権威を見せつけるのに、手っ取り早い方法が三つある。
一つ、己の財力の高きを誇示する事。
一つ、己の配下の多きを誇示する事。
一つ、より多くの女に羨望され、より多くの側室を抱え込む事。

英雄、色を好む。
地球には何ともまた、宇宙の帝王に似つかわしい言葉があるものだ。
全ての英雄が色情魔かと言えば、これは個々人の性格によるところだから
必ずしもこの言葉が一致する英雄ばかりという事は無いだろう。
歴史上、浮いた話を撥ねつけ続けた英雄が一人や二人ではない事も事実だ。
それでも宇宙の帝王たる者としては、常にその威光を
下々の者どもにひけらかし続ける必要がある。
愚民を自ずから跪かせ、ひれ伏させるのに、
権威ぶった態度という武器は重要に働く政治的カードだ。

誰を言わんや、かのデビルーク王こそ、その筆頭。
かつて地球に降り立った際には、現地住民に手当たり次第にセクハラした。
愚かにもそれを諌めようとした身の程知らずのテニス部顧問は、
地球人ごときの埃一粒に満たない貧弱な運動能力で王との勝負に乗り、
圧倒的身体能力の差でもって叩き伏せられた。
色と力、二つの要素で愚民をひれ伏させた、顕著な例だ。
宇宙の帝王にはそれだけの器がいるのだ。

そして、そのデビルーク王ギドの娘、ララが惚れこんだ男。
未開発の小惑星に住む、貧弱な地球人の中でも殊更に貧弱に見える男。

結城リト。
戦闘力など皆無に等しいこの男が、次期デビルーク王に最も近いと言われて久しい。
理由は単純明快で、王の娘であるララが
結婚相手として選んだからという、ただそれだけである。
戦闘力だけなら護衛のザスティンの方が遥かに上であるにも関わらず、
姫君は幼少の頃より仕えたザスティンではなく、地球人リトを選んだ。

その選択に誤りは無かった事は、誰しもが認めるところだ。
戦闘力を除けば、彼には頂点に座すに値する人格が備わっていたからだ。
仁徳篤く、分け隔てなく優しく、他者に安心感を与える。
こればかりはギドよりも資質は上と言える程だ。
ギドが武力のみで民衆を治めているかどうかは兎も角として、
民衆は通常、力よりも心に惹かれて、従うべき相手を選びたいものだ。
ギドは力で宇宙を統一したが、リトは心で民意を統一せしめよう。
そう感じさせるだけの器が、この凡庸な男の中には垣間見えた。

さてそうなってくると問題なのが、どうやって他の宇宙人達を納得させるかだ。
彼には戦闘力などというものが皆無である以上、力を誇示する事は出来ない。
彼の人格に惹かれて彼を守るザスティンと金色の闇、
この両名だけでも圧倒的戦闘力ではあるのだが、
権威を誇示する手駒としてはいささか層の薄さは気になる。
財力に関しては、たかが地球の一般家庭の出身である以上、望むべくもない。
血統によって受け継いだ資産も無ければ、その資産を増やす運用術も持たない。

となれば、彼が王としての権威を見せつけるのに、残された手段は一つ。
そして幸いな事に、彼にはそれを誇示するだけの下地が、既にあった。
ララ、春菜、美柑、金色の闇、唯……。
数多の女性が、呼ぶまでも無く彼の元に集まり、彼を慕う。
後はリト自身が、誰か一人に絞らねばならないという地球人的理性を断ち切り、
全ての女性を満遍なく愛してやるようになれば、
それによって発せられる威光の輝かしさは盤石なものとなる。
さしあたって彼には、女を知る喜びを教えてやらねばならない。
モモ・ベリア・デビルークはそう考えた。


「……とまぁ、そういうワケです」
宇宙の帝王学だか何だか知らないが、モモは長々と講釈を垂れた。
当のリトはと言えば、ただ無抵抗にそれを聞き続ける他無かった。
今この場には、破廉恥な話題を振りはらってくれる唯もいなければ、
適切なツッコミを差し挟んでくれる美柑も、
慌てふためいてモモの話を中断させにかかってくれる春菜もいなかった。
悪い予感がするので逃げ出したいとは思うものの、
朝起きると既に両手足を縛られて拘束されていたリトに、それは叶わなかった。

周囲を見渡す限り、今この場にはリトとモモしかいない様子だ。
それにそもそも、どう見ても自分の部屋とは違う。
どうせまたデビルークの科学力で作り上げた即席の部屋なんだろう。
趣向を凝らしているつもりらしく、室内は洒落た調度で飾られている。
どこの星のものかわからない謎の生物が図柄に織り込まれたタペストリー。
どこの星のものかわからない謎の植物が植えられた観葉植物の鉢。
どこかの星の騎士のものであろうと推測出来る甲冑飾りに、
どこかの星の古い様式と思しき豪奢なシャンデリア。
部屋の中央に置かれた天蓋付きのキングサイズのベッド。
そしてリトは今、そのベッドの上に繋ぎ止められていた。
鎖などという野蛮なものではなく、可愛らしいリボンだったが、
大の字になるように手足を引っ張るそれの力は強く、
柔軟に見せて強度は相当なものと知れる。
少なくともリトの力で引きちぎれるものではないようだった。
「あのさ、何となく言いたい事はわかったんだけど……
 これで俺をどうしようっていうんだ?」
「あぁん、リトさんたら。ニブいところも素敵」
そう言ってモモは手で己の赤面を覆い隠しながら、
楽しそうに且つわざとらしく腰をくねらせた。


焦るリトの拒絶もどこ吹く風、モモはリトのパジャマのボタンを外しにかかった。
彼もどうにかしてその手を逃れようとするが、土台無理な話ではある。
いちいち対比するまでもないが、
彼にはギドのような戦闘力は備わっていないのであり、
金色の闇のように髪を刃となす事も出来ないのであり、
ララのように尻尾からビームを出す事も出来ないのである。
身を捩って抵抗するものの、柔軟性と強靭さを併せ持つリボンはビクともしなかった。
「いろいろアプローチはしてきたつもりなんですけどね。
 お風呂ご一緒にって誘ったり。露骨にロックオン宣言したり」
とうとう最後のボタンが外れ、リトは腹と胸板をむき出しにさせられた。
「でもリトさん、全部綺麗に流しちゃってくれましたから。
 これじゃ私だって立場無いですよね。
 ま、簡単になびくような人だったら、私もお姉様も惚れたりしませんけど」
次に彼女は、自分の服を脱ぎ始めた。
拘束されているが故に全身の被服を剥ぎ取るのは難しいリトと違って、
彼女は自発的に脱いでいるため、いともたやすく全裸になれた。
さすがにララと違って裸を見られる事に一切の恥じらいが無いわけではない様子で、
それなりに頬を赤らめているのは見て取れる。
胸は、当の姉であるララと比べれば明らかに劣るボリューム。
と言うより、ボリュームという単語を使う事が既に違和感を感じる程のサイズだ。
小学生である美柑と比べてどっちがマシか判断に迷う程度の、
良く言えば控え目な、乳房と言う事さえ躊躇われる扁平な乳房。
まだ発展途上であるのは乳房のサイズのみならず、乳首と乳輪に至っても同じ事だった。
男であるリトと比べてさえ、大差は見受けられない直径。


モモはその格好のままで、ベッドに横たわるリトの上に馬乗りになった。
その時点で気付いた事なのだが、彼女には恥毛すら生えていなかった。
つい先程まではベッドの上で仰向けで固定されている都合上、
首を動かす角度にも限度があって、彼女の下半身までは視認出来なかったのだ。
リトは慌てて顔を背けつつ、その上眼まで閉じてみせた。
「だから止めろってば、そういうの!」
「あら、女の子の裸くらい、お姉様で見慣れてらっしゃるのでなくて?」
冗談じゃない。
見慣れているのはララの裸だけであって、女性全般見慣れているわけではない。
そもそもララの裸だって、見たくて積極的に見ているわけでもない。
だがそれを主張すれば、今度は「こんな年端もいかない子供の裸で焦るなんて」
と小馬鹿にされ、ロリータ・コンプレックス扱いされるのがオチだと知れた。
「な、何でこんな事するんだよ? 俺と君はそんな関係じゃ……」
呆れた男だと、モモは思った。
彼の鈍感さは純粋な魅力を惹起するが、同時に欠点でもある。
あれだけ懇切丁寧に説明してやって尚、相手を受け入れようとしない。
目の前で女が裸になっているのに、手を出そうという欲求を見せない。
紳士的である事は時に野性的である以上に無礼だと言う事を、
この若きデビルーク王候補は知らないようだ。
「きっとそんな調子で、今までお姉様にも手を出さずに……
 そればかりか、春菜さんにも、美柑さんにも、古手川さんにも、ヤミさんにも。
 全く手を出さずに、相手の方々をガッカリさせてきたんでしょうね」
ララは兎も角、何故そこで他の女達の名前が出てくるのか。
それも西連寺春菜は兎も角、実妹である美柑や、
彼を嫌っている筈の古手川唯や、彼を殺したい筈の金色の闇の名まで出てくるのか。
皆目見当が付かない辺りが、また彼らしかった。
「まぁ良いですわ。これからたっぷりと女の魅力を教え込ませて、
 自発的にお姉様や女友達を愛したくなるように調教して差し上げますから」


抵抗があるとは言え、リトは男だ。
裸の女が自分に馬乗りになっていれば、股間は自然と勃起する。
パジャマごしにも山が隆起した事を見てとったモモは、
その盛り上がった部分に自分の股間を押し付けるように乗せた。
まだ硬くなりかけといった感触から、徐々に硬度を増していく感触、
そして時折本人の意思とは無関係に脈打ってビクつく感触。
その全てをモモは余すところなく自分の股ぐらで感じ取った。
さながら角オナニーでもするかのように、下半身をくねらせる。
既に表情は恍惚としており、とても小学生並みの子供とは思えない艶がある。
こういう事にはさぞや慣れているのだろうと思えた。
モモはふっと落ち着きを取り戻すと、ゆっくりと上半身を前に倒した。
「いけないいけない。一人で勝手にノっちゃって、私ったら」
そのまま舌を突き出し、リトの鎖骨に先端を触れさせる。
未知の感触に反応した彼がビクンと震えるのが分かったが、
下半身はモモの馬乗りで固定されているため、膝が跳ねる程度に留まった。
「や……やめろって……そういうっ、のぉっ……」
鎖骨が弱いのか、リトは制止する声もろくに発せなくなった。
唾液を垂れ流す少女の舌はそのまま首筋をつうっと通っていく。
悪寒にも似たくすぐったさが、彼の首を弓のように後ろにしならせた。
「ナナとおんなじところが弱いんですね。
 それじゃあきっと、ここも……?」
モモは言いながら舌を更に上の方へと滑らせていき、彼の耳朶に触れた。
耳の穴の中に潜り込んでくる生温かい触手のような感触。
「ひわぁあっ!?」
男だと言うのに、まるで女かと思う程、リトは甲高い声を出してしまった。
耳朶の複雑な湾曲形状の隅から隅までをモモが唾液で濡らし続ける間、
リトは逃れようのない天国とも地獄ともつかぬ感触に、
何度も平静さを失いかけた。


耳に比べれば大分マシだが、それでも乳首を舐められる感触は、
男と言えど感じずにはいられなかった。
モモは耳にそうした時と同様、嬉しそうにリトの乳首を舐め回していた。
男が女の乳首を弄ぶならいざ知らず、女が男の乳首を弄ぶ事の
何にそんなに魅力を感じるのか、リトには理解出来なかった。
だがこの感覚、少しでも気を緩めればそのまま流されてしまいそうだ。
「くっ……俺は……俺は……」
男なりにも貞操を守ろうとする真摯な抗いの声。
だがその続きを口にする事が出来ず、それはモモにつけこまれる隙となった。
「俺は、何です?
 『ララ以外の女とは愛しあいたくないんだ』ですか?
 それとも『西連寺以外の女とは』かしら?」
答えられない。
春菜の事を心の中では実は「春菜ちゃん」と呼んでいる事を除けば
モモの指摘した事は概ね正鵠だった。
元々は春菜一人にのみ思慕の感情を向けていた自分が、
いつの間にかララという他の女を、同じ対象と認めている。
どちらとも付き合っていない以上は他人にとやかく言われる筋合いではないが、
一途に誰かを思っているとは言い難いのも事実。
「良いじゃないですか、それで。
 王は女の子を選り取り見取り。
 夜毎違う女性を抱くも、或いは一度に多くの女性を抱くも、自由自在。
 むしろそれでこそ、王に抱かれる女性は幸福というものですわ。
 一人しか女性を選べない度量の小さな王に選ばれたところで、
 私達にとってはステータスにはなりませんもの」
「……俺は王なんかじゃないよ。
 今後王になるつもりだって無いし」
まだそんな矮小な事を言う。
地球という辺境で、匹夫のまま終わるつもりでいるというのか。
彼をその気にさせるためにも、モモは現在以上の強硬策を取る事を決意した。


幼い媚肉を人差し指と薬指で目一杯まで左右に広げ、
その中心に位置する赤黒い穴の中に、中指を差し込む。
もう片方の手は、ピンと硬く尖った両の乳首を刺激する役だ。
中指を出し入れしながら、両サイドの二本の指で肉を縦横に蠢かせる。
右の乳首を一頻り苛めた後は、寂しがっている左の乳首を遊び相手にする。
一体何を、と問いかけるリトの声も、
今のモモには半分以上が耳に入っていなかった。
リトの顔面の左右を膝で挟むような体勢で膝立ちになり、
少女はひたすら自慰に没頭した。
時折水滴が一粒、二粒と彼の顔に滴る。
少女に恥をかかせないために目を閉じるなり顔を背けるなりすべきか。
それともここで彼女を見ない事こそが一番彼女に恥をかかせる事になるのか。
そんな内心のせめぎ合いから、リトは彼女のオナニーを見ては背き、見ては背き。
どっちつかずの中途半端な視線を惑わせていた。
「んくっ……想像してください、リトさん……
 お姉様も……はっ……春菜、さんっもぉ……みんな、みんなっ……
 ふぅ……リトさんを想って、おんなじ事してるんですから……」
好きな異性に思いを馳せ、その相手と交わる妄想は、
誰しもが一人の夜に胸に抱く一人だけの世界だ。
それは天真爛漫なララも、消極的な春菜も例外ではない。
「ラ、ララはどうか知らないけど、少なくとも西連寺は」
西連寺は違う、と彼が言いかけたのは、
春菜に対して綺麗過ぎる幻想を抱いているからではなく、
春菜が自身を愛しているという事に気付いていないからであった。
だがそんな彼の反論さえ聞こえていないのか、モモは次々と女達の名を挙げていく。
「美柑さんだってぇ……んはぁっん……お兄ちゃんに嫁ぐ事をぉん……夢、見てっ……」
美柑が? 馬鹿な、兄妹だぞ?
「古手川さん……ムッツリだから……きっと他の人より激ひぃですよね……」
古手川が? あんなに嫌われているのに、有り得ない。
「ヤミひゃんとかぁ……どんなカオでおなにーするん……でしょうねぇ……」
ヤミが俺を想ってなんて、あるわけがない。
「それに……私も……」
私も彼女達に負けないくらい、一人の時は激しいんですよ。
口には出さなかったものの、先程より少しだけ勢いを増した水滴の量が、
言葉以上に雄弁に夜の彼女を言い表していた。


途中、自らの行為によって快感が堪え切れなくなったらしく、
モモの両足と腰から力が抜け、バネに弾かれたように腰を落としてしまった。
それはそのままリトの顔面に騎上位する形になる。
「ひゃうんっ!」
突如押しつけられた秘密の花弁からは甘い蜜の匂いがもわっと立ちこめ、
薄皮一枚で残っていたリトの理性を吹き飛ばすのには十分な効果を発揮した。
ぬるりと侵入してきた、生温かく柔らかな異物感。
下腹部の入口でもっと、もっと奥へと突き進みたがるそれは
リトの舌であると、モモは即座に理解した。
「ウフフ。やっとその気になってくれたんですね」
紅潮した頬を緩めてにやりとほくそ笑んだモモは、
もうもはや抵抗も遠慮もしないであろう王候補の手と足の枷を解いた。
可愛らしいリボンのようだったそれは、やはりリボンのごとく、
スルスルとたやすくほどけていった。
「……俺、もう止めらんないけど。良いんだな?」
モモは少しだけ怖気づいた表情を覗かせたものの、コクリと頷いた。
その表情が少しだけ彼には気にかかった。
余程がっつきそうに見えたのだろうか?
なるべく心を落ち着けて言ったつもりだったんだけどな……
その時のリトは、その程度にしか彼女の表情を解釈していなかった。


今度は上下が逆になる番だった。
モモはの体は肉づきに乏しいため、小さな体にしては鎖骨の浮き出方だけは見事だった。
そこにリトは舌を這わせ、先程自分がされたのと同じように、
骨のラインに沿って唾液を薄く広げていった。
アクシデントで女性に上から覆いかぶさる事はあっても、
そのまま相手の体を舐めるなどという体験は、さすがのリトにもなかった。
その舌使いはたどたどしく、小慣れたモモに比すれば児戯という他無い。
だが、だからこそ懸命になる。
あのリトが今この瞬間だけは自分を気持ち良くしてくれる事のみを考えてくれている、
その事実が少女の快感に補正をかける。
いくらテクニックがあろうと、心ここに在らずの男に遊ばれるくらいなら、
例え本命として扱われずとも懸命に動いてくれる男の方が、遥かに良い。
「リトさん……もっと上も……」
いつまでも愚直に鎖骨ばかり責める彼を誘う言葉。
気がついたリトは慌てて首を動かし、先程モモがしてくれたのと同じように、
首筋から耳までをぎこちなく移動していった。
途中までは耐えていたモモも、耳の穴の中に舌が突っ込まれる段階になれば、
堪え切れずに変な声を出してしまった。
それが嬉しかったのか、リトは耳の穴ばかりを丹念に舌で穿り始めた。
重点的に責めるより、他の部分を弄んで焦らし、
ここぞというタイミングで一番敏感なところを突然責めてこそ
その快感は最高潮に達するというものなのだが、彼にはまだそんな判断はつかない。
それはそのまま、モモを休ませない事にも繋がる。
モモは断続的に萌え声を発しながら、耳だけでリトのなすがままにされた。


ようやく首から下にも興味がわいたのか。
それとも、最初から下の方にも興味は強くもっていたにも関わらず、
初めてだからそこまでいきなり手を出す勇気が無かったのか。
この際どちらでも構わない。
リトはようやく、モモのこじんまりした可愛らしい乳房に狙いをつけた。
寒いのだろうか? と勘違いしてしまうくらい、モモの乳首は固く尖っていた。
ボタンのように人差し指で押しこみ、小さな丘の中に埋没させる感触が楽しい。
指に吸いついてくるようで、指を少しでも離そうとすると、
いじらしくそれについてこようとする。
「リトさん……押すだけじゃなくって、弾くとか、つねるとか。
 そういう動きも混ぜてくれたら、私、もっと気持ち良くなれるんですよ」
「そ、そうか。気が付かなくてゴメン」
リトは恐る恐る指の腹でモモの乳首を弾いた。
ぷるん、という擬音さえ聞こえてきそうな勢いで、
弾かれた乳首はまたすぐに元の位置に戻った。
それがなんだか面白くて、また愚直に同じ事を繰り返してしまう。
乳首が弾かれる度にモモは「んっ、ん、んんふっ、んっ」と
少しずつ違う声を漏らしてくれた。
口を噤んで必死に声を我慢している様子だが、鼻から息が漏れだしている。
或いは我慢しているのではなく、敢えてこういう声を出して
リトを興奮させているのだろうか?
リトはセリーヌが春菜にそうしたように、或いは乳飲み子の頃自分が林檎にそうしたように、
モモの乳首に唇を突き立てて、母乳を飲むように吸いたてた。
すると指で弄んでいた時よりも、モモの漏らす声の音が心なしか大きくなった。
リトは学習し、今度はモモにアドバイスされる前に、自己流のアレンジを加えた。
乳輪を上下の唇で頬張り、乳房の頂点を全て口の中に含むと、
その生温かい空間の中で舌を左右に動かし、乳首を間断なく転がし始めたのだ。
次はちょうどそうして欲しいと思っていたモモに、それは丁度良い快楽を与えた。
「うはっ、アはっ……はっんんッ……それ、良ぃ……」
リトは口の中で更にわざとらしく吐息を吐きだした。
その湿度を帯びた温度は、良い意味でモモの背筋をゾクゾクさせた。
「良いカンジですよ、リトさん……はぁ……はぁ……
 美柑さんのも私くらいの大きさだと思いますから……
 はぁ……予行演習だと思って……遠慮なく……」
だが、次に下半身に狙いを定めた今のリトには、そんな声はもう殆ど聞こえていなかった。


毛の一本も生えていないそこは、幼い頃に風呂で見た美柑のそれと大差なく思えた。
時折アクシデントで女性の裸を見てしまう事も多いリトは、
悪いとは思いつつも、今まで見てきた女性達の裸を思い浮かべていた。
沙姫は上と同じく下にも金色の薄毛をたたえていた筈だ。
同じ年である綾や凛も、個人差はあるものの、一本も生えていないなんて事は無かった。
春菜の裸はなるべく直視しないように気をつかってきたが、
一度ちらりと見えた限りでは、うっすらと生えていたように思う。
ヤミや美柑は全く生えていなかったと思える事から、
リトには女性が大体何歳くらいから陰毛が生えるものなのか推測出来てきた。
モモの年齢ではまだ生えていないのが当たり前なんだろうと思いかけたが、
そもそもその姉であるララだって生えていない事からすると、
案外デビルーク星人はそこに体毛の生えない体質なのかもしれなかった。
「さっき私がオナニーしてる時はまともに見ようとしてくれなかったのに」
モモは、拗ねているのか、嬉しがっているのか、よくわからない声で囁いた。
リトは彼女に皮肉を言われても仕方がない程、今やその部分に興味津々だった。
地球人女性の股間を、下着などの遮蔽物無しに至近距離で観察した事は一度も無い。
下着や水着越しでなら数えきれない程あったが、いずれも直接観察したのではない。
直接観察出来たのは、ラックベリーの実を取りに行った先で、
偶然ララに顔騎された時ぐらいだ。
その時も思った事だが、女性の陰部というものは、中々にグロい。
女性全般がそうなのか、デビルーク星人だけなのかは、やはり彼にはわからなかった。
「み、みんなこうなのかな?」
「うーん、私も地球人のをじっくり見た事は無いですけど……
 気になるんなら、今度誰かに頼んでみれば良いんじゃないでしょうか?
 焦らずちゃんと手順を踏めば、春菜さんや美柑さんなら見せてくれると思いますよ」
だから何でそう思うんだよ、とリトは思ったが、口を差し挟まない事にした。
今は他の女性の事を考えている余裕は無い。目の前のモモだけで精一杯だ。


「んぃやあぁうふっ! うぁっ、あぅうんんっ!」
先程舌を挿入した時より、一際強くモモの体と声が反応した。
リトの舌使いが遠慮無くなってきているのもあるが、
モモ自身の体が仕上がってきているのも大きかっただろう。
唾液とは異なる液体が滴るのがわかったが、これもデビルーク星人特有の体液なのか、
女性と呼ばれる生物全般が分泌するものなのか、判別はつかなかった。
ただそれは甘美な味わいを有していたので、リトは無心にそれを貪り続けた。
快感に堪え切れずモモが両手を伸ばしてリトの頭を押し返そうとする。
だが彼はそんな抵抗を意に介さず、力押しで愛液と呼ばれるそれを吸い続ける。
その抵抗が抵抗ではなく、単なる反射的な動きであって、
本当はモモもそこを吸い続けて欲しいと思っている事が彼にはわかっていた。
でなければ両足でがっちりと首をホールドしてきたりはすまい。
桜色の柔らかい肉は奥へ行く程に暗く、中は近付いてもやはり良く見えなかった。
ペンライトか何かがあればよく見えるだろうが、それはまだ今度で良い。
今はただ両手の親指で肉を押し広げ、その内側にある、
口の中のようにも見えるねっとりとした粘膜を舐め回すのが肝要だ。
「おっ、おひぃいぃぃぃ……っ」
リトからは見えなかったが、モモは既に明後日の方向を向いており、
下手をするとこれだけで失神してしまいかねない状態だ。
その口から漏れ出る愛しさを喚起する声も、人語を形成出来なくなりつつある。
リトは気付いていないのだが、ちょうど彼の鼻がクリトリスに当たる位置にあり、
彼が顔を動かす度に当たって擦れ、今にも昇天しそうな悦楽をモモに刻みつけていた。
涙と涎を垂らしながら、打ち上げられた魚のように痙攣を繰り返し、
とうとう体から力が抜けきって、もはや太股でリトの首を
ホールドしておく事すら出来なくなって、モモは彼を解放してしまった。
そしてそれは、子宮からのメッセージでもある。
いよいよ男性器を挿入しても大丈夫な程、そこが緩んできたという事だ。


挿入に際して、王の手を煩わせるわけにはいかない。
侍女は常に尽くす側でなければという思いから、モモは力を振り絞った。
再び仰向けになって待つリトの下半身の凶器を目がけて、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「ふぐっ……ふっ、いっ……んんっ……」
本当は足に力が入らない程腰砕けになってきているから、
爪先で全体重を支えるこの体勢は苦しくて仕方がなかった。
何とかして位置を合わせ、角度を揃えて、少しずつ侵入させていく。
十分に柔らかくなったとは言え、彼女の膣はまだかなりキツかった。
単純に狭いのだ。身長、体格の問題だ。
モモも痛かったが、リトでさえ痛いと感じた。
その内に内側で、何かが破れる音を聞いた。
「えっ……」
リトは慌てて下半身を見た。
モモと繋がった部分から、赤い液体が一筋垂れて来ているのがわかる。
どこか怪我をしたのか? 粘膜を傷つけてしまった? まさか……
「ちょっ、ちょっと! ひょっとして」
慌てるリトの前に、激痛を堪えてにっこりと微笑もうとするモモの眼差しがあった。
「初めて……だったのか……?」
「私の初めては……リトさんに貰ってもらいたくって」
「耳責めとか鎖骨責めとか手慣れてたから、てっきり百戦錬磨なんだって思ってた」
リトは手を伸ばして、彼女の頬を伝う涙の滴を指ですくってやった。
「普段ナナを虐めてるから、上半身への責めは結構慣れてるんですよ。
 ナナがやり返してくる事もあるから、自分がヤラれるのも。
 でもナカだけは、大事にとってたんです」
思い違いをしていた。
セクシャルな言動でもってリトを誘惑してくる積極的な彼女の事だから、
当然のごとく経験済み……それも一度や二度ではないと思っていた。
そして、そこに気が付く事で、彼女が生半可な覚悟で
今回リトを逆レイプしてきたのではないとも知れた。


穴が小さく狭い分、奥まで到達するのは簡単だった。
モモは無くなりかけの体力を振り絞って腰を上下させた。
一旦、カリを出口付近ギリギリに引っかかるくらいまで腰を上げる。
もうあと少しで抜けてしまうというぐらいまでくると、
今度は重力に任せてストンと腰を落とす。
「あひっ」
勢い良く内側の肉を抉られる感触は、体が破壊されるかと錯覚出来る程だった。
そうしてまたゆっくりと腰を持ち上げ、また落とす。
「あへっ」
先端が子宮口にぶち当たる度に、なりふり構わない声が小さな口から漏れた。
最初はゆっくりだったそのスライド運動が、やがてペースを早めていく。
血と愛液と汗がじっとりと混じり合い、
ぐちゅっ、ぶちゅっと露骨な音を立てる。
そこに肉がぶつかる音が重なるわけだが、ペースアップしていくにつれて、
むしろ肉の音だけが大きく響き、水音が小さく目立たなくなってきた。
「あぁんっ! ふんっ、んっ! ふぁあっ! んあはっん!」
モモの声は今や殆ど途切れなくなってきている。
そのくらいペースアップしたという事だ。
ベッドがギシギシとスプリングの音を立てる。
だが、もう少しで絶頂に……というタイミングで、リトが上半身を起こしてきた。
そして一心不乱に乱れる彼女を抱き締め、その動きを止めてやる。
「リ、リトさん……? 何で止めるのぉ……?」
リトは彼女を両腕に抱えたままで仰向けに寝かせ、代わって自分が上になった。
正常位の体勢だ。
「ゴメン、やっぱり俺は寝たまんまってのは、何か悪い気がして。
 俺が動いてあげたいんだ。俺のために痛い思いをしてくれた君を、
 俺が悦ばせてあげたいんだ」
モモは意外な言葉だったが、すぐに、やはり意外ではないと思い直した。
彼ならばそう申し出てきてもおかしくはなかった。
モモが頷くのを待たず、リトは腰を振り始めた。
「アンッ! アン! アンッ! イグッ! ンっ気持ち良ひィッン!」
「やべっ……俺もう……」
「お願ひ、リトひゃん……ナカに、全部ナカに出ひれぇんっ!」
ラストスパートで、二人は同時に果てた。


ラブピンク。
赤い破瓜の血と、白い精液が交り合って、桃色の粘液となって垂れる。
モモは自分の股間から滴り落ちるその液体がシーツに染みを作るのを、
うっとりとした表情で眺めていた。
「俺なんかが初めてで、本当に良かったのかな」
リトとモモはベッドの縁に腰かけて並んで座っていた。
少女の細い肩を少年が抱き寄せる。
彼の鎖骨に頭部を預けてもたれかかり、モモは甘えるように微笑む。
「リトさんだから良いんじゃないですか。
 お姉様がザスティンやレンさんよりもリトさんを選んだ理由が
 今なら凄くよくわかりますわ」
どう答えるべきかわからず、リトは無言で彼女の頭をそっと撫でた。
その細かな仕草がいちいち、女に幸福感を与える。
やはり一人の女だけを幸せにするような男ではない。
この幸福、より多くの女性に分け与えるべきだとモモは確信した。
「さしあたって、次はお姉様ですかねぇ……」
「え、次……って?」
彼女が何を言ったのかリトにはすぐにはわからなかった。
「そう言えば……側室がどうのって」
ようやくモモの当初の目的を思い返す。そして慌てふためく。
「いっ、いや俺そんな、何人もの女の子と付き合うなんて発想は俺には……!」
しかし彼には、その言葉を最後まで言い切る事は出来なかった。
少なくとももうモモには手を出してしまったのだ。
今更ララや春菜を振り切ってモモに一途になるというのも、彼には難しい話だ。
もっともそれこそがモモの狙い通りだったのだが。
「私もお手伝いしますから、この調子でどんどん女の子を攻略していきましょう。
 リトさんは思った以上の逸材ですから、その気になれば
 ナナや天条院さんみたいな、リトさんを恋愛対象にしていない人まで、手篭めに出来ますよ」
「だから、そんなつもりは……」
「とりあえずお姉様や春菜さんは、リトさんさえその気になれば簡単ですから、
 後は古手川さんみたいな素直じゃない人や、天条院さんみたいな射程外の人を
 どうやって落とすかですね。
 通販で地球人にとびきり効果の高い媚薬でも購入して……」



おはり

 

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最終更新:2009年03月13日 23:12