カーテンの隙間から朝の光が差し込んでくる。ベッドで眠る結城リトはその光から顔を背けるように寝返りを打った。― ふにっ―「ん…?」 リトの手に柔らかい感触。ゆっくりと目を開くと、隣で眠るピンクの髪の少女の姿が目に映った。ララ・サタリン・デビルーク。彼女は一糸纏わぬ姿で、リトの隣で安らかな寝息を立てていた。寝返りを打った際、リトの手は彼女の乳房を鷲掴みにしていたのだ。「ううううううわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」早朝の結城家にリトの声がこだまし、屋根で羽を休めていた雀たちが飛び去っていく。一時期よりマシになったとはいえ、彼に裸の彼女を直視できるほどの免疫はまだついていなかった。「…またやってる…」結城家のキッチンで、ため息混じりにリトの妹、結城美柑がつぶやいた。「いい加減慣れないもんかねー…」まあ、しばらくしたら二人とも二階から降りてくるだろう。自分がリトを起こしにいく手間が省けたと思えばいい。美柑は鍋に視線を戻し、味噌をとき始めた。「こらララ!!お前いつになったら裸で俺のベッドに入るのをやめるんだよ!!」「えー…だって、やっぱりリトの傍がいいんだもん…」「ったく…。ちゃんと自分の寝床はあるんだから、そっちで寝ろ!!」そう言い放つと、リトは着替えを用意し始めた。このときの彼には気づく由もなかった。彼の背中を見つめる彼女がどんな表情をしていたかなど。「ララのやつ、何度言ってもやめる気配がねえ…」その夜、リトは一人自室で腕組みをして、ララが自分のベッドに入ってくるのを何とかやめさせられないものかと考えていた。「仕方ねえ…」リトが考えついたのはベタベタな手だった。眠らずにベッドでララを待ち伏せして注意すれば諦めるかもしれない。とにかくララに自分には隙がないと思わせればいいんだ、と。夜11時、リトは部屋の明かりを消してベッドに入った。「さあ、来るか?」眠らないまま2時間が経過した。「…今日は来ないのかな…?」その夜はなかなか眠れなかった。ララを厳重注意しようと心に決めていたので、目が冴えていた。そのまま30分が経過した。目覚まし時計の針が奏でるリズムが少し耳に障った。「…んだよ…。妙に張り切ったくせに、なんか俺、馬鹿みてーじゃん…」そのときだった。ギィ…ッドアの蝶番が軋む音に時計の針の音がかき消された。『来た!』チラッとドアのほうに目をやる。目も暗さに慣れていたので、誰が入ってきたのかはすぐにわかった。ララだ。すでに身には何もつけていない。『ってもう裸なのかよ!』厳重に注意しようと心に決めていたはずなのに、ララの裸体を目にするといつものように顔が赤く、そして心臓の鼓動が異様に速くなり、リトは行動不能に陥った。就寝前の決意はなんだったのだろうか。リトはあっさりとララの侵入を許してしまった。『情けねー…』自分の心臓が不愉快なリズムを刻んでいた。自分のヘタレぶりが嫌になる。そのときだった。「くすん…」「!?」ララ…泣いてる?「リト…。私リトのこと本気で好き…」リトはビクッとした。自分の狸寝入りがばれていたのかと思ったからだ。「こんなこと、リトが寝てるときしか言えないから…」『あれ?ばれてない…?』リトはそのままララの言葉に耳を傾ける。「私すごく不安なの…。やっぱりリトは私じゃない誰かが好きで、私はいくらがんばっても駄目なのかなあって」リトの心臓が少しずつペースダウンしていった。ララの気持ちはわかっているはずだった。自分のことを愛してくれている一方で、今の自分の気持ちが彼女に向いていないことも彼女は知っている。いつも彼女は能天気に笑っているからあまり意識していないが、それが辛くないはずがない。「ごめんねリト…。私、ゼロからがんばるって決めたのに…弱音吐かないって誓ったのに…。リトの前で笑顔でいるためにリトの背中に弱音吐いてる…」昨日もこうだったのだろうか。いや、ララがリトの気持ちに気づいていたのはだいぶ前からだったはずだ。そうなると、これももうだいぶ前から繰り返されていたことなのだろう。リトの体温で程よい温もりをもったベッドで、ララは最後につぶやいた。「リトのベッドのあったかさ、私好きだよ。明日の朝また怒られちゃうけど、私はこれでまたがんばれる…」ララがそう言って目を閉じたとき、リトは反射的に彼女の名を呼んでしまっていた。「ララ」今度はララがビクッとする番だった。まさかリトが起きていたとは思っていなかったからだ。「リっ…リト起きてたの!?ごめん!私部屋に戻るねっ!」飛び起きて駆け出そうとするララ。その手をリトの手が掴み、自分のほうに引き寄せた。「きゃっ」身体能力はララの方が数段上のはずなのだが、ララはリトの上にあっけなく倒れこんだ。ララの滑らかな背中にリトの手が回される。そこでララは自分がリトに抱かれていることを理解した。リトからの言葉は無い。それが不安で、ララは尋ねた。「ねえリト…、全部聞いてたよね…?」「うん」「私…自分で決めたことも守れないだめな女だよ?だから私、リトに抱きしめてもらうなんて…」「それじゃ、俺もだめな男ってことになっちゃうよ。今日狸寝入りしてたのは、ララがベッドに入ってくるところを注意しようって決めてたからなんだからさ。俺だって自分で決めたはずのこと守れてないもん」自嘲するような言葉だったが、リトの声音は穏やかだった。ララはそれに安堵し、リトの背中に手を回した。そのとき、リトが言った。「あ、ちょっと待って、ララ」リトの声音は穏やかなままだったが、ララは突如の拒絶に不安を覚える。「よっと…」なんと、リトは自分の服を脱ぎ始めた。ララと同じ生まれたままの姿になった彼は、ララに声をかけた。「もういいよ」「リト…あっ…」リトはララを抱き寄せた。二人の心臓が同じリズムを奏でている。ララは今度こそリトの背中に手を回した。リトの肌の感触、温もり、全てが愛おしかった。「なあララ。今度は二人で決めよう?」「え?」「お互いにずっとお互いを愛し合っていくって」その言葉はまさにララがずっと待ち望んでいたものだった。リトももう心に決めていた。不思議ともうその想いが揺るがないことに確信があった。「ん…」ベッドの上で二人は唇を重ねた。その瞬間、リトの肉棒が膨張を始めた。「リト…なんかおっきくなってる…」「だってしょうがねぇだろ…。その…男はこういうとき皆こうなるんだから…」リトに恥ずかしさがこみあげてきた。さっきまで歯の浮くような台詞を言っていた彼とは別人のようである。ララはクスッと笑ってリトの口内に舌を差し込んだ。「わっぷっ??」今度はリトが翻弄される番だった。しかしリトもいつまでもやられっぱなしではなかった。彼も舌を伸ばし、ララの口内に彼女の舌を押し戻し、そのままララの口内を味わいつくした。ディープキスを終えると、お互いにもうキスだけでは終われないほどにお互いの体を求めていた。「ララ…」リトは自分の膝をララの両足の間に差し込み、そのまま彼女の足を、その間に自分の体が入るくらいにまで開かせる。「リト…」自分だってリトの事を求めているはずなのに、いざとなると不安が襲ってくる。リトは再びキスをし、彼女の不安を少しでも和らげようとした。その想いが伝わったのか、ララの体を縛っていた緊張が少しほぐれる。リトは手で彼女の膣の位置を確かめた。指に触れるぬめっとした感触が、彼に彼女とひとつになるための入り口の場所を教えた。「ララ…入れるよ?」「うん…」リトの肉棒がララの膣内に入っていく。「あぐぅ…っ…」彼女の体に痛みが走る。でもやめてほしいとは思わなかった。リトはララの処女膜を突き破り、そのままララの最奥部まで肉棒を侵入させた。「ララ…大丈夫?」リトが心配そうに声をかけた。性知識の少ない彼でも、ララが痛みを感じるであろうことくらいは知っていた。痛みはまだ残っているが、ララはリトに笑いかけた。「うん…。ちょっと痛かったけど、大丈夫だよ」本当はちょっとどころの痛みではなかったが、ララはこのときの自分の笑顔が決して無理をして作ったものではなく、自然とこぼれたものであったことに少し不思議な感覚を覚えていた。「リトはどう?」ララの問いかけにリトは素直に答える。「すごく気持ちいいよ…。動かしたい…」「うん…いいよ…」ララの返事を聞き、リトは腰を動かし始めた。リトがララの顔を見ると、彼女は無言で細い眉を寄せ、眉間に皺を作っていた。リトはララと唇を重ねた。腰をグラインドさせる間、彼はずっと唇をはなさなかった。自分の肉棒が今彼女に痛みしか与えられないのなら、せめて唇で愛情を伝えたかった。彼の想いが伝わったのか、少しずつだがララの痛みが和らぎ始めた。痛みが引いてくると、ララの体はリトをますます求めるようになっていた。その一方で、リトはこみ上げてくる射精感と闘っていた。「う…ララ…もう出そう…一度抜くよ?」「だめ…。抜いちゃやだ…。最後の最後まで私の中にいて…」その言葉がリトがぎりぎりで保っていた最後の理性を打ち砕いた。「ララ…!」背中に回されていたリトの腕に力が入り、膣の中の肉棒の動きも激しくなる。「あんっ…はあぁ…」ララはもう痛みを感じていなかった。彼女の嬌声がリトの雄の本能を刺激し、それに伴ってますます勢いを増す彼の動きがララの雌の本能を暴走させる。「あう…あはんっ…リトぉ…好きぃ…」ついにリトは耐え切れなくなり、ララの子宮と0距離のところで精を解き放った。「あああああああぁぁぁぁ…っ…」ララの声とともに津波のような快楽が二人を襲った。そして、ゆっくりと引いていく。「ねえリト」行為が終わっても二人は衣服を身に着けようとはしなかった。「どうしたララ?」「ぎゅっ」ララが擬音を口にするとともに、リトに強く抱きついて甘えてきた。「わっ、こらっ」そんなリトの言葉には怒気など微塵にも含まれていない。リトは穏やかな笑顔でララを抱き返した。その夜は眠れなかった。二人は他愛も無い話をして笑いあい、キスをしたくなったらキスをし、交わりたくなったら本能のままに交わった。そうするうちに空が白み始め、雀の鳴き声が聞こえてきた。「朝か…。結局お前のせいで眠れなかったな、ララ」リトの呼びかけに返事はない。代わりに彼女の穏やかな寝息が心地よいリズムを奏でていた。「なんだ、寝ちゃったのか…」急に眠気がリトを襲ってきた。瞼が重い。穏やかで気持ちのいい朝だったが、今のリトにとってはその光よりもララの体温や息遣いの方が心地よかった。朝の光から逃れるようにリトはそのまままどろみの中に落ちていった。キッチンで朝食の準備をしていた美柑は時計に目をやった。リトの悲鳴は聞こえてこない。「やれやれ、今日は起こしに行かなきゃいけないか…」美柑は面倒くさそうにつぶやくと、だらしない兄を起こすためにリトの部屋のドアを開けた。「リトー、いい加減起きなよー」美柑はドアを開けるとともに絶句した。美柑の目に映ったのは、まず裸で眠るララだった。そこまではいつもの光景だった。信じられなかったのはその隣でリトが裸で眠っていたことだった。幸せそうな顔でララの背中に手を回している。美柑は顔を赤くしながらリトの部屋を出た。そして二人の朝食にラップをかけた。登校するには少し早い時間だったが、美柑は家を出ることにした。いつも言うはずのいってきますという言葉の代わりに美柑はこう吐き捨てた。「二人で仲良く遅刻しろっ」
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