――――――
「ん……ぅ~ん……」
窓から射し込む日の光を受け、結城リトは目を覚ました。
「むぅ……朝か…」
そしてリトは、ベッドから起き上が――。
(あれ?)
――ろうとしたが出来なかった。それどころか、まるで身体が何かに押さえつけられているかの様に、動くことさえできなかった。
(………って)
ふとリトは気付いた。自分の身体に何か柔らかいものが当たってる事に。
(まさか…(汗))
恐る恐る、横目でチラリと隣を見てみると…。
「すぅ…すぅ………んみゅ~……リトぉ~…♪」
最早お約束といってもいいかの如く、ララが裸で抱き付いて寝ていた。
(……)
……………。
…………。
………。
「ぬあぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!///」
これもお約束といっても過言ではない、リト朝一の絶叫。
「ララまたかよ!!オレのベッドで寝るなっていつも言ってるだろ!!しかも裸でよぉ!!///」
「ムニャムニャ…………えへへ……もう食べられないよ~……」
「コラァ!!古典的な寝言言ってないでさっさと起きろぉ!!(怒)」
リトの怒鳴り声で、ようやくララは目を覚ました。
「ん…う~ん…、あ、リトおはよぉ~…♪」
「『おはよぉ~』じゃねーっつーの!!お前何回言ったら分かんだよ、毎度毎度よぉ!!///」
「え~、だってリトと一緒に寝たかったんだもん~」
いつも通りのやり取りを交わすいつも通りの結城家の朝の光景――。だが、一つだけいつも通りじゃない点があった。
それは――。
「それに、リトの女の子の身体って柔らかいし、いつもよりスッゴくあったかいんだもん♪」
そう――。
このララのセリフから解る通り、リトは今、身体が『女の子』になってしまっているのだ。(何故こんな事になっているのか、詳細は3スレ548にて)
「おかげで今日はいつもの三倍はぐっすり眠れたよ♪」
「人を安眠抱き枕みたいに言うな!つーか、早いトコ服着ろっての!!///」
「でもペケまだ寝て「叩き起こせぇ!!!(怒)」」
まあ…、何はともあれ…。
リトの女の子生活二日目の始まりである――。
彩南高校――。
まだ朝も早いので、あまり人影を見かけない。部活の朝練をしている生徒は何人か見かけたが、練習に集中している為こちらの『男子の制服を着た女子』を気にする者は誰もいない。そんな中を、リトは真っ直ぐ御門先生が待つ保健室へと向かった。
『ガラッ』「おはようございま~す」
軽く挨拶しながら保健室のドアを開ける。
「ふわぁ~…ぁふ…、あら結城君、おはよう。待ってたわよ」
大きな欠伸をしながら『全然寝たりません』的な感じで、御門先生が挨拶を返す。
「眠そうっスね、先生」
「本来ならこの時間帯はまだ寝てんのよ?それなのに、はふ…、こんな朝一番から学校に来る事になるなんて思いもよらなかったわ。」
「いやいや、あなたが原因作ったんだからちゃんと責任持って下さいよ」
「や~ね~、悪いと思ってるからこうして頑張って早起きしてきたんでしょうが♪」
手をヒラヒラさせて笑顔でそう言う御門先生。
「とりあえず結城君、まずはコレに着替えて頂戴」
そう言って、リトにその服が入った手提げ袋を手渡す。
「……」
そして、その袋の中を見て固まるリト。てゆーか、このシーン昨日もあったような…。
「………………先生」
「ん?」
「何スか、コレ?」
「見て分からない?」
「………女子の制服にしか見えませんが…」
「分かってるじゃないの」
「………オレにコレを着ろと?」
「ええ」
「何故!?」
「女の子が男子の制服着て授業受ける訳にはいかないでしょ?」
「……ちなみに拒否権は――。」
「あると思う?」
「なんなら先生が着替えさせてあげましょうか~?」
手をワキワキさせて、怪しげな笑顔でそんな事を言う御門先生。
「……(汗)」
「はぁ~……、分かりましたよ、着ますよ…。着ればいいんでしょ、着れば…」
これ以上の抵抗は無駄だと悟ったのか、リトはあっさりと承諾した――。
――――――。
「ほっほ~う、似合うとは思ってはいたけどまさかこれほどとは」
「……///」
女子の制服を着たリトを見て、素直に感心する御門先生。
「ホント、なんかずっと前からいるみたいな雰囲気がする位完璧な着こなしね。とても今日初めて着たとは思えないわ」
「そりゃあ…、まぁ…(汗)///」
「昨日、コレ含めて色々と着せられましたから」とは口が裂けても言えない。言ったらこの人の事だ。また何か良からぬ事を企んでくるだろう。いや、企んでくるに決まってる。(断言)
「でも結城君…」
「はい?」
「どうして下着は付けてないの?」
「い、いいじゃないですか。下着位付けてなくても///」
「まぁ確かに、ブラはしてない娘は結構いるけど、流石にショーツの方は…」
「そっ、そこは体操着の短パンでも穿いて誤魔化しますからっ!そ、そんな事よりも早く本題に入りましょうよ!HR始まっちゃいますよ!?」
HRまでまだ一時間近くあるのだが、これ以上このネタで引っ張られたくないので先を促すリト。
「あ、待って待って。せっかくだから記念に一枚――♪」
「本・題・に・入・り・ま・し・ょ・う!!(怒)」
「む~、結城君のいけず~」
デジカメ片手にちょっと拗ねる御門先生。
「……まぁいいわ。ちょっと残念だけど、これ以上時間を掛けるのもアレだし…」
という訳で、いざ本題へ――。
「とりあえず学校側には、『結城君は事情があって二週間程学校に来れなくなった』、『その間、短期編入生として別の子を代理で通わせてほしい』とだけ言っておいたから」
「はぁ…、その事情って?」
「そこは自分で考えなさいな。私も流石にそこまでは面倒見切れないわよ」
「そう言われても…、何かこう、アドバイス的なものを――。」
「そうね~…、例えば『日本全国のメイド喫茶、完全制覇の旅に出た』とか♪」
「自分で考えます(キッパリ)」
返事するまで0.01秒。
「あらそう?残念♪」
とても残念そうには見えない。
「でもよくそんな説明で学校側があっさり納得しましたね…」
「ああ、それ?いえね、さっきの説明と昨日こっそり隠し撮りした結城君の写真を校長先生に見せたら――。」
(親指立ててとてもスバラシイ笑顔で)『なんだかよく分からんけどカワイイからOK♪』
「――だってさ♪」
「……………………まぁそんなトコだろうと思ってはいましたけどね、あのエロ校長なら…(汗)」
故に、これ以上何も言う気が起きないリト。
「さぁ、早いトコ編入手続き済ませちゃいましょう♪それで担任の先生にも挨拶に行かなきゃ」
「あ~い」
という事で、二人は職員室へと向かった――。
「ところで先生、何時オレの写真を隠し撮りしたんスか?」
「禁則事項です♪」
一方、教室――。
『ガラッ』「おはよ~」
今日も元気一杯で教室に入るララ。
「あ、ララさんおはよう」「おぃーすララちぃ」「ララちぃおっはー」
春菜と、その友達の籾岡里沙と沢田未央が返事を返す。
「……ってアレ?ララちぃ、結城は?」
ここで籾岡が、いつも一緒にいる筈のリトがいない事に気付いた。
「え、えーっと…(汗)」
実は、リトが家を出る前…。
『いいかララ、オレが女になったなんて誰にもバラすんじゃねーぞ!特に籾岡と沢田と猿山には!!』
――と、ララに釘を刺していたのだ。
リト曰わく、『普通こんな話信じてもらえないだろうが、宇宙人や幽霊が存在している位だからそれくらいあっても不思議では無い。バレたらこの三人の事だから、きっとろくでもない事を仕掛けてくるに違いない。絶対に。特に猿山辺りは『親友』というポジションを傘に立てて、アレコレセクハラ行為を仕掛けてくるに決まっている。200%間違いなく!』らしい…。………随分信用の無い親友である。
「ゆ、結城くん昨日から用事でどこかに出かけてるんだよ。だよね、ララさん?(汗)」
なんとなく事情を察したのか、見かねた春菜が助け船を出す。
「へ?あぁうんうん、そーそー。どんな用事かは知らないけど、それで二週間位学校に来れないってさ(汗)」
「「ふーん…」」
冷や汗一杯で返答し、なんとか誤魔化す事に成功。
「でも春菜。何で結城が昨日からいないって知ってるの?」
「え゛っ!(汗)///」
沢田のツッコミに対して、不意に顔を赤らめる春菜。
「あぁ。だって春菜、昨日ウチに来たもん♪」
「ちょっ、ラ、ララさんっ!!///」
「え~なになに~?もしかして春菜、休みの日に結城に会いたいが為に――。」
籾岡がニヤニヤ含み笑いをしながら尋ねる。
「ちちちち違うよぉ!!きき、昨日はララさんからCDを借りようと思って行っただけで、決して結城くんに会いたいとかそんな事は全然まったくこれっぽっちも――!!///」
本心を知られたくないからか、必要以上に必死なって誤魔化そうとする春菜。リトが見たら、間違いなくヘコむであろう光景である。
『ガラッ!』「うぉーい、大変だー!!」
突然、猿山が慌てふためきながら教室に入ってきた。
「え、何々?どーしたの猿山?」
「またしょーもない企画でも思い付いた?」
「ちげーよ!!(怒)」
籾岡と沢田の茶化しを一蹴して、猿山が興奮気味に喋り出す。
「今日、このクラスに転入生が入るんだってさ!!しかもそいつ女だ!!」
『なにぃーーーー!!!!』
クラスの男共が一斉に声を上げる。
「猿山っ!!その話マジか!?」
「マジもマジ、大マジだ!!さっき御門先生と一緒に骨川先生に挨拶してたからな!!」
「なっなあ!!その女って可愛かったか!?」
「それが後ろを向いてたから顔の方は見えなかったけど…、ただ!!」
『ただ!?』
「オレの見立てではその娘………、ララちゃんにも引けを取らない身体をしているっ!!!」
『うおぉぉぉーーーーーー!!!!』
男共は一斉に雄叫びを上げた。
「はぁ~…、ウチの男共ってどーしてこう…」
籾岡が呆れた声で呟く。
「でも転入生ってどんな娘なんだろうね~」
「うん、なんか楽しみだね~♪」
沢田と、何故かララまでその『転入生』の話題に花を咲かす。
「ラ、ララさん、ララさん(小声)」
「あの…、その転入生って、結城くんの事じゃ無いの?(小声)」
「ぇええっ!!そうなのぉ!?(驚)」
「ラ、ララさん……(汗)」
ララの天然ボケに、春菜苦笑い。
『キーンコーンカーンコーン――』
そして、始業のチャイムが鳴った――。
「え~それでわぁ、ワシが呼んだら入ってきてくだふぁい」
「は、はい…」
そう言って、骨川先生は教室の中へ…。
(うぅ~…、なんか緊張する~…)
リトはソワソワ落ち着かない感じで、呼ばれるのを待つ。
『え~まず最初に~、結城君が一身上の都合で二週間程学校に来れなくなりまひたぁ~』
そう言った途端、教室内がざわつく。
『せ、先生。結城くん何か怪我でもしたんですか!?』
少し慌てた感じで、古手川唯が質問する。
『いやぁ、ワシもそこんトコは詳しく知らなんで…』
『し、知らないって、知らないって何ですか!?普通そういう事情諸々は把握しておくものじゃ無いんですか!?』
『ワ、ワシはただそれだけ聞かされただけで――(慌)』
(まぁ、確かに普通はそうだよな…(汗))
唯と先生の言い争いを聞きながら苦笑いを浮かべるリト。
(にしても…、古手川、もしかして心配してくれてるのかな…)
その事が少し嬉しくて、リトは思わず顔がほころんだ。
『先生っ!!そんな事よりも転入生の娘を紹介して下さい!!』
『そーですよ!!結城の事なんかどーでもいいから早く転入生をぉ!!』
(そっ、そんな事!!?)
だが、猿山及びクラスの男共の心無い発言にカチンときて、表情を一変させる。
(今言った奴…、元に戻ったらブッ飛ばす!(怒))
拳をワナワナ震わせながら、心の中でそう誓うリト。
『おぉ、そうじゃった。ではその転入生を――』
『ちょっ、先生!まだ話は――!』
『まーまー唯っち。いくら結城の事が気になるからってそんな必死になんなくても』
籾岡がニヤニヤしながら茶化す。
『んなっ!!何言ってんの籾岡さん!!わっ、私は別に結城くんの事なんか――///』
顔を真っ赤にして全力否定する唯。
『ほ、ホラ先生っ!!一時限目始まっちゃいますから早いトコその転入生を紹介して下さいっ!!』
そして、誤魔化しから先を促す。
(何もそこまで力一杯否定しなくても…(泣))
その一方で、さっきの唯の発言に軽くヘコむリト。
『え~それででふね~、結城君のいない間、代理という形でこのクラスに短期の編入生が入りまふ』
『短期ぃ!?ずっとじゃないんスか!?』
『別にいいよ、結城なんかずっといなくても!!その娘代わりに入れようぜ、代わりによぉ!!』
『ブッ飛ばす』んじゃなくて『ブッ殺す』にしとこうか…。――と、再度心に誓う今日は表情百面相なリトだった。
『………先生、気にせず先を進めて下さい』
こめかみをピクつかせながら唯が先を促す。
『それでわぁ、どうぞ入ってきてくだふぁい』
(――っと、呼ばれた)
さっきまで考えていた事を振り払い、教室のドアに手を掛ける。
(よし…、行くか)
そして、ゆっくりとドアを開けた――。
『ガラッ』「ど、どうも~…」
精一杯の愛想笑いを浮かべながら教室に入る。
『……』
途端に、教室内が静まり返った…。
(って、アレ?リアクション無し?(汗))
予想外の雰囲気に戸惑っていると…。
「あの~、自己紹介を…」
「え?あぁ、はい!(慌)」
先生に先を促され、慌てて自己紹介を始める。
「えっと……、初めまして…。今日から二週間程、リトの代わりにこの学校に通う事になりました――」
一呼吸置いて、そして…。
「結城零紋(レモン)といいます。短い間ですが、よろしくお願いします。」
そう言って、深々と頭を下げた。
(………………………………………アレ?(汗))
教室内、ノーリアクション。
(な、何だ?もしかして…もうバレたとか!?(焦))
心の中で焦るレモンことリト。
「あ…、あの~……(汗)」
恐る恐る訪ねようとしてみると…。
「ひぃっ!!?(驚)」
突然男共が雄叫びを上げ、思わずビクッと仰け反るリト。
「むっ、ムチャクチャ可愛いーーー!!!」「ララちゃん以来の超極上級の美少女だーーー!!!」「うぅ…、このクラスで良かった…(泣)」
「ぁ………、ぁははは……(汗)」
男共の様々なリアクションに軽くドン引きなリト。
「ハイハイ、質問ー!!」
勢いよく猿山が手を挙げる。
「レモンちゃんは名字がリトの奴と同じなんだけど、アイツとどんな関係なの!?」
いきなり名前の方で呼ばれて『ちょっと馴れ馴れし過ぎやしないか?』とも思ったが、とりあえず質問に答えておく。
「え、えっと……、一応……イトコになるのかな…?(汗)」
『イトコ!!!』
打ち合わせでもしていたかのように声を揃えて復唱する男共。
「何だよリトの奴!!こんな可愛いイトコがいたなんて聞いてねーぞ!!(怒)」「なんでアイツばっかり女が寄ってくるんだよ、しかも美少女限定で!!(怒)」「チキショー、少しはこっちにも回せってんだよ!!(怒)」
普段思っているリトへの不満を爆発させる男共。
「レモンちゃん!!もしかしてレモンちゃんも結城の奴が――!!」
「え゛っ!?い、いや、あの、オレ…じゃなくて、ボクは別にそんな――(汗)」
『しかもボクっ娘くわぁぁぁ――――!!!!(狂)』
男共、更にテンションUP。
(……(大汗))
リトは思った…。今まで気付かなかったが、いや、薄々は気付いていたのだが…。いやいや、気付いてはいたんだけど認めたくなかったというか、改めて再確認したというか…。
(このクラス…、変な奴ばっか!!(大汗))
もっとも、その『変な奴』に自分は含まれているのかどうかは定かではない…。
ま、とにもかくにも…。
『結城梨斗』改め『結城零紋』の受難の学校生活が始まった――。
――――――「つっ、疲れたぁ~……」「だ、大丈夫?結城く…じゃなくて、零紋さん…(汗)」机の上でグッタリうなだれるリトを、春菜が心配そうに気遣う。休み時間の度に男女問わず質問攻め&好奇心の目に晒され、しかもこの『極上の短期編入生』の噂は瞬く間に全校生徒に広がり、そのおかげで教室の前には、一目見ようと上から下まで沢山の野次馬が押し寄せ、ようやく落ち着いた時には既に昼休みになっていた…。ちなみにどんな質問をされたかというと…。『レモンちゃんって彼氏いるの?』『レモンちゃんってどんな人がタイプなの?』『レモンちゃんってデートするなら何処行きたい?』『犬とお呼び下さい』……って、最後のは質問じゃ無いのでは…。「ねーねーリト~」「ララ、学校にいる間はその名前で呼ぶなって」「あ、そっか。えーっと…、何だったっけ?」「レモンだよ。レ・モ・ン」「んー、何か別の名前呼ぶのって違和感あるなぁ~」「仕方ないだろ、本名なんか名乗れる訳ないし」「む~、そうは言っても…。もっとこう…、違和感の感じない名前に出来なかったの?」「例えば?」「『リト子』とか『リト美』とか♪」「安易過ぎるしゴロ悪りーし一発バレだろーが!」「ぁ…ぁはは……(汗)」そんな風に、ララと簡素な漫才を繰り広げていると…。「ララちぃ~、春菜~、レモり~ん♪」籾岡と沢田が笑顔で近づいて来た。
「里沙、未央」「あ、リサミオ~♪」「れ、れもり…(汗)」(早くもあだ名すか…)苦笑いするリト――とゆーかレモンに籾岡が尋ねる。「ねーねーレモりん。すっかり聞くタイミング逃してたけど、レモりんは結城の奴がなんでしばらく学校に来れなくなったか知ってる?」「え゛!?ぁー…ぅん…(汗)」冷や汗を掻きながら、さっき速攻で考えた言い訳――もとい、来れない事情を話す。「ホラ、リトのお父さんで売れっ子の漫画家でしょ?実は今、物凄く気合の入った読切漫画を書いてるらしいんだけど、どうも作業の方が滞ってるらしくて…。それでリトが呼び出されたんだけど、なんせ連載も三本も抱えてるもんだからあまりにも進行が遅れててかなりギリギリの状態になっちゃってるらしくてさ…。それで二週間位帰るに帰れなくなったって言って、それで何を血迷ったのか、たまたまリトん家に来てたボクに…」『すまねぇがレモンちゃん、二週間ばっかしリトの通ってる学校に代わりに行ってやってくれねーかな?』「――って叔父さんに頼まれてこーゆー事になったってワケ(汗)」ここ最近、たまたま父・才培が書いていた読切漫画のネームの手伝いに追われていたから、すべて嘘という訳ではない。実際、何週間か後になったらその読切が雑誌に載るから辻褄は合うはずだとリトは思い、この様な理由になった。(ちなみに、その読切漫画の原稿は予想以上に早く仕上がっていたりする)「へ~。て事はレモりん、春菜とは昨日会ってたの?」「ま、まあね。ね?西連寺……さん(汗)」「う、うん…。零紋さん、昨日は…どうも…(汗)」「ふ~ん、そーなんだ。あたし結城の事だからてっきり、『日本全国メイド喫茶、完全制覇の旅』に出たんだと思った」「あー、結城だったらそんな理由も有り得るかも~」(オレってそんな印象!!?(ガビーン!!))心の中でショックを受けるリト。
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