耽篇奇賊

後半

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前半

目次


ダフネ・デュ・モーリア『破局』


「アリバイ」The Alibi
 殺人を計画した男が、その準備として演技をするのだが、いつしか演技自体に没頭してしまう。そんな中で、本当に事件が起こり、主人公は結局は実行しなかった事件について容疑を認めてしまう。

「青いレンズ」The Blue Lenses
 目の手術後に入れられたレンズは、主人公に奇妙な世界を見せる。

「美少年」Ganymede
 男が旅先で理想と合致すると思しき少年と出会い一目ぼれをする。しかし、現実が明るみになっていくにつれ、男は少年に失望していく。

「皇女」The Archduchess
 南ヨーロッパの平和なロンダ公国が、プロパガンダに惑わされた国民が起こした革命によって、ロンダ共和国となっていく。

「荒れ野」The Lordly Ones
 口は利けないが頭は良いという少年。そんな彼を両親は荒れ野へ連れて行く。

「あおがい」The Limpet
 他人の幸福を優先したがために、自分を不幸にしていったと思い込む女性。彼女は、それが思い込みであることに気付かないまま、もう取り返しのつかない年齢にまでなってしまった。
(戸羽)

スタンリイ・エリン『特別料理』


「特別料理」 The Speciality of the House
 「本当の食べ物」を出す、と紹介されたレストラン。厳格なルールを重んじつつも熱狂的なファンを持つ、秘密めいた店だった。同僚の絶賛に最初は疑問だった主人公も、次第に料理に魅了されていく。

「お先棒かつぎ」  The Cat's Paw
 再就職を果たした主人公は、とあるビルの事務所に一人きりで、「秘密の報告書」を作る仕事を任される。が、実際は新聞の切り貼りばかりだった。そんな時、雇い主があることを依頼する。

「クリスマス・イブの凶事」 Death on Christmas Eve
 その屋敷は、暗い空気に支配されていた。クリスマス・イブにそこで妻が、階段から落ちて死んだのだ。夫は、あれは殺人だった、と同居していた姉を責める。

「アプルビー氏の乱れなき世界」 The Orderly World of Mr.Appleby
 美術骨董品店を続けるには、妻の遺産を自分のものにするしかない。ある本から事故に見せかける殺人方法を得、結婚と殺人を繰り返すアプルビーは、知り合った金持の女を七人目の夫人にする。

「好敵手」 Fool's Mate
 素晴らしいチェス一式を譲り受けた夫は、妻の無理解に遭いながらも、次第に一人チェスにのめり込んでいく。チェス相手が欲しいと思っていたある日、「白」というもう一人の自分が現れる。

「君にそっくり」 The Best of Everything
 自分にも上流階級特有の雰囲気があれば、成功できるのに。そう思っていた主人公の前に、放逐された御曹司が現れる。主人公は、御曹司に同居を提案する。

「壁をへだてた目撃者」 The Betrayers
 隣の部屋に住むのは、暴力夫とその妻。そこでとうとう、殺人が起こったようだった。殺人を阻止出来なかった無念を晴らすべく、調査を開始した男が見たものは、女の悲しい一生だった。

「パーティーの夜」 The House Party
 大物俳優の主人公は、繰り返しの日常が嫌い。劇が成功してもやがては苦痛になり、これまで何度も逃げてきた。あるパーティーの夜、彼は愛人と二人で、国外へと飛び立とうとする。

「専用列車」 Broker's Special
 初めて「株屋の専用列車」以外の列車で帰宅した主人公は、若い妻の不倫現場を目撃してしまう。不倫相手を殺そうと彼は目論むが。

「決断のとき」 The Moment of Decision
 徹底的な自信家の義兄は、誰からも好かれていた。しかし隣に元奇術王が引っ越して以来、衝突を繰り返してイライラするばかり。そこで二人は、ある賭けをすることになる。
(孔田)

チャールズ・ボーモント『夜の旅その他の旅』


「黄色い金管楽器の調べ」The Music of the Yellow Brass
 ある若い闘牛士は腕を認められたことで、ようやく出世の糸口を掴むことが出来た。しかし、そこには罠が仕掛けられていることが判明し……。

「古典的な事件」A Classic Affair
 わたしは友人の女性から、夫が浮気しているのではないかという疑惑を打ち明けられる。

「越してきた夫婦」The New People
 新居を構えた夫婦だがなかなか生活になじめないでいる。そして、ある隣人から妙な噂を聞かされ……。

「鹿狩り」Buck Fever
 男は自社の社長の鹿狩りに同行したが、鹿を前に撃つことを躊躇ってしまう。

「魔術師」The Magic Man
 年老いたマジシャンは久方ぶりの地方興行で人気を博す。しかし、子供にせがまれたことで、ついつい手品の種を明かしてしまい……。

「お父さん、なつかしいお父さん」Father , Dear Father
 過去に戻って父親を殺したら、自分はどうなるのかを知るために、男は時間旅行を開始する。

「夢と偶然と」Perchance to Dream
 不眠症に悩まされる男が、精神科医に妄想の力の脅威について語り始める。

「淑女のための唄」Song for a Lady
 蜜月旅行のため新婚夫婦は老朽船レディ・アン号最後の航海に乗り込もうと決める。しかし、船長を始め船の関係者は、誰もがその計画に反対しようとする。

「引き金」The Trigger
 サンフランシスコ警察殺人課に普段から出入りしているアイヴスは、連続自殺事件の捜査の果てに、犯人の奇妙な殺害方法と動機に直面する。

「かりそめの客」The Guests of Chance
 多忙をきわめるアメリカ大統領は趣味に費やす時間がない。余暇を楽しむ時間を持つために、自分を失脚に追い込もうと、成功の見込みのないスペース・マシンの発明企画にGOサインを出す。

「性愛教授」The-Love-Master
 性愛教授は妻が不感症である事を相談されたことで、己の持てる秘法の限りを伝授する。

「人里離れた死」A Death in the Country
 老いた二流のカーレーサーは賞金のため、地方の大会に参加するが……。

「隣人たち」The Neighbors
 ある村に越してきた一家は、黒人であるという理由のため隣人から嫌がらせを受ける。

「叫ぶ男」The Howling Man
 ヨーロッパ各地の巡礼の最中、わたしはドイツのある僧院に辿りついた。しかし、夜になるとどこからか叫び声が聞こえてきて……。

「夜の旅」Night Ride
 ピアニストのデイヴィッド・グリーンはあるジャズ・バンドから勧誘を受ける。おかげでブルース・バンドとして成功するが、彼が恋愛を始めたころから、その演奏の質が落ち始め……。
(眠)


ジャック・フィニイ 『レベル3』


「レベル3」The Third Level
 ニューヨークのグランド・セントラル駅には、誰も知らない地下の三階がある。そこはなんと、1984年と繋がっていた。主人公は、友達の精神科医にも相談するが……。

「おかしな隣人」
 隣にやってきた夫婦は、ちょっと変わっているけれど良い人たち。夫の方は、近未来SF長篇を書いている。内容は、人類の未来は暗く、未来人は皆タイムマシンで過去へと向かうというもので……。

「こわい」 I'm Scared
 不思議な事件の話を収集する男。彼によれば、「現在」よりも「過去」を求める人類の欲求によって、時間の進行が狂い始めたために事件は起こっているという。

「失踪人名簿」Of Missing Persons
 そこへ行けば、遠い宇宙にある理想郷へ連れて行ってくれるという旅行案内所。普通の案内所を装いとぼける受付に、主人公はどうしても理想郷へ行きたいとせがむ。

「雲のなかにいるもの」Something in a Cloud
 男は醜かったが、自信に満ち溢れていた。一方、声だけは美人女優をも凌駕する女は、その男と電話で待ち合わせることになった。いつしか彼らの頭上に不思議な雲が現れ……。

「潮時」 There Is a Tide……
 自宅で幽霊を目撃した男。正体が気になり、以前の住人を訪ねると、なんと彼はまだ生きていた。仕事に悩んでいた男と、第二の人生をおそれた前の住人の波長が合い、そんな生霊を見たのだろうか。

「ニュースの陰に」Behind The News
 父親から地方新聞の会社を引き継いだ青年。彼がデタラメに書いた記事が、百発百中で現実に起こるようになった。新聞の売上が伸びるに連れ、青年の記事は大胆なものになっていく。

「世界最初のパイロット」Quit Zoomin' Those Hands Through the Air
 あれは大昔の戦争のこと。元教授だった少佐は、不思議なことを言った。ある機械を使って未来へ飛び、進歩した兵器を盗んで、勝利しようというのだ。そして、まだ存在しないはずの飛行機が、手に入った。

「青春一滴」A Dash of Spring
 ロマンス小説みたいな恋がしたい。同じ小説を読み、同じように憧れた、互いに見知らぬ男女。小説通りにバスに乗り、女がクロスワードを広げて、男が答えを横から教えてやるが……。

「第二のチャンス」Second Chance
 クラシック・カー好きにはたまらない車を買った男。金をつぎ込んで一生懸命復元し、運転していたある日、過去へタイムスリップしてしまう。そこで車が盗まれ……。

「死人のポケットの中には」Contents of the Dead Man's Pocket

 出世をめざして入魂のビジネス・プランを記した紙が、隣の家の窓の出っ張りにひっかかってしまった。ここは高層アパートの十一階。危険をとるか、出世をとるか?
(孔田)

レイ・ブラッドベリ『メランコリイの妙薬』


「穏やかな一日」In a Season of Calm Weather
 ピカソに取り付かれた男が、砂浜で絵を描く男と出会う。

「火龍」The Dragon
 荒野に住む二人の騎士が、命の危険を顧みず、火龍へ突撃する。

「メランコリーの妙薬」A Medicine for Melancholy
 難病にかかった娘を誰も治せない。そこで、彼女に月明かりを当ててみることにした。

「初めの終り」The End of the Beginning(Next Stop: The Stars)
 息子が乗ったロケットが宇宙へ飛ぶ。これは、地球時代の終わりであるのだ。

「すばらしき白服」The Wonderful Ice Cream Suit(The Magic White Suit)
 六人の男たちが共同で購入した一着のスーツを巡って、ドタバタ劇が繰り広げられる。

「熱にうかされて」Fever Dream
 高熱に浮かされて、少年の何かが変わる。

「結婚改良家」The Marriage Mender
 長年使い古されたベッドにこだわる夫と、そのせいで子供が出来ないと文句を言う妻。ある日、夫は思い立って、妻をいたわるために新しいベッドを購入しようとする……。

「誰も降りなかった町」The Town Where No One Got Off
 他に誰も下車しなかった駅に降りた主人公は男と出会う。男はある完全犯罪の方法で主人公を殺すのだとぬけぬけと言うが……。

「サルサのにおい」A Scent of Sarsaparilla
 過去を愛する男が、妻の反対を振り切って、屋根裏部屋から旅立つ。

「イカルス・モンゴルフィエ・ライト」Icarus Montgolfier Wright
 彼は過去の偉大な飛行家たちに成りきって飛ぶ。

「かつら」The Headpiece
 金槌で昔の妻に殴られ、かつらをつける羽目になった男が、プロポーズをする。

「金色の目」Dark They Were, and Golden-Eyed
 火星へ移住した者たちは、次第に容貌を変えて……。

「ほほえみ」The Smile
 未来。人々は文明を破壊するのを楽しんでいた。そんなある日、微笑をたたえたある有名な人物画が破壊される……。

「四旬節の最初の夜」The First Night of Lent
 自分の運転手をしていたアイルランド人について、主人公は回想する。

「旅立つ時」The Time of Going Away
 今まで思いつきで行動し、その度に妻を振り回してきた男が、死期を悟ったので旅に出たいと妻にせがむ。

「すべての夏をこの一日に」All Summer in a Day
 雨がずっと降り続ける金星で、二時間だけ上った太陽の下、子供達は遊ぶ。

「贈りもの」The Gift
 クリスマスプレゼントは窓の外に見える宇宙という名のクリスマスツリー。

「月曜日の大椿事」The Great Collision of Monday Last
 自転車事故で怪我をした男が、バーへ入ってくる。

「小ねずみ夫婦」The Little Mice(The Mice)
 人付き合いを避けて部屋に篭り、ひたすら酒瓶を空にし続けて生きている小ねずみ夫婦。

「たそがれの浜辺」The Shoreline at Sunset
 夕暮れの浜辺に人魚が流れ着く。

「いちご色の窓」The Strawberry Window
 火星に馴染めないと不平を言う妻に、夫は人類の身代のために火星に移住すべきなのだと主張する。

「雨降りしきる日」The Day It Rained Forever
 今までは、一年を通じて一月二十九日以外に、雨が降る日はなかった。しかし、それも今日までである。
(戸羽)


ジェイムズ・サーバー『虹をつかむ男』


「虹をつかむ男」The Man Who Catch the Rainbow(The Secret Life of Walter Mitty)
 ウォルター・ミティがめぐらせる空想。その中で彼は軍人であり、医者であり、被告であった。

「世界最大の英雄」The Greatest Man in the World
 世界一周無着陸飛行を成し遂げた男は、無知で下品だった。マスコミはそれを隠して英雄に祭り上げたが……。

「空の歩道」The Curb in the Sky
 とにかく他人の話を横から訂正する妻。辟易した夫は自分の夢の話なら訂正されないと考えたが……。

「カフスボタンの謎」The Topaz Cufflinks Mystery
 道端に這いつくばる男を警官が見つけた。尋ねると落としたカフスボタンを探しているというが……。

「ブルール氏異聞」The Remarkable Case of Mr.Bruhl
 彼は平凡な男。しかし新聞に載った悪党と顔がそっくりで、間違われて襲撃されないか脅え始める……。

「マクベス殺人事件」The Macbeth Murder Mystery
 女は「マクベス」の王殺しの犯人は他にいると言いだした。抱腹絶倒の犯人探しがはじまる……。

「大衝突」Smashup
 事故のせいで自動車の運転に自信を持てない男。しかしどうしても運転せざるを得なくなって……。

「142列車の女」The Lady on 142
 「手配の女は、142号のリーガンが……」。偶然聞いた車掌の連絡の意味を巡って、夫婦の諍いが…。

「ツグミの巣ごもり」The Catbird Seat
 うるさい上司のバローズ夫人を陥れるマーチン氏の計画。それはいつも真面目なマーチン氏が、夫人の前で悪党のように振る舞うことだった……。

「妻を処分する男」The Preble Gets Rid of His Wife
 妻を殺すと決意した男と、その妻との奇妙なやりとり。

「クイズあそび」Guessing Game
 「落とし物に心当たりがあれば、御連絡下さい」。そんなありふれた電報に対する奇妙な返事……。

「ビドウェル氏の私生活」The Private Life of Mr.Bidwell
 突然深呼吸をはじめたビドウェル氏。彼の奇行は誰にも迷惑をかけないものばかりだが、それを夫人は鬱陶しがって……。

「愛犬物語」Josephine Has Her Day
 夫婦が買ったのは、絵に描いたような駄犬だった。そのうち人にあげてしまったが、今度は犬のことが忘れられなくて……。

「機械に弱い男」Mr. Pendly and the Poindexter
 自動車に疎い男を、新車選びをはじめた妻は相手にしてくれない。その横で彼の妄想がはじまる……。

「決闘」A Friend to Alexander
 米副大統領エアロン・バーの夢を見る男。その夢は日に日に物語のように展開して、やがて彼は夢の中でバーと決闘をはじめる……。

「人間のはいる箱」A Box to Hide in
 「箱はありませんか? ぼくが中に入れるくらいの大きさの」。逃避の一形式だと嘯き、箱に隠れるのを夢想する男。

「寝台さわぎ」The Night the Bed Fell
 「父の上にベッドが倒れてきた夜」。大きな音にベッドに父が潰されたと思った家族は大騒ぎ。

「ダム決壊の日」The Day the Dam Broke
 ダム決壊のデマ。それを聞いて右往左往する市民たちの喜劇。

「オバケが出た夜」The Night the Ghost Got In
 下の部屋に誰かいる! 深夜の物音を泥棒かと思った家族は、警察まで呼んだのだが……。

「虫のしらせ」The Luck of Jad Peters
 虫のしらせを教えてくれた物を記念に集める男。彼は人々から馬鹿にされていたが……。

「訣別」The Departure of Emma Inch
 無類の犬好きの家政婦。夫婦は彼女に犬を任せて、避暑に連れて行こうとするが。

「ウィルマおばさんの勘定」The Figgerin' of Aunt Wilma
 計算が得意なウィルマおばさん。ある日釣り銭の額が違うと店の人に指摘して……。

「ホテル・メトロホール午前二時」Two O'Clock at the Metropole
 ホテル・メトロホール午前二時に起こった殺人事件。その容疑者たち、それぞれの人生模様。

「一種の天才」A Sort of Genius
 殺人事件の容疑者になった男。彼は型破りな「一種の天才」だった。

「本箱の上の女性」The Lady on the Bookcase
 サーバーが自分の書いた一コマ漫画を解説する。
(埃及)

レイ・ラッセル『嘲笑う男』


「サルドニクス」Sardonicus
 主人公は古城の主に招かれ、今は主の妻となった昔の想い人の命と引き換えに、醜悪な顔の治療を要求される。そこで主人公は注射による治療法を考案する。

「役者」The Actor
 新たな試みをしようとする演出家。それが失敗するのを危惧した劇場の支配人は、それに反対するのだが…。

「檻」The Cage
 悪魔の化身と言われる男と伯爵夫人の密会。そして、それがばれたとき、婦人は城の檻に閉じ込められてしまう。そんな中、公爵による城攻めが行われる。

「アルゴ三世の不幸」The Exploits of Argo
1、科学者は、兵士を不死にする"黒い霊薬"を開発し、平和を愛するアルゴ三世の下へ届けに行く。
2、年を取ったアルゴ三世は、数々の残虐行為からアルゴ四世と民衆ににより追われ、死の恐怖に怯えていた。そんな中、最後の魔法使いが住むという惑星へとたどり着く。

「レアーティーズの剣」The Sword of Laertes
 ハムレットの脇役に甘んじている主人公は、ある男に演技の解釈や主役の座を奪われ、恨みを抱いていた。そこで剣に毒薬を塗り、殺害しようとする…。

「モンタージュ」Montage
 ある映画監督とその元弟子の間で続いているいざこざ。それに終止符を打つために、監督はモンタージュにある仕掛けをする。

「永遠の契約」Booked Solid
 美貌と演技力を兼ね揃えた女優の経歴を、推論を持って考察するとき、そこに意外な事実が浮き彫りにされる。

「深呼吸」Take Deep Breath
 「そこで深呼吸をするのです……」。ナヴィゲーター社の新しいCMは、賞賛を浴びた。しかし、そのCMの裏には、ある陰謀があった。

「愉しみの館」The Pleasure Was Ours
 バビロンという店の代表者が美女の写真を持ち寄って、男性雑誌に載せてくれとせがむ。しかも、掲載の見返りは全く要らないというのだ……。

「貸間」The Room
 文明が発達した時代。主人公は、快適すぎる生活に嫌気が差し、ある不便な貸間へと引越すことに決めた。

「帰還」I Am Returning
 王子の乗った宇宙船は、謀略により極悪な環境の惑星へ墜落する。その惑星の気温はとても低く、そこに棲息する生き物は、代謝の早いトカゲだけ。

「バベル」Incommunicado
 周りの人間の言葉を分からなくする絶縁装置。その開発に成功した父が、会える日も近い、と息子へ連絡を送る。

「おやじの家」His Father’s House
 莫大な財産を築いたおやじが亡くなった。売れない物書きの主人公は、財産を相続するためにある条件を告げられる。それは、おやじのホログラフィが小言を言い続ける家に5年間住んでそれに耐えるか、物書きをやめて会社を継ぐか、どちらかを選べということだった。

「遺言」Last Will and Testament
 ある皇帝が淡々としたためた遺言。

「バラのつぼみ」The Rosebud
 文明の発達により、人間の聴覚の限界を超えて、音楽を再現できるようになった。そんな時代に、額にバラのつぼみのようなものを咲かせた一人の赤ん坊が生まれた。

「ロンドン氏の報告」London Calling
 ロンドン氏は、彼に課せられた任務の報告を司令官に行った。

「防衛活動」Ounce of Prevention
 彼らはある衛星に向け、黄金球を発射する。それは、邪悪な意思を持つ種族が銀河系で繁栄するのを防ぐための兵器であった。
(戸羽)


マルセル・エイメ『壁抜け男』


「壁抜け男」 Le Passe-muraille
 ある夜、主人公はアパートの玄関で停電に見舞われた。しばらく、暗闇の中で手探りをしていた彼は、明かりがついたとき、なんと踊り場にいた。彼は壁を抜ける特殊能力を持っていたのである。

「カード」 Le Carte
 食糧不足対策と効率良い労働力の確保のため、無用者は、配布されたカードの枚数によって、一ヶ月に生きることができる日数を決めるという政令が定められた。

「よい絵」 La Bonne Peinture
 ある絵描きが、見るとお腹が膨れる栄養画を書いてしまった。その栄養画を、画商が買いに来て……。

「パリ横断」
 闇屋の豚肉を届けなければならない。二人の男は、警官の目を逃れながら、パリを横断する。

「サビーヌたち」 Sabines
 サビーヌは同時存在の能力で気ままに分裂し、世界中に増え広がり、そして愛をはぐくんでいく。

「パリのぶどう酒」 Le Vin De Paris
 酒が嫌いな酒造りの男と、大好きなのに酒を手に入れられない公務員が巡り会う。

「七里の靴」 Les Bottes de Sept Lieues
 六人の小学生たちは今日も探検に出かける。ある古道具屋に行って、一跳びで七里行けるという「七里の靴」を見ることが彼らの目的だ。
(戸羽)

アンソロジー/アメリカ篇『狼の一族』


フリッツ・ライバー「ジェフを探して」I'm Looking for Jeff
 バーである老人が、常にジェフを探しているという不思議な女性の話を始めた。その女性はその老人以外に誰も見たことがないというのだが、突然バーに現れて……。

ジャック・リッチー「貯金箱の殺人」Piggy Bank Killer
 おじさんはプロの殺し屋ですか? 大学で講座を持っているにすぎないわたしだが、突然訪れた少年から大おじを殺してくれと頼まれてしまう。

チャールズ・ウィルフォード「鶏占い師」The Alectryomancer
 長編小説の執筆に行き詰るわたしは、西インド諸島のある小さな島に別荘を借りていた。そこで小説のネタを集めるために、鶏占い師に会いに行くことにした。

ハーラン・エリスン「どんぞこ列車」Riding the Dark Train Out
 運も金もない元ミュージシャンの男が、早朝の貨物列車の中で一組のカップルと出会う。

ロバート・クーヴァー「ベビーシッター」The Babysitter
 ベビーシッターは仕事のためタッカー夫婦の家に行く。タッカー夫婦はパーティーに出掛ける。タッカー家の子供たちはベビーシッターに性的な悪戯ばかりする。ベビーシッターのボーイフレンドは友人と二人で彼女とセックスしようと、その家を訪れようとする。そして……。

ウィリアム・コツウィンクル「象が列車に体当たり」Elephant Bangs Train
 アフリカで暮らす象は列車に体当たりをくらい吹き飛ばされる。しかし、野獣の王を自覚する象が、負けっぱなしでいるわけにはいかない! そして、リベンジを決め込むのだった。

ジーン・ジェパード「スカット・ファーカスと魔性のマライア」Scut Farkas and the Murderous Mariah
 博物館でトマス・ジェファソンのコマを見たわたしは、幼き頃の回顧にふける。誰もが喧嘩ゴマで最強を目指していた、あの頃を……。

R・A・ラファティ「浜辺にて」By the Seashore
 うすのろ少年のオリヴァーは浜辺で光り輝く大きな貝を見つけた。その貝を得てから、突然成績が向上しだし……。

ジョン・スラデック「他の惑星にも死は存在するのか?」Is There Death on Other Planets?
 地球合衆国に戦争を仕掛けようとしている惑星ランプキンにスパイとして忍び込んだピーターだが、すぐに捕らえられてしまう。

トーマス・M・ディッシュ「狼の一族」His Own Kind
 まだ幼い少年のアーレスは、ある日突然狼男へと変身した。それから狼と人間とに自由に化けられるようになったのだが……。

アヴラム・デイヴィッドスン「眠れる美女ポリー・チャームズ」Polly Charms , The Sleeping Woman
 三十年間眠り続けている美女ポリー・チャームズが展示されている。エステルハージ博士は友人の警視と共に、展示場を訪れる。
(眠)

アンソロジー/イギリス篇『棄ててきた女』


ジョン・ウィンダム「時間の縫い目」Stitch in Time
 昼下がりのひととき、ある夫人が庭を眺めながら回顧にふけっていると、突然辺りの様子がおかしくなる。そして、若かりし頃の恋人が昔のままの姿で目の前に現れて……。

ジェラルド・カーシュ「水よりも濃し」Thicker Than Water
 私は恋人と結婚した旨を伯父に告げた。しかし、それに猛烈に反対する遺産家の伯父は、年ごとの手当てと死後の遺産を笠に着て、諦めるよう脅しにかかる。

ジョン・メトカーフ「煙をあげる脚」The Smoking Leg
 いかさま医師がインド人水夫の怪我をした脚を手術してから、その脚は奇妙な痛みを発し始める。

ジョン・キア・クロス「ペトロネラ・パン――幻想物語」Petronella Pan A Fantasy
 三十年間、赤ちゃんコンクールの審査をしている友人が、コンクールにまつわる不思議な物語を聞かせる。

ヒュー・ウォルポール「白猫」The White Cat
 あるアメリカ人男性は英国人女性に求婚した。だが飼い猫が反対しているため、結婚に躊躇っているという。

L・P・ハートリー「顔」The Face
 理想の女性の顔を紙に描きつける男は、その顔とそっくりの女性と出会い結婚するものの、妻は急逝してしまう。それでも女性の顔を描き続ける男の前に、再び絵とよく似た女性が現れるが……。

ロバート・エイクマン「何と冷たい小さな君の手よ」Your Tiny Hand is Frozen
 深夜かかってきた電話に出ると、相手は無言のまま電話を切ってしまった。同じことが何度も起こるので、電話交換局に相談した途端、電話は全くかかってこなくなった。しかし、しばらく経つと、今度は通話中に妙な音が混戦するようになる。

A・E・コッパード「虎」The Tiger
 虎の見世物興行を支える男の妻に、動物園の調教師の親方がしつこく言い寄るが、返事はつれない。

ウィリアム・サンソム「壁」The Wall
 火事になった背の高い倉庫に放水を続ける私たちに向かって、突然壁が倒れてくる。

ミュリエル・スパーク「棄ててきた女」The Girl I Left Behind Me
 何かやり残したことがあるのではないか。会社帰りのわたしは突然不安の念に駆られる。

ウィリアム・トレヴァー「テーブル」The Table
 家具商を営むジェフズ氏はある夫人から、骨董品のテーブルを驚くほどの安値で買い取った。しかし、後日夫人の亭主からテーブルを買い戻したいとの電話を受ける。

アントニイ・パージェス「詩神」The Muse
 シェイクスピアが本当にあれだけの芝居を書いたのか調べるため、若い文学史家が十六世紀末の英国へと時間旅行する。

リチャード・カウパー「パラダイス・ビーチ」Paradise Beach
 緞帳の奥に世界が広がる! 美しい海辺の幻覚を映し出すスクリーンの魅力に、あるミステリ作家の友人は取り付かれるが……。
(眠)

アンソロジー/世界篇『エソルド座の怪人』


ナギーブ・マフフーズ「容疑者不明」Didd Majhul
 定年退職した元教師がアパートの一室で絞殺された。捜査は一向に進展を迎えないまま、事件は連続殺人へと発展する。

ヨゼフ・シュクレヴォレツキー「奇妙な考古学」
 ポルーフカ巡査部長はプラハのある国立貯蓄銀行の女性職員の失踪事件の捜査を開始するが、彼女は既に国境を越えてしまったのではとの評判が囁かれる。そして、十一年後プラハのある地区の森で女性の頭蓋骨が発見されたというのだが……。

ロバートソン・デイヴィス「トリニティ・カレッジに逃げた猫」The Cat That Went to Trinity
 生物物理学を専攻するアインシュタインは、『フランケンシュタイン』にあやかって猫を造るが……。

オラシオ・キローガ「オレンジ・ブランデーをつくる男たち」Los destiladores de naranja
 片腕の男は流れ者のエルセ博士に協力を求め、オレンジ・ブランデーの蒸留という夢を成し遂げようとする。

レイモン・クノー「トロイの馬」Le cheval troyen
 バーで水ばかり飲み続ける男と何も注文しない女の前に現れた一頭の馬が、ごちそうしましょうかと積極的に二人に絡んでくる。

アイザック・パシェヴィス・シンガー「死んだバイオリン弾き」The Dead Fiddler
 ポーランドのある田舎町に熱心なユダヤ敬虔主義者の男が住んでいた。娘は婚約者が亡くなってから精神不安定になりがちだが、教典に没頭する父はそれに頓着しない。そして、再び娘の婚約が決まったのだが……。

トンマーゾ・ランドルフィ「ジョヴァンニとその妻」Giovanni e sua moglie
 ジョヴァンニは並外れた音痴で、音の外れ方は予測不能だ。しかし驚いたことに、妻はそれにピタリと合わせるようにしてデュエットしてみせる。

リー・アン(李昴)「セクシードール」有曲線的娃娃
 布人形、泥人形と子供の頃から人形愛に捕らわれているのをバカにされたことで、女性は夫に不信感を覚えだす。そして、いつしか夫の胸にもオッパイが出来るはずだと考え始める。

ジャン・レイ「金歯」Gouden Tanden
 わたしは死体の口から金歯の窃盗を常習しているが、ある日を境に死体の口から金歯が先取りされるようになってしまう。

エリック・マコーマック「誕生祝い」Birthday Present
 男は誕生日にモーテルである女性に出会う。そして、誘われるようにしてベッドに入る。

G・カブレラ=インファンテ「エソルド座の怪人」The Phantom of the Essoldo
 ロンドンにある映画館のエソルド座に今日もやってきた。映画は既に始まっていたが、あらゆる物語を下敷きにして映画は暴走を始める。
(眠)

アンソロジー/ダール・他『壜づめの女房』


レイ・ブラッドベリ「夜」The Night
 少年は夜更かしをしながら、母親と共に兄と父親の帰宅を待つ。

ジョン・チーヴァー「非常識なラジオ」The Enormous Radio
 ある夫婦の買い換えた新しいラジオからは、近隣の人たちの生活音や喧嘩の声が聞こえてくる。

ウィリアム・サンソム「めったにいない女」A Woman Seldom Found
 ある若者は初めて訪れたローマで一人の女性と出会い、恋に落ちる。

デイヴィッド・アリグザンダー「呪われた者」The Other Ones
 暗殺の仕事に失敗した私は、逃亡の最中土砂崩れの事故に巻き込まれる。ある男によって無事助け出されたが、その男は西部時代の有名な強盗の名を名乗る。

ゴア・ヴィダル「駒鳥」The Robin
 九つのとき、わたしと友人のオリヴァーは学校の隣の森で怪我を負った駒鳥を発見した。

マイクル・フェッシャー「壜づめの女房」The Bottled Wife
 自動車修理工のジョージは、依頼人の車を分解したうえ、法外な料金を要求したことで、裁判所に訴えられる。しかし、彼の反証は誰の予想もつかないもので……。

ロバート・トラウト「破滅の日」The Day of Destruction
 NYのコロンビア放送のもとに、ピッツバーグ爆破のニュースが入る。そして、次はデトロイトも爆破され……。

ビル・ヴィナブル「剽窃」Theft
 執筆に行き詰る作家のもとに、四人の小人が現れ、素晴らしい小説のプロットを提供してくれる。

L・A・G・ストロング「崩れる」Breakdown
 二人の女性との結婚生活に悩むモーリスは、片方を殺すことを決意するが……。

J・T・マッキントッシュ「プレイバック」Playback
 月曜の夜、あるバーではいつも通り議論がなされていた。そして、話題は時間旅行のことになり……。

ディラン・トーマス「二階の老婆」The Old Woman Upstairs
 マーサは死にかけの老婆と暮らしながら、身の回りの世話をしている。

マルセル・エイメ「変身」Dermuche
 オルゴールを盗むため三人の人間を殺した罪で死刑判決を言いわたされた男は、ある日監獄の中で赤ん坊に変身していた。

ジュリアス・ファースト「わが友マートン」My Friend Merton
 俺は銀行強盗をしたため、ひとまず田舎の借屋に隠れることにした。そこで偶然であった幽霊のマートンと共に、再び銀行を襲いにかかる。

ロード・ダンセイニ「災いを交換する店」The Shop That Exchanged Evil
 パリにあるモー交換所では、客の災いと店で供給しうる災いを交換できるというのだが……。

アンソニイ・バウチャー「私の幽霊」Ghost of Me
 突然鏡の向こうに現れた男は、私の幽霊だと言う。まだ死んでいないと反論する私に対し、幽霊は奇妙な論理で説得にかかる。

ロアルド・ダール「マダム・ロゼット」Madame Rosette
 イタリア軍との交戦のため、リビヤで軍務に就いている二人の男が、娯楽と女を求めて町に繰り出す。そこで世界一大きい女郎屋を経営しているマダム・ロゼットに電話をかけることにした。
(眠)

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