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「御門先生ぇ~…」

とある日の放課後、結城リトは保健室を訪れていた。
その様子は正に、『今ものすごく疲労困憊です』オーラが全身から醸し出されているかのようだ。

「あらら、どうしたの結城君?随分お疲れの様だけど…」

御門先生がちょっと苦笑いしながら聞いてみる。

「まぁ、色々と…」

今日もいつもの如く、ララが引き起こす騒動に巻き込まれ、いつもの如くルンに抱き付かれ、いつもの如く古手川にブン殴られ、いつもの如く金色の闇に殺されそうになったりと、文字通り身も心もボロボロの状態で現在に至る。
ていうか、毎日こんな目にあってよく過労死しないものである。

「あー…。なんてゆーか、結城君も気苦労が絶えないわねぇ…(汗)」

「ええ、ホントもう頭が痛くてしょうがないんですよ。しかも最近胃の辺りもキリキリと痛み出して…」

「あー、それきっと神経性胃炎ね。そろそろなってもいい頃だとは思ってはいたけど…」

そう言って、御門先生は薬品が置いてある棚の方へ。

「えーっと、確かここに…………あ、これかしら…。はい結城君」

棚にあった小ビンの中から一粒のカプセルを取り出してリトに手渡した。

「何スかコレ?」

「私が調合した栄養剤よ。まぁ、気休め程度にはなると思うから。はいお水」

「あぁ、ありがとうございます」

一言お礼を言って、カプセルを口に含んだ。

「ぅん?なんか甘いっスねコレ」

「そう?そんなに甘くした覚えないんだけど…」

「まぁいいや。それじゃ先生、オレはこれで。」

「はい、お大事に~」

力の無い笑顔でお礼を言って、リトは保健室を後にした。

 

「んー、これも天然ジゴロの宿命ってやつなのかしらねぇ~…………………………あら?」

ここで御門先生、何かを発見。

「これって…」

手に取ったのは、先程リトに渡した薬が入っていたビンの隣にあったビン。その裏にはラベルが貼ってあり、そこには『私特製栄養剤♪』とデカデカと書かれていた。

「………………え!?」

御門先生、顔面蒼白。

(ってことは、さっき結城君に渡した物って…(汗))

 


――――――――

 


その日の夜――。


「ぅーん……」

「リト~、どーしたの?なんか具合悪そうだけど……」

「もしかして風邪でもひいた?」

「いや、そんなはず無いと思うんだけどな……」

心配するララと美柑に対して、一応そう答えてはみたものの…。

(なんか頭がボーっとすんなぁ…。身体もなんか焼けるように熱くなってるし…)

実際はあまり大丈夫ではなさそうである。

「そーだ!私ね、この間読んだマンガに出てきたメディカルなんたらってメカを作ってみたんだけど、それを使えばリトもたちまち元気に――。」

「却下だ!!」

「なんで?」

「ほぼ間違いなく今より症状が悪化するからだ!」

「え~、そんな事ないよ~~」

「……お前今まで自分が作ったメカが一度でもマトモに働いた事があったか?」

 

「え?う~~ん………」

「……」

 

……………。

 

…………。

 

………。

 


「てへ♪」

「『てへ♪』じゃねーだろ『てへ♪』じゃあ…」

ガックリと肩を落とすリト。疲れも倍増したようである。
しかし、体調悪くてもちゃんとツッコミを入れる所はさすがと言うべきか?

「……オレもう寝るわ」

「氷枕持ってこようか?」

「いや大丈夫。多分一晩寝れば元に戻ると思うし。それに都合良く明日学校休みだし…」

そう言って、リトは重い足取りでリビングを後にする。

(あ、やべ。頭グラグラする…。身体もさっきより熱くなってるし……。これ死ぬかもしんねーな~……いやマジで)


そんな事を考えつつ、リトは自分の部屋にたどり着くとそのまま倒れ込むかの如くベッドにダイブし、一気に深い眠りについた――。

 


――――――

 


次の日の朝――。


「リトーおはよ~♪カゼ治った~?」

『どすんっ』
「ぐえっ!?」

部屋に入ってくるなり、いきなりリトにボディプレス――もとい、抱き付いてきたララ。とても病み上がりの人間に対して行う行為ではない――のだが、おそらくこの娘にはそんな常識は備わってなどいないだろう。いや、備わっていない(断言)。

(……………あれ?)

だがここで、ララは一つの違和感を感じた。

 

(リトの身体ってこんなに柔らかかったっけ?)

もっとこう、ゴツゴツしてて逞しい感じだったはずなんだけどなーとか、そんな事を考えていると…。

「……おいコラ、朝っぱらから人の上に乗っかるなっつーの」

とても迷惑そうにリトが呟く。
だがそこで、またしてもララは違和感を感じた。

(あれれ?リトってこんなに声高かったっけ?)

ますます混乱するララ。
そんなララをよそに、リトがむくりとベッドから身体を起こした。

「まったく…、休みの日位ゆっくり寝かせてくれっつーの。こっちは普段からお前のせいでいつもバテバテに――」

起床するなりグチグチ文句をたれるリト。だが――。

「……」

ララの耳には入っていなかった。
というより、なぜかララは石化していた…。

「?、なんだよ…」

そんなララの様子をリトが不思議に思っていると…。

「えっと………………、どちらさまですか?」

「………………はい?」

いきなり予想外の事を言われて困惑するリト。

「何言ってんだよ。オレだよ、リトだよ。お前もしかしてそんな状態で寝ぼけてんのか?」

「ウソだよ!あなたがリトのハズないじゃん!」

「んなっ!?」

更に存在全否定発言までされてますます混乱するリト。

 

だが、ララがいきなりこんな事を言うのにはちゃんと理由があった。

 

何故なら――。

 

 

 

 

「だってあなた……………………女の子だもん!」

 

 

 

 

 

「…………………は?」

今度はリトの時が止まった…。

「いやいや、何言ってんのかなお前は。オレが女な訳が―――――ん?」

ここでようやくリトが気付いた。
自分の声が妙に甲高くなっている事に――。

(あれ?)

更に、目線を下に向けてみると…。

(おや?)

男にはまず有り得ない、胸の辺りの二つの膨らみが目に入った。

(まさか…(汗))

さらに、自分の手を恐る恐る自身の股間に持っていき、そっと触れてみた。

(……)

男ならば必ずあるはずのモノの感触が無かった…。

 

(いやいやいやいや、有り得ないって!そんなハズあるワケ――。)

確認の為に、ズボンの裾を広げて、中を覗いてみると…。

(……)

 

……………。

 

…………。

 

………。

 


『ボンッ!!』

という効果音とともに、リトは顔を真っ赤にし、頭からケムリを出しながらその場に突っ伏してしまった。

「あ……あの~~……」

恐る恐るララが尋ねてみると…。

「…………………ぁー…、ララ?」

「な、なに?」

「ちょっと今思ってる事を思いっ切り叫んでみていいかなぁ…」

「?、うん」

「………………ふ~…」

一つ大きく深ーーーい溜め息をつき、そして…。

 

 

 

 

 


「なんじゃあぁぁこりゃあぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


リトの魂の絶叫が結城家に木霊した――。

 

――――――

 

「……(唖然)」

「……」

 

……………。

 

…………。

 

………。

 


「ぁー……っと…………………………あ、そーいえば今日はスーパーの特売日だったな~…」

「コラコラ、現実逃避すんな、我が妹」

だがそれも仕方の無い事ではないのだろうか?
なにしろ昨日まで『お兄ちゃん』だった人物がいきなり『お姉ちゃん』に変わっているのだから。

「リト…、なんか悪い物でも食べた?」

「お前の作ったモンが悪い物なら食ったが…」

『パコンッ!!』

「殴るよ?」

「……殴ってから言うな。しかもおたまで」

「………はぁ~…、じゃあなんでそんな事になってんのよ~…」

起きたばかりだというのに既にグッタリ疲れたような感じで美柑が尋ねる。

「そうだよ!一体なんでこんな事になってんだよ、ララ!!」

「えっ!?わっ私ぃ!?(焦)」

ここで矛先はララの方へ。

「そんな事私に言われたって分かんないよ~!ていうか、なんで私に言うの~!?」

「いや、とりあえずお前を疑っとけばほぼ100%間違いないから(今までの経験)」

「ヒドーーい!!私ホントに何にもやってないもん~~!!」

「まーまー、とりあえず二人共落ち着きなって」

ギャーギャー言い争う二人を冷静に宥める美柑。
ホント、年の割にはしっかりしている娘である。

「とにかく、いきなりこんな事になる訳無いんだから、まずは昨日の行動を振り返ってみましょう」

「「昨日の行動?」」

「そう。リト、昨日学校で起こった事片っ端から思い出してみて」

「あ、あぁ」


という訳で、昨日の自分の行動を思い起こしてみる。

「えーっと、昨日は確か……」

「「ふんふん」」

「んーー……」

「「……」」

「……」

「「……」」

 

……………。

 

…………。

 

………。

 

「…………………はぁ」

何故か遠い目をして明後日の方向を見て黄昏るリト。
いや、何故なのかは分かってるんだけどね。

「あれ?リトどーしたの?なんか急に元気無くなっちゃったけど…」

いやいや、あなたがその原因の一部ですから。
というツッコミが本来なら入ってるのだろうが、今のリトにはそんな余裕も気力も無かった。

「ほらほら、落ち込むのは後にして、なんか心当たりあった?」

そんな兄の心を知ってか知らずか、はたまたどーでもいいのか、先を促す妹。

「えーっと…、それでその後気分が悪くなったから保健室に行って………………………………ん!?」

ここでリトはピーンときた。

(そういえばあの時御門先生がくれた薬…。あれ飲んだ後だったよな、身体の調子がおかしくなったのは…)

「まさか……、アレか?」

「何か思い出したの?」

「オレちょっと出掛けてくるわ!」

「あっ、ちょっとリト!?」

 


――――――

 

御門先生宅――。


「先生ーー!!御門先生、起きてますかーー!?ちょっと聞きたい事あるんですけどーー!!」
『ドンドンドンドンッ!!』

扉を少し乱暴な感じで叩いて原因と思われる人物を大声で呼び出すリト。
ハッキリ言って近所迷惑の何者でもない。

『ガチャ』
「ふぁあぁ…はぅ…。あーはいはい、何ですかぁ?こんな朝早くから…」

「ぶっ!?」

眠たそうな感じで中から出てきた御門先生を見てリト悶絶。
それもそのはずだ。御門先生は下着姿(黒のTバック)に白衣を羽織っただけという、健康的にも極めてよろしくない格好で出てきたのだ。正直、目のやり場に困るどころか直視すら出来ない。

「せせせせせせ先生っ!!またなんつー格好で出てくるんスか!?///(慌)」

「え~?でも私、寝る時はいつもコレよ?」

「それでもっ!!人前に出る時にはそれなりの格好ってモンがあるでしょうが!!」

「だっていちいち着替えるのもメンドくさいし~。――って」

ここで御門先生、ようやく気付いた。

「えっと…………誰?」

「結城です。何故か女みたいな姿――というか女になってますけど」

「へっ!?」

御門先生、一瞬キョトンとするも…。

「…………ぁーそっかぁ、そうきたかぁ……。て事はやっぱりアレは…」

すぐに事情を理解したようだ。

「やっぱり!?て事は、やっぱり先生何か知ってるんスね!?」

「ぅーん……、とりあえず立ち話もなんだから中に入って頂戴。」

「はぁ…」

 


――――――。

 


「性別を強制的に変える薬ぃ!?」

「ええ、そうよ」

 

御門邸のリビングにリトの声が響いた。
ちなみに御門先生、着替えは完了済み。

「なんでそんな訳の分かんない物作ったんスか?」

「とある人物に頼まれてね。名前は出せないけど、その人――」

『事ある毎に入れ替わってたんじゃ、いつまでたっても○○(自主規制)君と親密な関係になれないじゃない!!』

「――って言ってね。その問題を解決するために――。」

「あ、それ以上はいいです。大体解りましたから…」

頭を抱えて話を区切るリト
おそらくリトの頭の中にはとある『くしゃみをきっかけに性別が入れ替わる』人物が浮かんでいることだろう…。

「それで、その試作品を小ビンに入れて保管してたんだけど…」

「うっかり隣に置いてあった栄養剤と間違えて俺にその試作品を飲ませてしまったと…、そういう事スか?」

「そういう事♪」

「……………………………………………はぁ…」

なんか精神的疲労感が倍増したようだが、頑張ってリトは本題に入る事にした。

「で、コレ元に戻るんスか?」

「んー…、理論上はもう一度同じ薬を飲めば回り回って元に戻る筈なんだけど……。ただね…」

「ただ?」

「アレ結構、いろいろと特殊な成分を微妙な分量で調合してあるから、思いのほか時間がかかっちゃうのよ」

「………具体的には?」

 

「その時の気温や湿度にも影響されるけど、早くても二週間――」

「二週間ーーー!?(驚)」

リトは思わず声を張り上げてしまった。

「オレ二週間もこのままなんスか!?」

「まぁ悪いとは思うけど、そればっかりは我慢してもらわなきゃ…」

「いやいや、学校の方はどうするんですか!?こんな姿で登校なんか出来る訳が――!!」

「あー分かった分かった。学校の方も私がなんとかしといてあげるから(汗)」

とりあえず落ち着きなさいとリトを宥める御門先生。

「………でもさ、結城君」

「はい?」

急に御門先生が神妙な面持ちになったので、何事かと思い真剣に話を聞こうと身構えるリト。


――が。

 


「別にそこまで必死になって元に戻る必要は無いんじゃない?」

「はあ!?」

いきなり何トンデモ発言ぶっこいてんだこの人は的な表情で目を見開くリト。

「だって結城君、女の子になってもビックリする位違和感がないんだもん。いっそのことこのままホントに女の子になっちゃえば?」

 

「なんつー事言うんスかアンタは!?オレは男ですよ!!」

「そうは言うけどさ~…」

そう言って御門先生、おもむろにリトに近づいて…。

「えい」
『むにゅ』

「あっ、ひゃんっ!?///」

いきなりリトの胸を揉みしだいた

更に――。

「むぅ…なかなか……、じゃこっちは……(小声)」

「あっ!ちょっ…ちょっとっセンセ…やぁっ!///」

腰・おしり・太ももなど、とにかくリトの身体を触りまくる御門先生。
そしてその行為に身体をよがらせ喘ぐリト。
端から見ると、かなり妖艶な雰囲気だ。

「やめーーーい!!///」

御門先生のフィンガーテクによって一瞬意識をトバされそうになったが、リトはなんとか先生の腕を払いのける事ができた。

「ふむ…、ララさん並のスタイル…。いや、僅かに結城君の方が上かも…(小声)」

「いいいいいいきなり何するんスか先生ー!?///」

「いや、結城君があまりにもエロ…じゃなくて、スタイルいい身体してるからつい♪」

「アンタはウチの母さんか――!!」

とツッコもうかと思ったリトだが、余計ややこしくなりそうなのであえて言わない。

「にしても結城君、随分イイ声で鳴くのねぇ~♪」

「あっ、あのですねぇ……///」

結城リト、最早疲労度MAX。

「とにかくっ、オレは元に戻りたいんでマジでお願いしますよ!」

「くすっ。はいはい、そんな心配しなくてもなるべく早く作ってあげるから。ね♪」

無邪気な笑顔でウィンクをして、リトにそう告げる御門先生。
ちょっとドキッとしたのは内緒だ。

「でもやっぱり女の子の方が何かと映えるし、何より面白――(小声)」

「却下です!!」

それだけ告げて、リトは御門邸を後にした――。

 

――――――

 

結城家――。

 


「ねーねーリト~♪」

「んー…?」

薬の説明やら今後しばらくどうするかやらセクハラを受けるやらで、気が付けばもうすっかりお昼過ぎ。
リビングのソファでぐてーっとなっているリトにララが近づいて来た。

「リト~、ちょっとコレ着てみてくれない?」

そう言って、リトにその服を手渡した。

「……」

そして、その服を見て固まるリト。

「…………なぁララ…」

「ん?」

「コレ………、お前の服(ワンピース)だよな…?」

「うん、そだよ♪」

「何でオレがこんなの着なきゃなんねーんだよ!?」

「似合いそうだから♪」

サラリと言ってのけるララ。

「ね、ね、いいでしょいいでしょ?着てみてよリト~♪」

「断る!!何で男のオレがこんな女物の服なんか――。」

「今のリト、女の子だよ?」

「ぐっ…(汗)」

言葉を詰まらすリト。

「そっ、そりゃあ身体の方は確かにそうなんだろうけど…(汗)」

「なら問題無いじゃん♪」

「大ありだろ!!見た目女でも中身は男のままなんだから!!」

「え~~!?別にいーじゃん、着てよ~~」

「イ・ヤ・だ・ね!!」

しつこく女物の服を着せようとするララを断固拒否しまくるリト。

 

「むー、こーなったら…」

「え!?な……何だよ…?(汗)」

「実力行使ーーー!!」

「えっ!?ちょっ、ララ、やめ……キャーーー!!///」

ララは無理矢理リトの服を引っ剥がしに――。

 


「……………………………何やってんの?(汗)」

――かかろうとした所に偶然美柑が通りかかった。

「あっ、おい美柑!!ちょっとコイツ止めてくんないか!?オレに無理矢理――!!」

「あー、言わなくても大体解るから。

大方ララさんがリトに「似合いそうだから♪」って女の子の服を着せたがって、
それでリトが「見た目女でも中身は男なんだから!!」って頑なに拒んだにも関わらず、
ララさんがしびれを切らして強引にでも着せようとして服を引っ剥がそうとしたと――そんな所でしょ?」

驚異的洞察力。

「にしてもララさん…、なんか部屋でゴソゴソ服を引っ張り出してたから、なにやってんのかな~と思ってたら…」

「え~、だってリトなら絶対似合うって思ったし~…」

「似合うと思ったからって、なにもワンピースなんか着せようとしなくたっていいじゃない」

「そうだよ!!オレは(今は女でも)一応男なんだぞ!!なのに何でお前の気まぐれの思い付きでワンピースなんか――!!」

「リトだったらこっちのフリフリの方が似合うに決まってんじゃん♪」

「そうそう!オレだったらそっちのフリフリの方が似合………………って、うぉおーーーい妹ぉぉー!!?(驚)」

妹の衝撃発言に、思わずノリツッコミをかます兄。

「ね、ね、美柑~♪それだったらスカートはこっちの方が良くない?」

「え~、でもこっちの色の方がカワイイでしょ?」

「あ……………あの~………お二方……?(汗)」

 

何時の間にか床に置いてあった大量の服(全て女物)の前で、何を着せようかときゃいきゃい騒ぐ女子二名。

そしてその光景を目の当たりにして少しボーゼンとする女子(男子)一名。

「……(大汗)」

そして少女――もとい、少年は一つの結論に達する…。

(…………逃げなければ。このままここにいたら…、オレの貞操と男としての尊厳が……!!(マジ焦))

尊厳なんて元からあったかどうかはいささか疑問に残る所だが、とにかくいろんな意味でピンチだという事に変わりはなかった。

リトは、二人に気付かれない様足音を殺してコソコソとこの場を立ち去ろうとした。


――が。

「どこ行くのリト?」
「逃げちゃダメだって『お姉ちゃん』♪」
『がしっ』

縮○でも使ったのか、何時の間にか二人に腕を捕まれていた。

「え………い…いや~ホラ…、オレ宿題しなきゃいけな――(汗)」

「うちのクラス、宿題無かったハズだよ?」

「え…えー……っと…、あ!そーいえばセリーヌに水あげてな――(汗)」

「大丈夫だよ。あたしがあげといたから♪」

「……(大汗)」

「とゆー訳で――♪」

「こっちの服着てみてくんない?てゆーか、着せてみちゃってい~い?」

「や……止め……(滝汗)」

「「それーー♪」」

「いやぁぁぁーーーーーーーーー!!!///(泣)」


もう完全にリトを陵じょ…もとい、着せ替える事しか頭に無い二人――。


そして、二人から必死になって逃げる事しか頭に無いリト――。


故に、結城家のインターホンが鳴っている事に誰も気付かないのであった――。

――――――


「出ないなぁ~…」

結城家の玄関で、西連寺春菜は少し途方に暮れていた。
もう何回もインターホンを慣らしてるのに、誰も出てくる気配がないのだ。

 

(結城くん…、ララさん…、居ないのかなぁ…)

折角近くまで寄ったから、以前ララがオススメと言っていたCD(マジカルキョーコのOPテーマ)を借りに来たのに――。
なにより、休日に想い人――リトに会えると思って来たのに――。
さっきまでドキドキしながら何回もインターホンを押すのを躊躇っていた自分が物凄く恥ずかしくなってきた。

(……………帰ろ)

しょんぼりと肩を落として、そこから立ち去ろうとしたその時――。

『いやぁぁぁーーーーーーーーー!!!///(泣)』

(えっ!?)

突然、中から悲鳴の様なものが聞こえてきた。

(今の声…、結城くん?)

それにしては、なんか若干声が高かった様なとも思ったが、さっきの悲鳴の衝撃の方が強かった為さほど気に止めず、春菜は恐る恐る玄関のドアに手を掛けた。

『ガチャ』
(開いてる…)

ゆっくりとドアを開け、そーっと中を覗き込んでみる。

「ゆ…結城く~ん……、ララさ~ん……」

気持ち大きめに二人の名前を呼んでみるが、返事はナシ。


代わりに――。


『うわぁ~~、………きいね~……』

『ちょっ、バッ、コラッ………なって、あっ…!///』


なにやら妖しげな声が聞こえてきた…。

 

更に…。


『ちょっ、オマッ、何やって…!?///』

『やっぱ…………から………とかなきゃ…』

『やっ、待っ……それは………キャーーー!!(泣)///』


「ゆっ、結城くんっ!?」

リトの悲鳴を聞いた瞬間、春菜はいてもたってもいられず、声がした方へ駆け出していた。

そして、リビングに飛び込んだその時…。

春菜は衝撃の光景を目の当たりにした――。


――――――


時間軸を戻してリトside――。


「はいはい、ちゃっちゃと脱いだ脱いだ~♪」

「こ、コラ、止めろって!!そんな……!!///」

嫌がるリトの上着をララは無理矢理脱がし、シャツをまくし上げる。

その弾みで、リトの胸の豊満な膨らみが顔を出した。

「うわぁ~~、リトおっぱいおっきいね~♪ちょっと触ってい~い?」

言い切る前に既に触って――てゆうか、後ろからリトの胸を鷲掴みにして揉みしだくララ。

「ちょっ、バッ、コラッ、そんな…揉むなって、あっ…!///」

「あれ?リトもしかして感じてる?」

美柑がニヤニヤしながら聞いてくる。

「バッ!!そっ…そんなんじゃ…………ってうぉい!!///」

ここでリトは気付いた。

美柑が自分のズボンを脱がし、下着にまで手を掛けていることに――。

「ちょっ、オマッ、何やって…!?///」

「やっぱホラ、服だけじゃアレだから下着も女の子用にしとかなきゃ♪」

「わーバカバカ!!お前何考えて…!!///」

 

しかし、美柑は聞いていない。もう完全に母方の血が覚醒したというか、何か別の使命に目覚めたというか…。

「やっ、待っ……それは………キャーーー!!(泣)///」

そして、リトの下着がゆっくりと降ろされ――。


「結城くんっ!!」

――かけた所に春菜乱入。

「結城くんっ!!大じょぅ………ぶ………」

「「「え……?」」」


『ピシッ!!』

――と、時が凍り付く音が確かに聞こえたと、後にリトは語る…。


「……」

「さ……さ…さ……さ………西連…寺……(汗)///」

「は……は……春菜…………さん……(汗)」

「あっ、春菜いらっしゃ~い♪」

ララのノーテンキな声が響く中、春菜はフリーズした頭で頑張って今の状況を把握しようとした。


只今の状況――。

リト…何故か女の子になっている。
服が半脱ぎ状態。

ララ…後ろからリトの胸を鷲掴みにしている。

美柑…リトのズボンを降ろし、下着まて降ろそうとしている。


以上の事を踏まえた結果――。


「………………………………………………はぅ」

『バターーーーン!!』

「さっ、西連寺~~!!?(慌)」

「わー春菜~~!!(慌)」

「春菜さん気を確かに~~!!(慌)」


着せ替えショー、一時中断――。

 

 

 

――――――


「……と、いう訳なの」

「ぁ…ぁー…、それはそれは……(汗)」

なんとか意識を取り戻した春菜。美柑から一通りの事情を聞いてちょっと苦笑い。
まぁ、いきなりこんな話を聞かされたらリアクションに困るのも無理はないだろう。


ちなみにリトはというと――。


「しくしく…(泣)」

リビングの隅っこの方で、体育座りで床に『の』の字を書きながら泣いていた。
そらまあ、宇宙人と妹から『着せ替え』という名のセクハラ行為を受けた挙げ句、自分の好きな人にその現場と今の自分の姿を見られたのだから、泣きたくなるのは当然だろう。

「リト~、元気出しなよ~(困)」

「そうだよ、いつまでもいじけちゃって、男らしくないぞ~(今女だけど)」

「てっ、てめーら…(怒)」

誰の所為でこんな事になってんだよと言いたくなったが、春菜の手前、グッと堪える。

「だ、大丈夫だよ結城くん。この事は誰にも言わないし、今見た事も頑張って忘れるから!(……自信ないけど)」

無論、そう簡単に忘れられる様な衝撃度ではないはずだが、これ以上リトを落ち込ませない様に気を使う春菜。ホントいい娘だ。

「うぅ……、ありがと、西連寺……(泣)」

そんな春菜を、うるうると目に涙を溜めながら、少し上目遣い気味に見つめるリト。

「ぅ……///」

その顔を見て、春菜はおもわず顔を赤く染めて眼を逸らしてしまった。

 

(か…可愛い……♪///)

しかし、その反応を見たリトは…。

(あ、あれ?春菜ちゃんに顔背けられちまった。オレなんかマズい事言ったか?それともやっぱりこの姿が見るに耐えないとか…(汗))

いつもの如く、状況を悪い方にばかり考えていた。

こんなんだからいつまで経ってもちっとも仲が進展しないのだ。
まぁ、それは春菜の方にも言えることなのだが…。
この二人…、一体何時になったら両想いということに気付くのだろうか…。


「ねーねーリト~」

ここで唐突にララが…。

「ぅん?何だよ」

「もう元気になったよね?じゃあ早速コレ着よ♪」

「……」

……流石、相変わらずの空気ブレイカーっ振り。
なんの脈絡もなく話を強引に引き戻すという離れ業をやってのけた。
てゆーかこの娘、先程のやり取りに対して反省どころか悪気すら感じていないのでは?いや、きっと感じていない。(断言)

「……お前な、ホンッ気で怒るぞ(怒)」

もっともな意見。しかしララは…。

「大丈夫だよ。リトなら絶対似合うから♪」

もう何が何でも着せる気満々である。

「リト~、もう観念したら~?でないといつまでたっても終わんないわよ~?」

ニヤニヤ顔で美柑便乗。

「て、てんめ…!」

流石にここは怒鳴ろうかと思ったリトだが…。

 

「春菜さんも見たいよね?♪」

「えっ!?わ、私ぃ!?(驚)」

ここで美柑が、話を春菜に振るというジョーカーを切ってきた。

「わ…、私……は…///」

「見たいよね?春菜♪」

「見たいよね?コレ着たリトの姿♪」

(くっ、ひ、卑怯な…(汗))

ここで春菜まで『見たい』と言い出したら、流石に断り切る自信が無い。
だがリトは信じていた。春菜ちゃんなら…、春菜ちゃんならきっとこの二人の陰謀を止めてくれるハズだと――。


「……………………………ララさん、美柑ちゃん」

「ん?」
「な、なに?」

やがて、短くも長い沈黙を破って春菜が口を開いた。
そしてその眼は、何か大きな決意を秘めた様な感じが見て取れた。

(春菜ちゃん…、分かってくれて…)

リトの心は歓喜に満ち溢れ、思わず泣きそうになった。


しかし――。


「ね………ネコミミも付けたら………もっと可愛いんじゃない…かな……?///」

(はっ、春菜ちゃーーーん!!?(泣))

希望が絶望に変わった瞬間だった…。

「あっ、それいいかも~♪」

「流石春菜さん、いいセンスしてる~♪」

逆に、完全に水を得た魚――いや、スターを得たマ○オ状態になった二人。


「とゆーワケでリト♪」

「早速着替えてみましょうか♪」

「……///(期待に満ちた眼差し)」

 

「……………………………もう好きにしてくれ」

そして、リトは全てを諦めた…。


と同時に、ほんの少しだけレンの『男らしく』にこだわる気持ちが理解できたという…。


――――――


「……」

「「……///」」

「きゃーー!!リトかわいい~~♪」

おもわずリトに抱き付くララ。

(こ…、これは…///)

(シャレになってないんじゃ…///)

そして、おもわず顔を赤らめ、リトから眼を逸らす美柑と春菜。

それだけ今のリトの姿は、全方位360゚オールレンジ攻撃すらも完封してしまう程隙が無く、見るもの全てを虜にしてしまうかのようなある意味凶悪なオーラを放っていた。


ちなみに今のリトの姿――。


ミニスカメイド服(母秘蔵)+ネコミミ&しっぽ(春菜のリクエスト)。

ただし、下着は男物(断固として死守した)。


「いや~、やっぱり私の思った通り、物凄く似合ってるよリト♪」

「そんなのちっとも嬉しくねーよ~…(泣)」

涙目+上目遣いの必殺コンボで三人を見つめ……じゃなくて睨むリト。
ハッキリ言って全然怖くない。むしろ余計に可愛さが増している。

「こんな姿、誰かに見られたらどーすんだよ~…。オレ恥ずかしくて表歩けねーじゃねーかよ~…(泣)」

「だだ、大丈夫だって。どうせ誰にもリトだって分かりゃしないって。……てゆーか、そんな眼で見ちゃダメだって…。なんてゆーか…、照れちゃうじゃん…///」

「照れちゃうのはこっちだっつーの!!」

「ご、ゴメンね結城くん…。わ、私達も少し調子に乗りすぎちゃったみたい…」

「うぅ~…、さいれんじぃ~…(泣)」

春菜の優しさに心打たれ、更に涙目で春菜を見つめるリト。

「……」

そして、何故か固まる春菜。

 

「?、西連寺?」

「……」


…………。


………。


……。


『ギュッ♪』

(えぇぇぇーーーーーーー!!?///(驚))

突然、春菜がリトを抱き締めた。

「さっ、さささささっささっさっさっさっ西連…寺ぃぃ!?///」

あまりの衝撃に呂律が上手く回らないリト。

「…………はっ!?///」

不意に我に返った春菜。顔が一気に茹で蛸状態になって、慌ててリトから手を離した。

「ごごごごごごごごごごごごめんなさいっ!!わわわわ私いいいい今一体何をぉぉ!!?///(慌)」

「いいいいいやいやいやこちらこそ(?)!!むしろ得した……いやそうじゃなくてっ!!!///(慌)」

お互い顔を真っ赤にして、全く意味の分からない弁明をしあう二人。

「はっ」

その様子を、やれやれと肩をすくめながら傍観する美柑。

「あっ、春菜ずる~い。私もリトをギュッてする~♪」

そして、場の雰囲気を全く読まず――いや読めず、二人の間に割って入るララ。

「ちょっ、コラ!抱き付いてくるなっつーの!///」

「え~?いいじゃん、減るもんじゃあるまいし~」

(オレの精神が磨り減ってんだっつーの!!)

とりあえず心の中で叫んでおいた。

「だって女の子のリトの身体、凄くふかふかしてんだもん♪男の子の身体もいいけど、こっちの方が抱き心地が良くて安心するってゆーか♪」

「特にこの辺が」と付け加えて、ララはリトの胸に顔をうずめて、すりすりと動かした。いわゆるぱふぱふ状態。

 

「あっ!ちょっ、おまっ、んっ…、やめろ…って…!///」

「ん~…、おっきくてふかふか~♪」


「……」

「春菜さん…、そんな口惜しそうに自分の胸見ない」

「えっ!?わっ、私は別に…///」

気恥ずかしさから、明後日の方向に眼を逸らす春菜。

「ね、ね、次はコレ着てみてリト~♪」

「って、まだ何か着せる気か!?」

「トーゼン♪だってまだこんなに用意してあるんだよ?」

山積みになった様々なコスチュームを指差しながらにこやかに言うララ。
リトには、それが悪魔の笑みに見えた。デビルークなだけに。

「いやいやララさん?流石にこれ以上はオレも男としての沽券に……………………っておい、何やってるんだよ美柑」

「やっぱさぁ、女の子の服に男物の下着ってどう考えてもオカシイじゃん。だからその服に合う下着を――」

「選ばんでいい!!別にいいだろ、下着ぐらい――!」

「結城くんっ!」

「はっはいっ!」

「ぁ……あの…………その……………………………………き、記念に二、三枚撮っていいかな?///」

「マジで勘弁してください(土下座)」


この後も、延々と様々なコスプレをさせられ、開放されたのは日暮れ時だったという…。

その間、リトの体力と気力と男としてのプライドは完膚無きまでに搾り取られたとか…。

――――――


「……」

「返事が無い…、ただの屍の様だ…。」

「うるせーよ!!(怒)」

ガバッと起きて妹のセリフにツッコむリト。

「リト~、お昼の事まだ怒ってるの~?」

「まったく…、過ぎた事をいつまでも引きずっちゃって…」

「ぉ……お前らなぁ…(怒)」

メイド服に始まり、学校の制服・ナース服・婦警・くノ一・巫女さん・バニー・アニメやゲームキャラ等々、様々なコスプレを無理矢理させられて、リトは軽く自暴自棄気味になっていた。
まぁ、あれだけやられれば無理もないが…。

「そんな事よりも、早いトコ晩御飯食べちゃってよ。いつまでも片付かないじゃない」

「そ、そんな事って…(怒)……………まぁいい、こっちも食わなきゃやってらんねー気分だし…」

「うんっ、食べよ食べよ♪」


まだまだ言いたい事が山程あったリトだったが、とりあえず先に夕飯を済ます事にした。


――――――


「ふぃ~…、食った食った♪」

 

食べ終わった頃には、すっかりリトの機嫌は直っていた。
立ち直りが早いというか、単純馬鹿というか…。

「……なんだ?今物凄く不愉快な言葉が聞こえた様な…」

「リト~、何ぶつぶつ言ってんの?」

「いや、なんでも…」

「お二人さん、もうお風呂沸いてるから入っちゃっていいよ」

「あぁ、分かった」

「あ、私背中流してあげるね♪」

「あぁ、そうだな。じゃあ頼…………………………………ってちょっと待てぇーーい!!!」

「ん?」

ララの嬉し恥ずかしビックリ発言に本日二度目のノリツッコミ。

「なぜさも当然の様にお前も一緒に入ろうとする!?」

「え~、いいでしょ?たまにはリトと一緒におフロ入りたいよ~」

「ダメだっての!!前にも言ったろ!?お……男と女が……い…一緒に風呂なんて……そんな……///」

「だから、今のリト女の子だって」

「ぅぐ……(汗)」

なんかデジャヴな展開。

「そーだよね~。リト今は女の子なんだし問題無いんじゃない~?うん、問題無し♪」

 

「み、美柑てめ…!」

例によって美柑がニヤニヤしながら発破をかける。

「そーだよ。せっかくだからみんなで一緒に入ろーよ。その方が楽しいし♪」

「そーそー、ここはやっぱりみんなで一緒に………………………………ってみんなぁぁ!!!」


おっと、ここで美柑が流れを変えるノリツッコミ。

「ララララララララさんっ!?みみみみみみみみみみんなってああああああたしもぉ!!?///」

「そりゃそーだよ♪せっかくの機会だから、ここはみんなで『ハダカのツキアイ』ってやつを――。」

「あっ!そーいえば洗い物がいっぱいあったからララさんちょっと手伝ってくれないかなぁ!?」

「へ?」

「リト!後がツカえてるんだからさっさとお風呂入ってくる!!」

「おっおう!じゃ、先もらうな!」

「えぇっ!?ちょ、ちょっと!?(慌)」

「ほらララさんっ!早いトコ洗い物!」

「あ~~ん、リトぉ~~~!(泣)」

かくして、美柑が機転を利かせた事により、リトへの二次災害(+美柑へのとばっちり)は防がれた――。


――――――


「まったくララの奴、いつも言ってるけどいい加減少しは恥じらいってモンを持てっつーの!そのおかげでこっちはいつも――」

脱衣場にて、ララへの日頃の不満を愚痴りながら、リトは着ている服を脱いでいく。

「大体アイツは――ん?」

ふと、壁にあった鏡が目に入った。

 

「……」

そこに映るは、一糸纏っていない自分自身の『女の子』の身体…。

「……」


……………。


…………。


………。


『ボンッ!!』

不意に、リトの顔が真っ赤&デフォルメ化して、頭からケムリを出してその場に突っ伏してしまった。

「っ~~~~~!!アホかオレはっ!!自分の身体に興奮してどーすんだよ!!///」

少し自分の――良く言えば『純情』、悪く言えば『ヘタレ』――さに自己嫌悪しながら、リトは浴室へと入っていった――。


――――――


『カポーン』


「はぁ~~~、生き返る~~~♪」

浴槽の中でう~んと身体を伸ばしながら、ふとそんなオヤジくさい事を呟いてしまう。

今日、朝起きたらいきなり女の子になっていて、元に戻るのに約二週間かかると告げられ、その後軽くセクハラを受け、
家では居候の宇宙人と実の妹から陵辱紛いの強制コスプレを散々させられ、しかもその場を自分の想い人に目撃され、
なんかもう色々とボロボロのリトにとって今日初めての至福の時なのだから仕方ないと言えば仕方ない事なのかもしれないが…。

「しっかし…」

湯船に浸かりながら、まじまじと今の自分の身体を見るリト。
今日初めて、自分自身の身体(御門先生曰く、ララと同等のスタイル)をちゃんと見てみて…。

「………どっからどう見ても、間違い無く女の子だよな…、オレ……///」

改めて、今の自分の状況を確認したリト。

「……って事は、春菜ちゃんと同じ身体をしてる訳で……///」

そして、頭の中で『自分と同じ身体』をしている春菜の身体を想像――。

「―――っていかんいかんいかん!!なに考えてんだよオレはぁ!!///」

――しかけたが、激しく頭を振って直ぐにさっきの想像(未遂)を振り払う。

 

「…………はぁ…。とにかく、さっさと身体洗って出よ。ララが乗り込んでくる前に」

という訳で、身体を洗うためにリトは浴槽を出た――。


――――――


タオルにボディーソープをたっぷり付けて、全身をくまなく洗――。

「……///」

――おうとしたリトだったが、不意に手が止まった。

全身を洗う―――即ち…、『女の子の特徴』二カ所に触れねばならないという事に気付いたからだ。

「し…仕方ないよな……、洗わない訳には……い…いかないし……。てゆーか、これは自分の身体なんだから……問題は…無いハズ……いや問題無い…し…///」

一体誰に対して言い訳してるのだろうか?

「………………と……とりあえず腕から…///」

そして問題を後回しという、大して意味のない行動を取った純情(ヘタレ?)なリトだった――。


――――――


そんなこんなで、全身いい感じに泡まみれになったが…。

「ゃ……やっぱ…………洗わなきゃマズい……よな…。いやっ、つーか問題は無いんだよ!何故ならこれはオレの身体なんだし!///」

だから誰に対して言い訳してるのかは知らないが、残すは問題の場所のみとなっていた。

「よ……よし…、それじゃ……し……失礼しま~す……///」

リトは意を決して、意味の分からない詫びの言葉と共に、恐る恐る自分の胸の膨らみにタオルを伸ばした。

「ん……///」

触れた瞬間、不意にリトから甘い声が洩れる。

「ぁ……洗うだけだからな……、洗うだけ…///」

意味不明の言い訳を続けながら、リトは丹念に自分の胸をゴシゴシと洗い始めた。

「んっ…、んふぅ……///」

タオルが胸を擦る度に、リトは甘い声を出し続ける。
それほど大きい声では無い筈だが、浴室の密閉空間に音が反響して、思っている以上に自分の声が大きく聞こえてしまう。
それに加えて、不意に眼を瞑って洗っているものだから、余計感度が増してしまっている様であった。

 

「ぁ……はぁ………、あっ……乳首…勃って…///」

ふと、タオルを持っていない方の手で、ピンピンになった自分の乳首を摘んでみる。

「あ…!ぁはぁ……///」

さっきよりも僅かに高い声が出てしまって、リトは一瞬我に返った。

(……って何やってんだよオレは…。こ……こんな事……///)

しかし、頭で考えている事とは裏腹に、リトの手は止まらない。むしろ、タオルの擦り方と乳首の摘み方は余計強くなっていっている。

そして、リトは気付いた。

(な……なんか…、あ………アソコ……が…///)

恐る恐る、手を下腹部の方へ持って行き、自分の『女の子』の部分にそっと触れた。

(ぬ………濡れて……る……///)

この時点で、既にリトは頭はボーッとのぼせたみたいに真っ白になって、思考回路がまともに働いていなかった。それ故…。

「……ココも…、ちゃんと洗わなきゃ…///」

そういう考えもあったのかもしれないが、それ以上にリトは更なる快楽を求めているように見える。

タオルを胸からゆっくりと滑らせ、今度は局部をゴシゴシと擦り始めた。

「ふぁあ…!はぁ……あ……///」

今までで一番の嬌声を上げたが、今度はそんなのを気にしない。
いや、初めて体験する『女の子の快感』にすっかり呑まれ、もっと感じたいと思う気持ちの方が強すぎて、声を気にしてる余裕が無いと言った方が正しい。

「はっ……あっ……は………な……膣も……洗わなきゃ……///」

気が付けば、何時の間にかタオルを手放し、直に秘裂に触れていたリト。
ソロソロと割れ目の方へ中指を伸ばし、ゆっくりとその中に挿れた。

「ひぁあっ!!はぁあっ……///」

リトが指を動かす度、秘裂からクチュクチュ聞こえる厭らしい音と喘ぎ声が浴室内に響き、愛液が指を伝って止め処なく溢れて出てくる。
その事がリトをより興奮させ、胸をさらに強く揉みし抱き、秘裂に挿れた指を動かすスピードを上げていく。

「あっ!ふぁあぁっ!はっ!ぁあっ!やっ!な…なんか……なんか来…!///」

そして、リトに限界が訪れて…。

「はぁあっ!あっ!や…やば……、も………限か――!///」

 

『リートーー!!』


「ひゃっ、ひゃいぃぃっ!!!///(驚)」

不意にララから扉越しに呼ばれて、リトは一気に我に返り、おもわず声が裏返ってしまった。

『あれ?どーかしたのリト?』

「なななな何でもねーぞ!!そそそれよりどーした、なんか用か!?///(焦)」

『あ、うん。あのね、御門センセからお電話だよ~』

「御門先生から?分かった、すぐ行く」

『は~~~い』

それだけ告げて、ララは脱衣場から出て行った。


……………。


…………。


………。


「はぁ~~~~~~~……///」

そしてリトは、安堵感から盛大な溜め息をついて、全身の力が一気に抜けた。

「……てゆーか、何やってんだよオレは…///」

同時に、先程の自分の自慰行為に自己嫌悪を感じていた。

「……………出よ…」

そう呟いて、リトは頭から思いっきり冷水を浴びて浴室を後にした――。


――――――


「御門センセ、何て?」

「ああ、『明日朝一に私の所に来てくれ』ってさ。手続きとか色々あるからって」

「手続きって何の?」

「さぁ…?まぁ、行ってみればわかるだろ。そーゆー訳でオレはもう寝る」

「えっ、もう!?私リトとゲームで遊びたかったのに~」

 

「今日はもう疲れたの、いろんな意味で。また今度な」

「う、うん…」

「じゃ、おやすみ」

「うん、おやすみ~」

そう告げて、リトは自分の部屋へ――。


(はぁ~…、何か一ヶ月分の疲労を一日で使い切ったって感じ…。こんな調子で明日からどーなんのかな~…。オレマジで死ぬかも…(汗))


そんな昨日と同じような事を考えながら、リトは眠りについた…。


こうして、リトの女の子生活の恐ろしく長かった初日がようやく幕を下ろした――。