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デビルーク星の王女の婚約者候補というだけで、
俺は腐る程大量の宇宙人から命を狙われる羽目になってしまった。
連載初期の頃はまだこの漫画の路線も定まってはいなかったようで
ちょっとバトルモノっぽくなりかけていた時期もあったし
その頃はしょっちゅういろんな宇宙人が俺を狙ってきたものだ。

この金色の闇という少女もその一人。
いつの間にか俺を殺そうとする事を止め、周囲と馴染みきって、
ヤミ、ヤミと呼ばれて親しまれるようにはなったが
未だにこの少女が俺を殺す事を止めた理由はよくわからない。
本人はまだ俺を狙っている風に話すが、その割には全く手を出してこない。
(俺の方からアクシデントで彼女に不快な思いをさせた時は別)

そんな彼女は、いつしか俺を殺さないばかりか、
俺を守ったり、俺を庇って戦うようになっていた。
ついこないだ現れた、糸を使う刺客と戦った時もそうだ。
この人は私の得物……じゃない、獲物とか何とか言って、俺を守って戦ってくれた。
こいつの考えている事は俺には全く理解出来ない。
美柑は「そんなんだからモテないんだよ」「気付いてもらえなくてヤミさんカワイソー」
などと言ってせせら笑うが、こいつには何か察する事が出来ているんだろうか。
俺にはさっぱりだ。

そんな彼女に、タイヤキを買ってあげる約束をしてしまった。
しかも50個。
命を守ってくれたのだから、まぁタイヤキ50個くらいは安いものだ。
一個100円と見積もってもわずか5000円で済むのだ。
小遣いはピンチになってしまうが、5000円で命が買えるんだから儲けモノ。
そこで俺はヤミを連れて、タイヤキを買いに行った。

一日目。
今日から俺の、金色の闇・観察記録が始まる。
何故なら俺はこの金色の闇という少女と、半ば同棲する羽目になってしまったからだ。
いきさつを話そう。

タイヤキ屋さんに連れて行ってやると持ちかけた時の彼女は、少し嬉しそうだった。
表情の変化には乏しいが、これで案外気持ちが顔に出やすい奴だ。ただ目立たないだけで。
しかし一人で行くのも怖いので、ララを連れて行く事にした。
ララも来ると知った時にヤミが心なしか不機嫌そうな顔をしたが、きっと気のせいだろう。
こいつはララを敬愛しているので、ララが一緒にいて不機嫌になる理由が見当たらない。
本当は美柑を誘って行くつもりだったのだが「二人きりで行った方が良いと思うけどなぁ」
などと言い張られ、断られてしまった。
そう言えばこの事と、ララがいる事をヤミが不機嫌がる事と、何か関係でもあるんだろうか?
うーん、俺にはわからない。

そしてタイヤキ屋さんについて、タイヤキを50個買いたいとおっちゃんに申し出る。
するとそこでまた、ヤミが不機嫌そうな顔をした。
「一日に50個も食べられるワケないでしょう、途中で全部冷めます」だと。
50個買えっつったのはお前だろうが。しかしおっちゃんも「50個は無理」と苦笑いしていた。
仕方がないので考え込んだ挙句、割賦で支払う事に決まった。
これから一日に一個ずつ、彼女にタイヤキを買ってやるのだ。
毎日ヤミに会わねばならないとなると俺は少々怖くなったが、ヤミは何だか嬉しそうだった。
勿論、殆ど表情には出そうとしないのだが。
とりあえずこの日は一個だけ買ってやって、それで満足してくれた。
これを後49日も続けねばならないと考えると、何とも、まぁ……。

二日目。
授業が終わると、校門前でヤミが待っていた。
俺がタイヤキをオゴる事を忘れていないか、確認と念押しのために来たのだとか。
案外現金でケチでセコい奴だと思ったが、ペケには
「これだからリト殿は女心がわからないと言うのです」などと呆れられてしまった。
俺何か悪い事したか?
猿山や友人たちには会い引きだと思われたらしく、やたら羨ましがられた。
ったく、俺とこいつとの関係はそんなんじゃないんだけどなぁ、ホントに。

一緒に帰りながら、またタイヤキを買ってやった。
これがあと48日続くのか。いつ襲われるかと冷や冷やものだ。

三日目。
午後から雨が降っていた。
さすがに今日は校門前で待ってはいないだろうと思っていたら、
校長に許可を貰ったらしく、昼頃からずっと図書室で待っていたらしい。
ヤミから伝言を頼まれたという図書委員の言葉を「まさか」と思いつつ
図書室に行ってみると、実際に静かに着席して本を読んでいたのでビビった。
部外者を図書室に居座らせた挙句伝言まで承るとか、この学校何でもアリか。

しかし校門前にしろ図書室にしろ、いれば注目されてしまい、
無用に(主に男子から)声をかけられて面倒くさいのだとか。
だったらタイヤキの事を諦めてくれれば良いものを、それだけは出来ないらしい。
美柑曰く「諦められないのはタイヤキじゃないくて……」とため息をつかれた。
しかし相変わらず何の事だかさっぱりわからない。

ララの提案で、何とヤミまで俺の家に居候する事になった。
どうせ待つのなら校門だとか図書室とかより、俺の自宅の方が手っ取り早いし
誰にも注目されないで済むだろう、との事だ。……近所の人からは注目されそうなもんだが。
勿論俺は焦ったのだが、美柑は逆に乗り気だった。
部屋は幸い、ララのために空けておいた部屋が、ララがラボを作ったために余っているので
そこに寝泊まりしてもらう事になった。
これから毎日殺し屋と一つ屋根の下だ。
放課後家に帰ったら毎日彼女を連れてタイヤキを買いに行かねばならない。
期限はタイヤキ50個制覇するまで、つまりあと47日。
一ヶ月半もこいつと暮らすのか。俺生きていられるんだろうか。

四日目。
授業が終わったので、家に帰る。
先に帰っていた美柑の計らいらしく、ヤミは俺の部屋で待っていた。
冗談じゃない、何で殺し屋に部屋に上がり込まれなきゃならんのだ。
しかし刺激しなければ無害なので、まぁ良しとしよう。
ヤミを伴って外出し、タイヤキを買ってやる。

毎日二個ずつ買ってやれば、ヤミも一個よりは二個の方が嬉しいだろうし、
何より俺との同棲期間を大幅に短縮出来る。
ヤミにとっても好都合な提案だろうと思ったのだが、何故かまた不機嫌な顔をされた。
仕方がないので、結局一日一個ずつのままで妥協した。
一体こいつは、俺とそんなに長く一緒にいたいってのか? ハハ、まさかな。


五日目。
この日は学校が休みだったので、朝からタイヤキを買いに出かけた。
こいつの主食はタイヤキだそうなので、朝昼晩と三食分オゴってやって、
ついでにその分同棲期日を短縮しようと試みた。
しかしその提案は無駄に終わった。
どうしてだか知らないが、こいつは頑なに、一日一個で良いと言い張るのだ。
まぁ朝と晩の飯は美柑が用意するし、その分の食費は
暗殺稼業で稼いだ金で、ちゃんと支払ってもらっている。
別に一日一個でも問題は何も無いのだが、苦痛の期間が長くなるのはちょっと……。

途中、彼女の格好が珍しかったようで、そこかしこでヒソヒソ話が聞こえてきた。
あまりあの格好で街をうろつくのは得策ではないかもしれない。
ララの格好よりは大分マシだが、足にベルトってのは少なくとも変だろう。
一度沢田達が服を選んで買ってやってるにも関わらず、何であれを着ないんだろう。
あ、そっか。ケンカして破れたんだっけ。
と言うわけで、明日から街を出歩いても不審がられないよう、お洒落な私服を買う事になった。
何故か服選びに俺まで付き合わされたが、ヤミの機嫌は悪くなさそうだった。

六日目。
今日も学校は休みだ。
また二人で街に繰り出す。相変わらずタイヤキを美味しそうに頬張るヤミ。
服はもう普通なのに、顔立ちが可愛いからか、一緒にいると俺まで注目される。
何であんな並フェイスの男があんな可愛いのを連れてるんだ、といった感じだ。
俺だって好きでこんな危ない子を連れてるわけじゃないんだけど、
周りの男達相手にちょっとした差をつけたようで、悪い気はしない。


七日目。
今日はヤミに怒られた。
朝学校に行く時、ヤミがぐっすり寝ていたので、起こさなかったのだ。
その事が不愉快だったらしい。
ま、起きたら誰もいなかったってのは、確かに辛いかもしれない。
美柑が書き置きは残して行ってたんだけどな。
と言うわけで今日から毎朝ヤミを起こしてやるのが俺の役目になった。


八日目。
今日もまたヤミに怒られた。
昨日起こせと言ったから起こしに行ったのに、今度は
「寝顔を見られた」とか「起きぬけの無防備な顔を見られた」とか
一体お前はどっちにして欲しいんだと思ったが、それを指摘すると彼女はシュンと項垂れた。
どうにもこいつの扱いは難しい。

タイヤキを一個余分に買ってやって機嫌を取る。
これによる同棲期間の短縮はしないから安心しろと言ってやると、
無表情のままご満悦の様子だった。

九日目。
昨夜からこいつは俺の部屋に寝泊まりするようになった。
それも恐ろしい事に、俺と同じベッドでだ。
そうしておけば、彼女は殺し屋だ。
あらゆる音に俺より敏感だから、目覚ましが鳴ればまず間違いなく俺より先に起きるだろう。
その上で彼女が俺を起こせば、彼女が俺に寝顔を見られる心配は無くなる。

しかしそれだと、別に自分の部屋で目覚まし設定してりゃ良いんじゃないのか、という疑問と
夜中俺がふいに目を覚ました時に、しっかり寝顔を見られる可能性が残っているのだが
そこをツッコむとヤミは押し黙り、
美柑は「野暮なツッコミしないで受け入れてあげなよ」と言ってきた。
まぁヤミの場合はララと違って裸で寝ないのと、背格好が小学生くらいなので
俺もそんなに恥じらわなくて済むから、比較的一緒に寝る事を許容しやすいけど。
これから先、今日を含めてあと41日、こいつと一緒に添い寝するのか。
命が危ないような気が……。


十二日目。
朝からヤミが顔を真っ赤にしている。
起きた時に俺の朝勃ち部分に足が当たってしまったらしい。
そんなの俺の責任じゃないし、つーかそもそも俺のベッドで寝なきゃ良いのに。
「地球人男性にとって回避不可能な生理現象の一つだと本に書いてありましたから」
と、本人は納得している様子だが、ちょっとでもその話に触れるとすぐに髪をナイフにする。
仕方ないので、またタイヤキを一個サービスして機嫌をとる。


十五日目。
また朝からヤミが顔を真っ赤にしている。
今度は本当に理由がわからない。
今日は珍しく俺が目覚ましが鳴る前に起きたので、彼女の寝顔を見てしまったのだが、
その事で怒っているのだろうか?
「寝顔可愛かったよ」と冷や汗かきながら言ってやったら、余計に顔を赤くした。
しかし機嫌は悪くないみたいだ。一安心。

二十日目。
今日は俺まで顔が真っ赤だ。ヤミも勿論真っ赤だ。
何故かと言うと、朝起きた時、俺がヤミに腕枕する格好で寝ていたからだ。
どちらが悪いわけでもない。寝てる内に、寝返り打ったりして、お互いたまたまそうなったのだ。
超至近距離で顔を見合わせた俺達は、しかしその後は一日中、顔を見合わせられなかった。

ただこの日から、ヤミが俺と出かける時は、こっそり俺の服の袖を摘まんで歩くようになった。


二十三日目。
とうとうヤミと、本格的に手を繋いで歩くようになった。
タイヤキも一個丸々オゴってあげるのではなく、
二人で一個を半分に分けて食べる方が、喜んでくれるようになった。何故だろう。
そう言えば最近部屋が綺麗な気がするので、試みに聞いてみたら、
どうやら昼間俺とララと美柑が学校に行っている間、彼女が掃除してくれていたらしい。
見様見真似だからまだピッカピカには出来ないと言って顔を背けたけれど、
とても嬉しい事なので、俺は素直に喜んで褒めた。
心なしか、ヤミが手を握ってくる力が、少しだけ強くなった気がした。

その日の夜からヤミは、必ず俺の腕枕で寝るようになった。


二十五日目。
今日で同棲生活の折り返し地点だ。半分まで済んだ。

ヤミとキスした。
ベッドの中でだ。
灯りは消していた。
ヤミは少し驚いて身を捩ったけど、抵抗も反抗もしなかった。
殺されるかと思っていたのだけれど、彼女は黙ったままだった。
何で突然こんな事しちまったのか、自分でもわからない。
その日はお互いに無言で、しかし寝付く事も出来ず、一晩中黙ったまま起きていた。

あと半分しかヤミと一緒にいられないのが、そろそろ寂しくなってきた。

二十六日目。
昨夜眠れなかった分、授業中に居眠りしてしまっていた。
ヤミはずっと家で一人で寝ていたらしい。

ヤミを抱き締めた。
ベッドの中でだ。
灯りは消しいてた。
ヤミは驚いて身を捩った後、順序が逆です、と呟いた。
何の事かと思ったが、昨日のキスの事らしい。
ハグが先で、キスはその後、の方が彼女の理想だったらしい。
今夜も眠れなかったけれど、昨日とは違う理由からだった。
二人とも抱きしめ合ったまま、一晩中キスを続けていた。
俺の背中に回る彼女の腕が細くて、その細さが何だか切なくて、
俺は翌朝彼女から離れて学校に行くのが、たまらなく寂しかった。

あと24日しか無い。


二十七日目。
ヤミと寝た。
ヤミと抱き合った。
ただ寝たのではない。ただ抱いたのではない。もっと暗喩的な意味でだ。
ただ寝るだけなら、ただ抱くだけなら、とうに済ませている。
この夜の行為は、そんな浅い意味合いの行為ではない。

ヤミの体は小さく細く、まるで美柑のようだった。
小さな唇が何度も俺の名前を読んだ。
その度に俺は「ここにいるよ」と呟き、安心させてやるように、自身の唇を重ねた。
胸は小さくて揉み応えはなかったが、そんな些細な事はどうでも良かった。
舌を絡ませ、唾液を絡ませ、視線を絡ませる。
こんな小さな美少女が、普段誰にも見せないような扇情的な表情を返してきた。
瞳は切なそうに潤んでいる。
タイヤキを食べている時も幸せそうな(無表情だが)顔をしていたけれど、
彼女が今宵見せた表情は、それよりも遥かに幸せそうだった。
乳首を甘噛みすると、指先でシーツの端を軽く握りしめ、ピクンと肩を跳ねさせた。
もう一度、彼女が俺の名を読んだ。
「……夜だけ、俺の事『結城リト』ってフルネームで呼ばなくなるんだな」と俺は言った。
「……夜だけ、あなたは私にわざと意地悪を言うんですね」とヤミが言い返した。

指くらいしか入らなさそうに見える控え目な唇。
玩具みたいに小さな舌。
水が溜まりそうな程くっきりと彫り込まれた鎖骨。
揉むよりも撫でる方が似合いそうな乳房。
背格好に反して大人のように硬く尖った乳首。
綺麗で使いこまれていない桃色の乳輪。
腋から下乳へのなだらかなライン。
その全てを俺は舐めつくし、触り尽くし、俺の唾液と彼女の汗で汚した。
金色の髪が俺の体にまとわりつき、俺を離すまいとする。
上半身はもうそろそろ十分汚した。
次はいよいよ……。

そこは背格好相応に、毛の一本も生えていなかった。
或いはヤミの星の一族は、元からここに体毛が生えないのかもしれない。
スジが一本、縦に通っているだけだ。
小さい頃美柑と一緒に風呂に入った時も、確か蜜柑のアソコはこんな風だった。
溝にそって指先を這わせると、ヤミが一際大きく体を跳ねさせた。
彼女がもう一度俺を呼ぶ声が聞こえる。
スジに指を当てて左右に押し広げてやると、何とか中身が出てきた。
だが敏感らしく、まだ外気に晒されただけなのに、ヤミの顔は放心しかけている。
恐る恐る指を突き立ててみると、ヤミの口から「ひぅっ」と、珍しい声が聞こえてきた。
ピンク色で、プニプニしてて、けれどその柔らかさとは裏腹に、
指が一本も通らないくらい狭い。
何とか人差し指を第一関節くらいまで突っ込んでみると、もう指の方が痛くなってくる。
それでもヤミはその百倍は痛いようで、拷問でも受けているかのような顔で苦痛に耐えている。
俺はそこをもっと柔らかくしてあげたいと思ったので、優しく舐めてあげた。
唾液がある分、乾いた指で触られるよりはマシだろうと思ったのだ。
やがてヤミの股間は俺の唾液以外の液体で湿り始めてきた。
痛みもいくらか和らいできたようで、いつしか表情から苦しみが消えていた。
彼女は太股で俺の首をがっちりとロックし、両手で俺の頭を押さえた。
もっとずっと舐め続けていて欲しいのだと思った。
可愛らしい高音域の吐息が微かに聞こえてくる。
しょっぱくなってきたソコにまた指を入れてみると、思った通り柔らかくなっていたみたいで、
今度は指が一本だけなら何とか奥まで入るようになっていた。
それでもまだムスコを入れるのは無理だろうと思ったのだが、ヤミは首を横に軽く振った。
何を言っていたのかは声が小さすぎて聞き取れなかったが、何となく言いたい事はわかった。
頑張るから、お願い。
そう言っているに違いなかった。それを無下にには出来なかった。

小学生みたいに小さな体。
ナカはぎゅうぎゅうとキツく、俺のモノが千切れてしまいそうだった。
こんなにキツいんじゃ、ヤミのナカは大丈夫なのだろうか?
よくわからないけど、裂傷とかしないんだろうか?
そんな不安もよぎったけれど、ヤミの恍惚とした表情を見る限り、大丈夫そうだった。
無表情の彼女が見せた、いつもの彼女とは全く違う表情に、俺は心を奪われた。
可愛い。
何でこんなに可愛いんだ。
反則だろ。
ヤミは元々顔立ちは可愛い方だったけど、今はそれ以上だ。
俺は腰を振りながら、彼女にキスをし続けた。
硬く尖った小さな乳首が俺の胸板に当たる。
細い腕が俺の首に絡みつき、細い脚が俺の腰に絡みつき、金色の髪が俺の体全体に絡みつく。
これじゃ外に出したくても離れられない。
もっともその時の俺には、外に出すなんて理性的な思考は残っていなかったけれど。
ヤミの背骨が折れてしまうのではと危惧してしまうくらい強い力で、俺は彼女を抱き締めた。
あれだけ怖かった彼女の髪が、今では愛しくてたまらない。
もっと俺に絡みついてくれと切に願う。
何で俺は彼女との同棲を怖がっていたのだろう。
何で俺は彼女がタイヤキを50日間奢れと言ってきた時、それをラッキーだと思わなかったのだろう。
50日も彼女と一緒にいられるのだ。その事を喜ぶべきだった。
50日しか彼女と一緒にいる口実が得られないのだ。その事を惜しむべきだった。
「あっ、あぁあ、あぅあぁ、わたっ、わたひぃっ、もうぉ……イキそうですぅっ」
どこでそんな言葉を習ったのかと聞いたら、地球で読んだ本にそういう言い回しがあったのだとか。
こいつ普段どんな本読んでんだ?
「アッ、ンンっ、いぐっ……イク時は一緒に……お願いンアぁっ」
「はぁ……当たりっ……前、だろっ……はっ……はぁっ……」
隣の部屋で寝ている美柑に、パンパンとぶつかる尻の音が聞こえていはしまいか、少し不安になった。
だがもうその時はそれどころではなかった。俺の頭の中に、そんな些細な危機感など無かった。
「アァッ……あァぁぁぁアァぁぁアぁぁぁっッ!!」
その夜俺は、ヤミの中に大量のザーメンをぶちまけた。

三十日目。
今日から試験一週間前だ。
期末試験が終わると、そのまま二学期が終わる。
本当なら試験勉強のために半ドンになっているのだが、俺にとってはもう関係無かった。
せっかく美柑が帰るより先に帰れるのだ。チャンスとしか言いようがない。
俺は昼間からヤミと愛し合った。
ここ三日間、夜は毎晩愛し合っていたけれど、昼からというのは初めてだったし、
ヤミもあんな無表情で無反応だったけど、機嫌は良さそうだった。多分嬉しいのだろう。

でも終わった後で、ヤミに注意された。
このままだと試験の成績がうんたらかんたら。
うーむ、確かにそっちも捨て置けない大問題だ。落第とかはいくら何でも嫌過ぎる。
ちょっとは本気で勉強を始めるか。


三十七日目。
期末試験初日だ。
ララは勿論の事、たくさん本を読んでいて学習能力の高いヤミも、俺の勉強をサポートしてくれた。
お陰で試験勉強は随分はかどり、試験初日の感触も悪くない。
自己採点では学年の上の下くらいには入っていると思う。
お礼にヤミにタイヤキを三つ奢ってやろうとしたら、本人に止められた。
試験はあと二日ある。残り二日間もタイヤキを三つずつ奢るつもりなのかと言われたのだ。
俺はそれでも良かったんだけれど、ヤミ自身が少し呆れているようだった。


四十日目。
とうとう冬休みに入った。
試験は昨日で全て終了している。いずれの教科もまず落第はしないと言い切れるレベルだった。
俺はお礼のために、ララとヤミの二人それぞれにタイヤキを奢ってやった。
ヤミが俺の家からいなくなるまで、あと十日。
せっかく休みなのだから、一日中彼女とセックスしていたかったけれど、
休みなのはララと美柑も同様で、なかなか二人きりになれない。
まぁ良い、夜寝る時はどうせ二人きりなんだ。

晩飯にやたらとマムシやら栄養ドリンクやらが出てくる。
美柑に聞いてみたら「ムフフ」と意味深に笑われた。キショい。
「頑張りなよ?」とニヤニヤ笑われながら言われた。
どうやら俺とヤミの夜の行いが筒抜けらしい。
俺とヤミは二人して顔を真っ赤にした。

四十八日目。
明後日で最後だ。
明後日になれば、ヤミが俺の家にいる口実が無くなる。
口実が無ければ一緒にいてはいけないのかとも思うが、そこは俺もヤミも素直じゃない。
正直に「ずっと一緒にいて欲しい」と言えば良いだけの事なのに、それが言えない。
俺は根性無しだし、彼女だってそんな事言えるようなタマじゃないだろう。
明日はどうなる事やら。

今日も彼女にタイヤキを買ってやった。
「あなたが買ってくれるから、最近自分のお金でタイヤキ買った記憶が無いですね」
と言う彼女に、そもそもお前金持ってたのかと問いかけてみると、
彼女は少し表情を曇らせてから「あなたと違って職業も貯蓄もありますから」と答えた。
彼女の職業と言えば、殺し屋だ。
俺はたまたま殺されなかったが、やっぱり今まで何人も殺してきたのだろうか。
俺が大好きな、あの髪で。毎晩指に絡ませて撫でてやっている、あの髪で。
黄金色に混じってドロリとした血の色が滴る様を想像して、俺は少し寒気がした。
冬だから身震いは気温のせいに出来たが、ヤミには見抜かれていそうだった。

「ヤミにタイヤキ奢るのも、明後日で最後だなぁ」
場を誤魔化すために、俺はそう言った。
彼女が何と答えてくるか、試す意図もあった。
寂しがってくれるなら、こんなに嬉しい事は無い。
果たして、彼女は言った。
「……何言ってるんですか。命のお礼が、たった50日で済むと思ってたんですか?
 まだまだ全然奢られ足りないですよ。命というのは文字通り一生モノですから。
 一生を救ってもらっておいて、50日で返礼が済むわけありません。
 これからもずっと毎日、私にタイヤキ奢り続けて下さい」
ムカ。
何か今とてつもなくイラッとしたぞ。
何でもう少しでこの同棲生活も最後だと言うのに、こんな辛辣な言い方をするんだコイツは。
「何でそんな命令口調なんだよ」
その時の俺は、少し感情が表に出過ぎていた。
そんなつもりはなかったのだが、あからさまに冷めたい表情をしていたと、後にヤミは語る。

四十九日目。
大変だ。
朝からヤミがいない。
少なくとも今日までは一緒にいてくれる筈だったのに。
朝起きたらもうベッドの中にいなかった。
俺は眠りの深い方とは言え、彼女が起きて出て行く事に、気付かなかったとは。
気配も物音も感じさせない辺り、さすが暗殺者だ。
ララの部屋も、美柑の部屋も見たがいない。
机の上には書き置きがあった。
「今までお世話になりました。今日からまた一人で暮らします」
俺は、春菜ちゃんや古手川や猿山、いろんな人に電話した。
彼女らがヤミの居場所など知るわけはないと冷静に考えればわかるのに、俺は焦っていた。
そして当然、見つかるような事は無かった。

何があったのか、喧嘩でもしたのかと、美柑が聞いてくる。
だがさっぱりわからない。
強いて言うなら、ヤミが辛辣な言い方をした事を、俺が諌めたくらいだ。だがそんな事で?
美柑は「所詮リトはリトだったか……」とため息をこぼしていた。何の事やらさっぱりわからない。

その日の食卓は静かだった。
ちょっと前までは、ララがいるだけで騒がしいと思っていたのだが。
今日はララはいるのに、ヤミがいないだけで、皆黙々と仏頂面で箸を運んでいる。

はたと、途中で俺は気づいた。おかずの量が多い。
コロッケの数が三人で割れない。
それを指摘すると美柑は「……いっけない、一人分多かった」と呟いた。
古典的な失敗をやらかす奴だと思ったが、すかさずララが言った。
「おかずが一人分多いんじゃないんだよリト。家族が一人少ないんだよ」
彼女はいつものように笑ってそう言ったが、思わずこちらが押し黙ってしまうような重みがあった。

五十日目。
モヤモヤした気分が晴れない。
ずっとベッドの上で寝転がり、両手で後頭部を抱え、落ち着かず寝返りを打つ。
ヤミが出て行った理由が未だにわからなかった。
そう言えば、昨日はヤミがいなかったから、タイヤキを買ってやれなかった。
50日間奢り続ける約束だったのに。

気晴らしにテレビをつける。再放送の昼ドラをやっていた。
それは幾らか古い番組で、自分の両親が十代だった頃ぐらいのドラマのようだった。
当然台詞も展開も古臭く、良く言えば古典的。
「一生俺のためにご飯作ってくれ!」
古いヘアスタイルをした、当時としてはイケてたんだろうと思しきファッションの男性が
ヒロイン役の女性にプロポーズの言葉を投げかけていた。
これはアレだ。
君の作った味噌汁が飲みたいとか、田舎の両親に会ってくれとか、その類。
今時誰がこんな求婚の仕方をするのかと思ったが、何かが心に引っかかり続けていた。

――これからもずっと毎日、私にタイヤキ奢り続けて下さい――

ヤミは確かそう言っていた。
これからもずっと……毎日……?

俺はがばっと跳ね起きた。そうしてすぐに着替えを済ませ、家を飛び出した。
何故気付いてやれなかったのか、何故あの言葉を無下にしたのかと、己を悔いる。
ヤミが素直じゃない事ぐらい、知ってただろうが。
学校へ行き、図書室や旧校舎や御門先生のところなど、くまなく探した。
それでも見つからないから、街の図書館へ行った。それでも見つからない。
公園や商店街など、思いつく場所は探しまくった。
どこだ? どこにいるんだ? ひょっとしてもうこの街には……いや、この星にはいない?
そんなの嫌だ! 会いたい、会いたい、会いたい会いたい会いたい会いたい……

ふいに、その姿を見つけた。
郊外にある川べりの原っぱに、ちょこんと座っている黒衣の少女。
対比的に美しく輝くあの金髪は間違いなかった。
「ヤミ!」
俺が駆けつけると、彼女は一瞬驚いたように振り向き、それから複雑な表情をした。
少しほころんだような、けれど躊躇っているような、悲しいような、泣きたいような。
手にはタイヤキが一つ、一口だけかじられていた。
傍にタイヤキ屋の車が停まっていた。
街をうろついて、行く先々でタイヤキを売るのだ。焼き芋みたいなもんだ。
「何やってんだよ、チクショウ」
走り回って横腹が痛かった。息は荒く、今にも呼吸は途切れてしまいそうだ。
心臓は早鐘を打ち、爆発寸前まできていた。
手を伸ばすと、彼女はやはり少し躊躇ったものの、拒絶はしなかった。
触れた手は勿論冬だから当たり前なのだが、その手に握っていたタイヤキまでもが冷たかった。
タイヤキ屋の親父曰く「一時間くらい前からずっとここにいるんだよ」との事だった。
一時間前にタイヤキを買いに来たものの、買っても全く手をつけなかったのだとか。
一口かじった跡があるのは、つい先程思い切って食べようとした、その直後だったらしい。
「でもタイヤキって冷めると美味しくないですね」
彼女がそう呟いたので、俺はタイヤキを一個買った。それをそのまま彼女に与える。
代わりに彼女の手にあった、冷めたタイヤキを奪い取り、そちらを頬張る。
確かに冷たく、はっきり言って……不味かった。
「何をやっているんですか、あなたは? 冷えてるから美味しくないでしょう。
 自分のお金で買ったんですから、あなたはこっちの温かい方を食べれば……」
「うるせぇっ!」
ヤミが言い終えるのを待たず、無理矢理言葉を途切れさせる。
こんな時にまで優しく接する事が出来ない辺り、俺も十分素直じゃないな。

「お前は、俺が買ってやる以外のタイヤキは食うんじゃねぇ。
 これから毎日、今後一生。絶対にだ!」
本当、素直じゃない。
こんな言い方でしか伝えられないなんて。けれどヤミには伝わったらしかった。
タイヤキ屋の親父も何か察したらしく、少しニンマリと笑っている。
「今後……一生、ですか?」
「あ、あぁっ! 当たり前だろ!」
俺は冷たいタイヤキを無理矢理口の中にねじこんだ。
「不味くないですか?」
「ヤミから貰ったタイヤキが不味いわけがないっ!」
ここまでくると滑稽だったと自分でも思う。
するとタイヤキ屋の親父が、新しくて熱いタイヤキを一個、オマケにくれた。
「サービスだ。
 こんな日は若い奴らはみんな、デートスポットとか繁華街に繰り出すからな。
 郊外じゃタイヤキも売れなくて今日はつまらなかったが、
 お前さん達のお陰で良い気分になれたよ」
こんな日?
はて何の日だったかと思いだそうとして、すぐに答えがわかった。
ヤミを探す事に懸命になり過ぎて、重大なイベントを忘れていた。
「そっか……今日はクリスマス・イヴだったっけか」

七年目。
今日はヤミも朝から嬉しそうだった。
こいつと一緒になって七年になる今でも、こいつがこんなに笑っている顔はあまり見た事が無い。
俺も勿論嬉しかった。苦痛に喘ぎながら彼女が儲けてくれた、生まれたての赤ん坊。
ヤミには地球の戸籍が無いから、久しぶりに高校に帰って、御門先生に取り上げてもらった。
宇宙でならすぐに戸籍が取得出来るらしく、そのための手筈はデビルーク王が便宜をはかってくれた。
俺達が結婚式をあげた時は、ララも春菜ちゃんも、みんな喜んでくれた。
と言っても就職したばかりで結婚資金は無かったから、
俺は貯金を崩して何とか服装を整え、ヤミはララから借りた量産型ペケでドレスを仕立てた。
教会など借りられなかったが、何故か天条院先輩が別荘の一つを一日貸切にしてくれた。案外良い人だ。
本当なら挙式や披露宴の前に、専門の人の講習を受けて作法を学ぶべきなのだろうが、
その役は代わりに春菜ちゃん……西連寺と、古手川が買って出てくれた。
途中で、案の定ララの発明品だからヤミのドレスが溶けたりした事を除けば、
式は概ね順調に進み、笑いあり涙ありで、実に良い思い出だったものだ。

そして結婚式から一年が過ぎた頃。
俺達は夫婦から家族になった。生まれた子供には、まだ名前が無かった。
「早く決めろよ、ヤミ。最初の子供はお前が自分で決めたいって言ったんだぜ?」
「わかってます。でも、どうやって決めたら良いのか……」
保健室のベッドを借りて、その上で赤子を抱きながら、
その子を何と呼べば良いかわからず困り果てるヤミ。
俺はアドバイスをしてやった。
「他の星じゃどうか知らないけど、地球でなら、自分の好きな言葉を由来にしたりするぜ」
「私の好きなもの……」
ヤミはしばらく考え込んだ後、噴飯ものの回答を返した。
「タイヤキ」
「お前それはさすがに……」
好きなものを由来にすれば良いと言ったのはあなたですよと、ヤミは拗ねた。
「……あ、そうだ。好きなものって事は、好きな思い出でも良いんですよね?」
「そりゃあ、そうだろうけど。何か良いのが思いついたのか?」
ヤミは一年の中で最も思い出深いイベントの日の名称を、我が子につけた。
それは、聖なる夜の前夜祭。
俺がヤミのプロポーズに答えた……いや、違うな。
俺がヤミにプロポーズした、と言うべきだろう。あの思い出の日が、娘の名前になった。
きっと髪が綺麗な、ヤミに似て清廉な子に育つだろうという気がした。
……娘まで髪が武器になったら嫌だがな。