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「む~……」
「まう~?」

真剣な眼差しで幼いセリーヌの顔を見つめるララ
そんな彼女を不思議そうに見つめ返すセリーヌ
学校から帰ってきてからというもの、ずっとこの調子だ
すっかり陽の落ちた結城家で、不思議なにらめっこが繰り広げられていた

「……何してんだ?ララ」

その様子をしばらく黙って見ていたリトが、ついに堪え切れなくなりツッコミを入れる

「何って……待ってるんだよ、光るの!」
「光るって、何が?」

本気でわからないといった顔でリトがそう返す
するとララははじめてセリーヌから視線を外し、少し憤慨したような、呆れたような瞳を向けた

「リトが言ったんだよ、セリーヌちゃんは年に一回だけお花を虹色に光らせるって!それが今日だって!だからこうしてその瞬間をずっと待ってるのっ」
「セリーヌの花が光る……?虹色……?……ああ」

何かを思い出したようにポンッと手を叩くリト
そういえば言ったかもしれない、そんなことを
本日4月1日、つまりエイプリルフールの朝っぱらに
思い出すと同時に、リトは驚いたようにララを見た

「って、お前それ信じたのかっ!?」
「?うん」

素直にこくんと頷くララ
しまった、とリトは思った
なんてことはない軽いジョークのつもりだったのだが、デビルークにはそういった風習が無いのかもしれない
いや、住んでいた星が違うのだから無くても当然だろう

「え……もしかしてウソだったの?」
「はは……悪い」
「ひっ……どぉ~い!!」

ぷく~っと頬を膨らませて抗議の態度をとるララ
悪いとは思いつつも、そんな愛くるしい姿を見ているともっと悪戯してやりたくなってしまう

「怒るなって。あ、ホラ!庭の木にパイの実がなってるぞ!」
「えっ、どこどこ!?」

リトが指差した方向をすかさず見るララ
しかし窓はすでにカーテンが閉まっており、外の様子などわかるはずもない
さすがのララもこれはすぐにウソだとわかったようだ

「んもう、もうっ」

ぽかぽかとリトの胸のあたりを叩くララ
もちろん全力ではなく恋人相手にじゃれる程度のものだが、地球人より数倍力が強いため結構痛い

「いてて、悪かったって!ごめんな。でも地球じゃ4月1日はウソついてもいい日なんだぞ」
「そんなの知らないもぉん……」

しゅんとして下を向くララ
珍しくララにしては本気で落胆している様子だ
余程セリーヌの花が光る瞬間を心待ちにしていたらしい

「セリーヌちゃんのお花が光るなんて素敵だな、綺麗なんだろうなぁって思ってたのに……」
「ララ……」

さすがにやりすぎたかもしれない
リトは心の中で反省するとともに、絵本の中のような内容を本気で信じてしまうララがとても純粋で可愛らしく思えた
低くなってしまったララの頭を少し強めにくしゃくしゃと撫でてやる

「り、りとっ!?」
「ホントにかわいーよなぁ、ララは」

満面の笑みを向けてそう言うと、ララは少しだけ赤くなった頬を膨らませた

「……もうウソついても騙されないもん」
「これはウソじゃないって」
「むー……」

顔を赤らめたままジトッとリトをにらみつける
どうやらかなり機嫌を損ねてしまったらしい

「わかったよ。じゃあ、これからオレが言うことは全部ウソだからな?」
「えっ……?」

一瞬、何を言っているのかわからないといった様子でリトを見つめ返すララ
するとリトはコホンと咳払いをして言葉を続ける

「オレ、ララのこと好きじゃない。可愛いとも思わない。大切だなんてこれっぽっちも思ってない」
「り、リト?」
「いつもそばにいたいなんて思わないし、け、結婚なんて考えたこともないっ」

マシンガンのように吐き出される言葉に、ララはキョトンとして聞き入っている
ウソだと宣言された言葉を一つ一つ変換していくと、徐々に頬の赤みが増していく

「え、あの、その……」
「……やっぱ、ムリだ」
「えっ?」

ポツンと呟いた一言に、ララが首を傾げる
どういうこと?そう尋ねようとしたとき、その体はすっぽりとリトの腕の中に収まっていた

「こんなこと言うのウソでも耐えられねーよ」
「り、リト……」
「態度だったら、ウソも何も無いだろ?全部ホントだ。だから許してくれよ……な?」

抱きしめる腕に力を籠める
頑固だったララもようやく観念したのか、リトの背中に細い腕が回される

「許してあげないもん……」
「えぇ……?じゃあどうしたら許してくれるんだよ?」
「うーそ♪リト引っかかったぁ♪」
「あ、こんにゃろっ」

ペロっと舌を出して微笑むララの腋に手を入れ、こちょこちょとくすぐる
こうなってしまうとさっきまでの不機嫌はどこへやら、ただのノロケ合いだ

「ひゃ、あははっ……だめぇ、くすぐったいよぉ!ん、ひゃう、あははっ」
「そんな声出すと向こうの部屋の美柑に勘違いされちゃうぞ?」
「だ、だってくすぐったっ……あは、うふふ、あはは……っ」
「仕方ないな」

わざとらしくやれやれと言いながら、リトが笑いすぎて苦しそうなララの顔に自分の顔を近づける
そして二つの唇が重なると同時に、くすぐっていた手を止めた

「んっ……はぁ」
「……止まったな」
「うん……リト、ねぇ……?」

くすぐられて涙が出るほど笑ったせいなのか、それとも別の理由なのか
潤んだ瞳でリトの顔を見つめた

「……ここじゃセリーヌもいるから、部屋行こう。今日は……ララの部屋にする?」
「どっちでもいいよ。リトの好きなほう♪」
「わかった」

ララの返事を聞いたリトは腰の辺りに手を回すと、ひょいとその体を抱え上げる
小柄でもやはり男の子なのだと再認識させられる

「えへへ♪」
「すっかり機嫌よくなったな」
「うんっ♪」

太陽のような笑顔を見せてリトの首に抱きつくララ
その輝きには微塵の曇りもない
もう少し不機嫌なララも見てみたかったけど……そうは思ったが、その言葉は胸の中に仕舞う
やはりララの笑顔に勝てるものは無いのだ

「ララ」
「なぁに?」
「……なんでもない。今日はララを怒らせちゃった分、いつもより頑張るからな」
「もう……リトのエッチ♪」

嬉しそうなララの言葉を胸に、リトは軽い足取りで階段を駆け上る
宣言した以上はしっかりララを満足させなくては――そう心に誓いながら