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朝の騒がしさに起こされたリトは眠たい目で時計を確認した。時計の針は丁度7時を指していた。

「ったく、朝っぱらから何なんだよ?」

いつもならまだ寝ている時間でもあり二度寝しようにも目がさえて眠れなかった。

「とりあえず、起きるか」

リトは着替えを済ませリビングへと向かった。

「おはよう!リト」

リビングには何やら不思議な機械を手に持っているララがいた。リトは朝の騒がしさの原因はララだと気づき髪を掻きながらララに言った。

「…お前、こんな朝早くから何やってんだよ?」

「新しく作った発明品を試してたんだよ~♪」

そう言うと手に持っている機械をリトの方に向けた。

「これはね、クルクルクロックっていって、このダイヤルを使って記憶を復元出来るんだ♪」

「記憶?復元してどうするんだ?」

「記憶を復元して忘れ物とかをなくすことが出来るの。これさえあればもう忘れ物をしなくてすむよー」

ニコニコと嬉しそうに言うララにリトはよかったじゃんと言い自分の部屋に戻ろうとした。

「待って!リトもクルクルクロックを使ってなくした物を取り戻したくない?」

「ん~そうだな。俺もなくして困ってた物があるしな。お願いするぜ」

「了解♪リトがなくして困っていた物って何?」

「唯から貰ったお揃いの携帯ストラップなんだ…3日前から見当らなくてずっと探してたんだ」

リトの言葉を聞くとララは手に持っているクルクルクロックのダイヤルを回し始めた。

「これでOK!後はクルクルクロックがリトの記憶を復元してくれるから」

「サンキュー。これで見つかりそうだよ。正直唯に色々と聞かれてまいってたんだよな~」

そう言うとリトは何かを思い出したのか自分の部屋に行ってしまった。10分も経たないうちに嬉しそうな顔をして戻って来た。

「ララ!あったよストラップ!本当にありがとうな!助かったぜ!」

リトの嬉しそうな顔にララも嬉しくなって笑顔になった。色々話してるうちに美柑が起きてきたので制服に着替える為に部屋に戻った。

皆で朝食を食べ終え学校に向かう。行く途中で唯が待っていた。

「おはよう。結城君」

今朝も寒かったけど、唯にとってはリトと会えるという想いが寒さえ感じさせないでいた。

「……」

「ちょっと!結城君!私が挨拶してるのにどうして黙ってるわけ?」

いつもだったら笑顔でおはようと返してくれるリトなのだが今日は何か様子がおかしい。

「あのーあなた誰ですか?」

「えっ?」

リトはララに誰だよ?と聞いて唯の方を見た。

「結城君!ふざけてるの!」

唯は声を大きくしてリトに言った。

「誰だよ?馴れ馴れしい。俺はお前の事なんか知らないって言ってるだろ?」

いきなりなことだったため唯は何も言う事が出来ずに俯き目には涙をうかべていた。

「ったく、朝からめんどくさいことにあっちまったな」

そう言うとリトはララと唯をおいて走って行ってしまった。

「ま、待って!結城君!」

唯の言葉もリトには届かず行き交う人の中に消えていった。唯は俯いてしばらくその場から動くことが出来なかった。

 

 

「結城君、どうして?」

リトに嫌われたのではないかと不安になる唯にララが優しく声をかける。

「今日のリト何か変だよね?唯にあんなこと言うなんて」

今にも倒れそうな唯に肩を貸し二人で学校へと向かった。

唯は学校でも何度もリトに話しかけたがリトは他のクラスメートと話していて唯の話を聞こうともしない。

放課後になってもそそくさと帰ってしまい、唯と顔を合わせることはなかった。

唯は一人寂しく帰ることになり、不安な気持ちでいっぱいだった。

リトと付き合い始めて一人で帰ることが少なくなり、自分がどんな遅くなってもリトだけは待っていてくれた。

暗い夜の帰り道もリトがいてくてたから安心できた。触れるリトの手の温もりを感じながら帰るのが唯にとってかけがえのないものとなっていた。

けれど、今はリトはいない。その寂しさに押しつぶされそうになりながら、家に帰った。

家に帰っても唯は部屋に閉じこもり一人考えていた。

「結城君、私のこと嫌いになったのかな?私がいつまでも素直にならないから…」

リトのことを考えると夜も眠れなくなる。あの日、リトが初めて自分に好きだと告白してくれた日、自分の想いをリトに言えた日、その日を思い出すたびに身体中が熱くなる。

二人の想いは通じ合い決して離れない絆になった。

けど、今その絆が消えてしまいそうになっていた。

消えてほしくない!リトとの思い出だけは失いたくない!

その想いを胸に抱いて眠りについた。

 

 

翌朝

今日は学校も休みなため朝からどこかに出かけようと思い、着替えていると電話が鳴った

「…はい、もしもし?古手川です」

『あの…私、唯さんのお友達のララですけど、唯さんいますか?』

「ララさん?どうかしたの?」

電話の相手がララだということに驚いた。ララが自分に電話をしてくるなんて思いもしなかった。

『唯?よかった。リトのことで話があるから電話したんだ』

「結城君のこと?何?」

『実は昨日リトの様子がおかしかった理由がわかったの』

「えっ?」

『リトの様子がおかしかったのは、私の発明品のせいなの…』

「発明品?」

『うん、私が発明したクルクルクロックのせいなの。クルクルクロックは人間の記憶の復元が出来るの、昨日の朝リトが探し物をする時に使ったんだけどその時何かのトラブルで記憶を消去するプログラムが発動したみたいなの』

『記憶が消去されるプログラムは一時的なものだからすぐにリトの記憶を復元出来るよ』

「そうなの…わざわざ教えてくれてありがとう」

『うん!けど、一つ心配なことがあるんだ』

「心配なこと?」

『記憶を復元して唯のことを思い出すとは限らないの、もしかしたら唯のことを思い出せないかもしれない…』

ララの言葉に声が出なかった。リトが自分のことを忘れてしまう。セリーヌと一緒に行った海のこと、二人で買ったお揃いの携帯ストラップのこと、そして、自分に好きだといってくれたこと全部忘れてしまう。

「そんなの嫌……」

リトとの思い出が全部なくなってしまう。やっと想いが通じ合ったのに。唯の目に涙が溢れてきた。

「何か…方法はないの?」

電話越しの弱りきった唯の声にララも不安になる。

『一つだけ方法があるよ』

「教えて!何をすればいいの」

『二人の絆が強いことを証明すればいいよ』

「証明?証明って何をすればいいの?」

『リトの記憶が戻る瞬間に唯がリトにキスをすることなの』

「キス…」

『二人の絆が確かだって言うことを証明しなくちゃいけないの』

リトとは何度もキスをした唯なのだが、今回のキスは普段しているキスとは違う。

二人の絆を確かめるためにするキス、唯はそのキスの重要性に気がついた。

「わかったわ。これから結城君のお家に行くから」

『うん』

ララとの電話を切ると唯は急いでリトの家に向かった。

 

 

「唯。あがって」

「おじゃまします」!

唯は靴を揃えて家にあがるとララ言われてリト部屋のある2階に上がった。

リトの部屋に着くとララ手に持っているクルクルクロックのダイヤルを回した。

「唯!今だよ」

ララ合図に唯がリトに近づく。

「結城君、お願い思い出して」

そう言い終わると唯はリトにキスをした。

「リト今寝てるから起きたら全部思い出してると思う」

「そう」

唯はリトが起きるまで待ち続けた。一分ごとに時計を見ていたので待つのが長く感じた。

30分くらい経った頃ララが。

「唯。もう来てもいいよ」

と言ったのでリトの部屋に行った。

「唯!お前どうしたんだ?家に来て」

不思議そうに唯を見るリトに唯は泣きながら言った。

「もう!心配したんだから!バカ!」

「どうしたんだよ?急に泣き出して」

「バカ!バカ!バカ!結城君なんかもうしらないっ!」

リトは唯がどうして怒っているのかのわからずにいた。

「ごめん。唯、何か心配かけたみたいで」

「けど、よかった。結城君が私のことを忘れなくて」

「当たり前だろ!俺がお前のことを忘れるわけないだろ?」

「うん」

昨日の夜からリトのことが心配で全く眠れなかった唯は疲れ果ててリトのベッドで寝てしまった。

その寝顔を見ながらリトは言った。

「俺、絶対唯のことを離したりしねぇからな」

リトの腕の中で眠る唯に優しく布団をかけた。

「心配かけちまったみたいだな…」

リトのベッドで眠る唯の頭を撫でると 眠っている唯を起こさないように部屋を出た。

リビングではララがクルクルクロックを分解していた。

「リト目が覚めてよかった」

「お前は何をやってるんだ?それよりさ、どうして唯が家にいるんだ?」

「それはね…昨日の朝リトがクルクルクロックを使ってストラップを見つけたでしょ?

その時にリトの記憶を消去するプログラムが発動して、唯のことを忘れててたんだ」

「そうだったのか」

「ごめんねリト。私のせいで唯につらい思いをさせちゃって…」

申し訳なさそうにするララにリトが言った。

「気にすんなって、それにララの発明品があったからストラップを見つけることが出来たんだぜ?本当にありがとうな!感謝してるぜ」

リトの言葉にララの表情も明るくなり、いつもの元気が戻った。

その顔にリトも嬉しくなり頬が緩んだ。

「そろそろ、美柑が帰ってくる時間だな」

リトは時計で時間を確認した針は12時を指したところだった。美柑は唯が来ていると知り、人数が増えたからといい昼食の買い物に行った。唯が来たのが11時ごろだったからもうそろそろ帰ってきてもいい時間だった。

 

 

「ただいま」

「おかえり」

リトが時計を見て10分も経たないうちに美柑が帰ってきた。手には大きな買い物袋を下げていた。リトが重いほうの買い物袋を持ち、冷蔵庫の前まで運んだ。

「ありがと、リト。ところで唯さんは目を覚ましたの?」

「いやっ、まだ寝てるよ」

「まだ寝てるよじゃないでしょ!あんた唯さんの側にいないと駄目じゃない!昨日唯さんをほったらかした分一緒にいないと駄目に決まってんじゃん」

「けどな~唯を起こすのも悪いだろ?」

「リト!唯さんがあんたのことどれだけ心配してくれてたと思ってんの?朝会った時に唯さんの顔を見たけど、多分唯さん殆んど寝てないと思うよ。きっとリトのことが心配だったのよ」

「私のことはいいから早く唯さんのとこに行ってあげなよ」

「わかったって、そんなに怒るなよな…」

「ったく、美柑のやつあんなに怒ることねぇのにな…」

リトはぶつぶつと文句を言いながら唯の寝ている自分の部屋の向かった。自分の部屋なのだが、今は唯が寝ているからかかなり緊張していた。

ノックをして部屋に入る。

「唯?起きてるか?」

「…ん?」

「悪い起こしちまったか?」

唯はリトが入ってくると乱れた髪を整え、まだ眠たい目でリトの顔を見た。

「結城君?どうしたの?」

「あのさ、美柑にお前の側にいてやれって言われたから、その…」

「美柑ちゃんに言われたから私のところに来たんだ?」

唯は冷たい目でリトを睨んだ。睨まれたリトは慌てて言い直す。

「いやっ、そのさ…俺も唯のことが心配だったから」

「ふーん」

唯は不満げな目でリトを見ると、まあいいわと言ってベッドから起き上がる。

「ところでさ、唯、お腹へってないか?美柑が昼飯の準備をしてるから一緒にどうだ?」

「うん」

唯は快く返事をすると、リトと二人でリビングに行くことにした。

「結城君、ちょっと待って!」

「ん?どうした唯?」

「…あのね、お、お願いがあるんだけど…」

「何だ?俺に出来ることなら何でもいいぜ?」

「う、うん。あのね…もう一回キスしてもいい?」

「えっ?」

「お願い、もう一度だけ結城君とキスがしたいの」

「わかったよ、キスしたら飯を食べに行くからな?」

「うん」

二人は唇を重ねる。

今までなんどキスをしてきたけど、唯の方からキスがしたいと言ったのは初めてだった。

リトと唯はお互いの気持ちを確かめ合うようにキスをした。

「じゃあ、そろそろ行くか?美柑が待ってるし」

リトは立ち上がると唯の手を握り、唯もそれに応えた。

昼食を食べ終え唯は美柑と後片付けを始めた。リトは雑誌を読み、リラックスしていた。

「それじゃあ、私そろそろ帰らなくちゃ」

時間はもう5時になっていた。

「唯さん、夕飯も食べていけばいいのに」

「ありがとう。美柑ちゃん、でも家族が心配すると思うから」

「そうだね、リト唯さんを送ってきなよ」

「そうだな、もう暗いし、唯を一人で帰すわけにはいかねぇもんな」

リトは唯を家にまで送ることになり、部屋に上着を取りに行った。

「おまたせ、んじゃ、行きますか~」

「うん」

夜の道を二人で並んで歩く、寒そうにしている唯にリトは自分の着ているをかけた。

「寒いだろ?これを着てろよ、温かいぜ」

「ありがとう」

「唯に風邪をひかれちゃ困るしな」

「でも、それじゃあなたが寒いじゃないの…」

「俺は平気だぜ!風邪なら前にひいたからな」

「駄目よ!私だって結城君が風邪をひくなんか嫌なんだから…」

そう言うと唯はリトに寄り添った。

「これで、ちょっとは暖かいでしょ?///」

「ああ、ありがとうな唯///」

二人はお互いの身体を温めあいながら夜の道を歩いた。

「あのさ、今日は本当にごめんな。お前に心配ばかりかけて」

「気にしないで、私もあなたのことが心配だったから。でもよかった元に戻って」

「俺、もう唯を哀しませるようなことはしないよ。だから、唯はいつも笑顔でいてくれないか?

俺、唯の笑顔が好きだから///」

リトは照れくさそうに唯に言った。その言葉を聞いて唯は嬉しくなった。

「私もよ、私もこれからもずっと結城君と一緒にいたい。どんなことがあってもあなたを信じるから」

「ありがとうな」

二人は再び唇を重ねる。お互いの想いを確かめ合い、絆を深めるために。

「浮気したら許さないんだから!」

「しねぇよ!俺にはお前がいるんだから他の子のことなんて考えねぇよ」

「本当に?」

「本当だって!」

「わかったわ、結城君を信じる。あなたを信じることは私自身を信じることになるから」

どんなことがあっても離れない、私たちは強い絆で結ばれているの。

二人ならきっと大丈夫、あなたがいるからきっと乗り越えられる。

冬の寒い夜にもリトと唯だけは温かい思いでいっぱいだった。

「絶対に離さないでよ結城君!」

「ああ、どんな時でも一緒にいような!唯」

二人の未来はまだ始まったばかり。二人の歩む道は同じ道に今重なり一つになった。

 

 

 

 

 

-Fin-