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「ララとリト その2」(2008/03/09 (日) 21:34:27) の最新版変更点
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「ばいばいメモリーくん。これで、地球のみんなから私の記憶を消す」<br />
ララの取り出した手のひらサイズの物に全員の目が集まる<br />
「お…おいララ!?どーいうことだよそれ!!」<br />
慌てるリトに振り向いたララの目には涙が滲んでいた<br />
「プリンセスとか婚約候補とか、そういうのナシでもう一度…ゼロからの私でがんばってみたいの。私の、最後のわがまま…聞いて…」<br />
「そ…そんなこと…」<br />
リトはなにも言い返せず呆然となる<br />
「ララさん!」<br />
「友達になってくれてありがとう春菜!また、友達になってくれるとうれしいな…」<br />
ララの指がメモリーくんのスイッチにかかる<br />
ララは何かを決心するかのようにゆっくりと深呼吸をした<br />
「ラ…ララ?ま…待てよララ!!そんなことしなくても――――…」<br />
「さよなら…」<br />
まばゆい光に包まれながらも、必死に駆け寄るリトの目の前でララは笑った<br />
その顔は今まで見たどのララよりもキレイで、そして、悲しそうだった……<br /><br />
ごめん…リト――――<br /><br />
光が全てを包み込む中、最後にリトは、はっきりと自分の名を呼ぶララの声を聞いた<br /><br />
「ホントにこれでよろしかったのですかララ様?」<br />
「うん…」<br />
ぴょんぴょんワープくんで屋上からワープしてきたララは、今地球のどことも知れない広い草原の中一人座っていた<br />
その顔は暗く、沈んでいる<br />
「いいの…。だってあのままじゃダメだとわかったから」<br />
「しかし…」<br />
頭の上のペケもいつもと比べてどこか歯切れが悪い<br />
「それに…私決めたの。リトに振り向いてもらえるようにがんばるって!もう一度最初から…もう一度ゼロから…」<br />
ララは立ち上がるとめいっぱい伸びをする<br />
山と山の間に日が沈み、草原に夜の風が吹きぬけていく<br />
気持ちよくて、少し冷たい異国の風にララはギュッと腕で体を抱きしめる<br />
「リト今頃なにしてるかな…」<br />
ぽつり呟いた言葉にペケは溜め息を吐く<br />
「そんなに心配なら今すぐお会いになればよろしいじゃないですか?」<br />
「ダ~メ!すぐに会ったりしたらメモリーくんの意味がないよ。それに…それに今会っちゃうと……」<br />
きっと、きっとくじけそうになる<br />
自分の決めた決意が崩れてしまう<br />
「リト…」<br />
日本では今夕飯が終わった頃だ<br />
「今日はどんなメニューだったのかな~?」<br />
ハンバーグだったらうれしいな。大好きなしじみのス~プが出たらすごくうれしい<br />
美柑の作ったものはなんでもおいしいから、いつもいつも夕飯の時は楽しみ<br />
ララのお腹がぐ~っと鳴る<br />
「えへへ、お腹すいちゃったね」<br />
「ララ様…」<br /><br />
ララは持ってきたケータイ食料の袋を開けると、それを口に入れる<br />
「おいしくない…」<br />
もともと栄養重視の食べ物にまともな味があるはずもなく、けれどもそれ以上に今のララにはおいしくは感じられなかった<br />
美柑の作る料理は王宮で食べていたどの料理よりも全然豪華ではないし、食材だって高級でもなくありふれた物ばかりだ<br />
けれどもララは美柑の作る料理が好きだった<br />
宇宙で一番大好きだった<br />
リトと美柑三人で囲む食卓はいつもにぎやかで、そして、楽しかった<br />
献立を決める時、いつも自分の食べたいメニューを断る美柑とのやりとりもララにとっては大切な時間だった<br />
お菓子の食べすぎで、ご飯が最後まで食べられなかった時は、いつもリトが文句を言いながらも助けてくれていた<br />
みんなかけがいのない大切なモノばかり<br />
「けど…けど、みんななくなっちゃった…」<br />
「ララ様!?」<br />
ララの頬に涙が零れ落ちる<br />
無くなってしまったモノの大切さに体が震える<br />
失ったモノの重さに涙が止まらなくなる<br />
「私…私……」<br />
決意したはずなのに、もう一度最初からがんばると決めたはずなのに<br />
リトの顔が頭に浮かぶ<br />
リトだけじゃない。春菜も理紗も未央も美柑もみんなの顔が浮かんでは消えていく<br />
寂しさが体を心を包んでいく<br />
「みんなに会いたい……リトに、リトに会いたい…」<br />
今まで心を埋めていた大切なものに、失ってから初めて気付いた<br />
今までどんな時でも笑顔でいられた理由が改めてわかった<br />
リトが好き――――<br />
最初の時とは違う、見せ掛けじゃない家出の言い訳じゃない<br />
リトのことを始めて意識したあの夜の時とも違う、曖昧な気持ちなんかじゃない<br />
確かな気持ち。大きな想いが胸にある<br />
リトが好き。大好き。それも誰にも負けないぐらい本気で好き<br />
ララはその場でしゃがみ込むと、嗚咽を漏らしながら泣きじゃくった<br />
失ったモノの代償はとても重く大きくララに圧し掛かる<br />
広い草原でララは一人、孤独と寂しさに震えていた<br /><br />
その頃<br />
リトは息を切らせながら立ち止まると、膝に手を置き肩で息をする<br />
額からは汗が流れ落ち、服に染みを作っていく<br />
「クソッ……どこにいったんだよララのヤツは…」<br />
地面に向かって吐き捨てるように呟いたリトの顔には、疲労と不安そして、後悔の念が深く刻まれている<br />
あの時、もっと早く駆け寄っていれば、もっと長く腕を伸ばしていたら<br />
後悔してもし足りないほどの想いが後から後から込み上げてくる<br />
頭にはあの時の笑っているララの顔と、少し寂しそうな辛そうな顔が思い浮かんだ<br />
「考えんのは後だ。今は……」<br />
今は―――――<br />
夏が終わり秋にさしかかったばかりなのに、夜の風がいつもより冷たく感じる<br />
リトは深呼吸をすると、この寒空のどこかにいるララを見つけるためまた走り出した<br /><br />
「ララ様…」<br />
頭の上でペケは心配そうな声をかける。が、どうすることもできない<br />
自分にはムリだ<br />
きっとこの涙を止められるのは一人しかいないと思った<br />
だけどそれを認めたくない。認めるワケにはいかなかった<br />
自分の主人の愛情を一身に受ける、ただの地球人の少年なんかを<br />
それでもペケは一人すすり泣く主人に思い切って声をかける<br />
「しっかりしてくださいララ様!がんばると決めたのではないのですか?<br />
あの少年をがんばって振り向かせると決めたのではないのですか?」<br />
ララの涙は止まらない。どんどん溢れてくる<br />
ペケは自分の主の笑顔が好きだった。宇宙で一番笑顔が似合う人だと思っていた<br />
自分にはあの少年の様なことはできないが、それでも目の前で涙を流す主の姿には耐えられなかった<br />
拙い言葉で、慣れない感情でペケは精一杯ララに声をかける。何度も何度も<br />
また笑顔になれるように、また元気ないつもの主に戻れるように<br /><br />
しばらくするとララの嗚咽は止まった。袖でゴシゴシと目元を拭きながらララは笑った<br />
その笑顔はギコチなく、真っ赤になった目にまだ涙を溜めたままで<br />
それでもララは笑った。自分の弱さに負けない様に、自分の決意を曲げないように<br />
「ララ様…大丈夫なのですか?」<br />
「えへ、ゴメンねペケ。心配かけて…。私はもう…平気」<br />
どう見ても平気には見えない主に、それでもペケは気を使って悪態を吐く<br />
「まったく!やはり私はあの地球人の少年がキライです!!ララ様をこんなに苦しませて、こんなに泣かして…。<br />
次に会った時はもうこんなコトにならない様に、あの少年にはしっかりとしていただきたいものです!」<br />
「ペケ…」<br />
その言葉にララは薄っすらと笑った<br />
ペケは思った。やはりララ様にはあの少年が必要なんだと<br />
主を笑顔にさせることができるのは結城リトしかいないと思った<br />
王宮にいる時や、いたずらして喜んでいる時とは違う、本当の意味での主の笑顔<br />
くやしいが結城リトといる時の主人の笑顔が自分は一番好きなんだと思った<br />
「ペケありがとう」<br />
うれしそうに笑うララの姿に、ペケは恥ずかしさでなにも言えなくなってしまう<br />
「よ~し!もう泣くのは終わり!だって決めたんだからがんばるって…」<br />
もうリトから笑顔をもらってるだけじゃダメなんだ<br />
また、あの日に戻れるように。そして、それ以上の楽しい毎日を送れるように<br />
「今度はきっと大丈夫…」<br />
笑っていたいと思った<br />
リトのそばで、リトの隣でいつも<br />
大好きなリトと一緒に<br />
きっとこの先もリトを困らせ、怒らせたりするんだと思う<br />
それでも、それでも――――<br />
「一緒にがんばろうねペケ!!」<br />
どうして私まで!?と言う言葉を呑み込んで、どこかうれしそうなララの顔に、ペケは小さく微笑んだ<br /><br />
家に戻ってきたリトは、シーンと静まり返る中の様子に、わかってはいてもそれでも大声でララの名を叫ぶ<br />
反応はなし。深い溜め息を吐くとそのままリビングに向かった<br />
一人留守番をしていた美柑になんて報告しよう……なんて言えばいいのか<br />
頭に浮かぶ言葉はどれも曖昧で、そして意味のないモノばかり<br />
きっと美柑のヤツガッカリするなァ<br />
そう思いながらキッチンのドアを開けると、リトは少し驚いた様に目を大きくさせる<br />
テーブルの上には、料理が所狭しと並べられていた<br />
しじみの味噌汁にハンバーグ、さんまの塩焼きにとんかつetc.……<br />
そのどれもがララの好きなメニューであり、いつもおいしいと言っていたモノばかりだ<br />
美柑は端の方でテーブルに突っ伏す様に眠っている<br />
スースーと寝息を立てる妹にタオルを掛けてやりながら、リトは誰もいないリビングを見つめた<br />
ガランとしたリビング<br />
暗く誰もいない寂しい空間がそこにはあった<br />
誰もいないソファーに笑いながらしゃべっている美柑と、お菓子を食べているララの姿が浮かぶ<br />
「ララがこのままいなくなったら、きっと美柑のヤツ悲しむだろうな…」<br />
普段は強がっているが、ホントは誰よりも繊細な心を持っているまだ幼い妹<br />
きっと文句は言うし、人知れず泣くだろう<br />
自分と美柑だけの二人だけの家に、すでにララはなくてはならない存在となっていた<br />
ララとの間には確かな繋がりができていたから<br />
その時、背後からずるっとタオルが落ちる音がする<br />
「美…」<br />
慌てて振り向くと、美柑はまだ眠ったままだった。リトはずれ落ちたタオルを美柑に掛け直してやる<br />
「ん……ラ…さ…」<br />
「え?」<br />
寝言なのか時折、小さな声で呟く美柑<br />
「ラ…ラ、さんどこにもいかないで…」<br />
そういうと美柑はタオルに丸まって再び夢の中に戻っていく<br />
「……まったく」<br />
リトは美柑の頭を撫でると冷蔵庫に向かった。<br />
「あいつホントにこのまま……」<br />
このまま――――<br />
リトは頭を振ってその先の言葉を否定する<br />
耳に美柑の息遣いが聞こえてくる。家でひとりがんばった妹を思うとこのままでいいはずがない<br />
美柑の泣くところも落ち込んでいるところもこれ以上は見たくはない<br />
姉のように、友達のように、ホントの家族のようにララを想っている美柑<br />
――――じゃあオレは?<br />
ふと頭に過ぎった疑問に、ジュースを取り出そうとする手が止まった<br />
寂しくて泣いてしまうのか?それとも、ララを探して追いかけるのか?<br />
頭に浮かぶ自分の姿は、どれも悲壮感に溢れていた<br />
「あいつ…なんでこんなコト……」<br />
リトの脳裏に今までララと過ごした時間が甦る<br /><br />
時刻は午前7時。目覚ましのアラームの音にリトは目覚めた<br />
寝起き独特の全身のだるさと、少し汗を掻いた服の感触にリトは体をうーんと伸ばす<br />
その時、ムニュっとした柔らかい感触が手に伝わった<br />
リトが恐る恐る隣に目をやると、案の定、シーツに包まった裸のララが寝ている<br />
『ん―――っ』<br />
リトの異変に気付いたのか、ララは伸びをすると、眠たい目を擦りながらにっこりとリトに笑いかける<br />
『あ…リトおはよ』<br />
ララの笑顔はだるい体も、まだ眠っている頭も吹き飛ぶ様なものだったが、あいにくリトはそれどころではなかった<br />
『おはよじゃねー!!何、オレのベッドにもぐりこんでんだよ!!しかも裸でッ!』<br />
『えーだって、リトと一緒に寝たかったしー』<br />
何度言っても治らないララの行為に、リトも相変わらず慣れる様子はない<br />
『と、とにかくおまえ服を着ろよ!服を!!』<br />
リトの呆れたのか少し怒ったような口調にララの表情が曇る<br />
『だって…だって、リトといつも一緒にいたいんだもん。寝ている時も、学校でもいつも一緒に…』<br />
『だからっておまえな…』<br />
ララは俯いていた顔を上げるとリトの顔を見つめる<br />
『迷惑?』<br />
『いや…迷惑ってその、そういうんじゃなくて…』<br />
リト自身女の子に免疫はあまりないが、それでも、ララと一緒にいられることはうれしかったし、<br />
なによりそのララに好意を抱かれることは特別にも似た感情があった<br />
だからこそ生まれてしまう疑問<br />
『おまえ……オレなんかのどこがいいんだ?』<br />
『え?』<br />
ララは聞かれたことに一瞬目を丸くさせる<br />
『えっと……わかんない』<br />
あははと笑いながら話すララにリトの長い長い溜め息がもれる<br />
『おまえなァ……』<br />
『えっと…ね、そうじゃなくて言葉にうまくできないの』<br />
『え…』<br />
急に真面目な顔になるララにリトは釘付けになる<br />
『リトのことが好きって気持ちはちゃんとあるの。だけど、そのコトを言葉にするのが難しくて…』<br />
ララは自分の胸に手を当ててゆっくりと話し出す<br />
『リトのことを考えるとこの辺がキュッとなるの。リトの顔を見たり、一緒にいたり、リトを思うだけで苦しくて…そして、うれしくなるの』<br />
『ララ…』<br />
言葉に詰まりながら一生懸命自分の気持ちを話すララにリトはじっと耳を傾ける<br />
『私、生まれて初めて誰かを好きになったの。好きになると不思議な気分になるんだね~……リトといるといつも胸がドキドキしてる』<br />
顔を赤くしながら恥ずかしさでえへへと笑うララ<br /><br />
その時リトは、なんてララに言葉をかけていいかわからなかった<br />
ただ真剣に一生懸命自分の気持ちを話すララに、中途半端な言葉だけはかけちゃダメだと思った<br />
そして心に芽生えた小さな小さな想い<br />
今はソレを伝える術も、相手もいない<br />
だけど、それでも――――<br />
リトはもう一度、美柑の横顔を見つめた<br />
なにげない日常ほど本当は一番大切なモノなんだと、リトは美柑と二人で暮らす様になってから気付いた<br />
そして、その日常にララがいる<br />
結城家の家族として。そして自分にとっては――――<br />
リトはノドにオレンジジュースを流し込むと、もう一度ララを探しに行くため上着を羽織った<br /><br /><br />
次の朝<br />
結局ララを見つけるコトのできなかったリトは、とりあえず学校に行くため朝の支度をしていた<br />
キッチンでは美柑が朝食を作っている<br />
ララが帰ってこなかったコトを知ると、「そうなんだ…」と残念そうに呟いた後、キッチンに戻って行ってしまった<br />
目玉焼きを作る美柑の横顔は、いつもと同じ顔でいて、今は寂しさと悲しさが入り混じっている<br />
かなりムリをしてるのは誰が見ても明らかだった<br />
テーブルの上の冷たくなっている料理がいつもの食卓に暗い影を落としていた<br /><br />
「おはよ…結城くん」<br />
「西連寺…」<br />
登校中、途中から一緒になった春菜にあいさつをするリト<br />
だけど、その表情は美柑同様浮かない<br />
「帰ってこなかったんだ……ララさん」<br />
「ああ…」<br />
リトは短くそう応えると、地面を見つめたまま黙ってしまう<br />
「私もいろいろ探したんだけど……リサ達のところにもいないって…」<br />
いつもより声の沈んでいる春菜にリトは、溜め息を吐いた<br />
「ッたく!あいつなに考えてんだ!?みんなに迷惑かけて悲しませて!!」<br />
「結城くん…」<br />
いつもと様子の違うリトに春菜は遠慮気味に声をかける<br />
「だってあいつ……はぁ~。ララのヤツ早く帰ってくればいいけど」<br />
「うん。帰ってきたら……やっぱり結城くん怒る?」<br />
「そりゃ……だって…」<br />
リトは言葉を濁した。正直ララが帰ってきたらどうするのか?なんて声をかけたらいいのか?全然考えていなかったからだ<br />
ララの屋上で見せた気持ちはホンモノだった<br />
その気持ちに、想いにはたして自分は応えるコトができるのか?<br />
「結城くんは、結城くんのままで、結城くんの通りにしたらいいと思うよ」<br />
少し不安顔になっているリトへ、春菜はやさしく笑いかける<br />
「西連寺…?」<br />
「ね?」<br />
春菜の顔を見ていると、なんだか理由もなく大丈夫な気がしてくる<br />
リトは短くウンと返すと、学校に向けて歩き出した<br />
彩南高校の校門前でララは一人リトが来るのを待っていた<br />
『しかしホントにこれでよろしかったのですか?ララ様』<br />
「わかんない…。でも、ああまでやらないと、パパは私の言う事なんて聞かないよ」<br />
昨日いろいろ決意したその顔はまた沈みがちになっていた<br />
やはりまだまだ不安が重く圧し掛かる<br />
「それに、もう終った事だもん。これから、また始めなきゃ!!」<br />
どう見ても強がっている主に溜め息を吐きかけた時、ペケは遠くからこちらに歩いてくるリトの姿を発見する<br />
『あ!?ララ様来ました!』<br />
ドクンと心臓が高鳴るのをララは感じた<br />
緊張が体を駆け巡るが、それでも、行かなくては。もう決めたのだから<br />
ララは深く、ゆっくりと深呼吸をする<br />
「よし!……あ、あのっ、初めまして!私、今日この学校に転校してきたんだけど――――……」<br />
少し慌てるように話すララの姿に、リトと春菜はお互いの顔を見合わせると、声を揃えて口に出した<br />
『おかえり』<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />