気づきにくいだけで、見渡せば近眼の人間はたまさかいる。眼鏡をかけていればわかりやすいが、コンタクト装用者もいてパッと見ただけではわからない場合も多い。基本的に人間は、近眼には「なって当たり前」なのである。何故かと言えば、眼球というものは無限遠から入ってきた光を水晶体と角膜で屈折させて網膜で結像させる事でピントが合い、光=景色を認識出来るような仕組みになっているのだが、成長とともに眼球も大きくなっていくので、つまり眼軸が延長され、子供の頃は網膜でピントが合っていたのに成長するとそのピントが網膜に届かなくなるために、放っておいても大抵誰でも勝手に近眼、つまり近視になるわけで……長ったらしい説明はこの際不要だ。詳しく知りたかったら眼科か眼鏡屋に聞いてくれ。もし自分の子供の視力が落ちてショックを受けている親がいたらどうか子供を責めないでやってほしい。むしろ成長期にまったく度数が進まない人の方が珍しいのだ。大人になっても眼鏡もコンタクトも使ってない人は、実は軽度の近視or遠視なのに、本人では気付けていないだけの可能性がある。(ゲームにハマって視力落としてる子供は自業自得なので、思う存分責めてやれ)要は何が言いたいかと言うと。高校生ともなれば視力が低下し、眼鏡が必要となる事も。また或いは周囲が知らないだけで、裸眼だと思っていた人が実はコンタクト常用者だったという事も、十分あり得るという事だ。「へぇ。結城君、眼鏡買う事にしたんだ?」結城リトはこのところ、黒板の文字が見えづらくなっていた。目を細めれば見えるのだが、それでは疲れる。第一、視力検査の時によく言われる事ではないか。目を細めずに見て下さい。目を細めると余計に目が悪くなります。目を細めると目が悪くなるというのは眉唾に思えていたのだが、試みに金色の闇に聞いてみたところ、全くもってその通りだとの回答が返ってきた。「それ、眼筋に負担かかってますから。 体のどの部分だって、酷使して状態が良好になる事なんて無いでしょう?」恐らく図書館で読んだ書籍にでも書いてあったのだろう。余程その手の知識を読み込んで吸収してきたのか、或いは彼女はどんな知識でも吸収能力が異様に高いのか。金色の闇は、まるでその道を職業にしている人のごとく、スラスラと回答してみせた。「自分ではまだまだ眼は良いと思ってたんだけどなぁ。 いよいよ俺も眼鏡買わなきゃいけなくなっちまったか……」一般的な認識として、眼鏡には野暮ったいイメージがつきものだ。近年ではデザイン性に富んだお洒落眼鏡が流行しているとは言われているが、どちらかと言えばメディアがそう吹聴しているだけで、眼鏡などかけたくないと言い張る人間の方が、まだ多い。(特に女性)リトにとってもまた、眼鏡というものは抵抗を感じる代物だった。ガリ勉。或いはオタク。眼鏡というものに対する彼の先行的なイメージは、そんなものばかりだった。連想するものは、ラーメン大好き小池さん辺りか。学校で眼鏡などかけて、果たして周りからどう反応されるだろうか。猿山には間違いなく茶化されるだろう。ララは面白がって、ワケのわからない機能を装備した眼鏡を作ってきそうだ。(相手の戦闘力とかわかって、爆発するやつ)不安要素を少しでも払拭するためには、誰かに話してみるというのが、一番手っ取り早い。何とはなしに、世間話程度に、リトは春菜に眼鏡の事を話してみた。「実は私も、そろそろ眼鏡買おうかと思ってたのよね」「へぇ、西連寺も? 目ぇ悪かったのか?」「実は普段はコンタクトしてるんだ。 家では外してるんだけど、最近視力が進んじゃって。 寝る前の数時間とかに、コンタクトの代わりにかける眼鏡が そろそろ必要かなって」ここでリトに妙案が働いたのは言うまでもない。視力が低下して眼鏡が必要になった自分。元々近視でコンタクトを使っていた、自分の好きな女の子。お互いに、そろそろ眼鏡を買おうかと考えている。どうするよ、コレどうするよ。誘う? 誘っちゃうか? そら誘うよな。な?「あっ、あのさ、西連寺! 良かったら、今度の日曜日に……」無論春菜の方にも、リトと同じ案が浮かんでいた。意中の男子とデートする口実が出来たのだ。利用しない手は無い。「そうだね。それじゃ、二人で眼鏡屋さん見に行こっか?」リトはこの案件を、ララには相談しない事にしていた。それは春菜も同様だった。デートにくっついて来そうだという不安もあるが、それだけではない。あいつの場合、視力の回復するアイテムとか作った挙句、それを例によって爆発させたりしそうだったからだ。日曜日の繁華街はやはり混む。とは言え眼鏡屋などは暇なものだろう。眼鏡を買う人間が、この街に一日に何人も現れるとは思えない。一週間で三人も来客があったら良い方なのではないだろうか。ただそれだけでは利益が上がらないから、眼鏡というのは何万円もするのだろう。……そんな風に考えていたリトにとって、自動ドアをくぐった瞬間目に飛び込んできた、混みあった店内の光景は、衝撃的という他無かった。「スッゲェな。眼鏡屋って、混むもんなんだ?」いやまぁ店の立地とか曜日にもよるだろうけどね。「それに、思ってたより安いんだな。5000円とか7000円とか。 もっと何万円ってレベルだと思ってた」元々眼鏡の利益率ってのは馬鹿みたいに高いのが当たり前だったが、それにもちゃんとした理由が歴史的にはあって、ただそれを説明しだすと無駄に長くなってしまうので、その辺は詳しい人に聞いて下さい。「最近は眼鏡も大分安くなったよね。 お姉ちゃんが小学生くらいの頃は、まだこんな安い店は あまり目立ってなかったらしいけど」「高校生の小遣いには助かるなぁ。レンズも付いてこの値段かよ」リトと春菜は、つぶさに店内を眺めてみた。実に多彩な種類の眼鏡フレームがあって、どれが良いか迷ってしまう。ショッピングセンターの中にある、有名な眼鏡屋の前を通りがかった時にそれとなく覗いてみたら、どれも変わり映えしないデザインばかりだったのに。お洒落眼鏡をコンセプトにしている眼鏡屋に赴けば、安い上にデザインも若者向けという、実に都合の良い眼鏡が売ってあるものだ。二人は順番にコーナーを見て回り、その都度いろんなフレームをかけて鏡で見たりお互いに褒め合ったりした。最終的に二人がどんなフレームを選んだかは、絵のないSSなので読者諸兄の妄想……いや夢見る力にお任せするとして、兎も角リトと春菜は、最終的に互いに欲しいフレームを選んだ。「ところで、眼科とかで測って来なくて良かったのか?」「眼鏡屋でも測ってくれるよ。店員さんに頼もう」混んでいたので検査までには待ち時間が多少あったが、一時間もする頃には、二人とも検査を済ませ、会計を終わらせていた。しばらくすると数十分で眼鏡が仕上がり、彼らは商品を受け取って、店を後にした。「結城君、眼鏡かけないの?」リトはまだ眼鏡に抵抗があるのか、受け取った眼鏡はケースに仕舞って裸眼のままでデートを続けていた。傍らの春菜は、買ったばかりの眼鏡をもう早速かけている。「西連寺こそ、コンタクトはどうしたの?」「私は検査の時に外したよ。 使い捨てタイプだったから、お店の人に処分してもらってきた」「そっかぁ……いや、何か眼鏡かけてる西連寺って、新鮮だなぁ」リトは顔を赤らめながらそう言ったが、春菜も同様に、頬を染めていた。「変……かな?」「そっ! そんな事無いよ! 凄い似合ってる、可愛い!」「フフ。ありがとう、結城君」喫茶店(スタバ)のテーブル席に座って照れ笑いを交互に繰り返す二人は傍から見て初々しく、また微笑ましいものだった。第一スタバで喜んでる辺りが既に高校生くさい。周りで見ている大学生や休日を楽しむ家族連れは、こっそりと二人の様子を見物しながら、自分達も幸せな気分になるかのように、ニコニコと笑っていた。ふと、リトに悪戯心が芽生えた。眼鏡をかけている人間を目の前にして、誰もが思う疑問。興味。目の前のこの相手の視力はどの程度で、矯正器具が無ければどの程度まで見えていないのか。「なぁ西連寺、眼鏡外してみてよ。 んで、これ何本に見える?」リトは、誰もが一度はやってみたくなる実験を、春菜にしてみた。近眼を矯正している者にとっては、飽き飽きする程の実験。相手がリトでなければ、正直春菜でさえ、呆れて溜息を零していたかもしれない。それ程までに、近視の者にとっては人生の中で何度も繰り返されてきた実験なのだ。彼女は言われるまま眼鏡を外し、リトの差し出した指の数を数えた。「二本。そのぐらいだったら見えるよ」「じゃあコレは?」「それは四本。って言うか、皆勘違いしがちだけど、 指の数と言うよりも手の形で、本数ぐらい簡単にわかるんだよ。 何メートルも離れてたら流石にわかんないだろうけど」リトは少し悔しくなってきた。悪戯心でこんな実験をするくらいだから、言い方は悪いが春菜には解答を外して欲しかったのだ。いとも容易く正解されては、いかにもつまらない。「じゃあ文字だったら見えにくいのかな? 例えばこのメニュー表は読める?」「それは、ちょっと……大きい文字なら、何となく読めるけど」ようやく春菜が答えに窮するようになって、リトは満足が得られた。「じゃあさ、今、俺の顔とかって見えてるのか? もし眼鏡もコンタクトもつけてなくて、学校でこのぐらいの距離から 声かけられたら、俺だってわかる?」これもまた、飽きる程繰り返される質疑応答。スタバを出てからもずっと、リトは春菜に質問を続けていた。初めてかける眼鏡。見える視界と、見えない視界の差。興味は尽きず、自然と経験者に色々聞く事にもなる。「そりゃあわかるよ。 髪型とか顔の形とか、雰囲気とかで。 それだって勿論、何メートルも離れてたら微妙だけど」人間がお互いを見分ける時、顔の細かいパーツの差異などには案外頼っていないものなのだ。「でも、目は結構細めてるよな。 目細めなかったら、実は見えないんじゃないの?」「うーん……と言うか、無意識に目細くなっちゃう。 意識的に目を大きく開けようとすると、抵抗があって疲れちゃうよ」「じゃあさ、目を細めずに俺の顔がボヤけずに見える距離って、どのくらい?」春菜はしばし戸惑った。どのくらいと言われても……どのくらいなのだろう。具体的に何cmとか、考えた事も無い。自分の掌を見つめて、どの程度離れればボヤけるか、どのくらいまで近づけば明瞭に見えるか、眼鏡を外したままで距離感を測ってみる。そこで初めて、自意識以上に自分の裸眼視力が頼りない事に気づいた。「一年くらい前なら、この程度の距離でも見えてたんだけどなぁ。 やっぱり視力の低下が進んでるんだね。結構近づかないと見えないや」そう言って春菜は、リトの顔を見つめた。折良く、あまり人通りのない通路。一人だけ、少し離れた場所を歩いている人もいたが、すぐに角の向こうに消えていった。二人はしばし無言で見つめ合っていたが、心臓の音だけがやかましく聞こえる気がした。頬が赤く染まっていたのは、夕日のせいか、トキメキのせいか。「え、えっと……西連寺……?」春菜の左手がリトの手をそっと掴む。右手には、外して手にとったままの眼鏡。近づく二人の顔がレンズに反射し、と同時に透過する。「そうだね……このぐらい近づいたら、ちゃんと見えるよ。結城君の顔」それは十数cmにも満たない距離。当たり前のように吐息が届き、互いに視線が交差し、釘付けになる。「さ、いれん……っじ……」リトの声は、重なった唇に堰き止められた。
「リト、遅いなー」「眼鏡買いに行くって言ってたけど、もうそろそろ夕飯の時間だよね。 まったく、どこまで行ってるんだろ。あの馬鹿兄」ララと美柑は、もうそろそろ帰ってくる筈の家族を待ちながら、結城邸のリビングでバラエティ番組を視聴していた。合間にCMが入る。そこでは局のマスコットのライオンが、マフラーと眼鏡を装着してヘラ笑いしていた。「眼鏡ねぇ……そう言えばアイツ、どんな眼鏡買ったんだろ?」奇しくも蜜柑がリトのフレーム選びのセンスを気にしていた頃、リトはまさに買ったばかりの眼鏡をかけて、春菜の部屋に上がり込んでいた。まだ慣れないので、かけているとクラクラしてくる。しかし春菜もまた、人前で眼鏡をかけた顔を見せるのには慣れていない。「私だけかけてたら恥ずかしいから、結城君もかけてよ」と彼女に言われ、視界が歪むのを堪えながら、リトは眼鏡を装用していた。視界の歪曲もそうだが、思った以上に重いのもネックだ。慣れてしまえば重くはないのだが、今まで顔に何も乗っていないのが当たり前だった。鼻に重みを感じ、こめかみに圧迫感を覚える。外したくて仕方が無かったが、最初に慣れておけば後の人生が随分楽になると春菜に言われた。「眼ぇ痛くなるんだな、眼鏡って。知らなかったよ俺。 普段こんなのかけてて、西連寺は辛くないのか?」二人きりの気まずさを気恥ずかしさを誤魔化そうと、リトは話題をふった。貸し付けられた座布団の上で、緊張から無意識に正座してしまう彼の姿は、滑稽だった。「辛いのは最初だけだよ。 結城君も早く慣れると良いね」心なしか春菜の声もぎこちない。さっきから頻繁に眼鏡の縁に指をかけ、ズレを直す仕草をとるが、客観的に見て別段眼鏡がズレているようにも見えない。落ち着かない心を無理に抑え込もうとして、挙動不審になっているのだろう。「お、俺、そろそろ帰らないと…… 西連寺だってお姉さん帰ってくるだろうし、夕飯の支度を……」「お姉ちゃんなら、帰って来ないよ」ベッドの端に腰かけたままの春菜が、間髪をいれずにそう呟いた。「えっ……」リトは思わず春菜の顔を見たが、俯いていて表情が読めない。「さ、西連寺……お姉さん、帰って来ないって……」「今日は彼氏の家にお泊りなんだって」お、お泊り……。リトはその単語に反応し、思わず生唾を飲み込んでしまった。「結城君も……お泊り、する? ……よね……?」
ハラリと脱ぎ捨てられたスカートはベッドの脇に畳んで置かれ、シャツやブラジャーは無造作にその上に重ねられた。今までいろんな機会があって、何度も見てきた春菜の裸。ある意味見慣れているものだったのに、それがベッドの上に横たわっているだけでえもいわれぬ扇情的なものを醸し出している。年齢が年齢だから、まだ子供っぽさを残した体型だった。それでも同じ年であるリトにとっては十分だ。彼もまた気恥ずかしそうに着衣を脱ぐと、彼女の上に覆いかぶさるようにした。「結城君……キス、して?」求める少女の声は艶めかしく、年に不相応な感触さえ受ける。『女』が『オンナ』に化けた瞬間を、少年は初めて目撃した。そっと顔を下ろしていき、唇を重ね合わせる。……ガチッ。「あ、あははははは、ゴメンゴメン。 大丈夫? 痛くなかった? 結城君」「いや、アハハ、こっちこそ……そっかぁ、そうなるもんなんだぁ」唇を重ねようとした瞬間、互いの眼鏡のレンズがぶつかってしまった。キス自体ほとんど経験が無く、ましてや眼鏡装用者同士でなど、生まれて初めての事だ。ムードを大事にしたかったが、予想外のアクシデントで、雰囲気が壊れてしまった。夕方キスした時は、お互いに眼鏡を外していたから、こうなるとは知らなかった。「やっぱ、眼鏡かけたまんまってのは、無理があるんじゃないかな? 外してもこんだけ近かったら、よく見えるだろうし」「結城君はまだ度数弱いからそこそこ離れてても見えるだろうけど、 私は結構近づかないと見えないんだもん。 ちゃんと結城君の顔見てしたい……」寂しそうにそう言われては、断るわけにもいかない。常にキスの間合いで行為が進行出来るなら良いが、そうはいかない場面もあるだろう。リトは仕方なく春菜に合わせて、眼鏡をかけたままで彼女を抱く事にした。
「ほら西連寺。よく見えるだろ?」「や、やだぁ……恥ずかしいよ、結城くぅん……」春菜はマングリ返しの状態で固定され、リトが自分の秘所を舐め続ける様を、無理やり見せつけられていた。「眼鏡かけてて良かったな、西連寺。 裸眼だったら良く見えないだろ」「あぁあ、見えるぅ……結城君に私のオマ○コぴちゃぴちゃされてるトコ、 はっきり見えちゃうよぉお……」リトは春菜の眼鏡を摘まみあげ、それをヒラヒラと翳してみせた。それからおもむろに、今一度春菜のアソコに狙いを定める。「はぁ……んはっ……何、するのぉ……? ……んぁっ、はっ!?」突然、春菜の膣の中に、折りたたまれた彼女の眼鏡が挿入された。まだ先端から少しずつだが、しかし確実に、ゆっくりと中に入っていく。「ひぎっ、ぁイッ……ヤだ……そんなの、入れちゃらめぇ……」「西連寺は眼鏡外してるからよく見えないよな。 俺からはよく見えるぜ。西連寺の眼鏡が、西連寺のナカに埋まっていくトコ」ヒンジや先セルが当たって、中で抵抗を感じる。レンズに、ネジに、テンプルに、愛液が絡みついていく。途中からかなりキツくなったので、これ以上やると眼鏡が壊れると思い、リトは眼鏡をゆっくりと引き抜いてやった。「はぁ……はぁ……結城君……眼鏡、返して……」「良いよ、春菜ちゃん。今返してあげる」そう言ってリトは、濡れたままの眼鏡を拭かずに、春菜の顔にかけてやった。「やだ、コレぇ……自分の恥ずかしいお汁が、ベットリついて…… 鼻やこめかみが、ネチョネチョするよぅ……」粘性のある液体で濡れそぼったレンズは綺麗に拭かねば使い物にはならない。視界にマン汁の張りついた状態で、春菜は嬉々として笑うリトの表情を恍惚と眺めていた。一方リトの眼鏡も、春菜にクンニしていた時に彼女の太股に触れて、レンズに皮脂がついていた。「ちゃんと拭かなきゃな。 そうだ。確か眼鏡屋の店員さん、拭き方にもコツがいるって言ってたな」リトはわざとらしく声に出してそう言うと、店で眼鏡を受け取った際に一緒に渡された取扱い説明書を手にとった。「えーと、なになに……レンズの表面に埃や細かいゴミが残ったままで 乾拭きをすると、レンズに傷がつく恐れがあります。 水や、専用の洗浄液などを使って、表面の埃を指先で軽く流してから、 ティッシュペーパーで拭いて下さい、か」春菜の膣に指先を突っ込み、中の愛液を掻き出す。「あふぁっ、ひっ、ぅアァあ、あ……」春菜は、このタイミングでリトが手マンをした理由が、よくわからなかった。だが次の瞬間にリトが行った事を見るにつけ、恥辱で胸の中がいっぱいになった。リトはベトベトした液体を指先に掬うと、それを自分の眼鏡のレンズ表面に塗りたくったのだった。あたかも水や、洗浄液のごとく。そうしてヌルヌルとレンズ上に広げ、埃を洗い流した。「……あ。酸性やアルカリ性などの、刺激の強い洗浄液は使わないで下さい。 表面のコーティングが剥がれる原因になる可能性があります。 中性洗剤を薄めて使うのが効果的です、だって。女の子の汁って、中性かなぁ?」「……もうっ、知らない!」愛液まみれの眼鏡で男を見るのが恥ずかしくて、春菜はそっぽを向いた。
やがて室内には、カチャカチャと乾いた音が響くようになった。繋がりあった二人が、キスを繰り返しながらピストン運動をすれば、自然と眼鏡同士がぶつかり合うのだった。レンズに傷がつきそうなものだが、もう二人にそんな事を考える冷静さは無い。一心不乱に舌を絡ませ、唾液を迸らせるばかりだ。動いていると、時折キスが逸れ、そのまま相手の眼鏡に唇が触れたりもした。まるでお互いに相手の眼鏡にキスしているみたいだ。本来勉学や仕事といった真面目な目的のために使われる眼鏡を、こんな風に使っていると、何とも言えない背徳的な気分に襲われる。ぶつかり合う眼鏡はやがてズレ、外れそうになる。「あぁっ、あっ! あぁあ良い! 良いよ春菜ちゃぁん!」リトはもはや、彼女の事を『西連寺』と呼ぶだけの理性も失っていた。「ゆぅきくん! ゆぅきくぅんっ! もっと激ひく! あたし、イっちゃいそうだよぉっ!」大きく開いた自らの両足をリトの両足の膝裏に絡ませ、積極的に腰を振る春菜。その下半身の繋がりは、さながら眼鏡のようだった。リトの足に引っかかる春菜の足と、人間の耳に引っかかる眼鏡のテンプルが、重なって思える。「あぁアぁァあ! イクっ! イっちゃうぅウゥううぅゥぅうぅぅゥウっぅぅんッ!!」春菜が絶頂を迎えるとともに、リトは男根を引き抜いた。迸った白濁は勢いよく春菜の顔面に飛び散り、髪を、頬を、レンズを汚していった。混濁していく意識の中で、春菜は、自分の視界が白く埋められていくのを感じた。翌朝。朝帰りとなったリトに、美柑が怒鳴り付けたのは言うまでもない。「昨日はどこ行ってたのよ! リトの分の夕飯は冷めちゃうし、ララさん寂しそうだったよ?」まさかあの後すぐに寝てしまい、朝まで二人で裸のまま(眼鏡だけかけたまま)一晩中抱きしめ合ってスヤスヤ眠っていたとは言えない。リトは後頭部を掻きむしりながら、ひたすら妹に頭を下げ続けた。「面目ない。次からはちゃんと連絡いれるから」「当たり前でしょ! 大体、何で買ったばっかりの眼鏡が、もうそんなに曲がってんの? どんな使い方したら一日で曲がるのよ?」「い、いやそれは……タハハ……」これもまさか、眼鏡かけたままセックスしてたら曲った、などとは言えまい。今日は学校の帰りに眼鏡屋に寄って、形を調整しなおしてもらおうと思うリトであった。寝ぐせもそのままに学校に行くと、春菜の眼鏡も歪んでいた。「さ、西連寺のもか……?」「……結城君が激しすぎるからだよ、もうっ」読者諸兄も、眼鏡かけたままヤる時は、あまりヒートアップしないように気をつけて下さい。
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