金曜日の放課後
30分遅れのHRが終わると結城リトは友達との話もそこそこに教室を飛び出した
(やっべ~。あの先生話し長すぎなんだよ)
リトは全速力で目的の場所まで走る
『放課後いつものところで待っていますわ』
いつものところ―――二人の距離がずっと近くなったあの日から放課後いつも会っている
二人だけの秘密の場所
「ごめん、遅くなった先輩」
勢いよく図書室の扉を開けるリトに対しムスっとした顔で出迎える少女
あたりをキョロキョロ見回しなにかを気にするリト
「うっ、やっぱり怒ってる沙姫?」
名前を呼ばれた少女―――天条院沙姫は組んでいた腕を離すと優雅に髪を掻き揚げる
「別に怒ってなんていませんわ。ただ二人の貴重な時間をつぶした責任を
どう取らせようか考えているだけですわ」
(はぁ~そりゃやっぱり怒るよな~)
うなだれるリトに見えないように微笑む沙姫
本当はこうやって話してるだけですごくうれしい。沙姫にとって一日で一番幸せな時間。
だからといって沙姫は甘くはない
時間が短くなったことについては怒っているといえば怒っていた。
リトはすこしツンとした態度で差し出される沙姫の手をとると椅子から立ち上がらせ
自分のほうに抱き寄せた
(えっ!?////)
「ごめんな沙姫。俺もう絶対遅れたりなんかしないからだから許してくれないか?」
「べ、別に私はそんな・・・も、もういいですわ。怒ったりなんかしませんから」
「本当?」
沙姫に許してもらったことがよほどうれしいのかリトは満面の笑みを浮かべた
(も、もう////)
ドクンドクンドクン、心臓の鼓動がどんどん早くなる
そんな自分を気づかせまいと沙姫はそそくさと図書室をあとにしようとする
「待ってくれよ沙姫校門まで送るからさ」
「・・・・////」
「どうしたんだよ?さっきから黙ったまんまだけど」
「な、なんでもありません。それよりリト、あなたこれから私に付き合いなさい」
沙姫の車の中
「え?買い物?」
リトはちょっと意外だった。沙姫の買い物中のイメージが沸かなかったからだ
「なんですの?行きたくありませんの?」
「いや、そんなわけじゃないけど・・・。けどそっか~じゃあ俺たちこれから
3日間ずっと会えるってわけだよな」
「えっ、ええ。そういうことになりますわね////」
二人は土日にデートをする約束をしていた
なので沙姫はここ数日そのことばかり考えてはひとり顔を赤らめる日々を送っていた
最終更新:2007年04月04日 15:19