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「わぁ~すごーい! 色んな乗り物があるよー」
遊園地の入園ゲートをくぐると、ララは、両手を広げて敷地内をぐるっと見渡した
「当たり前だろ。遊園地なんだから」
今にも走り出しそうなララの後ろで、リトはぶっきら棒にそう呟く

今日は、ララの地球見学の日ということで、リトとララは遊園地に来ていた
もともと美柑も来る予定だったが、どういうわけか急に友達と約束ができたとか言って来
られなくなってしまったのだ
どう見ても怪しい美柑だったが、一人ワクワクしているララを見ては今更行かないとは言
えず、仕方なしに今日は、二人だけでやってきたのだ

(とは言え……これじゃあ、まるっきりデートと一緒じゃねーか)
リトにとってララは、大事な家族の一人であり、そして大切な存在だ
けれども、心のどこかでまだ春菜のことを想っている自分がいるのも事実
告白もできず、今だ話しかけることすら苦手な自分は、ただ、毎日春菜のことを想っては悶々と過ごす日々
そんな自分にやさしく、そして、時には積極的ともいえるぐらいに甘えてくるララの存在に
リトはどこかで甘えていた
ララと春菜、二人の間で揺れる想いにリトの純情な心はグルグルと廻り続ける
それでも、目の前で明るくはしゃぐララを見ていると、そんな重くなった気持ちもすーっと消えていく
それもまた、ララに甘えているに過ぎないのだが――――

「リトーっ。早く早く!!」
元気にはしゃぐララに腕を引っ張られながら、リトは慌ててその後をついて行く
「おまえ、ちょっとは落ち着けって」
「え? どーして? あ! アレすごーい!」」
そう言いながらどんどん先に行くララは、ホントに楽しそうで、思わずリトの顔もほころんでくる
「…ったく、ホント子供みたいだよな…」
ララは立ち止まると、その眩しいほどに輝く顔をキョトンとさせながら、リトの方を振り返る
「ん? なにか言った?」
「なんでもねーよ…。それより乗りたいモノは見つかったのか?」
ララは再び満面の笑みを浮かべると、お目当てのアトラクションを指差した
「アレ! アレに乗りたい!」
「……へ? アレに乗るのか?」
「だって、みんなキャーキャー言ってて、すっごくおもしろそーなんだもん!」
「う…」
期待で胸をいっぱいにさせているララ
そんなララに一体どんな言葉を掛けられようか
リトは苦い顔になりながら、黙ってララの後を追った

「う~すげーキンチョーする……」
安全バーが胸の位置まで下がってくると、いよいよリトの心臓は悲鳴を上げ始める
「ドキドキしちゃうね? リト」
緊張で体がガチガチのリトとは違ってララは上機嫌そのものだ
並んで待っている間も、他の人が次々と乗り込んでいる時も、ずっと笑顔のままだ
「おまえ……こーゆーのへーきなの?」
「え、どうして? すっごくおもしろそうだよ? リトは違うの?」
「え!? 嫌…オレは…」
口ごもるリトにララは怪訝な顔をする
「どーしたのリト? 怖いなら乗るのやめよっか?」
「ば、バカ言うな! これぐらい…全然へーきに決まってるだろっ。おまえの方が心配だからオレは……」
実はリトは絶叫系の乗り物が苦手だった。中でも今乗っているジェットコースターは一番の苦手だった


「エヘヘ、ありがとうリト。心配してくれたんだね」
本当は違うのだが、ララの笑っている顔を見ているとなにも言えなくなってしまう

そう――――ララの笑顔は魔法と同じ。見る者全てを魔法にかけてしまうのだ

そして、最後の安全が確認されるとジェットコースターは、ゆっくりと動き出した


「おもしろかったね? リト」
ヘロヘロになってベンチに休んでいるリトに、ララが溢れんばかりの笑顔を向ける
そんなララに気のない返事を返すリトの頭は、今だグルグルと回り続けている
「ねェねェ、次はなにに乗ろっか?」
「え…次!? もう? おまえもうちょっとゆっくり…」
ララはリトの手を取るとぐいぐいと引っ張りながら歩いていく
「ちょ、ちょっと待てよララ! もうちょい…」
「ん~~…ねぇ、次はアレに乗りたい!」
「へ?」
ララの指の先には、さっきとは違うタイプのジェットコースターが見える
(……マジかよ!?)
「ね! 次はアレに乗ろっ! ね?」
もはや言葉すら出てこないリトを引っ張りながらララは猛然と乗り場へと向かった

「はぁ~…。死ぬかと思った…」
どこかげっそりとなりながらベンチで休んでいるリトに、ララの容赦ない声が飛んでくる
「リト、次はアレ! アレに乗ってみたい!!」
「アレ?」
ベンチから体を起こして遠くの方に目を凝らすと、可愛いコーヒーカップがリズムに合わ
せて、クルクルと回っているのが見える
「アレに乗りたい!! すっごくカワイイと思うの♪」
目をキラキラと輝かせているララにリトは指でホッペをポリポリ掻いた
(ま…、あーゆーのなら全然平気だしな)

そして、それから十数分後────

「うっぷ…」
「あはは、楽しかったね! リト」
コーヒーカップから降りたリトを待っていたのは、猛烈な吐き気と、頭痛だった
地面に突っ伏すリトにララは楽しそうに声を上げる
「……お、おまえなァ…」
すでに半泣きになっているリトの後ろではモクモクと煙を上げているコーヒーカップの無
残な姿が横たわっている
限度を知らないララの力で回され続けたカップは、ついに限界を迎えたようだ
「じゃあ次にいってみよ~!」
「…おい」
疲れをまるで知らないと言った様子のララに、リトは魂が抜けていくのを感じた

シューティングアトラクション────

「む~、全然当たらない…」
「ったく、貸してみろって! ホラ、よく見とけよ?」
銃を構えたリトの目がいつものソレとは違い、真剣なモノへと変わっていく
狙いを澄まして一発、二発、三発
次々に的を撃ち抜いていくリトに隣にいたララが感嘆の声を上げた


「すご~い! リトー!!」
「うわっ! バカ…何やって…」
勢いあまって抱き付いてきたララのおかげで最後の狙いは外れたものの
ハイスコアを叩きだしたリトに、最後にぬいぐるみの賞品が贈られる事となった
「うれしい! 私、大事にするね!!」
「お前があんなトコで抱き付いてこなきゃもっといいヤツ取れたってゆーのに…」
「いいの…」
「は?」
ララは両手でぬいぐるみを抱き上げると、本当にうれしそうに声を弾ませる
「だってリトからのプレゼントだもん♪ コレで二回目だね…。大事にするよ」
いつか見たララの"たからものいれ"を思い出しながら、リトは、幸せいっぱいなララに
クスッと笑みを浮かべた
「ま、いっか」

急流下り────

「エヘヘ、びしょびしょになっちゃったァ」
頭から爪先までずぶ濡れ状態のララに、周囲の好奇な視線が集まる
「ちょ…おまえ、服、スケスケ……ちょ、ちょっとこっち来い!」
「え? でも、冷たくて気持ちいいよ?」
「そんなワケにいかーねーだろ!!」
人垣を掻き分けながら猛然とダッシュするリトに手を引かれ、ララは笑顔をこぼれさせる
その手をギュッと握りながら

お昼のランチ────

「たこやきもやきそばもすっごくおいしー!」
テーブルに並べられたお皿をどんどん空っぽにしていくララを、リトは、ジュースを飲み
ながらぼんやりと見つめていた
(ララもずいぶん地球の食いモンに慣れてきたよなァ…)
「コレもおいしい! ん~でも……あ、コレなんてゆーの?」
「ん? ああ、ソレは…」
なんでもないモノ
ありふれたモノ
全てに純粋な好奇心を抱かせるララ
(ホント、こーゆートコ、出会った時から変わらねーよな…)
ソレはきっと変わってほしくないと思う
ララの好きなところの一つなのだ

そして、それから数時間後────

「もう~だらしがないよ? リト!」
今度こそベンチでグダってしまったリトにララは少し口を尖らせた
「早くしないと今日が終わっちゃうよ?」
「……今日がって…おまえ、まだまだ時間いっぱいあるだろ? それに、また来たらいい
じゃねーか? 何をそんなに…」
「もう! リトなんにもわかってない!」
いつもとは違うララの真剣な声にリトは目を丸くする
「だって…だって今日は初めてのデートの日なんだよ! ……私いっぱい思い出作りたい
のに…。リトはまた来たらいいって言うけど今日は、"今日しか"ないんだよ! 初めての
日は今日しかないんだよ? 今日しかできない思い出いっぱいあるんだよ? だから…だから私……」
「ララ…」
そう言い終わると俯くララにリトは、今度こそなにも言えなくなってしまう


「……」
「…………そーだよな」
リトは一声そう呟くと、ベンチから立ち上ってララの腕を掴んで歩き出した
「リ、リト?」

自分の事しか考えていなかったこと
ララの気持ちに気付けなかったこと
こんなに近くにいるのに────

ララの手を握りしめるリトの手に力がこもる
「リト? どーしたの?」

何やってんだ……オレ……?

「リト?」
黙ったまま、ずんずんと前に進むリトにいい加減、ララの顔にも怪訝な色が浮かび始める
その気持ちが届いたのか、リトは、急に足を止めた
「リト、どーしちゃったの? 私と遊ぶの……イヤ…なの?」
寂しい、とても沈んだその声に、リトは、くるっと体をララに向けた
「そんなんじゃねーよ! あのままヘバッてたらせっかくの"今日"が終わっちゃうだろ?」
「…ぁ…リト…」
バツが悪いのか苦笑いが混じるいつもの笑顔のリトに、一瞬、キョトンとなりながらもララは笑顔で頷き返す
「うん!! そーと決まったらどんどん行ってみよー!」
ララの行先はもちろん絶叫系のアトラクション
「あ…あはは…」
どこかげんなりしつつもララの隣に並んで歩くリトだった


「すご~い! 馬がいっぱい走ってる!!」
「馬っつーか、アレはメリーゴーランドって言うんだ」
「めりーごーらんど? ふ~ん…」
メルヘンチックな音楽に合わせてくるくると回る馬や馬車にララの目がどんどん奪われていく
「私、コレに乗りたい! リトも一緒に乗ろ? ね?」
「あ…ああ、別にいいけど…」
普通なら、この年になってメリーゴーランド? と、思ってしまうも、リトの足は自然と歩きだしていた
ララと一緒にいるからか、それとも、遊園地独特の楽しい雰囲気に影響されてか
リトの顔はすっかり子供になっていた
「じゃあ、リト。私の後ろに乗って!」
「後ろって…そんな恥ずかしいマネできるかっ!!」
「いいからいいから! ホラ、始まっちゃうよ?」
ララの言葉通り、音楽と共にメリーゴーランドが動き始める
「ったく!」
半ばヤケクソぎみになりながらもリトはララの後ろに乗った
一人ご機嫌なララに対し、リトは、どこか俯きぎみだ
無理もない
周りは子供とその親ばかり
おまけに二人乗りしているのは自分たちだけだ
(…何やってんだオレは……)
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなリトにララがポツリと呟く


「なんかイイね!」
「なんかって何が?」
「ん? だってリトが白馬に乗った王子様みたいなんだもん♪」
瞬間、リトの顔が火を噴いた様に真っ赤になる
「ば、バカ! 何言ってんだ!? おまえはっ」
「私、今とっても幸せだよ」
そう言いながらララは、リトに背中を預けてきた
胸に当たるララの温かい背中の感触と、甘い髪の匂いに、どんどん心拍数が上がっていく
「お、おい! ララ」
「ん?」
「ん? じゃなくて! やめろって! 恥ずかしいだろ! こんなコトっ」
「む~!」
口を尖らせながら嫌々離れていくその姿にどこか寂しさを覚えてしまうリト
(って何考えてんだよっ!! オレは!!)

そうなのだ
遊園地に来てからというもの、どんどんララの魅力に惹かれていく自分がいる
ウチや学校とか違う、その一つ一つの表情や仕草に

でも自分には好きな人がいる
(そうだよ…! オレが好きなのは春菜ちゃん…春菜ちゃんじゃねーか!!)

それでもなんだろう……この気持ちは
どこか寂しそうなララを背中から抱き締めてあげくなるこの気持ち
そして、その気持ちは、ララの後ろ姿を見つめる度に大きくなっていく

(ララ…オレ…)
答えの出ないままメリーゴーランドは終わりを迎えた


「楽しかったね! リト」
「あ、ああ…」
少し暗くなったララの笑顔にリトは戸惑ってしまう
それは、リトにしか気づかない微妙な変化なのかもしれない
「……」
「ん? どーしたの?」
「……おまえさ…その…………やっぱいい…、それより次なに乗りたいんだ?」
「え? え~っと…」
腕を組みながらうんうんと真剣に悩むその姿が妙に可愛いと感じてしまう

ララは可愛い。それも飛びっきりの可愛さだ
銀河を統べるデビルークの血
それも全宇宙で一番キレイだと言われる母の血を受け継いでいるらしい
けれども、リトは、そんなモノは関係ないと思っていた
ララの美しさも、ララのイイところもみんなみんな
ララの自身のモノだからだ

う~んと、一頻り悩んだララは、ふいにリトの腕を取るとニッコリ笑みを浮かべた
「私、アレに乗りたい!」
「アレ?」
ララの見上げる先には、大きな観覧車が回っている


「ね? 次はあのおっきな乗り物にしよーよ!」
「観覧車って…いいのか? だってアレ高いだけで全然動かねーんだぞ?」
「いいの、いいの!」
どこかウキウキしてるララに内心首を捻りつつも、リトは、ララを連れて観覧車へと向かった

「うわ~どんどん地面が見えなくなっていくよ」
さっきから窓にかじり付いて外を眺めているララにリトは苦笑を浮かべた
(なんつーか…、ホント、子どもってゆーか…)
キラキラと輝くその横顔にリトは笑みを深くした

「ねえ、リト」
「ん?」
「コレって一番上までいったらどーなるの?」
「どうって…またさっき乗った場所まで戻ってくるんだよ」
「それだけ?」
「それだけっておまえ……何を期待してたんだ何を…」
半眼になってしまうリトに、ララは向き直ると、リトの正面の席に座った
「よかった!」
「へ?」
「だって、やっとリトと二人きりになれたんだもん!」
ドキンと心臓の音が高くなったのをリトは感じた
「ば…バカ! 何言って……だいたい二人っきりって言うけどちょっとじゃねーか! すぐ終わっちまうんだぞ?」
「うん。でも、ちょっとだけでもうれしいよ!」
満面の笑顔を浮かべてくるララをリトは、正面から見る事はできなかった
「どうしたの? リト。さっきから変だよ?」
「い、いや! オレは全然へーきっつーか……そ、それよりキレイだよな! 景色!!」
「うん! そうだね~! リトの後ろにお日さまが見えるよ」
「へ~」
後ろを振り返ると、確かにちょうど真後ろあたりに沈んでいく夕日が見える
「キレイだね~」
「そだな…」
「……ねえ、リト」
「なんだよ?」
再びララに振り返ると、ララは、どこかもじもじしながら頬を赤く染めていた
それは、夕日に照らされているからだろうか
「ララ?」
「一緒に見よ」
「へ?」
「一緒に! 私、リトと見たいんだ! この景色!!」
ララはスッと席を移動すると、隣にちょうどリト一人分が座れるスペースを開けた
「…ダメ?」
「いや…ダメっつーか……」
ゴクリと唾が喉の奥に消えていくのを感じる

カワイイ!
上目遣い、それも、ホッペをほんのりと染めながらの視線

リトの鼓動はますます高まっていく
「リト?」
「え!? あ…えっと……じゃ、じゃあ一緒に見よっか?」
「うん!!」
この日、最高の笑顔を浮かべるララの隣にリトはどこかギクシャクしながら座った
ほんのりと香るシャンプーの匂いと、わずかに触れ合う腕の感触に、頭が沸騰しそうになってしまう


「キレイだね」
「そ、そーだな」
「…私、今日、こーやってリトと来れてよかった」
チラリと横目で覗き見ると、ララは、まっすぐに夕日を見つめていた
「リトと二人で遊園地に来て、おいしいモノ食べて、いろんな乗り物に乗って……
もっと、もっと、続けばいいのにって思っちゃった」
「ララ…?」
観覧車は間もなく、一番上に来ようとしている
「……ねェリト。私、変われたかな? あの日、屋上でそう言って決めたのに、そう約束したのに
今日だってずっとリトを困らせてばかりだったし…」

────あの日、屋上で見せたララの"本気"をリトは忘れた事はなかった
胸の奥に刻みこまれたその想いは、今もずっとリトの心を動かし続けている

「リトのため……ううん、それだけじゃない。デビルークの王女だって事に甘えていた自
分を変えるため…、もう一度、ゼロからちゃんとリトに見てもらうため…
私、変われてるのかな…? がんば…ってるのかな? あの日、そー誓ったけど…、私…ちゃんとできてるのかな?」
「ララ…」
夕日に照らされながら、ぽつりぽつりと、小さく呟くララの顔は、今まで見た事がないぐらい
真剣で、そして、儚く映った
「リトのためにがんばりたい…! リトのお嫁さんになるためにもっともっと……」
黄昏色に包まれるララ
その表情同様、このままとけて消えてしまうのではないかと思うほどにか弱く映るララに、
リトはギュッと手を握りしめると声を大きくさせた
「ララは……お前は、今のままでもすっげーいいんだって! つーか最初からお前はすげーヤツで!!
オレが…オレがちゃんとお前のコト見ようとしてなかっただけで、ララは…ララはずっと……」
「リト…」
「それに甘えてるのはオレの方だ…。オレなんか、いまだにお前がなんでオレのコト好きなのかもよくわかってねーし」
「……」
珍しいララの沈黙の後、リトは想いを込めて話し始める
「なあ、何でオレなんだ? だって、オレよりカッコよくてすごいヤツいっぱいいるんだぞ?」
「……そうかもね」
「……ッ!!?」
わかっていたはずなのに、やはり、こうして直接言われると胸に堪える
「じゃ、じゃあなんで?」
ララはまっすぐリトを見つめると、くすっと笑みを浮かべた
「答えは簡単だよ! ココ」
「ココ?」
ララが手を当てたのはちょうど胸の位置
「ココがね、ドキドキするの! リトといるだけでドキ、ドキ、ドキって」
窓から吹き込む夏の風が、リトにララの香りを届ける
その香りに包まれながらもリトはひどく呆けた顔になっていた
「それだけ……?」
「うん! そーだよ! …ホントはね、もっといっぱいいっぱいあるんだけど……うまく言えなくて…ゴメンね」
えへへと、誤魔化し笑いを浮かべるララだったが、その笑いが照れ隠しだという事に、リトは気づいただろうか?


「な、なんつーか…」
指で頬を掻きながらいまいちよくわかっていないリト
「そんなんでホントにいいのかよ?」
「いいの! だって私、今、すっごく幸せなんだもん♪」
夕日に負けないぐらいの眩しい笑顔を浮かべると、ララは、トンっと頭をリトの肩に預けてきた
「……っ」
一瞬、緊張で身体をピクンと震えさせたリトだったが、そのまま黙ってララと一緒に夕日を眺め続けた
二人を乗せたゴンドラは真上を過ぎ、下へと下がりつつある
「キレイだったね…夕日…」
「ああ…」
その返事に応えるように、ララは、さらに身体をリトに寄せた
「……」
「……」
どちらも何も言わないまま、ゴンドラはゆっくりと下へ下へと降りていく
「……観覧車…終わっちゃうね?」
「だな。……あのさ、このままもう一回乗ろっか?」
「え!? いいの?」
思わず頭を上げたララは、その大きな目をさらに大きくさせてリトに詰め寄った
「ホントにホント?」
「ま、まあ、お前がそんなに気にいったんならイイっつーか…」
「やったーー!!」
「うわっ! ちょ…ララ!?」
狭い室内でムギュっと抱き付いてくるララに、リトはあたふたとなってしまう
「やめろって! 何やって…」
「だってだって、すっごくうれしいの! リト、ありがとー!!」
そのうれしさを身体全体で表わすララに、リトも、なんだかこそばゆい様なうれしさを覚える
「ありがとーリト! 大好き」
「だ、だからってくっ付くなって!」

ララとリト
二人の気持ちがいつか重なる時を信じて────
観覧車はゆっくりと廻り続ける