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「古手川!? 待っ…」
ゴチ~ン!!!
勢いよく立ち上がりかけたリトの頭を遊具の天井が直撃する
「い……ってぇぇぇ!!?」
あまりの痛さにリトは涙ぐみながらその場にしゃがみ込んでしまった
頭を押さえた手の間から遠く唯の背中が走って行くのが見える
「……古手川…クソ」
痛む頭を無視して遊具から顔を出したリトに影が射す
ふと上を見上げると、そこにはいつもの笑顔がリトを出迎えた
「ララ」
「遅くなってゴメンねリト! 傘、持って来たんだけどいらなくなっちゃった」
「…………別に謝ることなんてねーよ」
勢いを削がれてしまったのか
ゆっくりと遊具から出てきたリトの声は心なしか元気がない
その顔も俯いた前髪に隠れてよく見えないでいた
そんなリトの様子に顔に?マークを浮かべるララ
髪から滴る雨粒が何度も地面を濡らしていくのもかまわず、リトは俯いた顔を上げようとはしなかった
(オレ何やってんだよ…)
冷たくなった手が赤くなるまでリトは拳を握りしめる
『バカッ!!!』
そう言って飛び出していった時の唯の顔が頭から離れない
「クソ────……」
リトの頬を雨粒が流れ落ちていく
その頬にやわらかくてあったかい何かが触れた
「え…」
チラリと横を見ると、不安そうな顔をしながらララがそっとハンカチを差し出していた
「ララ…」
「あ! よかった! びっくりしたんだよ? リト泣いてるのかと思っちゃったから」
「な!? そ、そんなワケねーだろ!」
手で慌てて顔を拭くリトに、ララはニコッリと笑った
「うん。じゃあもう大丈夫だね?」
「大丈夫って何が?」
ララは傘を差した腕で唯の走って行った方向をスっと指し示す
「ララ?」
「大丈夫だったらすぐに追いかけないと! 唯、待ってるよ」
「待ってるって…」
さきほどの光景が頭にチラつく。それにリトは顔をしかめた
「……あのなァ…」
「待ってるよ唯」
「……」
真っ直ぐに自分を見つめるララの目は、どこまでも透き通っていて、そして、眩しいぐら
いの明るい笑顔をリトに浮かべている
「リト」
ララの声は急かすでも乱暴なものでもない
そっと背中を押してくれる────そんな感じがした
「……ララ…オレ…」
「うん♪」
ニッコリほほ笑むララにリトはバツが悪そうに小さく笑った
「……はぁ~ホント、何やってんだよオレは」
自分を奮い立たせる様に、気持ちを切り替える様に、リトは両手で頬をパンっと叩くとい
つもの笑顔でララに向き直った
「ありがとな! ララ。オレ、行ってくるよ」
「うん! きっと……きっと、リトならだいじょ~ぶだよ♪」
ララは満面の笑顔を見せると、手をブンブン振ってリトを見送った


「ララ様よろしいのですか?」
頭の上のペケが心配そうに声をかける
「…うん。いいの」
「ですが…」
「いいの! だって……だって…リトが決めた人だもん。リトが好きになった人だから。
それに私、リトに幸せになってほしい! だって私、リトの笑ってる顔が大好きだもん♪」
「ララ様…」
「リトと唯、うまくいくといいね」
ペケはそれ以上なにも言わず、黙ってララと共にリトの背中を見送った
「あ…晴れてきたね?」
「そのようですね」
見上げるララの顔に日の光がまぶしいぐらいに差し込む
まぶしそうに細めるララの目からつーっと涙がこぼれ落ちた
「リトが幸せになれますようにって思ってるのに……思ってるはずなのに…なんだかちょっと寂しいな……」


(バカ、バカ、バカ、バカ、結城くんのバカーー!!)
心の中で大声でそう叫びながら、唯は走っていた
体力に自信があるわけじゃない、だけど今は無性に走りたかった
胸の動悸は治まらない
苦しいほどに締め付けてくる
それは、走っているからではないのだと唯は気付いていた
胸のあたりがどんどん熱くなっていく
唯はもう確信していた

私は結城くんの事が好きなんだ

それなのに

『ホラ、古手川ってクラスメイトだろ? それにオレ達ってと、友達だしさ……』

息を切らせながら足を止めると、唯は空を仰ぎ見た
雨雲の隙間から見える夕焼け空がこの時ばかりは憎らしく思える
「結城くん…」
空を見ながら呟いた好きな人の名が胸にずしりと重く圧し掛かる
自分の気持ちすらわからなくて、だけど、答えが知りたくて
その想いを見ようともせず、触れようともせず、ただ、迷って悩んで
もやもやしたまま時間だけが空しく過ぎて行って
そうして、やっと辿り着いた答えなのに────
「もう! いったい何のよ!?」
空に向かってぶんぶんと振り上げた腕が、空しく下ろされる
「────ホントにバカなんだから…」
さっきまではあんなに楽しくて、ドキドキして
誰かと一緒にいる事がこんなにもうれしいだなんて思わなかった
誰かを好きになる事がこんなにも幸せな事だなんて知らなかった

「結城くん。私…」
明日からどんな顔をしてリトと会えばいいのか、どんな声をかければいいのか
形のいい眉をひそめている時、後方からバシャバシャと水溜りを掛けてくる足音が聞こえてきた


「え…」
くるりと首だけを後ろ回した唯の目がみるみる大きくなる
「ウソ……結城…くん…」
全力で、そして必死な顔をして走ってくるリト
それはいつか助けてくれた時と同じような感覚を唯に伝えた
「…あっ…!?」
唯の前まで来ると、リトは肩で息をしながら立ち止まった
まだ乾き切っていない制服は、跳ねた泥水のせいで散々なものになっている
唯の口から驚きとも呆れともとれる小さな吐息がこぼれた
「……何か用なの」
それでもいつもの様に、いつも以上に冷たく接してしまう自分に、唯は心の中で「バカ」と呟いた
「あ…いや…古手川に話しがあるからさ」
「話しって? 風邪引きたくないからさっさと帰りたいんだけど?」
相変わらずの氷点下の声
ここまで必死に走って来たリトの心は早くもくじけそうになってしまう
さっきまであんなに魅力的だった唯の目でさえ、今はまるで自分を突き放す様に感じる
(………め…めげねーぞ…! これぐらいじゃ…)
「……ちょっと何なの? いい加減にして!」
リトの耳には呆れ半分、関わりたくない気持ち半分にも聞こえる唯の声に、体はビクンと震えた
「そ…その話しってゆーのは、ほかでもなくて……えっと…」
慌てて言葉を並び立てるリトだったが、空虚な言葉の羅列ばかりで肝心の言葉がまるで出てこない
ここまで必死に走って来たものの、何を言うのか、どんな言葉をかけたらいいのか、実は
まだ何も考えてはいなかったのだ
(そうだよ…この後ってどーすりゃいいんだ? 何言えばいいんだオレ…)

一方、唯はというと
一人頭を抱えてあわあわと呻いているリトを前にして、複雑な心境になっていた
(何なの……コレ)
さっきまでのドキドキさせてくれた顔も、自分の想いに気付かせてくれた態度も微塵もない
頼りなくて、カッコわるくて、まったくはっきりしないリトの姿
(私…どうしてこんな人、好きになっちゃったの)
思わず肩に持ったカバンがズリ落ちそうになってしまう
それでも腕を組みながらもずっとリトの言葉を待っていられるのは、やっぱり好きな気持ちがあるから
「……」
何も言わず唯はじっとリトを待ち続けた

「あ、あのさ、古手川」
「何?」
要約口を開いたリトを待っていたのは、さっきと変わらない氷の様な一声
「あ、いや…ホ、ホラ、体冷えてないかなっと思ってさ…」
(……何よそれは!? ずっと待っていた言葉がソレなわけ?)
何だか裏切られたかの様な期待はずれな展開に唯の頬が引きつる
「…別に。それに私の事なんてあなたには関係ないじゃない」
「そ…そりゃそーかもしれねーけど……」
(な、何よ! ちょっとは否定とかしてくれてもいいじゃない)
また唯の頬は引きつってしまう
「……それで、話しってそれだけなの?」
「え? あ、ああ…その…」
「ん?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「…………はぁ~…私、帰る」
「え?」
くるりと自分に背を向けて歩き出す唯の腕をリトは反射的に掴んだ
「ちょ…ちょっと! 何よ? 離しなさい」
「ま、まだ話し終わってないんだって」
握りしめてくる腕の力に合わせる様に、唯の感情も高まっていく
「じゃあさっさと言いなさいよ! だいたい何なの? 人をずっと待たせて、やっとしゃ
べったかと思えば『体冷えてない?』とか。いい加減にしてよね!!」
「古手川の体のこと心配しちゃダメなのかよ? おんなじクラスメイトだし友達だろ?」
間近で声を大きくさせるリトに唯はついにカチンときてしまった
「そんなの…そんなの…」
「え? 古手川?」
唯は目を鋭くさせると、キッとリトを睨みつけた
それは今まで見たことがない唯の怒りの表情
そして、悲しい顔だった
「そんな事で優しくなんかしないでよ!」
「え?」
溢れる感情は声となって止まらない
「クラスメイトだからとか…友達だからとか……あなたがそんなだから私…私…」
悲しみやガッカリ感よりも、どうしていいのかわからない気持ちと苛立ちとで、唯の中はムチャクチャになっていた
初めて誰かを好きになって、恋をして、そして、その恋に期待して
ここ数日間が頭の中でぐるぐると回り始め、唯の目に薄っすらと涙が滲む
(古手…川)
「もう私に構わないで! 放っておいてよ! これ以上、私を期待させないでよ!!」
それはきっととても我ままで、身勝手な言い草なのだろう
それでもリトは何も言えず、ただ茫然とした表情で唯の顔を見つめていた
「も…もういいでしょ! 離してっ」
腕を振りほどこうとする唯に、リトは思わず掴んだその手を離しそうになってしまった
が、咄嗟に手に力を込めると唯を自分に向けさせる
「ちょ…結城くん!?」
唯を真正面から見つめながらリトは掴んでいない反対の手をギュッと握りしめた
「ごめんな古手川。オレお前の気持ちとかそーゆーの全然考えてなくて、自分のことばっかお前に押し付けてさ」
「そ…そんなこと」
弱々しい声のまま唯は俯いてしまう
「さっきお前が怒った後も、今もオレ、色々考えたんだけど、やっぱよくわかんなくてさ
…。だけどオレのこんな態度がお前を傷つけたのは確かだし、ホントにゴメン」
「わ、私は…」
それ以上言葉が出てこなかった。ただ、結城くんも私と同じなんだなと感じた
お互い相手を想いながら、それでもちゃんとした答えが出てこない、出せないでいる
このままじゃダメだと思った。このままでいいはずがないと思った
唯はありったけの勇気をだして一歩前に踏み出してみる
「「あの…」」
「え…」
「あ…」
重なってしまったタイミングにまた微妙な雰囲気になる
「なんだよ?」
「あなたこそ…」
お互いチラチラと顔を見ては、目が合うと急いでそらす事の繰り返し
しばらくして、リトが話を切り出した
「これじゃダメだ…」
「え?」
「こんなんじゃダメなんだ! はっきりしなきゃ、ちゃんと言わなきゃ、ちゃんと伝えないとダメなんだ!!」
ふと見上げた唯を待っていたのはいつものリトの顔だった
あどけない少年の様な顔の中に、今は、真剣なものがあって
唯は吸い込まれる様にじっとリトの顔を見つめた
「オレ…オレ、好きだ! 古手川のことが」
「……」
唯はリトが何を言ったのか一瞬わからなかった

「…え…ぁ…い、今…なんて…」
「だから! 好きだって言ったんだ。お前のこと…」
「ウ…ソ……」
「ウソなんかでこんな事いうワケねーだろ!!」
リトは真っ赤になった顔でそれでも全力で唯の言葉を否定する
「で、でも私…」
唯はまだ状況が理解できないのか呆然とした目でリトを見ている

好き
結城くんが私のことを────?

次第にゆっくりとその言葉の意味が唯の胸の中で染みわたっていく
「…あ…ぁ…」
一段と大きくなった黒い瞳は次第に左右にゆらゆらと泳ぎ出し、頬は夕日よりも赤く染まっていく
「古手川の返事……聞かせてほしい」
ビクンと体が震えた
「私の……返事…」
「ああ。聞かせてほしいんだ」

結城くんへの気持ち
そんな事はもうわかっている。どれだけ想って、どれだけその想いを積み重ねてきたか
他の全てがダメでも結城くんへの想いだけは誰にも負けない、負けない自信があるから

唯は両手を握りしめると、目一杯の想いを乗せて想いを口に出そうとした
が、できなかった
(あれ? どうして……だって…)
リトへの想い
それはいっぱいいっぱいありすぎて、いっぱいいっぱい伝えたい事が多すぎて
言葉にはできないぐらいありすぎて
唯は声に出せなかった
(どうして……)
やっと辿り着いた気持ちなのに、やっとわかった答えなのに
初めての恋が唯からいつもの自分を奪っていく
(どうしたら……どうしたら…)
顔を見なくたってわかる。リトは待っている
不安そうな顔をしながら、逃げ出したくなる衝動をぐっと我慢しながら待っていてくれる
唯は奥歯を噛み締めた
(また…また私は……いつもいつも結城くんに……)
甘えて、文句を言って、助けてもらって、怒って、守ってもらって、冷たくして
くやしかった
こんな時ですら自分の気持ちを素直に言葉にできない事が
そう思った時、唯の頬に涙が伝っていった
「古手川!?」
目を丸くするリトの前で唯は生まれて初めて、誰かの前で泣いた
自然と涙が溢れ出して止まらない
「…ぅ…うぅ…」
「あ、あのさ…その…」
リトの困った様子が胸に響く
「と、とりあえずさホラ、これで涙拭けよな」
「へ…」
そう言って差し出してくれたハンカチは、さっき公園で使ったものと同じものだった
「その……お、落ち着いてからっつーかその……古手川が大丈夫になるまでオレ待ってる
から! だから気にすんな! オレなら平気だから、な?」
ニカっと笑いながらそう言ってくれるものの、完全に目は泳いでるし、冷や汗だって出ている
でも、その気持ちがうれしかった
いつもくれるその笑顔が、いつも感じるそのやさしさが

「結城……くん…」
その呼び声を後ろに残して、唯はリトの胸の中に飛び込んだ
「こ、古手川!?」
びっくりしているリトに構わず、唯は制服のシャツを握りしめたまま胸に顔をうずめた
甘えてるってわかってる
わかっているけど、今はこうしていたかった
リトの優しさを温かいぬくもりをもっと感じたかった
しばらく宙を彷徨っていたリトの両腕はゆっくりと唯の背中に回される
「……!?」
「大丈夫だって。待ってるって言ったろ? お前が大丈夫になるまでオレはずっとこうしててやるからさ」
「…うぅ…ひっく…うん…うん」
涙で濡れながら唯は何度もリトの腕の中で頷く
雨はすっかり止み、雨上がりの匂いに混じって夏の匂いがあたりにしだした頃
唯は少し体を離すと目元をゴシゴシとハンカチで拭いていく
「大丈夫か?」
「……うん」
小さくコクンと頷く唯にリトはホッと溜め息を吐いた
「にしてもびっくりした。古手川がこんなに泣くなんて」
「わ、わるかったわね」
恥ずかしそうにぽそぽそ話す唯にリトは笑みを深くした
「……それでさ…返事できる? ホントに大丈夫か?」
唯は何も言わないままリトの制服をキュッと握りしめている
「古手川?」
「……いい加減気付きなさいよね? す…好きでもない人の前でこんな恥ずかしいマネ、私しないわ」
「…………へ? そ、それって…」
たっぷり数秒使って導き出した答えにリトの顔がぱあっと輝く
「ちょっと鈍すぎよ! 結城くん」
ふいっと顔を背けるも唯はリトから離れようとはしない
そればかりか制服を掴む手の力は強くなっているほどだ
「ありがとな!! すげーうれしい」
「…そ、そう?」
なんて素っ気なく応えるも、唯の声がうれしさと恥ずかしさで小さく震えている事にリトは気付いただろうか
リトは自分の気持ちを表す様に唯の細い体をもう一度抱きしめた
「キャ!? ちょっと結城くん?」
「古手川!!!」
本当にうれしそうに幸せいっぱいに顔をほころばせるリト
(結城くん……そ、そんなにうれしいんだ…)
間近に感じるリトの匂いだけでどうにかなっちゃいそうなのに、そんなうれしそうな顔を
されたら、このままみんなとけてなくなってしまいそうになってしまう
「結城くん…」
しばらくその幸せを胸いっぱい、体いっぱいに感じているとふいに気付いてしまう
ここは外で、そして自分達はまだ……
「ダ、ダメよ!! こんな事はっ」
「へ?」
唯はリトから慌てて体を離した
「古手川? どーしたんだ」
「どうしたもこうしたも…」
唯は真っ赤になりながら、息をハァハァと乱している
「なんだよ? オレなんかおかしな事…」
「そ、そうよ! またあなたって人はっ!!」
「え?」
「わ、私たちまだ高校生なのよ? だ、抱き合うとかこんなハレンチな事…」
リトは頭を掻きながら不思議そうに眉を寄せた

「でも、オレたち付き合うんじゃ…」
「だ、誰もまだ付き合うだなんて……そ、それはまたちゃんとその…」
どんどん声が小さくなる唯にリトは首を傾げる
「う~ん……あのさ、好き同士ならフツーは…」
「普通じゃないに決まってるでしょ! 私たちはまだ学生なのよ! もっと他にやるべき事があるでしょ!?」
「そりゃまあ…」
声を濁すリトに何を思ったのか唯は声を鋭くさせる
「……言っとくけど結城くん、付き合ったってハレンチな事は絶対しないからね!! か、
彼氏だからって甘くなんかならないんだから! 手だって繋ぐとかしないからね! ちゃんとわかってるの?」
「ええーーっ!?」
心底びっくりしたのか、リトの目はまん丸だ
「当たり前でしょ!! そんな事っ」
胸のあたりで腕を組むいつもの唯に、リトは驚きつつも、内心、苦笑をしていた
(ホント、マジメっつーか…)
だけどそんな唯が好きなのは事実
リトはもう一度想いを込めて、唯に気持ちを告げた
「それでもいいよ。古手川が一緒にいる……それだけでオレはすげーうれしからさ」
まだまだ幼い少年の様なリトの笑顔
だけどその顔が今は少し誇らしく思える
「…………そんな恥ずかしい事言わないでよね……バカ」
少し口を尖らせながらそう呟く唯だったが、リトを見つめる目はどこまでも優しくて、そ
して、リトに負けない様に幸せそうに笑っていた

雨上がりの帰り道
どちらもまだまだ互いへの気持ちを全部は言えていない
恥ずかしさとうれしさで、声に詰まったり、言葉にできなかったり
だけど、それでもいいと思う
お互いの違いで、時にはケンカして、また気持ちを知ったり、確かめ合ったり
新しい顔や仕草を見つけたりして
少しずつ進んで、少しずつ大きくなって

焦らずに進んでいけばいい
どんな事があってもきっと結城くんとなら、二人なら大丈夫だから

二人の物語がこれから始まる