか押さえ込み、リトはそっと唯の頬に指で触れる<br />
見上げる唯の目から少し視線を逸らすと、そのまま顔を首筋まで持っていき<br />
その白い首筋にやさしくキスをする<br />
ピクンと震える唯の体<br />
見えない唯の表情を気にしながらもリトは、何度もキスを繰り返す<br />
「ん…」<br />
小さな消えるような唯の吐息にリトの鼓動はいっきに高鳴る<br />
唇をさらに押し付け、そっと舌で舐める<br />
キュッと制服のシャツを握り締める唯の体をさらに強く抱きしめると、リトは近くにあった机の上に唯を寝かせる<br />
夕日で赤く染まる唯の顔は、それでもはっきりとわかるほど真っ赤に紅潮し、<br />
少し潤んだ瞳でじっとリトのことを見つめている<br />
その仕草に応えるようにリトは唯に覆いかぶさっていく<br />
上下で見つめ合う二人<br />
さっきまでとは違うドキドキ感がこれから始まるコトを二人に教えた<br />
「それじゃあ……コレ外すな?」<br />
唯がコクンと首を振ると、リトの指が唯の襟元のリボンをするすると解いていく<br />
呼吸に合わせて小さく上下に動く胸<br />
ブラウスの下から透けて見える下着<br />
沸騰しかけた頭をなんとか元に戻すと、リトは一度深呼吸をして自分を落ち着かせた<br />
それでも視線は、自然と胸と襟元から見える白い肌に吸い寄せられる<br />
恐る恐る震えながらも、本能に導かれる様にリトの手が<br />
そっと胸の先端を撫でるように触っていく<br />
「…ん」<br />
ピクンと強張る唯の体と、さらに赤くなった顔にリトの手が一瞬止まるが、すぐに動きを再開させる<br />
いつもとはかけ離れた状況と男の本能が、リトをいつもより少しだけ後押しさせていた<br />
寝ていても形のくずれない先端にリトの指が触れられる<br />
軽く押すだけでムニュっと戻ってくる弾力と、今まで味わったことのないやわらかさにリトは息を呑んだ<br />
もう一度触れてみる。今度はさっきよりも長く、強く<br />
最初は一本だった指の数は、次第に数が増えていき<br />
手全体を使って胸を両手で揉みしだいていく<br />
それに合わせて荒くなっていく鼻息<br />
興奮が冷静さを奪い、本能がいつもの奥手で純情だった性格を変えていった<br />
(す…っげーやわらかい。それに気持ちいい…)<br />
胸の感触にすっかり虜になったリトは、つい唯のコトを忘れて夢中で弄っていく<br />
上下左右、手の中で形を変え弾む肉感<br />
もっと触りたい、もっと――――<br />
次第にわずらわしくなっていく下着とブラウス<br />
リトはさらなる欲求を満たすため、ブラウスのボタンに手をかける<br /><br />
その時、ふと唯の顔が目に止まった<br />
唯は震えていた<br />
ギュッと手を握り締めながら、小さく<br />
「あ……」<br />
その姿に、リトの手が止まる<br />
リトは自分を恥じた<br />
唯のコトをなに一つ考えていなかった、欲望に忠実な自分に<br />
なにより男として最低なコトをしていたんじゃないかとさえ思った<br />
リトの手がボタンから離れ、馬乗りになっていた唯の体から数歩離れる<br />
「わ、悪い。オレ自分のコトばっかで…」<br />
唯は無言だ。ゆっくり上体を起こすとじっとリトを見つめる<br />
その目は怒っているかの様でいて、少し戸惑っているかの様で<br />
リトはいつものお説教が来ると感じて顔を青くさせる<br />
「好き…なの?胸触るの…」<br />
「へ?」<br />
ぽつりとこぼれた唯の言葉が、あまりに意外すぎてあっけにとられるリト<br />
「だ、だってさっきから私の胸ばかり触ってた……じゃない?」<br />
「え!?あ…ああ。だ、だってその…怒んなよ?……その古手川の胸すげー気持ちよかったからさ…つい…」<br />
リトは恐る恐る唯の顔を見る<br />
唯は自分の胸に手を置くと、ふいっとリトから顔を背けた<br />
「ハレンチだわ!そんなコト」<br />
「ゴメン…」<br />
しゅんっとなって下を見つめるリトは、その時少しだけうれしそうにしている唯の顔を見ることはできなかった<br />
「ゴメン!ホントにゴメン」<br />
そんな必死で謝るリトの顔を横目で見ながら唯はぼそぼそと口を動かす<br />
「別に怒ってるワケじゃないんだけど」<br />
「え?」<br />
再び顔を上げたリトに唯は表情を引き締める<br />
「怒ってるワケじゃないのか?」<br />
「誰も怒ってなんかいないわ!その…あなたが急にやめちゃうからどうしたのかな?って<br />
心配になって…」<br />
もごもごと話す唯の顔を見ながらリトは、さっき震えていた時の唯の顔を思い出す<br />
顔を赤くさせただ震えていただけの姿<br />
キズつけてしまったんじゃないのかと、怖がらせてしまったんじゃないかと自分を責めた<br />
だけど……<br />
(そっかこいつ…)<br />
本当はキズつけたワケでも怖がらせたワケでもなく、アレは唯なりの感じている顔なんだとやっとわかった<br />
(カワイイとこあるじゃん)<br />
そうやって一人クスクス笑っているリトの顔に唯はムッとなる<br />
「なに笑ってるの?」<br />
「古手川ってカワイイとこあるなあって思ってさ」<br />
「!!?///」<br />
今度は唯がリトの言葉にあっけにとられた<br />
「胸触ってる時とかなんか必死に耐えてるって感じがしてさ」<br />
「な…」<br />
「だから声…聞きたいんだけど。その古手川の感じてる…ダメかな?」<br />
唯の顔は真っ赤に染まる<br />
「な、な、な、な、な、何を言ってるのよあなたはっ!!///」<br />
唯の大声が教室に響く<br /><br /><br />
「そんなハレンチなコトできるワケないでしょ!!だいたいあなたはいつも…」<br />
「そんなコト言ったって、オレ達もう十分古手川のキライなハレンチなコトしてるじゃん」<br />
リトの当たり前の指摘にいつものお説教も止まってしまう<br />
「それは…だって仕方ないでしょ…だって……」<br />
どんどん小さくなっていく唯のそばにリトは少しだけ近くに寄る<br />
「それでどうすんだよ?この後」<br />
「え?あ……」<br />
ぽかんとなっている唯にリトはがんばって自分の気持ちを告げる<br />
「オレはその…このまま古手川と続きしたい!ちゃんと最後まで」<br />
「最後…まで……」<br />
その意味は唯にだってわかる。もともと自分から言い出したコトでもあった<br />
けれど、まだ迷いがあった<br />
本当にこのまま続けてもいいの?<br />
目の前の結城くんにみんなあげてもいいの?<br />
リトに対する気持ち、自分の気持ち<br />
唯の中でまた複雑な思いが生まれる<br />
私は――――<br />
「古手川?」<br />
俯く唯にリトは心配げに声をかける<br />
その声に唯は顔を上げると、すっとリトの顔を見つめる<br />
「ええ、いいわよ。最後までしましょ」<br /><br />
唯はリトに再び机に寝かされると、じっと天井を見つめた<br />
(最後…まで……かぁ)<br />
小さな呟きは溜め息の様にこぼれだす<br />
(きっとこれから私は、結城くんに体を触られていろいろなコトをされてしまう)<br />
そう考えても不思議と嫌な思いはしなかった<br />
(さっき胸を触られていた時だって私は…)<br />
唯は一人自分落ち着かせているリトの横顔を見つめる<br />
そうしていると、なぜか安心感にも似た感覚に体が包まれていく<br />
これからいやらしいコトをするというのにだ<br />
リトの顔を見ていると心臓の音がトクン、トクンと高鳴ってくるのが感じられる<br />
体がホッとするような熱い気持ち<br />
胸の中のもやもやした気持ちがすうっと消えていく様な感覚<br />
ただ唯は、その気持ちをどうしたらいいのかわからないでいた<br />
本当はどうしたらいいのかわかっているのに<br />
私は――――<br />
「…手川?古手川!」<br />
唯はハッと我に返ると、いつの間にか自分を見つめているリトに目をパチパチとさせる<br />
「なにしてるのよ?」<br />
「なにって?古手川がオレの顔見ながらぼーっとしてるから、なんかあんのかなって…」<br />
「……なんにもないわよ。気にしないで」<br />
そう言ったきり唯はまたそっぽを向く<br />
「ならいいんだけど…」<br />
どこか釈然としないリトだったが、再び唯のブラウスのボタンに手をかける<br />
「それじゃあ…いいよな?」<br />
「ええ…」<br />
ボタンが一つずつリトの手によって外されていく<br />
ボタンが一つ外れるたびにその下に見える唯の白い肌とブラジャーに顔が赤くなっていく<br />
リト<br />
全て外し終えるとリトの手は、吸い付くように唯の胸へと伸ばされる<br />
手の平を撫でるように下着に這わせると、そのまま背中に手を回して、ブラのホックに指をかける<br />
上と下。リトと唯の視線が一瞬交わった後、リトの指がホックを外した<br />
それだけで唯の顔は真っ赤になる<br />
リトの手が緊張で少し震えながらも、ブラウスとブラの肩ヒモを外していく<br />
上半身裸になった唯の姿にリトの喉がゴクリと音を立てる<br />
白くてすべすべした肌、形の整ったやわらかそうな胸、くびれたウエスト<br />
机の上に広がる唯の黒髪が、それらをさらに美しく見せる<br /><br /><br />
「むちゃくちゃキレイじゃん…」<br />
ぽつりとこぼれたリトの言葉に唯の全身は赤く火照っていく<br />
リトの言葉が素直な気持ちだったゆえに、それは唯の心の中にも染み込んでいった<br />
なにも言わずに視線を逸らし続ける唯にリトは手を伸ばす<br />
リトの指がやさしく唯の頬に這わされていく<br />
「…ッん」<br />
やっとリトの方を見た唯の目には、恥ずかしさと緊張とで涙が滲んでいた<br />
それは普段の唯からは想像もできない姿で、リトの心を捉えて離さない<br />
リトは唯の顔を見つめながらその手を下に滑らせていく<br />
首筋に、鎖骨にリトの指が触れるたびに唯の体は小刻みに震える<br />
胸の谷間にきた指は、そのままやわかそうな乳房へと這わされる<br />
ラインに沿って這わされる指の動きに唯の口から甘い吐息がこぼれた<br />
その声にガマンできなくなったリトの両手が、唯の左右の胸に伸ばされる<br />
最初はゆっくりやわらかさを堪能するように手を動かすリト<br />
けれども次第にその手の動きは、強さを増していく<br />
まるで貪るように<br />
両手で荒々しく揉みしだくリトに唯の息も大きくなっていった<br />
けれども決して声をあげることはない<br />
ギュッと目を瞑り、リトにその身をまかせるだけ<br />
リトは赤くなった胸から手を離すと、その先端に口を近づけていく<br />
ピンク色だった乳首は、リトの執拗な愛撫で今は、赤く充血している<br />
リトは一度確認の意味も込めて唯の顔色を伺ったが、唯は相変わらず目を閉じてなにも言ってこない<br />
なにも言わないコトを肯定と受け取ったリトは、欲望に任せて乳首に軽くキスをする<br />
「んッ…」<br />
唇が軽く触れただけで唯の体はピクンと浮き上がる<br />
(あれ?ひょっとして古手川って…)<br />
リトは自分の考えを確かめるように二度三度とキスを繰りかせす<br />
「んっ…ぁ…」<br />
小さな小さな吐息とも喘ぎとも取れる唯の声<br />
その声を聞きたくて、もっと出させたくてリトは胸へ刺激を送り続ける<br />
両手で揉みながら乳首を舌で絡めて吸いつき<br />
反対の乳首を指で挟んで転がすように摘み上げる<br />
「ぁッ…くぅ」<br />
ギュッと目を瞑り口を閉じている唯から、次第に甘い声が漏れ始める<br />
「おまえそんなにガマンしなくてもオレなら気にしないから声出しもいいんだぞ?」<br />
「ば、バカ!なに言ってるのよ。そんな変なコトできるワケないでしょっ」<br />
唯の言葉にリトは思わず溜め息を吐く<br />
相変わらずガンコだなあと思いながらも、どこか必死に声を出すのをガマンしている唯の姿が、可愛くてしかたなく思えてきていた<br />
(ホント、もっと肩の力を抜けばいいのにな…)<br />
どこかムッとした表情で顔を逸らし続ける唯の横顔にリトはクスっと笑いかける<br />
普段絶対見ることのできない唯の一つ一つの姿が、リトにはとても新鮮に映った<br />
ララや春菜とは違う古手川唯という一人の女の子にどんどん惹きこまれていく<br />
リトはそんな唯をもっと見たくて、感じたくて手を舌を動かす<br />
胸を揉みつづけながら、舌を谷間からおヘソの周りに這わせキスを繰り返す<br />
「ひゃッ…ん」<br />
くすぐったさとリトのギコチない舌使いに思わず声を出してしまう唯<br />
そしてそれとは別のもう一つの感覚<br />
下腹部が妙に熱くなり、なんだかムズムズしてくる<br />
閉じていた脚が自然に広がり、太ももを擦り合わせる<br />
今まで味わったことのない感覚に唯は眉根を寄せた<br />
「あ…ぁん…」<br />
口からガマンしていた喘ぎがこぼれ、体がどんどん熱くなっていく<br />
(なん…なのこれ……?。私、体が…あぁ)<br /><br /><br />
フルフルと体を振るわせる唯にリトの顔はにやけだす<br />
すっかり男の顔になってしまっているリト<br />
本能のままに欲望のままに、さらに深く唯に覆いかぶさった<br />
ぐいぐいと体を押し付けてくるリトを唯の体は受け入れる<br />
閉じていた太ももを広げ、リトの腰を下腹部に招き入れた<br />
乱れるスカートからすらりと伸びるムチムチの太ももに、白いショーツ<br />
その魅力的な光景にリトの目は釘付けになってしまう<br />
自然とリトのモノも反応し、ズボンを下から持ち上げる<br />
リトの荒い息が唯の鼻先にかかる<br />
胸から手を離したリトの手が自分の太ももを撫で回す感触に唯はじっと目を瞑った<br />
「ん…くッ」<br />
ピクンと唯の腰が動くたびに密着した下腹部とリトの膨らんだモノが擦り合わされる<br />
ぐいぐいと押し付けあう仕草が二人の思いを表していた<br />
「古手川…」<br />
その呼び声に唯は目を開けると、真上にあるリトの目を見つめる<br />
「そろそろいい…かな?」<br />
「……」<br />
唯はリトから目を逸らすと、なにかを迷うように顔を背けた<br />
「古手川?」<br />
リトの声が頭に響く<br />
リトの言いたいことが手に取るようにわかる<br />
自分の体もソレを望んでいたから<br />
密着させるリトの体から伝わる熱い感触に唯の下腹部はじっとりと濡れていた<br />
けれども、まだ心は揺らぐ<br />
決心がつかない<br />
「やっぱまだムリか?」<br />
顔を背け続ける唯にリトの少し残念そうな声がかかる<br />
なにも言わない唯に、腕に力を込めたリトの体が離れていった<br />
ゆっくりと消えていくぬくもりに唯はギュッと手を握り締める<br />
これで…いいの?<br />
本当に…これで……<br />
消えていくリトの感触にどんどんと大きくなっていく心の奥の感情<br />
自分でも気付かない、知らないフリをしていた大切なコト<br />
唯はその感情に初めて手を伸ばした<br /><br />
自分のスカートやブラウスをいそいそと直していくリトの手を唯はキュッと握り締める<br />
「え?」<br />
一人呆けるリトの顔も今の唯には見ることができない<br />
けれど、その手は握り締めたまま離そうとはしなかった<br />
「古手…川?」<br />
「……」<br />
俯いたままなにも話そうとしない唯にリトはやさしく笑いかける<br />
「どうしたんだよ?いつもの古手川らしくないじゃん」<br />
私…私だって――――<br />
唯はすっと顔を上げるとリトの目を見つめる<br />
本当は――――<br />
「結城くん…」<br />
「ん?」<br />
私はあなたのことを――――<br />
唯はなにも言わずにリトの手をギュッと握り締めた。強く<br />
「古手……」<br />
リトは最後まで唯の名前を呼ぶことなく、そのまま唯に抱きついた<br />
スカートをたくし上げショーツに手をかける<br />
一瞬の迷いの後、リトはショーツを下げた<br />
「あ…////」<br />
恥ずかしさと恐怖でしがみ付く唯を愛おしむようにリトは、唯の髪を撫でる<br />
落ち着かせるように、安心させるように<br />
リトの胸の中で震えていた唯は、少しずつ少しずつ落ち着きを取り戻していく<br /><br /><br />
そんな唯の頬に自分の頬を重ねると、リトはそっと囁く<br />
「じゃあ入れるな?」<br />
唯はコクリと首を振った<br />
机に寝かした唯の脚を広げようとリトの手が太ももを掴む<br />
「み、見ないでね!その、私の…////」<br />
「ええ!?でも見ないとどうすりゃいいのか…」<br />
「なんとかしなさいよ!あなた男でしょ?」<br />
唯の少し非難めいた口調にリトはなにも言えなくなってしまう<br />
脚を広げると、唯の言うとおりなるべく見ないように手探りで位置を確認する<br />
けれどそれは、女の子の大事なところなんて見たことのないリトにとってはとっても難しいことで……<br />
指先に触れる割れ目の感触にリトの指が震える<br />
「ん、あッ…」<br />
唯の甘い声にリトは息を呑む<br />
秘所のあたたかい感触とぐっしょりと濡れた愛液の感触<br />
(すげー!古手川のココぐちょぐちょになってる…)<br />
リトは愛液を指で絡めると、ズボンから大きくなったモノを取り出す<br />
唯の顔を覗き見ると、唯はリトの制服を握り締めながら必死に耐えていた<br />
まだ拭えないでいる緊張と恐怖にリトは唯の顔を見つめる<br />
「な、なによ?」<br />
「いや、大丈夫かなって思ってさ」<br />
こんな大事な時にも気の利いたコトが言えない自分をリトは情けなく感じた<br />
愛想笑いを浮かべることしかできない<br />
そして、そんなリトの顔を唯はじっと見つめる<br />
しばらくリトを見つめていた唯はやがて溜め息を吐く<br />
こんな時にも頼りなくてカッコイイところも見せられないリト<br />
けれど、だからこそ唯はリトが気になってしかたがなかった<br />
その弱さに見え隠れするやさしさや強さを持っているリトのことが<br />
上下で見つめ合う二人<br />
リトの手が頬にかかると唯はゆっくり頷いた<br />
くちゅっと音がなりリトのモノが入ってくる感触に唯はギュッと目を瞑る<br />
狭い膣内の感触にリトはぐっと歯を喰いしばった<br />
ズブズブと入っていく肉棒はやがて膜にあたる<br />
唯はなにも言わずリトの手を強く握り締めた<br />
頬にかかる熱い息。リトは唯の頬に軽くキスをするといっきに貫いた<br />
「ん!!んんあ……あぁ…」<br />
ぶつんと切れる音と、割れ目から流れる唯の純潔<br />
唯はリトの背中に腕を回すとその体を抱きしめる<br />
間近に聞こえる唯の苦しそうな声にリトは唇を噛み締めた<br />
唯の痛がる声が苦しそうな顔が胸を締め付ける<br />
リトは唯の体を抱きしめる<br />
痛みを和らげるすべも、余裕もリトにはない<br />
ただ唯を抱きしめることしかできない<br />
「ゴメン…ゴメンな古手川。もうちょっと、もうちょっとだけだから…」<br /><br /><br />
そのうわ言のような呟きに、唯はそっとリトの頬に手を重ねる<br />
「バカね。なに泣いてるのよ?」<br />
「え?」<br />
リトは慌てて目を擦る。指に付く涙の跡<br />
「えっあ…っとこれは…ち、違うんだ!これにはワケがあって」<br />
一人慌てふためくリトに唯はクスっと笑う<br />
「もういいわよ」<br />
「……」<br />
「もう私は大丈夫だから、あなたもしっかりして!」<br />
じっとこっちを見つめるだけのリトに唯は怪訝な顔をする<br />
「ちょ、ちょっとどうしたのよ?あなた私の話聞いてるの?」<br />
「おまえって笑うとすげえカワイイんだな…」<br />
ぽつりと呟いたリトの言葉に唯の顔はみるみると赤くなっていく<br />
「い、いきなりなにを言ってるのよ!!///」<br />
ふいっと顔を背ける唯が、ますます可愛く思えたリトはそのおでこにキスをした<br />
「もう!調子にのらないで!!///」<br />
いつもの唯の戻ったことがうれしいのかリトは歯を見せて笑う<br />
「じゃあホントにもう大丈夫なんだな?」<br />
「ええ!だから大丈夫って言ってるじゃない。あなたはいいの?」<br />
唯の試すような視線にリトは頷くと、ぐいっと腰を押し入れる<br />
「あッん…」<br />
「動くからムリならムリって言えよ?」<br />
唯は頷くとリトにその身を任せていく<br /><br />
二人だけの教室に肉と肉がぶつかる音が響く<br />
リトは唯の体を抱きしめながらその中に肉棒を打ち付けていく<br />
「あ…ん、んぁ…」<br />
間近に聞こえる熱く短い吐息と、体の感触にリトは夢中になって腰を動かす<br />
なによりとろけそうなほど気持ちいい唯の膣内に早くも限界を迎えていた<br />
吐き出しそうになる欲望を歯を食いしばって耐えるリトに唯は怪訝な顔をする<br />
「ちょ、とどうしたのよ?」<br />
「心配すんな、って。な!」<br />
「う、うん…」<br />
リトは自分勝手に欲望を出したくはないと思っていた<br />
唯のことを思うとそれだけはできないと思ったから<br />
今もリトにしがみ付くようにその体を抱きしめている<br />
緊張と興奮そして、必死さとで唯の体は小さく震えていた<br />
本当は相手を気遣うことも声をかける余裕もない<br />
それなのに自分を精一杯気遣う唯の気持ちにリトは、自分なりにそれに応えたいと思った<br />
なによりこの時間をこの瞬間を大切にしたいと願った<br />
触れ合って初めてわかるコト。初めて感じる相手のコト<br />
リトの中で唯の存在がどんどん大きくなる<br />
抱き合っていた体を離すも、その手は互いの手を握ったまま離さない<br />
熱い吐息と肉がぶつかる中で、互いを見つめ続ける<br />
やがてリトの顔がゆっくりと唯の顔に近づく<br />
鼻先数センチの距離で見つめ合うと、リトはそのまま唇を近づける<br />
「ぁ…」<br />
唯の少し困ったような仕草に一瞬躊躇うもリトはそのまま唇を重ねた<br />
最初は軽く、触れ合うだけのキス<br />
その余韻に触れるように唯は自分の唇を舌で舐め取った<br />
その仕草にリトは吸い付くように唯の口を奪う<br />
驚いた唯が抗議の声を上げようとするも口を塞がれて声がでない<br />
変わりにリトの手をギュッと握り締めて少し怒ったような顔をする<br />
「ゴメン!けどどうしても古手川とキスしたくて」<br />
「……もう!初めてなんだからちゃんとしてよね!」<br />
リトは申し訳なさそうに笑うと、再び顔を近づける<br /><br /><br /><br /><br />
「じゃあ今度はちゃんとするからさ」<br />
「ホントに?」<br />
疑うような唯の視線にリトは苦笑いを浮かべながら唇を重ねる<br />
今度はもっと長く、もっと気持ちを乗せて<br /><br />
「ん、ん…ん、あァ…」<br />
体が小刻みに揺らされるも唯は、リトの口から離れようとはしなかった<br />
リトの唇に合わせるように自分の唇を這わせていく<br />
唇を離すリトの顔を名残惜しげに見つめる唯<br />
「古手川舌だして」<br />
「え?舌を…?」<br />
唯が言われたとおりに舌をちょろっと出すと、リトは自分の舌を絡めながら再び重ねていく<br />
「あ!くぅ…ぅあ」<br />
唾液の混じりあう音が頭に響く中、唯は必死にリトに合わせようと口を動かす<br />
「ん、んん…ちゅぱ。んくッ…ちゅ…う、ンン」<br />
二人は手を離すと互いを求める様に抱き合い、唇を舌を貪った<br />
愛液と唾液の絡み合う音と唯の熱い喘ぎが交じり合う<br />
「あッ…ん、ふぁあァ…んく、ちゅる…ッは、んん」<br />
リトは糸を引かせながらゆっくりと口を離す<br />
「今の古手川すげーエロくてカワイイ」<br />
「な!?もう!バカなコト言わないでっ////」<br />
真っ赤になって怒り出す唯をリトはじっと見つめる<br />
「唯…」<br />
その言葉に唯の心臓はドキンと音を立てた<br />
ただ名前を呼ばれただけなのに<br />
「も、もう気安く私の…名前を……」<br />
途切れ途切れの唯の声はリトのキスによって邪魔される<br />
「んん!…ん、ぁあ」<br />
リトは唯の頭を撫でると体を起こす。そして、唯の細い腰に手を置くと自分の腰を打ちつけた<br />
「はぁ、はあ…んッ、は…ぁあ」<br />
唯の小さな体が机をギシギシと軋ませる<br />
リトが突くたびに割れ目から愛液を溢れさせる下腹部は、ガクガクと痙攣を繰り返していた<br />
どちらも限界は近い<br />
「オレ…もうっ」<br />
リトの動きがどんどん激しくなっていく<br />
膣内を掻き乱し、子宮口を刺激させる<br />
「わた、私ももう…。結城くんお願い一緒が、一緒がいい」<br />
リトは首を振ると、唯に合わせるように腰を動かす<br />
「はぁッ…ん、くぅ…だ、ダメもう限…界っ」<br />
キューっと中が蠢き肉棒を圧迫すると、リトは秘所から肉棒を引き抜き欲望を吐き出した<br /><br />
「はあ…はあ、はぁ…んッ…く」<br />
お腹を白く汚されながら唯は息を整える<br />
おヘソから流れ落ちる精液を指ですくう唯の姿を、リトは食い入るように見つめる<br />
「熱い…それにネバネバしてる」<br />
指に絡みついた精液を不思議そうに見つめる唯をリトは慌ててやめさせる<br />
「やめろって!そんな汚いモノ」<br />
「……汚くなんてないわよ。だってあなたのだもの///」<br />
「な、なんだよそれ…」<br />
顔を赤くさせながらそっぽを向くリトを唯はくすりと笑う<br />
リトはバツが悪そうに頭を掻くと、いきなり唯にキスをした<br />
「ん!?ちょ、ちょっとなんな…」<br />
「さっき笑ったお返しだよ」<br />
「もうっ」<br />
尚もまだ言いたそうな唯だったが、そのまま目を瞑るとリトのキスを受け入れた<br />
互いの思いを乗せて二人はキスを繰り返す<br />
長い、長い二人だけの時間が満ちていく<br /><br /><br />
制服をきちんと着こなし髪を整えている唯の後ろ姿をリトは黙って見ていた<br />
さっきから唯はずっと無言だ<br />
キスの後、なにか言いたそうに口をもごもごさせたが、それっきりだった<br />
髪を整えると唯はリトの方を振り向かず、すっと立ち上がる<br />
「悪かったわね。その…こんなコトお願いしちゃって」<br />
「そんなコトねーよ!だいたい、もともと悪いのはオレの方だしさ」<br />
『責任…取ってくれるとでも言うの…?』あの時言われた言葉が頭に浮かぶ<br />
自分は唯の言う責任をちゃんと取れたのだろうか?<br />
一人悩み続けるリトの横を唯は俯きながら通り過ぎていく<br />
「あ!ちょ、待てって」<br />
その声に唯は教室の扉の前で立ち止まる<br />
「えっと…その……」<br />
「……もういいわよ。結城くん責任…取ってくれたし…」<br />
「そうじゃねえよ!」<br />
リトは歩き出すと、唯の正面に回る<br />
「なに?」<br />
「おまえ言ったよな?責任取ってって」<br />
「ええ」<br />
リトは一度息を整えるように深呼吸すると唯の目をじっと見つめる<br />
「な、なんなの?言いたいコトがあるなら…」<br />
「オレおまえのコトが好きだ!だからその責任とかそんなんじゃなくてその……オレと…」<br />
リトの言葉に唯は耳まで顔を真っ赤にさせる<br />
「な、なに言ってるのよ?私はただ……冗談ならやめて…私は////」<br />
「冗談なんかじゃねえよ!オレ本気でおまえのことが…」<br />
唯はがんばって俯いていた顔を上げると、じっとリトの顔を見つめる<br />
リトは真剣だった。いつもの頼りない顔つきに今は男の強さが滲み出ていた<br />
「本気なの?」<br />
「当たり前だろ!冗談でこんなコト言えるかっ」<br />
唯は少し考え込むように俯くと、やがてぽつりと言葉をこぼす<br />
「……順番が逆じゃない?」<br />
「へ?」<br />
唯はきっと顔を上げるとリトを睨みつける<br />
「順番が逆でしょ!そんな大事なコトはもっと早く言うべきだわ!!」<br />
「わ、悪かったって!だからそんな怒んなよ」<br />
唯はふいっと顔を背けるとリトの横を通り過ぎていく<br />
「あ!ちょ…古手川?」<br />
「知らないわよ」<br />
どんどん先に進む唯を後からリトが追いかける<br />
後ろから聞こえる足音に唯はひとりくすっと笑った<br />
あの時揺らめいていた気持ちは今はない<br />
変わりに確かな気持ちがある<br />
あたたかくて大事なモノ<br />
生まれて初めての大切な気持ち<br />
唯はそれを確かめるように胸に手を置くと、キュッと手を握り締めた<br />
大切に…大切にしようと強く思いながら<br />
後ろから近づいてくるリトの気配に振り向くと唯は、いつもの調子で注意をする<br />
「ほら早くしないと下校時間過ぎちゃうじゃない!減点にするわよ?結城くん」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />