今のままリトには会えない…。ララはまだ暑くなる前の街をとぼとぼと歩いていた。「これからどうしよう…」財布の中には一応お金はあるので一日くらいならなんとかなる。だがいつまでもふらふらしているわけにはいかないし、何よりリトは自分のことを心配するだろう。私…リトの所に帰ってもいいのかな…。「ララさんがいなくなった?」美柑は驚いて兄を問い詰める。「あんた何かしたんじゃないでしょうね?リト?」「そ…そんなわけないだろ!とにかく、俺、探しに行ってくるよ」リトは靴下を取りに一度自室に戻ろうとしたが、自室の前でナナとモモが待ち構えていた。「リトさん…。お姉様のこと、心当たりがあるんですよね?」「おいリト…。姉上を泣かすなんてどういうつもりなんだよ?」モモは比較的冷静だったがナナは頭に血が上っていた。今にもリトに掴みかかりそうなナナをモモが制する。「ナナ、とりあえず何があったのか聞きましょう。お部屋に入っても構いませんか?」「ああ…」リトは二人と共に部屋に入り、昨日何があったのかを話した。唯とララと三人で交わっていたことも、自分がつい調子に乗って唯にがっついてしまったことも。「そうですか…。それでお姉様はリトさんを独占したいと思うようになってしまったんでしょうね…」モモはあくまで冷静に姉の心情を分析する。「なんだよ!やっぱおまえのせいで姉上は…!やっぱおまえみたいなケダモノに姉上はふさわしくないんだよ!」ナナが怒りをぶちまけるのをモモが制止する。「やめなさい、ナナ。ふさわしいとかふさわしくないとか、そんなのどうだっていいの。お姉様はリトさんが好きで好きでしかたないのよ?今の言葉はお姉様の気持ちを否定することになるわ」 「でも姉上は泣いてんだぞ?それは姉上が今幸せだって思ってないからだろ?」リトはそんなナナを見て思った。結局ナナはどこまでもララが好きなのだ。たとえケダモノと蔑む自分と獣のように交わっても、どんな淫らな行為に彼女が溺れようとも。ララも自分のことがどこまでも好きなのだろう。でも自分は彼女の気持ちにどこか甘えている部分があったのではないだろうか。昨日唯と一緒にララとも交わったのはこのくらいやっても平気だろうと心のどこかで思っていたからに他ならない。リトは今更ながら自分の思慮の無さを思い知った。「俺…行ってくるよ」リトは起ちあがって部屋を出ようとした。そのときナナが尋ねた。「もし姉上を連れて帰ったとして、その後はどうするんだよ?リトは姉上以外の女との関係をやめるつもりはないんだろ?」「…」「そんなんじゃ連れて帰ってもまた同じことになるだけだと思うぞ?」ナナの意見は最もだろう。それはリトも承知していた。「ララがさ…、昨日泣きながら言ってた。本当は唯は大切な友達で、唯とも一緒にいたいんだって。でも今の自分にはどうしたらいいかわからないって…」ナナはリトの言葉に静かに耳を傾ける。「…結局俺にはララを信じることしかできないから」部屋を出る間際にリトは不意にそう言った。ナナにはリトがなぜそんなことを言ったのか理解できなかった。リトが部屋から出ると、モモがナナに言った。「私たちも探しましょう?」「…ああ…」ナナとモモも立ち上がり、リトの部屋を後にした。ララが街をふらふらしていると、まだ開いていない本屋の前にヤミがいるのを見つけた。いつもなら元気に声をかけるところだが、今はとてもそんな気分になれなかった。だがヤミはララに気づき、声をかけてきた。「あ、プリンセス。こんな時間からどうしたんですか」ヤミは声をかけてからララの様子がおかしいことに気づく。それにいつもは大体リトか友人と一緒にいるのに、今日は一人だ。「ううん、なんでもないよ。ちょっと散歩してるだけ」「そうですか…」ララは今は一人になりたかったので、このままヤミと別れるつもりでいたが、ヤミは予想だにしないことを言い出した。「少し、ご一緒してもいいですか?」こうしてララはヤミと散歩することになった。二人の間に会話は無い。ヤミは平然としていたがララはどこか気まずさを感じていた。いつもならポンポンと話題が出てくるのに今日は下らない言葉のひとつも出てこなかった。ヤミは少し歩いてから言った。「なにか悩みごとですか?プリンセス」ヤミはずばりと言った。「…結城リトに関係したことですか?」」どうやらヤミにも自分がどうして悩んでいるのか見破られているようだ。ララは何も答えなかったが、ヤミはそのまま続けた。「恋愛に関することは私にはよくわかりませんが…」少し暑くなり始め、賑わい始めた街でそう大きくないヤミの声はとてもよく通って聞こえた。「結城リトの隣にあなたがいないところなんて、私には想像できないです」「ヤミちゃん…」ヤミはそれだけ言うとそのまま姿を消した。
そして夕方になり、リトは未だにララが見つからないことに焦りを感じていた。「ララ…。どこにいるんだよ…」リトは日が傾いていくのにさらなる焦りを感じながら疲れ果てた脚に鞭を打った。そのころララはリトと出会ったばかりの頃に二人でやってきた河原にいた。そこに意外な人物が通りかかった。「あれ?あれは…」グラビアの撮影を終えて沖縄から帰って来たルンである。ルンはララの後ろ姿を確認して少し邪な気持ちが湧いた。『ララ…。昨日リトくんとトラブルを起こしたんだっけ…。そのことをまだ引きずってるみたいね。よーし、馬鹿に薬をつける意味も込めて、ちょっとからかってやろうかしら』 ルンはそう思い、ララに声をかけた。「あれ?ララちゃん?こんなところでどうしたの?」ルンの声に気づいたララが後ろを振り向く。「ルンちゃん?あれ?旅行の帰り?」ララはルンが小さなスーツケースを引きずっているのを見てそう言った。「ああ、沖縄でグラビアの撮影があってね」ここまでは他愛のない会話だった。「なんか浮かない顔してるね。もしかしてリトくんと何かあったの?」ルンがそう言うとララの顔は見る見る曇っていった。さすがのルンも今のララの顔を見て彼女をからかうのは気が引けた。「ねえルンちゃん…。ちょっと相談してもいいかなあ…」「…うん」ララはぽつぽつと昨日何があったのかを話し始めた。唯に対して嫉妬心を抱いたこと、昨夜リトの気を引こうとして発明品を使ったこと、自分の気持ちがわからくなって家を飛び出したことなどを。昨日そう長い時間ではなかったとはいえリトに会っていたルンはララのことを羨ましいと思った。結局のところリトはララが好きで、彼女が笑顔を曇らせれば彼の心も曇るのだ。ララはそれだけリトに愛されているのだと思うと、ルンは今の彼女に苛立ちさえ覚えるのだった。「…私、リトに振り向いてもらいたくて頑張ったのになあ…」ララがぽつんとそう言うと、ルンは少し間を置いてから厳しい口調で言った。「馬鹿じゃないの?ララちゃん」「え…」「リトくんはそのままのララちゃんのことが好きなんだと思うよ?そんなこともわからないの?」ララはルンの言葉に沈黙する。「実は私、昨日ゲームでリトくんと会ったんだよね。そのときリトくんの様子がなんかおかしかったから問い詰めてみたら、ララちゃんのこと気にしてたよ」我ながらガラにもないことを言っているな、とルンは思った。「私だってリトくんのこと好きだし、リトくんには笑っていてほしい。でもリトくんが笑ってられるためには、ララちゃんが笑ってることが必要なんだって昨日思った」 ララはルンが昨日リトに会っていたなどと思っていなかったこともあり、ルンの話に目を丸くする。「もっと信じてあげなよ、リトくんのこと。それだけでもリトくんの心は支えられると思うから」ルンがそこまで言うと、遠くからリトの声が聞こえた。「おーい!ララー!どこにいるんだー!?」「やれやれ…。お迎えが来たみたいよ?」ルンはそう言ってララに背を向けた。「あ…ルンちゃん…」立ち去ろうとするルンにララは声をかける。しかしそれと同時にリトが自分を見つけ、そのまま土手を駆け下りてきた。「ララ…、こんなとこにいたのか…。あれ?あれはルン?撮影から帰ってきてたのか…」リトは遠ざかっていくルンの後ろ姿を見て声をかけようかと思ったが、今は彼にとってはララの方が優先事項だった。「とりあえず帰ろうぜ」「うん…」ララはそう言うとルンに向かって思い切り叫んだ。「ルンちゃーん!ありがとーっ!」その声にルンはララの方を振り返ることなくチッと舌打ちをした。『やれやれ…。ほんとに手のかかる女なんだから…』夕日がルンの横顔を照らし、その光を受けてルンはふっと笑った。『まったく…。ほんとガラにもないことしちゃったな…』ルンは誰よりも自分がリトのこと想っていると自負している。彼の笑顔にララの笑顔が必要だからあんなことを言ったまでだ。ルンは自分にそう言い聞かせたものの、心はどこか晴れやかだった。『明日リトくんにデートしてもらって、一日中独占しちゃおうかな』そんなことを思いながらルンは夕日の輝きの中に姿を消した。「リト…。心配かけてごめんね」ララはリトの方を向いて謝った。「いいんだよ。俺もちょっと軽率だったしさ」リトはそう言ってララに手を差し出した。「あ…」ララはその手を取ることを少し躊躇した。「なにしてんだよ?ほら」リトはそのままララの手を取り、家に向かって歩き出した。少し顔を赤くしたララだったが、すぐに笑顔になって彼の隣を歩く。私は何を疑っていたんだろう。今までリトの何を見てきたのだろう。私はリトを信じればいい。リトは必死になって私を探してくれた。馬鹿な私に手を差し伸べてくれた。今感じる温もりがリトと私の想いの証なのだ。二人が手をつないで帰っている様子を上空から伺う影が二つあった。ナナとモモである。「どうやら一件落着のようね」モモはほっと胸を撫で下ろしている。ナナはじっと二人を見て何か考え込んでいた。実は二人はリトより先にララを見つけていたのだが、ルンとララが真剣な様子で話しこんでいる最中だったため声をかけられずにいたのだった。「信じ合い、支え合う…か…」ナナはふとそうつぶやいた。『あいつはケダモノかもしれないけど姉上のことを信じて必死に探しまわって、姉上もやっぱりあいつを信じてるんだな』ナナが物思いにふけっていると、モモが声をかけてきた。「さ、私たちも帰りましょう?」「…そうだな」ナナとモモは反重力ウイングを広げると、結城家を目指して一直線に飛んで行った。その夜、ナナとモモはモモの部屋で紅茶を飲んでいた。「なあモモ。なんだかんだ言ってもリトは姉上のことが好きで、姉上もリトとは離れられないんだな」「そうね」モモはくすっと笑った。「どうしたの?ナナがそんな話をするなんて珍しいじゃない」「そうかな?でもあたしなりにちょっと考えたんだ。ルンが言ってた信じあい、支え合うってことについてさ」「そう…。私もルンさんがあんなこと言うなんてちょっと意外だったわ」「ルンはルンなりにリトのこと考えてんだな」「そうね」モモはそう言ってまたカップに口を付ける。隣のララの部屋ではリトとララが愛し合っている真っ最中だった。「あ…リトそんなにおっぱい吸っちゃだめぇ…」「えー?だってそのうち俺とララの子どもが独占しちゃうだろ?だから今くらいいいじゃん」「もう…リトったらぁ…あん…」乳首への刺激にララは身をよじらせ、リトはララの様子に興奮してララをぎゅっと抱きしめる。唇が重なり、舌と舌が絡み合うとララの膣はその刺激に反応して愛液で中を潤していく。「もういいよな?ララ」リトのペニスも先ほどのキスで完全にララの中に入る準備を終えていた。「うん…。リト、して…」リトはララの上に覆いかぶさり、そのまま濡れた花弁の中心を迷うことなく貫いた。「あっ…!」ララが挿入の刺激に甲高い声を上げ、ぎゅっとリトにしがみついて快楽を感じていることを伝える。リトはララの唇にむしゃぶりつきながら無我夢中で腰を振った。ララのかわいらしい嬌声は聞こえないものの、間近で感じる彼女の荒い吐息と自分の舌に絡みつく彼女の舌の感触が興奮を高めていく。ララの背中に回す腕にも力が入り、二人は今まで以上の一体感で絶頂へと昇り詰める。リトはララの一番奥へ強烈な一突きを繰り出し、そのまま彼女の中で果てる。そのときも二人はお互いの背中に回した腕の力を緩めず、重ねた唇も離さなかった。膣の中でペニスが精を放つ脈動が心地よく、二人の心臓が一つになったように同じリズムを刻んだ。二人の唇が離れてもララはリトの背中に腕を回したまま離れようとしなかった。「リト…。愛してる…」涙声でそう言うララだったが、リトは慌てなかった。自分に抱かれて嬉し涙を流してくれる彼女を大切にしよう。そう心に誓ってもう一度ララと唇を重ねた。リトはそのあと一人で自室に下りて宿題をしていた。ララと心を通じ合わせ、最高のセックスが出来たこともあってか、彼はいつもより気分よく宿題を進めることができた。「そろそろいいかな…」リトは大きく背伸びをしてそのままベッドに仰向けに倒れこんだ。そこにナナがやって来た。「おいリト、入るぞ」「ん?ナナ?」最近はナナとやや疎遠気味だったこともあり、珍しいこともあるもんだと思いながらリトは体を起こす。「今から寝るとこだったのか?」「ん?ああ、そうだよ」「ふーん…」ナナはそう言うと少しリトから顔を背け、頬を赤らめた。「なあリト…。寝る前にちょっとあたしに付き合えよ」ナナはそう言ってゲームのカードを取り出した。
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