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ジリリリリ……。
「ん……」
パシッ。
ウルサい目覚まし時計にオシオキを一発。
「ん、んーっ!」
伸びをしてチラリと部屋を見渡す。
「ふう……」
いつも通り。なんの音もしない部屋。
母親が台所でトントンと包丁を叩く音もしないし、
父親がテレビでニュースを見ている音もしない。
静かな私の一日の始まりだ。
「……」
身支度を済ませて台所に行くと、テーブルの上に五千円札が1枚と書き置きが置いてある。

『里紗へ
今日も遅くなるからこれで食べといて 
ママ』

私は五千円札を財布にしまうと食パンを一枚トースターに入れ、カチッとスイッチを押し下げる。
ジジジ……。
健気なトースター君が私のために頑張ってくれてる間、私は昨日の出来事を思い出していた。
(あの、結城がねえ……)
プールで唯の奴に向かって告白してた。
(てっきり、春菜狙いかと思ってたのになあ……)
結城の春菜を見てる目付き。いかにもそんな感じだったのに。
ふと、結城の奴をからかって、私の部屋に連れ込んでやった時のことを思い出した。
(あのマヌケ顔……)
プッ。
思い出し笑いしてしまう。
でも……
(春菜に負けたってんなら分かるけどなあ……よりによって、唯?)
ハッ、とため息をつく。
(なんだかなぁ……)
チーン!
私の貴重な朝食が出来上がったようだ。
パンをナイフで斜めに切って皿の上に乗せる。
お気に入りのイチゴジャム……は止めとくか。
(最近太り気味だしねえ……)
まったく、ララちぃみたいに栄養が全部胸に行ってくれたらいいのになぁ。
冷蔵庫のサラダと薄くバターを塗ったトーストをミルクで流し込むとお皿をサッと流して、
カバンを手に取って玄関に立つ。
「行って来ます」
一応、少しだけ待ってみた。
辺りを包む静寂。
(やっぱり、寝てるか……)
私は親を起こさないようにそっとドアを閉め、朝の匂いのする道を歩き出した。

少し歩くと歓楽街のど真ん中。毎日歩き慣れた、私の登校風景だ。
「おはよー、里紗ちゃん」
柄の悪そうなオジサンが私に声をかけてくる。
「あっ、オジサン。おっはよー。景気はどう?」
「んー、今一つだねえ。やっぱり、不況の影響がねぇ」
「やーだ、しっかりしてよ! オジサン!」
バンッ! オジサンの背中を叩く。
「あはは……。あぁ、バブルの頃は良かったなぁ……」
「やだ。一体いつの話してるの?」
オジサンは私の身体をジロジロと舐めるように見る。
「いっそ、里紗ちゃんみたいな娘が入ってくれたらねえ……」
「あら? 健全な未成年をイケナイ道に引きずり込もうっての?」
「じょ、冗談だってば。ママにきつく言われてるからねえ」
「ふーん……」
(意外に、気は使うんだ……)
「じゃね、オジサン!」
「ああ。気を付けてな」
私はオジサンに手を振って、学校に向かって歩き出した。

学校に着いて見ると、なんだか男子がズラリと並んで変な看板が立ってる。
(『結城リト死すべし』? 何かやったの、あいつ……)
さっさと無視して教室に入る。しばらく待ってると、なんだか校庭で騒ぎが起こって、
急に転校生がやってきた。
「あ、あの、夕崎、梨子です。リト君がいない間、よろしくお願いします」
なんだか、ブルブル震えながら自己紹介してる。
そのオドオドした様子を見て、プッと吹き出してしまった。
(なに、この娘。頼りない感じ! まるで、結城が女になったみたいじゃない)
私は舌をペロッと一嘗めした。
(うふふ……これはまた、イジリがいがありそうねえ……)

2時間目の授業が終わって、夕崎梨子は席を立った。
「あ、あの……私、トイレ行って来るから」
周りに告げて教室から出ようとする。
(うふふ……これはチャンス!)
早速教室を出た夕崎梨子に声をかける。
「はーい、リコりん!」
「えっ!? わ、私、ですか?」
「転校したてでトイレの場所とか分からないよね。連れてってあげようか?」
「わ、私、別に……」
「ま、そう言いなさんなって。じゃ、行こ!」
「え、え!? ちょ、ちょっと……」
なんだかんだで私に着いて来てしまうリコりん。この押しの弱さ……うーん。
ますます結城に似てるなあ……。
「リコりんって、結城に似てるよね」
「えっ!? あ、し、親戚、なんです……」
「ふーん……」
トイレはすぐそこ。本当は案内するまでもないんだけど。
「ここよ」
「あ、ありがとう御座います。じゃ……」
リコりんは……あれっ!?
「ちょ、ちょっと!? そっち、男子トイレよ!?」
「えっ……あっ! そ、そうですよね、女子トイレに入らなきゃ……」
何か変なこと言ってる。なに、この娘……?

リコりん、冷や汗ダラダラで女子トイレに入ろうとしたんだけど……。
なんか、入り口で立ち止まってる。
「どうしたの?」
「え……えっと……これ、どこに入ってもいいんですよね」
「はあ?」
なんだか、女子トイレを使ったことが無いみたいな言い方をする。
不審に思った私は、リコりんに聞いてみる。
「あんた、本当に女なの?」
「いっ!?」
ビクッ! 露骨にリコりんの身体が反応する。
「や、や、やだなあ、み、み、見たら、わ、分かるじゃないですかぁ……」
リコりんの額からはもう汗が滝みたいに流れてる。
(もしかして……)
私はおもむろに、バックからリコりんの胸を鷲掴みしてみる。
「ひゃっ!?」
「んっ……この感触……本物ね……しかもノーブラと来たか……」
しかも、これは上物だわ。この手で包み切れない大きさは……
(チッ。負けたか……)
悔しいので、もっといっぱい揉んでやることにする。
「あんっ……だ……ダ……ダメッ……」
(ウフフ……このウブな反応……)
その時、私の心に何か引っかかるものがあった。
(あれ、この反応、どこかで……あっ!?)
今朝思い出してた、あの結城の反応。
あれにそっくりじゃんっ!!

(この子……もしかして、結城?)
そう考えてみると、全てに辻褄が合う。
急に結城が欠席して、リコりんが来たこと。
リコりんの、結城みたいな反応。
男子トイレに入ろうとして、女子トイレの使い方を知らなかったこと。
真実を確信した私は、ニヤッと笑ってリコりんの耳元で囁いた。
「ウフフ……私のテク、どう? 結城ぃ……」
「いいっ!?」
リコりんの身体がビクンッと激しく跳ねた。
「な、な、な、な、なんの、こ、こ、こと、ですか……」
顔中汗だくになりながらリコりんが声を絞り出した。
「誤魔化さなくてもいいのよ? 結城ぃ。女子トイレの使い方分からなくて困ってるんでしょ?」
「え……」
「私が教えて、あ・げ・る♪」
「ちょ、ちょっと……」
私はリコりんの肩を抱いて、女子トイレの一番奥の個室に押し込んだ。

「はい、ここに座って」
「う、うん……」
リコりんを便座の上に腰掛けさせる。
「じゃ、スカートめくって」
「ええっ!?」
「そうしないと、教えて上げられないじゃない?」
「うう……」
リコりん、恐る恐る私の前でスカートをめくり上げた。
涙目になって、顔を真っ赤にして、プルプル震えて……。
「ププッ……!」
思わず吹き出してしまう。
あんまり可笑し過ぎて、目からちょっと涙が出てしまった。
「な、何がおかしいんだよっ!」
涙目のリコりんがささやかな抵抗をしてくる。
(こ、こんな、ウブでイジメがいがある娘、初めて見た……)
私は笑いを堪えて、リコりんのパンティの前に顔を寄せた。
「ふーん……。本当に、立派な女の子になってるんだ……」
「な、なりたくてなったんじゃないっ」
私はニヤリと笑みを浮かべてリコりんに告げる。
「分かる? 結城。ここが女の子の大事なとこ」
二本の指でリコりんのその部分をパンティの上からスーッと撫でてやる。
「あ……あ……あっ……」
「で、ここが女の子が一番感じるところ」
その上の突起の部分を指でコネコネする。
「ひゃあっ!?」
リコりんの身体がビクンっと跳ね上がる。
「も……もう、止めてよぅ……」
リコりんの顔、もう真っ赤っかで、涙もポロポロ。
(こ、この敏感な反応……マジ? こ、こりゃ、ヤバいわ……)
もう私は笑いが止められなくなっていた。
「ほら、ここにオシッコの穴があるのよ」
私はその部分をパンティ越しに手でおさえてやる。
「あ……あ……」
「じゃ、パンティ脱いでやってみて?」
「えっ……」
「ほら、見ててあげるから」
「そ、そんなのっ……出来るかっ!」
「あーら? あんたが結城だってバラされてもいいの?」
「うっ……」
リコりんがまた、悔しそうに顔を真っ赤にしてプルプル震え出す。
「ううう……」
そして、恐る恐るパンティに手をやって、涙でいっぱいの目を一生懸命つぶって、
パンティを少しずつズリ下げて……

「あーっはっはっは!! 冗談よ! 冗談だってば! もう最高ーっ!!」
とうとう笑いを堪え切れなくなって、大爆笑してしまった。
そんな私の様子をポカンと見てるリコりん。
「あっはっは……あーっはっはっはっは……ひーっ!!」
腹を抱えて笑い声を上げる私を見て、リコりん、ちょっと怒ったみたい。
「も、もういいからっ! 出てけーっ!!」
「はははっ……じゃ、リコりん。終わったら呼んでねー」
「うるさいっ」
リコりんは私を追い出してパタッとドアを閉めてカチャリと鍵を掛けた。
(さて、ちょっと待ってやりますか……)
ちょっと時間がかかったけど、リコりんが用を足す音がした。
で、また沈黙。
そして……
「あ、あの……籾岡……」
「んー?」
カチャリと鍵が開く音がする。
中を見てみると、リコりんはまだパンティをずり下ろしたまま、困った顔をしてる。
「こ、ここ……濡れちゃってんだけど……。どうしたらいいのかな……」
私はクスッと笑って、先輩としての指導をしてやる。
「それは紙で拭くの。で、女の子なんだから、終わったらキチンと畳んで……」

リコりんの後処理が終わった後、私達は個室の中でちょっと話をしていた。
「ふーん、ララちぃがねえ……」
「まったく、やんなるぜ……」
ふぅ、とため息をつくリコりん。
「でも、元はと言えば、あんたの告白が原因なんでしょ? 自業自得じゃない」
「こ、こんなはずじゃなかったんだよー! 
大体、オレは古手川とかに告白しようとしたんじゃなくて……」
「ちょっと待って」
「え?」
「古手川とか、ってなによ」
「な、なにって……」
ちょっとムッとしてしまう。
「別にあいつの肩持つわけじゃないけどさ、あんた、言われた方の気持ち考えてる?」
「あ……」
「あーあ。そんなんじゃ、女の子にされても仕方ないねえ」
「えっ」
「猿山の彼女にでもなって、女の子の気持ちをもっと考えなさいって事なんじゃないの?」
「な、なんだよそれ……」
リコりん、ちょっと困った顔してる。
「わ、悪かったよ……」
「ん? 私は別に、唯がフラれようがなんだろうが知ったこっちゃないけどね」
「おいおい……」
一瞬会話が止まる。この隙に話題を転換してみた。
「で。結局誰に告白するつもりだったの?」
「えっ!?」
リコりん、絶句。
「言いなさいよー。ほれほれ」
「な、なんでお前に言わなきゃいけないんだよ」
「当ててみようか」
「えっ」
(さあ、なんて言おうかな……)

春菜。
って言っちゃって、もし当たってたら、こいつの事だ。きっと顔に出る。
そしたら、なんだか……私がバカみたいじゃない。
じゃあ、他の人?
「うーん……」
私は腕を組んで考えてるふりをする。
「だ、誰だって言うんだよ」
ポンッと手を打って、明るい顔で答える。
「やっぱ、これしかないわ」
「え!? だ、誰だよ」
「私」
「は?」
リコりん、キョトンとしちゃった。
「私しかいないでしょ、あんたが告白する相手って」
「な、なんでそうなるんだよっ」
私は甘えモードに入ってリコりんをいびる。
「だってぇ、私達ってぇ、ベッドの上で愛し合った仲じゃない? ダーリン♪」
「ひ、人聞きの悪いこと言うなぁ!!」
「えぇー、あの日のアレは冗談だったのぉ?」
「だから、あの時は何もしなかったじゃねーか!」
「別に、今からでもいいのよ?」
「い、今は女同士だろっ!」
「私ってほら、どっちでもイケるじゃない?」
「いっ!?」
意地悪な目をして、手をリコりんの前でワキワキしてやる。
「ウフフ……禁断の愛に突入しましょうか、リコりん……」
「ひ、ひいいいぃっ!?」
その時、トイレの外から大声で叫ぶ女が一人。
「こらっ! 籾岡さんっ! そこに隠れてるのは分かってるのよっ!
はやくリコさんを連れて出て来なさいっ!!」
人を誘拐犯人みたいな言い方するそのイケスカない声は、
(唯か……)
「チッ。仕方ないわねえ」
キィ。扉を開いて、リコりんと一緒に個室を出る。
「籾岡さんっ! もう授業時間なのに、リコさんを連れて何やってるのっ!」
「ん? リコりんに女の子の仕組みについて個人授業してた」
「いっ!?」
「なっ……何よそれっ!?」
「おかげでリコりん、ほら」
私はリコりんのノーブラ乳首を両方、制服の上から親指と人差し指でつまんでクリクリしてやる。
「あんっ!?」
「こんなに感じやすい可愛い女の子になっちゃって……」
「あっ……ああっ……あんっ……や、止めっ……はあんっ……!」
「リコりんのおっぱい、どんどん育ててあげるからね……ウフフ……」
「や、やめてぇっ……」
「いい加減にしなさいっ!!」
唯がリコりんの手を掴んで、私からおもちゃを取り上げた。
「行くわよ。もう授業が始まってるんだから!」
あーあ、つまんないの。
こんな楽しいオモチャ、滅多に手に入らないのに。ウフフ……。

「さあ、急ぎましょ!」
もう授業が始まってるから、生真面目な唯は早足で廊下を歩いて行き、
私とリコりんはその後を着いて並んでゆっくり歩いていた。
「……」
なんとなく、唯に聞こえないようにリコりんに聞いてみる。
「結城、あんた、朝ご飯食べる?」
「え? 食べるけど?」
「朝、テレビとか見る?」
「結構見るな」
「ふーん……」
私はフッと笑みを浮かべて言った。
「普通だね」
「は? そりゃ、ま、普通だけど……」
「じゃ、あんたでも良いかな」
「はあ? 言ってる意味が分かんねーよ」
「二人とも何コソコソ話してるの! はやく先生に謝りなさい!」
(未来の、旦那……なんちゃってね)
私は自分のつまらない空想を笑い飛ばすと、先生にウインクを一つサービスして席に着いた。
(終)