普通の人間なら、ストレス性の胃炎になっていて然るべきだ。宇宙人に求婚されたり、それが原因で命を狙われたり、その宇宙人の行動に振り回されたり、その宇宙人の発明品に爆死しかけたり。胃炎どころか、自殺の原因になっていてもおかしくない不運の数々。それでも彼が傍から羨ましがられるのは、彼に求婚している宇宙人がヒト型の目から見て、非常に可愛らしい顔立ちの美少女だったからだ。「おっはよー! 良く眠れたぁ?」件の宇宙人・ララは通り抜けるような声で、家主である結城リトの布団を引っぺがした。寝惚け眼のリトはのろのろと起き上がると、恨めしそうにララを見上げた。「何が『良く眠れた?』だ…… たった今お前が起こすその瞬間まで、現在進行形で寝てただろーが」休日の朝に無理矢理叩き起こされる程、迷惑な事もない。これが無ければ、あと一時間は寝ていられたのに。「美柑が朝食用意してくれてるよ。早く食べないと冷めちゃう」ララに促され、リトは仕方なく気だるい体を起こした。わざわざ妹が食事を作ってくれているのだから、それを無下にするような真似は、兄としては出来ない。ララに手をひかれ、パジャマ姿のままで一階へと降りて行った。
「呆れた、まだそんな格好してる。 早く着替えないと、春菜さん来ちゃうよ?」ほどよく焼けたトーストと、良い具合に半熟の目玉焼き。と同時に、まるで妻のような口ぶりの小言。我が妹ながら、こいつは将来良い嫁になるんだろうな、とリトは思った。「予定は11時からなんだから、まだ大丈夫だろ」リトは席につくと、まだ野暮ったい瞼をこすりながら、コップに牛乳を注いだ。時計の針は、午前の8時を指している。確かに、11時までまだかなりの余裕がある。こんな時間にわざわざ起きる必要など、本来無い。とは言え、今日は来客があるのだから、部屋を軽く掃除せねばなるまい。リトもララも美柑も、平日は学校だから、家の中を掃除する時間はあまり無い。加えてリトは、空いた土日にすら、気分が乗らねば掃除しない。来客に備えての部屋掃除の時間を確保させるために、この不精の兄を叩き起こしてくるようにララに頼んだ美柑の狙いは、的確と言えた。朝食をとり終えて、しばらくぼーっと過ごし、9時を過ぎた辺りから、リトは部屋掃除に乗り出した。廊下とトイレと、二階に通じる階段は、美柑が担当した。リトの部屋と違って、普段から美柑がそれなりに気を配っているため、この三箇所は比較的短時間の掃除で済んだ。ララが発明品を作って掃除を簡単に終わらせようと提案してきたが、リトは必死に、美柑はそれとなく、それぞれに提案を断った。
10時55分。インターフォンの音が鳴る頃には、掃除は終了していた。リトの部屋も、ララが入り浸るようになってからはあまり散らかせなくなっていたので、掃除にはそんなに時間がかかっていなかった。ララは、さもこの家の住人のように、玄関へと真っ先に向かった。「はいはーい! ちょっと待っててねー」ドアの向こうから現れたのは、春菜だった。手には手提げ鞄を携えており、その中には教科書とノートと参考書が入っていた。「こんにちわ、ララさん」定期試験まで二週間。試験を珍しがって、面白がっているララと、反対に試験にまるで乗り気でないリトの二人に、試験対策を施すために春菜は自ら勉強会を立案したのだ。ララは勿論大賛成だし、春菜とプライベートで会えるのなら、リトにも断る理由は無かった。年頃の女子の部屋に上がりこむわけにもいかないので、場所はリトの部屋となった。かくして、今日この三人が結城家に揃ったという運びだ。
とは言え、試験までまだ二週間もある。試験範囲はまだ発表されていないし、習った範囲の一部をあまり重要でないからと、試験範囲に含めない先生も、たまさかいる。つまり試験対策と言っても、今この時点では、どこを勉強したら良いのか、リトには検討もつかないのだ。勿論春菜のような優等生は、それでもちゃんと勉強する。試験一週間前だろうが、二週間前だろうが、一ヶ月前だろうが、それは変わらない。逆に言えば、普段から予習復習に余念の無い春菜は、何もわざわざ結城家に来てまで『試験に向けての勉強』をする必要は無かった。必然的に、三人とも試験対策に身が入らなくなる。リトはだらけて床の上に寝転がるし、春菜も何となく根をつめる気になれないし、ララに至っては、開始五分で勝手にリトのベッドの上に上がって、漫画を読み始める始末。途中で人数分のケーキとジュースを持って部屋を訪れた美柑は「やっぱり、こうなったか……」と口の中で呟き、呆れながら輪の中に混じった。
テーブルの上に散らばっていたテキストや筆記用具を片付け、トレイを代わりに置く。現金なもので、それまでベッドの上でゴロゴロしていたララは、ケーキが来た途端に起き上がって、床の上に座りなおした。「わぁ、美味しそー!」「ったく、コイツはこういう時だけ……とは言え」無許可で他人のベッドの上に上がりこんで、無許可で他人の漫画を読んでいたララにリトはぶつくさと文句を言いながら、隣に座った妹の方に、目線を向けた。ケーキもジュースも、最初から三人分しか用意されていなかった。来客へのもてなしなのだから、美柑の分がある方がおかしいのだ。そんな事は気にもとめず、美柑本人はリトとララと春菜の前に、それぞれケーキとジュースを並べていく。当然、春菜もそれは気になった。「えっと……美柑ちゃん、良かったら私のケーキ、食べて良いよ?」「気にしなくて良いよ。春菜さんはお客さんなんだから、そんなワケにはいかないし」本人は本当に平気なつもりなのだろうが、周りからしてみれば小学生に遠慮されては、立場も何もあったものではない。まして、それを鵜呑みにして素直にケーキを頬張る気にもなれない。「西連寺は良いよ。美柑には俺のをやるから」兄はそう言うと、自分のケーキとジュースを、美柑の前に差し出した。こういう所を見ると、やはり彼も『お兄ちゃん』なのだな、と思わされる。お互いに相手に譲ろうとしてムキになりかける兄妹を見ていると、春菜はこっそり笑みがこぼれてしまった。ララは秘密道具でケーキを増やそうと提案したが、それはあっさり却下された。焦げた生クリームで部屋と体中がベトベトになるような事態は、誰しも避けたかった。
結局兄としての立場を立たせるため、美柑はリトの差し出したケーキを最終的に受け取った。とは言えリトも喉は渇くから、ジュースだけは台所まで降りて、パックごと取ってきた。コップももう一人分、追加で持ってきた。しばらくして空気が落ち着いてくると、ララはまたベッドの上に上がりこんだ。さりとて、リトは特に文句を差し挟まなかった。自分のベッドの上で女の子が寝転がっているというシチュエーションにも、いい加減慣れていた。しかし春菜は、自分の好きな男子のベッドの上に、自分以外の女の子が寝ているという状況が、内心面白くなかった。友人に嫉妬するなど、浅ましい事だと自戒しつつ、笑顔を取り繕う。美柑は「少しは春菜さんに気を回して、ジェラシー回避してあげなさいよ」と心の中で唱えながら、甲斐性なしの兄を静かに睨み付けた。気のきく男なら、多少無理してでもララをベッドから起き上がらせるか、もしくは春菜の横に座りなおして、相対的にララを半ば蚊帳の外に置くかするだろう。それが出来ない辺りがリトの優柔不断なところだ。どちらも傷つけずに済まそうとするから、どちらも中途半端になる。或いはこれでは、実はララの方が大事なのではと思われても、仕方の無い事だ。
美柑は思い切って、リトに尋ねてみた。ララにも春菜にも聞こえるように……聞こえていなかったフリなど、両者とも出来ぬように、それなりに声を張って、はっきりとした口調で。「で、結局リトはさ。ララさんと春菜さんの、どっちが本命なの?」
瞬間、場の空気が止まったのは言うまでもない。リトと春菜は、目を丸く見開いて言葉を失った。寝転がって本を読んでいたララも、勿論驚いたには違いないが、こういう事に頓着が無いのか、あるいは肝が据わっているのか、反応は他の二人程強烈でなかった。しかし、三者とも三様に顔を赤くし、絶句した点は同じだ。リトにしてみれば、自分が春菜に好意を寄せていた事が、図らずもララと春菜にバレてしまったわけだ。と同時に、春菜への想いに美柑が気づいていた事自体、既に驚きの対象だ。が、当面の問題はそんな事ではない。当面の問題は、いかにしてこの状況を収束させるかと言う事だ。なるほど、これも計算しての美柑の質問だったのかもしれない。優柔不断なリトとは言えど、当人二人が同席しているこの状況で、答えをはぐらかすのは至難の業だ。必ずどちらかを選ばなければ、いつまで待っても事態は収まらない。それを見越して、美柑は敢えて三人が揃っているこのタイミングで、質問をぶつけたのだ。「なっ……おまっ、お前……」口をパクパクさせながら、辛うじて美柑への文句を口に乗せようとするリト。しかし、何と文句を言えば良いのかもわからず、呂律もうまく回らない。ちらりと一瞬春菜の顔を見るが、その表情を読み取るのが怖くて、すぐにまた目を背けてしまう。そんな逃げの姿勢が、美柑には殊更鬱陶しかった。「そろそろハッキリしたらぁ? いつまでも三人仲良しこよしってわけには、いかないでしょ」妙にマセた意見を言う辺りは、とても小学生とは思えない。こういうドライな考え方をする所は、さすがに女なのだなぁと思い知らされる。
「そっか……リトの好きな子って、春菜だったんだ……」ララは、かつてリトが自分に言っていた言葉を思い出していた。既に好きな子がいるから、ララとは結婚出来ない。出会ったばかりの頃、彼はそんな事を言っていた。まさかこんな身近な所に、その相手がいるとは思わなかった。瞬間、春菜と目が合う。しかし春菜は、リトが春菜から目を逸らした時と同じように、ララから目を逸らした。春菜は、頭の中が混乱していた。心のどこかで、リトが好きなのはどうせララなんだろうと、諦めていた。認めたくはなかったが、自分で勝手に負けた気になっていた。勝ちたい、リトを得たいと思ってはいたが、とても叶うとは思えなかった。それがどうだろう。ひょんな事から、リトが自分に好意を抱いてくれているらしい事を、伝えられたのだ。まだどちらが本命かは確定ではないらしいが、今までより遥かに希望がわいてきた。と同時に、その希望が裏切られたらどうしよう、という危惧も生まれた。もし彼が選んでくれるのが自分ではなかったら、明日からどうやって生きていけば良いのだろう。明日から、どんな顔でリトやララに会えば良いのだろうか。また、仮にリトが選んでくれたのが自分であったとしても、問題は同様だ。明日から、どんな顔してララに会えば良いのだろうか。どちらにしろ、もう友達ではいられないかもしれない……。
だが、そんな場の緊張を、ララはあっさりと打ち砕いた。というより、彼女は何故春菜やリトが、こんなにも重苦しい空気でいるのか理解出来なかった。この修羅場を、修羅場とすら認識していなかった。「あのさぁ、何でリトが、私と春菜の、必ずどっちかを選ばないといけないの?」再び、場の空気が停止した。ララが口を開いた瞬間、リトも春菜も、彼女がどんな意見を出すのかと、内心身を強張らせた。しかし、そのとぼけた口調と、予想とは無関係な単語の並びに気を抜かれ始め、最後の疑問符を聞き終えた時には、またいつものごとくララに呆れ返りかけていた。「あっ……あのなぁお前」「えと……ララさん、意味わかってる?」若干空気が柔らかくなってしまったのは、美柑にとって計算外だ。このまま、なし崩し的に答えをはぐらかされてしまう可能性もある。それでは意味が無いのだ。だが、ララの質問の意味がわからないのは、リトや春菜と同様だ。頭の中で、彼女なりにララの意見を解釈してみる。恐らくは、リトにとっての選択肢がララと春菜の二名しか無い点を、ララは突っ込んだのだろう。ひょっとしたら美柑達が気付いていないだけで、他にリトが気に入っている女がいるかもしれない。そんな可能性を無視して、この場の人間だけで話を進めるのは、いかにも滑稽だ。ララは、そういう事が言いたかったのかもしれない。
……などという美柑の予想は、まるで意味が無かった。ララは、別にそこまで深く考えていなかった。単純に、本当に、何で一人だけを選ばないといけないのか、その事が疑問だったようだ。それまで口を挟まず空気化していたペケが、ここぞとばかりに解説する。「デビルーク星にとっては、一夫多妻はごく普通の事なんですよ。 だからララ様には、リト殿が一人の女性を選ばねばならないという 地球の風習が、理解出来なかったのです」「い、一夫多妻……って……」そう言えば、この地球でも、国によっては(或いは民族によっては)一夫多妻は認められている。独占欲を抜きにすれば、子孫を残すのに最も効率の良い家族形態ではある。今の日本では重婚は否定されているが、昔の将軍や偉い人などは、側室を何人も抱え込み、子を何人も作ったものだ。勉強好きな春菜は、瞬時に頭の中で情報を組み立て、納得してしまった。そしてまた、美柑も重婚をすんなりと受け入れてしまった。「そっか、別にそれで構わないんだ……。ララさん、地球の戸籍無いんだし。 デビルーク星の戸籍ではララさんとリトが入籍しておいて、 地球の戸籍では、春菜さんとリトが入籍してれば良いんだ。 なぁんだ、別にどっちか一人に絞る必要無かったんだねぇ。良かったじゃん、リト」この修羅場を作り出しておいて、その本人が勝手に納得してしまった。心臓が縮まる思いまでしたリトにとっては、自分抜きで勝手に部外者に納得されても、苛立たしいだけだ。だが、美柑をどやそうとするリトの声を、再びララが遮った。「そう言う美柑は、リトと結婚しないの?」
もう空気が止まるのはこれで本日三度目だ。何でここで、妹である美柑との結婚まで、話題にのぼってくるのだろう。デビルークでは、兄と妹でも結婚出来るのか?その疑問には、ペケの代わりに春菜が回答を提示した。「そう言えば……昔は日本でも世界でも、近親婚はごく普通の事だったんだっけ?」「……そ、そうなのか? 西連寺」「ギリシャ神話とかでも、兄弟姉妹と結婚した神様は登場するし……」だが、これは流石に特例過ぎる。自分が、血の繋がった妹と結婚?確かにこの妹は将来良い嫁になるだろうとは思ったが、自分の嫁にしたいとは思わない。想像するだけで気色悪い。何が妹萌えだ、現実に妹持ってから言ってみろヲタどもが。しかし予想外にも、美柑はまんざらでもないようだった。「別に私は良いよ。どの道地球の戸籍には影響しようが無いんだし。 デビルークでもどこでも、自分の住んでない星の戸籍で 私とリトがどういう扱いになってても、困る事なんか別に無いだろうし」こういう割り切りは、さすが美柑といったところだ。三重婚に、近親婚。全員にとって、悪い話ではない。恋愛観念が根本的に地球人と異なるララは勿論、割り切れてしまうのであれば、春菜にとっても損は無い。そして、美女二人(+妹)と同時に関係を持てるという事は、リトにとっても悪い話ではない。倫理観からの抵抗はあったが、欲望を退けられる程にはならない。先程までの修羅場から一転して、嬉しそうな目ですりよってくるララと潤んだ瞳で見つめてくる春菜(と、どうでも良い表情で眺めてくる美柑)を見ているとリトは、我慢する気も、紳士でいる気も失せてしまった。
時計の針は、いつの間にやら正午を回っていた。元々勉強するために集まっていたので、テレビもステレオも切ってある。他に気を紛らわす要素は、殆ど無い。話の逸らしようもない。だからララに迫られた時、リトにはそれを避ける事が出来なかった。「リトー、キスしよー」「はぁあ!? ちょ、待っ……」有無を言わせず、春菜と美柑の見ている目の前で、リトはララに唇を奪われた。その細腕からは想像出来ない、地球人以上の腕力で顔をがっしりと掴まれ、逃げられない状態に固定されて、半ば無理矢理キスされる。もっとも、たった今この場の全員と結婚する事が確約された以上、婚約者の一人であるララからの求愛を断る道理は無かった。ララはリトから唇を離すと、羨ましそうに二人のキスを見つめていた春菜に、バトンタッチした。「はい。次は春菜の番!」「え、わ、私?」「当たり前じゃん。私達みーんなリトのお嫁さんになるんだから、 みーんなリトと愛し合おうよ」もはや三角関係だとか、女同士のジェラシーだとか、そんな観念はララには備わっていないようだ。極めてオープンに、この重婚を快諾してしまっている。デビルークでは当たり前の事なのかもしれないが、地球人である春菜にはまだ馴染みにくい。とは言え、この関係に納得した事に違いは無い。そっと瞳を閉じて、春菜はリトに全てを委ねた。
「さ、西連寺……」押し黙る春菜から覚悟を読み取って、リトは静かに彼女に顔を近づけた。憧れの女の子と、念願叶って初キスを交わせる。たとえそれが宇宙人や妹の目の前であろうが、もはや気にとめていられない。先程ララがそうしてきたように、リトもまた、春菜の顔を両手でしっかり保持した。しっかりと言っても、手はあくまで添えるように優しく触れさせるだけだ。しかし、それで十分だった。手など、相手の心を誘導してやるだけのものでしかない。ふっ……と微かに、唇を触れさせる。それから少し思い切って、もうちょっとだけ唇の密着度を高める。あくまでソフトな、純粋なキス。恐々としていて、お互いに臆しているのが、傍から見ていてもわかる程だ。童貞と処女なのだから、それも当然だろう。やがてすっと唇を離した時、春菜は嬉しさのあまり、うっすらと涙を浮かべていた。余韻を吹き飛ばすように、ララがリトをつついてくる。「さぁさ、お次は美柑だよ!」「……何ぃ!?」「って言うか、私もキスすんの、ララさん?」当たり前じゃない、と言わんばかりに、ララはリトの肩を掴んで、彼の体を美柑の方に向けた。とは言え、いくら何でも兄妹で口付けなど、正気の沙汰とは思えない。美柑自身、小さい頃ならいざ知らず、この年になって兄とチュウしたいとも思わない。が、一応彼の嫁になる以上、断るのも変な話だ。「しょうがないなぁ……オデコになら良いよ」そう言って美柑は、前髪を掻き分けて額を突き出した。ここまで来たら、それをムキになって嫌がる事も、リトにはなかなか出来ない。たかが妹相手に、たかが額にキスするくらいの事を、何故頑なに拒否する必要があろうか。一頻り考え込んだ後、リトは吹っ切れたのか、妹を軽く抱き寄せてから春菜の時と同じように、優しく柔らかく、口付けてやった。リトが離れると、今度は美柑の方からリトに近づいた。そして、挨拶のように軽やかに、その頬にキスしてやる。「ま、こんなもんでしょ」「あ、あぁ、まぁ…… おいララ、これで満足か……? って……」
振り向くと、ララはペケの機能を解除して、全裸になろうとしていた。見る間に服が、蒸発するように空気中に解けていく。「お前、何やってんだよっ!?」「……何って? せっかく夫婦になったんだから、夫婦の営みに精を出さなきゃ。ね?」ララは春菜に目配せして、軽くウィンクした。どうやら、事はキスだけでは済ませてもらえないようだ。付き合う前から婚約が確定しただけでも驚きなのに、更に付き合い始めてものの三分で、肉体関係に及ぶ事になろうとは。さすがに断ろうかと思ったが、躊躇無く全裸になったララを前にして、春菜には退く事は出来なかった。勢いで無理矢理ララに脱がされたリトの肉棒は、既に硬くそそり立っていた。全裸のララと、躊躇いがちに下着姿を晒す春菜が目の前にいるのだ。勃起しないわけがない。学校で性教育を勉強し始めたばかりで、まだあまり知識も貞操観念も無い美柑が、興味本位でリトの肉棒を触ってきた。「へぇ、興奮すると大きくなるって小耳に挟んだ事あるけど、こんななるんだ。 そう言えば理科の授業で見た虫の交尾のビデオでも、雄がこんな太いの出してたっけ」よくこんなものが、普段はズボンに収まるサイズでいられるなぁと呆れるやら感心するやら、美柑はまるで観察記録でもつけるように、マジマジとそれを見つめた。グロテスクで、裏に筋が通っていて、皺が多い。若干黒っぽいその見た目は、小さい頃に風呂で見たものとは、大きく異なっていた。まだ股間のスベスベな美柑には、性徴というものがここまで凄まじいとは、中々飲み込めなかった。「で、射精ってどうやんの? この袋絞ったら出てくんの?」美柑は、全く悪気無く、兄の睾丸を握りこんだ。握りこんだと言っても、極めて軽い力であり、痛みを感じるレベルではない。だが、予告なく金的を握られては、反射的に恐怖してしまうのが男だ。「いっ……ぎ……お、お前なぁ……」「あれ、違った? どうやったら精液っての出せるのか、教えてよ」美柑自身には、卑猥な気持ちは一切無い。あくまで、学校で習った事を、もっと深く探求したいだけに過ぎない。マセたガキだと思ってはいたが、所詮こういうところはまだ子どもである。だが、妹に射精のメカニズムを教えるために、わざわざオナニーしてやろうとはリトも思わない。「ど……どうやって精液出すのって、言われてもなぁ……」
答えに窮している内に、悲しい男の性か、先走り汁が染み出してきた。肉体は、発射したくてたまらないようだ。美柑が無邪気に問う。「あ、何か出てきた。これ精液?」「あー……まぁ、精液っちゃあ精液かな」正確には、カウパー氏腺液。これだけでも妊娠の可能性はあると言われているのだから、精液には違いないだろう。故に、避妊具をつけないセックスは、例え外出しでも駄目だと言われているのだ。だが美柑は何か納得出来ないようだった。「こんなジワジワ染みてくるような感じで、本当に子宮に届くの? 量も少ないし」「いや、えーとぉ……本当だったら、勢い良く噴き出すもんなんだよ。 今出てるこれは、本気で射精する前の、まぁ余り物と言うか……」「ふーん。よくわかんないけど。 じゃあ、どうやったら本気で射精出来るの? 勢い良く噴き出してるとこ、見てみたい。おしっこみたいな感じ?」知識の無い少女にどう説明してやるべきか、戸惑ってしまう。それに、そもそも説明してやらねばならない事だろうか?小学生に対して、あまりにも教育に悪いのではないだろうか?困ったように目を泳がせていると、春菜と視線がかち合ってしまった。お互いに、顔が燃えるように赤くなる。図ってか図らずか、タイミング良くララが「実演したらわかりやすいんじゃない?」などと言ってきた。春菜は観念して、ブラのホックを外しはじめた。リトも春菜も、場の空気に流されるというのはかくも恐ろしいものなのかと、改めて認識せざるを得なかった。夢にまで見た春菜の生乳が、そこにはあった。直視するのは、初めてかもしれない。控え目な大きさだが、掌に収まる丁度良いボリューム。成長の度合いによるのか、乳首のサイズはララのより一回り程小さい。だが、それは逆に『可愛らしい』という長所と見れる。リトは恐る恐る春菜の胸に指先を触れさせた。ゆっくりと、掌で覆っていく。乳首に触れた時、二人とも一瞬身を強張らせた。「……ビビってるでしょ、リト」美柑が野次る。事実、リトはかなり臆していた。力加減も角度も、まるでわからないのだ。それに、女性の乳房に触る時というのが、こんなにも全神経が掌に集中して、感覚が研ぎ澄まされるものだとは思わなかった。他のどんな物体を取り扱う時とも違う。わずかな感触すらも逃さないように、本能が体と心から柔軟性を奪う。しかし、あまりにも乳房に視線を奪われ過ぎていて気付かなかったが、ふと見上げて春菜の顔を見てみると、彼女の方がはるかに臆しているのが読み取れた。生まれて初めてを、委ねようと言うのだ。その瞬間の女性の緊張や恐怖にかけては、男性のソレは足元にも及ばないだろう。これを優しく解きほぐしてやるのが、男の役割というものだ。「大丈夫だから、西連寺……多分」「う、うん……よ、よろしくお願いします……」何か妙ちくりんな言葉のかけあいだ。慣れた男なら、もう少し気のきいた言葉をかけられたのではと、リトは悔いた。不慣れな自分を笑うように、美柑がニヤニヤと観察してくるのが、横目に見えた。
春菜の乳首は、中々硬くならなかった。かつて猿山に見せられたポルノ雑誌に載っていた女性の乳首は、ビンビンに勃起していたのだが。セックスの際には、放っておいても女性の乳首は硬くしこるものなんだろうと漠然と考えていたリトにとっては、いつまでもプニプニ柔らかい春菜の乳首は、正直面白くなかった。これは、リトにテクニックの無いせいでもあるが、春菜の性感が発達していないせいでもある。しかし悔しいものは悔しい。懸命に舌で転がしたり、舐め回したりしてみるが、一向にコリコリにならない。いくら何でもアソコを刺激すれば大丈夫だろう、と高を括っていたがいざパンティの上から秘部に触れてみても、乳首が立つ事も、愛液が染み出してくる事も無かった。別に春菜は、気持ち良くないわけではない。緊張で体が強張って、快感を深く受け入れる余裕が無いだけである。「ごめんね、結城君。私、こういうの未熟だから……」「そ、そんなっ! 春菜ちゃんのせいじゃねぇよ、俺が……」言ってから、リトは口をつぐんだ。うっかり、本人の前で『春菜ちゃん』と呼んでしまった。I``sの主人公よろしく、本人の前でだけは苗字で通してきたのに。心の中では下の名前で、しかも『ちゃん』付けで呼んでいたのだと発覚して、リトは内心恥ずかしいやら申し訳ないやら、複雑な気持ちになった。だが、春菜には効果的だったようだ。「嬉しい……私の事、下の名前で呼んでくれて……」それまで苗字で、しかも呼び捨てで呼ばれていたものが、突然『春菜ちゃん』だ。女として純粋に嬉しいし、自然、緊張が解れていくものだ。やがて少しずつ、パンティに湿り気が出て来た。喘ぐとまでは言わないが、春菜は目を閉じ、断続的な溜息を繰り返すようになった。「はぁ……はー……はぁ……はー……」『はぁ』の度に息を吸い込み、『はー』の度に吐き出して、小刻みに呼吸を続ける。リトにはわからなかったが、これは春菜が、ある程度感じている証拠だった。リトは単に「息あがる程、今体力使ってるっけ?」程度にしか捉えられていなかったが。
リトにも春菜にも、タイミングがよくわからなかった。どのくらいまで進めば、挿入を開始して良いのだろうか?そもそも、今はまだ春菜のパンティすら脱がせていない状態なのだ。「そろそろ次行ったら?」いつまでも延々と続く愛撫に見飽きた美柑が焚きつけた。彼女とて処女だ。タイミングなど、まるでわからない。だが直感で、もうそろそろ次のステップに進んでも良いんじゃないかと読み取っていた。「春菜ちゃん……」リトは春菜を見つめた。春菜はうっすらと目を開け、もう一度閉じた。それは、OKのサインだった。リトは春菜のパンティに指をかけ、ぎこちなく脱がせ始めた。途中で春菜自身も足を曲げたりして、脱ぐのに協力した。あらわになった剥き出しの女性器は、初めて見るリトには衝撃的なものだった。内臓の延長のような、ビラビラした肉が隙間からはみ出ているように見える。陰毛は薄く、そのため恥部は殆ど隠れていなかった。恐る恐る指先で触れてみると、パンティの上から触った時とは、感触がまるで違っていた。形を確かめるように、無造作に指で撫で回してみる。リトは堪えきれなくなって、とうとう指だけでなく、唇と舌で、春菜の股間を探り始めた。「や、やだ……そんなトコ……汚いよ……」「汚くなんかないよ」指先で入り口を広げてみると、奥は暗くて全然見えなかった。軽く舌を出し入れしてみると、春菜の体がゾクゾクと震えるのがわかった。もっともそれは、リトにはわからなかったが、正確にはゾクゾクというより、ピクピク、或いはビクビク、といった感じだった。要するに、感じて痙攣しているのである。まだまだ固さは残るが、もうかなり受け入れ準備が整ってきていた。合図のように、春菜が呟く。「結城君……もう一度、キスして?」
リトは彼女の股間から顔を離すと、努めて柔らかい視線で彼女の眼差しをとらえた。そうして、ゆっくりと唇を重ね合わせていく。最初はソフトタッチに、しかし程なくしてから、やがて舌を絡めるように。不慣れで、どこか頼りなさげだったが、二人は懸命にディープキスに没頭した。血縁者のディープキスなど……というより、自分以外の人間のディープキスなど傍から見ていて、気持ちの良いものでも何でもない。まして美柑には、その手の知識がまだ備わっていない。彼女の目には、兄が何か気持ちの悪い事をしているようにしか見えなかった。何でベッドの上で、裸で、おぼっちゃまくんゴッコみたいな真似をしているのか、理解に苦しむ。或いは自分も、将来彼氏でもできたら、同じ事をするのだろうか?その心理は、美柑にはまだ飲み込めなかった。やがてリトと春菜は、名残惜しそうに唇を、舌を、離した。リトは仰向けに寝転がった春菜の股間に狙いを定めて、勃起した自分の肉棒を刺しにかかった。「いぎっ……い、ぁ……かはっ」「大丈夫、春菜ちゃん?」「ん……ごめん、ちょっと痛い、かも……」「わかった。 ゆっくりやるから、抜いて欲しくなったらすぐ言ってくれよ」春菜は眉間に皺を寄せ、きつく唇を閉じて、目にうっすらと涙を浮かべていた。こんな狭い穴に、あんな太いのが刺さるというのだから、そりゃ痛いだろうなぁと美柑も思う。出産の時には、この穴を人間の頭蓋骨が通るというのだから、何とも理解しがたい。「ふ、う……も、もう、全部入った?」「いや、まだ先っちょだけ……」「う、嘘……っ」春菜は、軽く恐怖した。この痛みで、まだ先端だけだとリトは言う。奥まで到達したら、一体どれ程の痛さになるのか、検討もつかない。しかし、ギチギチと少しずつ、リトの肉棒は春菜の腹の中に侵入していった。膣穴からは、血が滴り落ちて、シーツに染みていた。小学生男子ならば、リトが無理に挿入したせいで傷がついたのでは、と疑うところだ。しかし、学校の性教育で、女子だけが見るビデオを見ていた美柑には、その血の正体がわかっていた。「ふぅん、本当に出血するもんなんだぁ」「ねぇ、何で春菜は血が出てるの? 大丈夫?」デビルーク星人には処女膜が無いのか、或いはララに知識が無いのか、一人彼女だけが、破瓜を理解出来ていなかった。そう言えば処女膜があるのは、地球でも人間とモグラだけだと聞いた事がある。ララに処女膜が無くても、当たり前の事なのかもしれない。
「もう、動いて良い?」「……ごめん、まだもう少し待って……」春菜は、痛みが和らぐまで、待ってくれるようにリトに頼んだ。今の状態では、とてもセックスどころではなかった。しかし数分後、痛みが少しずつマシになってきたのを見計らって、春菜は勇気を振り絞った。「うん……もう良いよ、結城君……」リトは三秒程間をおいてから、ゆっくりと動き始めた。処女宮のキツさと、絡みつく無数の襞が、彼の肉棒を蹂躙するかのようだ。しかし実際には、蹂躙されているのは春菜の方なのだが。最初はゆっくりだったその動きは、やがてすぐに高速になっていった。まだ痛みを引きずっていて、快感を得る程に至っていない春菜を置き去りにして、童貞のリトだけが、先に勝手に気持ち良くなってきてしまったのだ。「やべ、これっ……止まんね……っ」「あっ、う、うっ……あ、結城……君……もっと、ゆっくりぃ……」「ごめんっ、春菜ちゃん! 俺もう自分じゃ止めらんねぇ!」肉のぶつかる音が、激しさを増す。しかしその音も、すぐに止んでしまった。開始後、わずか三十秒と待たずして、リトは一人だけ先に絶頂に達してしまった。成り行きで行為に及んでいたので、避妊具なども着用していなかった。「ちょ、待って結城く……」M字に開かれた春菜の股の間で、リトは力無くくず折れた。どくっ、どくっと注ぎ込まれる熱い液体の感触が、春菜の中に感じられた。「ごめん、春菜ちゃん……」情けない表情で謝るリト。怒りたくなるが、彼も頑張ったのだと思えば、とても責める気にはなれない。「もう、しょうがないなぁ……お姉ちゃんが、 お互いに初めてだとうまくいかないって言ってたのは、こういう事だったのね」自分の胸の上で、汗まみれで力尽きている夫の髪を、春菜は柔らかく撫でた。次はうまくしようね。そういうメッセージのこめられた、励ましのようなものだった。
春菜の股から、白と赤の混じった液体が、トロトロとこぼれ出してきた。リトはいそいそとティッシュペーパーを取り出し、丁寧にそこを拭いてやった。「あ、い、良いよ結城君。自分でやるから……って言うか、何か恥ずかしいし……」「え、あぁ、ごっ、ごめん……」この期に及んで恥ずかしいなどと、かなり今更なのだが、あまりゴシゴシと股間を拭かれるのは、さすがに複雑な気分のようだ。春菜はリトからティッシュを受け取り、こそこそと自分で綺麗にし始めた。その様子を見ていた美柑は、しかし、まだ射精のメカニズムに納得がいかない様子だった。「ねぇ、今のじゃよくわかんなかったんだけど。今ので精液出してたの? こっちからしたら、リトがワケわかんない動きをして、気がついたら春菜さんのアソコから 変な汁が出て来たようにしか、見えなかったんだけど?」無知な妹に、リトは説明してやる事にした。「その汁が、精液なんだよ。 外側からは見えなかったけど、ちゃんと中では水鉄砲みたいに発射されてたの。 だからちゃんと、子宮にも届くように出来てて……」そこまで言って、リトの中の不安が急にリアルに膨れ上がってきた。若気の至りというか、考え無しに行為に及んでしまったが、よくよく考えたら、春菜は妊娠してしまわないのだろうか?思い切り中に注ぎ込んでしまった。しかし、そんな彼の不安を他所に、美柑は質問を続ける。「本当に、水鉄砲みたいに出るもんなの? お腹ん中じゃなくて、ちゃんと見えるトコでやってくんないと、わかんないよ」そう言って美柑は、訝しげに兄の肉棒に手を伸ばした。メカニズムがまるで理解出来ない。水鉄砲? 引き金も無いのに?さっきの、挿入して腰をパンパン打ってたのが、秘訣なのだろうか?
美柑はぎゅっと手を握り締め、自分の掌を膣に見立てて、リトのモノを上下に擦り始めた。「はぁあ!? お前、ちょっ、待っ……!」「へぇ、この皮、スライドするんだぁ。どこまで剥けるの、これ?」答えが返ってくるより早く、美柑は兄の皮を限界まで下ろしてみた。外気にさらされ、リトの陰茎は軽い痛覚と涼しさに襲われた。「これ大丈夫? ちぎれちゃったりしない?」興味津々な目つきでリトの皮を上下にしごいている間に、美柑は思いついた。そうだ。水鉄砲なのだ。それも、チャチなピストル型ではない。玩具屋で昔見かけた、少し大きめの、ライフルのような形状のものだ。銃身の下に水をためる円柱状のタンクがついておりそこを前後に動かす事で、内部の水が勢い良く発射されるタイプだ。「そっかぁ……そう言う事ね」要は、この皮をシコシコ動かしていれば、射精出来るのだ。そこに思い至った美柑は、是非とも射精の瞬間を肉眼で観察しようと、懸命にリトの肉棒を手コキし始めた。そもそも彼女には、性的観念は殆ど備わっていない。手コキなどというプレイも知らないので、手で擦るだけなら別にいやらしくない、と判断してしまったのだ。将来知識が備わってきた時に、現在の事を思い出した彼女が、自分は兄と前戯に相当する行為をしたのだ、などと自覚してしまったら、どんなに後悔するかわからない。それとも、ドライな彼女の事だから、簡単に割り切ってしまうのだろうか?「ちょっと待てって、美柑! 今出したばっかなんだから、そんなに出ねぇよ!」「……そうなの? まぁ水鉄砲も、水補給しなきゃいけないもんね。 で、どうやったら精液補給出来んの?」「補給っ……たって、なぁ…… 飯食って寝てりゃ回復するだろうけど、すぐには…… 精力のつく料理なり薬なりあれば、話は別かもしんないけど」そこまで言って、リトには嫌な予感がしてしまった。ふと見ると、横でララが何かゴチャゴチャと端末を操作している。ディスプレイが光り、空間に何らかの物体が現れる。「まっ、待てララ! 何する気……」「じゃーん! どぴゅどぴゅスペルマ君!」そこに現れたのは、いかにもサイズ調節可能な機構を備えていそうなデザインの、ちょうど地球人男性の陰茎にフィットさせられそうなサイズのリングだった。
「……で、ここのボタンを押すと」「……痛っ!? 何か、チクッとしたような……」「地球の注射よりは痛くないでしょ。これでリトのおちんちんはビンビンだよ」全く、ろくでもない物をこの宇宙人は用意しているものだ。彼女の発明品の殆どは悪戯目的だと言うから、これもどうせザスティンか誰かに悪戯するつもりで作っていたのだろう。「はい、もう外して良いよ。ほら、リトのもう、こんなにカッチコチに戻った」リングをはめた時は、既に彼の陰茎は萎みかけていた。しかし、外す段階に至っては、サイズを調整しないと外せない程、肥大化していた。食い込んだ部分が痛かったが、外してみると針の跡も残っていない。デビルークの技術力か、或いはララ個人の開発技能か。どちらにしろ恐ろしいスキルだ。こいつなら、金色の闇以上に誰にも気付かれずに痕跡も残さずに暗殺を遂行する道具くらい、作れるんじゃなかろうか。「さ、どうぞ美柑。水鉄砲ごっこ再開だよー。 服は汚れるかもしんないから、脱がないといけないかもね」「へぇ、服に飛び散る程のもんなんだ、射精って」確かに、発射角度や距離によっては、服にもかかるだろう。なまじ妹な分、美柑はリトの前で服を脱ぐのに、何の抵抗も無いようだった。初潮近い年齢なのだから、家族に対しても恥じらいくらい感じる年頃の筈なのだが、既にララと春菜が脱いでいるので、いくらか気分も平気なのかもしれなかった。
全裸になった美柑は、適当にリトのモノをシゴいてみたが、効果は薄かった。まだ力加減も、適切なスピードも、テクニックも知らない。注入された薬の影響か、先走り汁はチョロチョロと染み出してきているが、それだけだ。「むぅ~、とっとと射精しなさいよ、リト」「そんな下手糞で、気持ち良くなれるわけ無いだろ」自分だってほぼ童貞で、テクニックなど何も無いくせに、リトは偉そうに振舞った。それが癇に障ったのか、美柑は彼を苛めるつもりで、力を少し強めた。しかし、それが結果的に彼の快感を底上げする事になった。「美柑美柑、口とかベロでピチャピチャしてあげたら、もっと良いと思うよ」何を考えているのか、或いは何も考えていないのか、ララは平然と、オーラルセックスを小学生に提案してきた。しかも、リトと美柑は実の兄妹なのに、である。「おい、ララ。美柑に変な事教えるんじゃ……って、美柑!?」美柑は、抵抗無くリトのモノにキスしていた。「駄目なの? さっきリトも、春菜さんのアソコにキスしてたから。 てっきり良いんだと思ったんだけど……」
していた。確かに、していた。言い訳のしようもないし、ここまで来て「兄妹だから駄目」などと、通じる雰囲気にも思えない。リトは美柑の後頭部をふんわりと撫でてやった。拙い舌使いでフェラチオに勤しむ妹に、もはや理性的な静止の言葉もかけられなかった。ただ困ったような表情で、妹を見下ろすしか出来なかった。
汚いと思わないのだろうか、美柑は平気で彼の陰茎の、裏筋や皮の境目、睾丸に肉棒の付け根にと、隅々まで嘗め回していった。まるで、アイスキャンデーを味わうように。「くっ、あ……出るっ!」「へ? 出るって……や、ちょっと!」まさしく水鉄砲のように、美柑の顔面に精液が迸った。鼻に、瞼に、髪に、頬に、唇に、歯に。薬で量の増した精液は、無遠慮に飛び散っていった。少しだけ、鎖骨や胸にもかかった。扁平な、けれどやや膨らみかけてきている乳房が、白く汚れる。「み、美柑……ごめん、その……俺……」何かよくわからないが、リトは申し訳なさそうに謝っている。物理的に体を汚してしまったという以上の、何か深い罪悪感があるようだ。こんなもの、美柑にしてみれば、料理の最中にサラダ油が腕にはねたのと同じくらい、どうでも良い事だったのだが。唇に絡みついた精液を舌で舐めとってみると、苦いやら臭いやら、妙な味がした。見上げたリトの表情は、恥じらいと後悔がない交ぜになっていて、面白い。「ふぅん、情けない顔してるわねぇ」「わ、悪いかよっ」「別に。リトのそんな表情が見られるんなら、夫婦ってのも案外悪くないかもね」美柑は段々、リトとの性生活を面白く感じ始めていた。また気がむいたら、こうやって今日みたいに手で弄んでやっても良い気分だ。彼女がそれを、人道にもとる程の背徳行為だと認識するのは、何年先になるだろうか。
次は、いよいよララの番だ。既に待ちくたびれているのか、先程から尻尾をブンブン振っている。「早く早くっ。私にもリトの熱いセーシ、じゃんじゃん注いでよっ」「ちょっと落ち着けって、お前」尻尾が邪魔だったので、リトはそれをうまく掴んで保持した。瞬間、ララが身悶える。「ひゃうっ!」忘れていたが、そう言えばララの尻尾は性感帯だったのだ。それも、かなり敏感な。「ったく、そんな弱いんなら、普段から剥きだしにしとくなよ」「だ、だってぇ……」リトは尻尾の先端を、指でそっと撫でてみた。「ひっ」思った通り、この敏感な尻尾の中でも、先端は特に敏感なようだ。ララは姿勢を維持出来なくなり、いきなりベッドの上に倒れこんだ。反応を見るために、いろんな角度から、いろんな触り方で、尻尾を責めてみる。手コキのように上下に擦ったり、少し力をこめて軽く曲げ、カーブさせてみたり。先端のハート型の付け根を指で引っかいてみたり、尖った部分を指の腹でグリグリ回したり。その都度、ララは面白い反応を返してきた。仰け反ったり、首を左右に振ったり、寝返りを打つように悶えたり、脊髄反射のように足をいきなり曲げたり、逆にピンと伸ばしたり、バタつかせたり。余程感じるのか、先程の春菜とは違って、簡単に乳首が勃起していた。触れてもいないのに、膣からはいやらしい液体が、止め処なく溢れてくる。「ひっ……ひっ、は、あ……いっ、ぁ……おか、おかしく……なっちゃうぅん……」我慢しきれなくなったのか、ララは自ら乳房と股間に手を伸ばして、慰め始めた。豊満な胸に細い指が食い込み、形が崩れる。粘液が指に絡まり、糸をひく。「お願い、リト……もう我慢出来ないよぉ……」そんなにデビルーク星人の尻尾は、突出した性感帯だったのだろうか。前戯など殆どしていないにも関わらず、もうララは準備OKになってしまった。「しゃあねぇなぁ。ちょっと腰浮かせろよ」リトは、正常位でララにロックオンした。
しかし、事態がここまで進んで、黙っていられない立場なのが春菜だ。彼女は先程リトと交わっていたが、彼女自身はまだ満足出来ていなかった。「ねぇ、私も……駄目?」二人の本番を邪魔するかのように、春菜はリトを後ろから抱きしめた。さすがに二人の女性に同時に挿入するような事は不可能だ。またララが発明品でリトの肉棒を二本に増やすとか気持ちの悪い事を提案してきそうだった。しかし、ララはそんな提案はしなかった。むしろ、自分が春菜を満足させてやろうとさえ提案してきたのだ。「ねぇねぇ春菜。私の尻尾、入れてみない?」「え……? ララさんの尻尾を……私の中に……?」リトの腰の下を通って、ララの尻尾が伸びてきた。これを、挿入してみろと彼女は言うのだ。確かに太い肉棒が入るくらいなのだから、このぐらいなら挿入出来そうだ。春菜は少し怖気づいたが、覚悟を決めると、指で自分の穴を広げてみせた。ゆっくりと腰を落として、ララの尻尾を自分の中にズルズルと入れていった。「あ……これ、ちょっと良い、かも」「はぁあん……締め付けるよぉ、春菜ぁ……」ララは、ゆっくりと尻尾を上下させてみた。ハート型が春菜の中で肉壁を擦り、本物の肉棒のカリ以上の刺激を与える。「ぅあっ、駄目……ら、ララさぁん……」春菜の中に残っていたリトの精液が、ララの尻尾に絡みつく。ボタボタと、愛液がシーツの上にこぼれ落ちていった。「さぁ、良いよリト……そろそろ入れて?」「あ、あぁ……つーかスゲェな、お前の尻尾……」背後でリトの背中に体重を預けて身悶える春菜の表情は、どんなに魅力的なのだろうか?そんな事を考えながら、リトはララの中に挿入した。春菜よりも幾分挿入はスムーズだったが、締め付けに関しては勝るとも劣らない。「よし、奥まで入ったな……動くぞ」サンドイッチ状態の兄を、美柑は小馬鹿にしたように眺めた。目の前の兄は、今までで一番みっともなく見えた。それとも自分も、いつか本番の時には同じように、だらしない表情をするのだろうか。
ぐちゅ、ぐちゅ。ぱん、ぱん。擬音にすればあまりにも間抜けな音が、部屋の中に響いていた。「あっあっあっあっ……」ララは、もはや単調な喘ぎ声しか搾り出せない程、極まってきていた。尻尾と膣の、二箇所の性器を同時に責められているのだ。腹の奥にぶち当たるリトの肉棒の感触が、脳を麻痺させていく。と同時に、春菜の中でのた打つ尻尾の感覚が、気絶しそうな程の悦楽をもたらす。相乗効果により、ララはいつ白目をむいてもおかしくない程に溺れかけていた。「あぁっ、んあぁっ、あはぁん、ふっ、ふぁあ……」一方、春菜は春菜で、もはやリトに凭れなければ崩れてしまいそうな程、絶頂の手前まできていた。「やぁっ……やめて、ララさぁん……中で、暴れ、てっ……感じ過ぎちゃうぅん……」「そっ……な事、言われ、てもぉ……わたひも、もう……」「くっ……俺、もうそろそろイキそうだよ、ララ……春菜ちゃん……」三人とも、ラストスパートに入った。リトの腰の動きはより早く激しくなり、ララもそれに合わせて腰を振る。ララの制御を離れてのた打つ尻尾が、春菜の中をグチャグチャに掻き回す。お漏らしのようにあふれ出す二人の愛液に、美柑は軽くヒいた。男性の精液といい、よくもまぁ、こんな大量の液体を一気に放出して、脱水症状にならないものだと思う。「あぁっ、あぁんっ、もうイクっ! イクふぅうっん!!」「ん気持ち良いぃん! 気持ち良いよぉおっ!!」「はぁっ、はっ、はぁっ、はぁっ……うっ」三人とも、ほぼ同時に果てた。熱々の精液がララに中に注ぎ込まれ、膣と肉棒の隙間から、ゴプリとあふれ出してくる。汗まみれの体は、風邪でもひいたように熱っぽくなっていた。
気を失ったように倒れ込んだ春菜は、そのままララの隣に寝転んだ。尻尾がちゅるんと抜け、汁をしたたらせてベッドの上に横たわる。「はぁ……はぁ……良かったよ、ララさん……」「えへへ、こっちこそ……リトも、ありがとね」「あ、あぁ……」三発も抜いて精力の尽き果てたリトは、そのまま壊れるようにして、ララと春菜の隙間に倒れこんだ。そうして三人とも、死んだように眠りに落ちてしまった。「……風邪ひくぞ、馬鹿」「美柑様は、お優しい人なのですね」美柑は三人を起こさぬように、そっと彼らに布団をかけると、手持ち無沙汰で事が終わるのを黙って待っていたペケを抱えて、部屋を出て行った。傍目にはみっともない、汚らわしい行為にしか見えなかったが眠りこける三人の幸せそうな寝顔を見ていると、羨ましいとさえ思い始めていた。
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