(「本陣殺人事件」より)
- 中肉中背――というよりはいくらか小柄な
- その年頃の青年としては、おそろしく風采をまかわぬ人物
- 色は白いほうだが、容貌は取り立てていうほどの事はない
- 瓢々乎たるその風貌から、どこかアントニー・ギリンガム君に似ていはしまいかと思う
- 東北か北海道の出らしい
- 言葉にかなりひどい訛りがあったうえに、どうかすると吃ることがあった
- もじゃもじゃ頭の、風采のあがらぬ人柄
- 取りつくろわぬ態度や、いくらか吃る口の利き方には、妙に人を惹きつけるところがある
- 五本の指でがりがりと、もじゃもじゃの頭を掻きまわすのが、この青年の興奮した時のくせ
- 探偵小説はいろいろ参考になることがあるから、一とおり眼を通すことにしている
- 夜は至って眼ざとい
- 一見、なんの見栄えもないないように見えるこの青年にも、やはり芝居気はあった
【付記1】
生い立ち、経歴に関する記述は省略
【付記2】
気になる情報に接したときに口笛を吹く描写は、この作品からみられる
(「赤の中の女」より)
- くちびるをつぼめて、ちょっと口笛を吹くまねをした。これはかれがなにか会心の事実に気がついたときにやるくせ。
(「檻の中の女」より)
- ちかごろ緑ガ丘町へ転居して、緑ガ丘荘というかなり高級のアパートに住んでいる。
- どんな場合でもおよそ退屈ということをしらぬような顔色をしているのがこの男のくせ。
- ひとみのなかの一種のかぎろいこそ、かれがなにかをかぎつけた証拠。
(「傘の中の女」より)
- 事件のないときは無精をエンジョイしている。
- およそスポーツライクなことはふえて。
- 蚊トンボみたいな脛をもった小男。
(「夜の黒豹」より)
- 襟あかによごれた大島の対(つい)によれよれの袴、雀の巣然としたもじゃもじゃ頭をかきみだして椅子に埋まった格好は今にもズッコケそうである。
- 近ごろ不眠症で困るなどといいながら、眠そうな眼をショボつかせているところへ、高輪署から一件の報告が入ってきた。
(「扉の影の女」より)
- 緑ヶ丘荘の部屋は二階三号室。
- 暖房はガス・ストーブ。
- ときたまどかっと金が入っても、貯金ということをしらないらしい。
- 金があるとうまいものを食べてまわったり、ひとりでふらりと旅行をしてまわったり、またアパートの管理人夫婦にごうせいな贈物をしてみたり。
- たばこ銭にも困るような窮地におちいることがめずらしくない。
- 金田一耕助に三千円用立てておけば、日ならずして五千円くらいになって返ってくる。
- 渋谷にいきつけの料亭がある。
- 五種類の新聞を購読している。
- ある日の朝昼兼帯の食事メニュー。
たっぷりバターを塗ったトーストがふたきれ
牛乳一本
罐づめもののアスパラガス
ウインナー・ソーセージ
りんご
- 気の落ち着いているときは、じぶんで野菜サラダをつくる。
- じぶんの貧弱な風采について強い自覚を持っているので、堂々たる風貌の人物の前にでると、いつも一種の劣等感をもつ。
- 一メートル六十あるかなしという小男。
- 金田一耕助は事件が解決し、彼の脳細胞の回転をもう必要としないと見極めがついたとき、彼はその事件に興味を失うと同時に、いつも耐えがたいような倦怠感を示し、救いようのない孤独におちいっていく。
(「魔女の暦」より)
- なにびとの注目もひかぬ平凡な風采、風来坊のように飄々としたその挙措進退が、この男の一得。
- 平凡な容貌のなかに、きびしい知性をよみとることができる。
- いつも疲れて眠そうな表情をしている物憂げな瞳のなかに、たかい叡智のかがやきを汲みとることができる。
- いたましいまでの孤独感。
- 活字を貼りあわせた怪しげな手紙が、直接金田一耕助のもとにとどいたのは「魔女の暦」事件が初めて。
- 頼みつけのハイヤーがある。
(「死神の矢」より)
- 金田一耕助はあるむつかしい事件で考古学者の古舘博士と知り合い、以来古舘家のもっとも親しい客のひとりとして遇せられている。
(「黒猫亭事件」より)
- 藤のステッキをついている
- 三十五、六の小柄の人物
- 別にどこといって取り柄のない、どっちかというと、貧相な風貌の青年
- 事件当時、風間が二号だか三号だかにやらせている「松月」という割烹旅館に寄食していた
- 東北の中学を卒業し、風間俊六といっしょに東京へ出てきた
- その後しばらく神田の下宿にゴロゴロして、そのうちアメリカへいった
- やくざの仁義というやつが大嫌い
(「鴉」より)
- 入浴は「からすの行水」
- さのみ酒をたしなむ方ではない
- 肉体的に疲労をおぼえると、寝ているときに歯ぎしりをかむのがこの男のくせ
(「湖泥」より)
- 妙に岡山県に縁がある
- 磯川警部にふかい親愛の情をおぼえて、関西方面へ旅行すると、いつも足をのばして岡山まで、警部に会いにくることにしている。
(「廃園の鬼」より)
- K新聞の社会部記者、都築弘と面識がある
- 元レコード歌手、朝倉加寿子とも旧知の間柄
(「暗闇の中の猫」より)
- 東京に腰を落ち着けてから最初に取り扱ったのがこの事件
- この事件がきっかけで等々力警部と知り合いとなり、げんざい刎頚の交わりといってもいいほど、親密な間柄にある
- 「黒猫亭事件」には、等々力警部の紹介で飛びこんでいった
- 照れくさそうな苦笑をもらすのが、自慢話や手柄話をしなければならぬはめにたちいたったときのこの男のくせ
- たいへんな照れ性
(「トランプ台上の首」より)
等々力警部が金田一耕助を評した言葉
- はっきりとした確信をもつにいたるまでは、絶対に口をわらないひと
- いろいろと出しゃばるようだが、最後においては、いつも縁の下の力持ちで満足してくれる
- いろいろ依頼を受けた場合、等々力警部をとおして、警視庁という大きな機構の力をたくみに利用している
- その埋め合わせと、本人の趣味とで、こういう事件が起こったばあい、身銭を切って協力してくれる
- 相当の収入はあるようだが、欲のないひとだから、たばこ銭にも困っていることがある
- 奇人といえば奇人だが、貴重な存在
(「女の決闘」より)
- 若いころアメリカの西部を三年ほど放浪した。そのときジャック安永に世話になったことがある。
(「鏡が浦の殺人」より)
- 金槌
- いくら責めてもたのんでも、適当な時期がくるまで絶対に、心のうちをのぞかせることのない
(「貸しボート十三号」より)
- 神門産業総帥神門貫太郎がパトロン(パトロンになった経緯についても記述あり)
- 暇なときにはいつも警視庁捜査一課の等々力警部のとこに行ってとぐろをまいている
(「支那扇の女」より)
トースト
ミルク
半熟卵
果物
- 武蔵野署の服部警部補とはいっしょに仕事をしたことがあり、昵懇のなか
- この作品で、ギャバのズボンに濃い紺地の開襟シャツという変装をする。その様子は、どうみても貧弱なサラリーマンとしか見えない
- 事件が解決したあとは、猫のように懶惰である。おそらくエネルギーをはげしく燃焼したあとの、倦怠感がかれの全身をくるむのであろう
(「火の十字架」より)
- 朝寝坊
- もの憂げな眼つきをして、ぼんやり虚空に眼をやっているのが、ひとつの事件を解決したあと、いつも示す特徴。そこには救いがたい虚無感がある。
(「雌蛭」より)
- 洋服姿の金田一耕助は、貧相で風采の上がらぬ印象がいっそう強い
- アームチェアー・ディテクティヴを気取っている
- よけいな先入観は事実をみる眼を狂わせる場合がある。そんな馬鹿なことはしないことにきめている
(「猟奇の始末書」より)
- 洋画家三井参吾と大学助教授小坂達三とはどちらも金田一耕助の中学時代の同窓だが、ともに金田一耕助より一年先輩
(「猫館」より)
- 同じ殺人事件でもふつうありきたりの事件では、なかなか食指を動かさない
- 占いだの八卦だのにあんまり興味をもたない
※付記:この作品で、金田一耕助は等々力警部のことを心中で「あいつ」と呼んでいる
最終更新:2018年12月28日 14:03