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→エミリアとリスティとお酒 - (2012/05/12 (土) 23:41:42) のソース

「んぅ…」

 眠い目を擦りながら、リスティはLLギルドのリビングに足を運ぶ
 トイレに起きたつもりだったのだけれども、部屋に戻る時

(…のど、かわいたな)

 と、保冷庫から飲み物を取ってこようとしているところであった。
 時間は既に深夜。ヴァイやディンなどメンバーはもちろん。
 アル・ワルツなどのメイド達も皆寝静まって居るだろう。

(あれ…?)

 しかし、リビングの近くに行くと、明かりが灯っている事に気付いた。
 誰か居るのかな?と思い、ゆっくりと覗き込む。

(泥棒さんじゃないよね…?)

 しかし、そこに居たのは。

「えみぃさん・・・?」
「ん? リスティか。こんな遅い時間にどうしたのじゃ?」

 眠い目をこすり、リスティは確認した。
 エミリア・エルクリオ。LLギルドの副リーダーを務める彼女であった。
 エミリアの指が撫でるグラスから、カロン。と氷の回る軽い音が鳴る。

「のどかわいて・・・えみぃさんは何してたんですかー…?」
「だいぶ寝ぼけておるようじゃの…。私は見てのとおりブランデーをちょっとの」

 空けたグラスに再び酒を注ぐ。
 多く飲む方ではないが、時々夜遅くに静かな時間。空けた窓から覗く星の瞬きと
 吹き込む夜風の香りを楽しみながら、ゆっくりとお酒を嗜む時間が好きだった。

「ぷぁ! エミィさん。お酒って…まだ二十歳超えてらっしゃらないんじゃ…」
「そう固い事を言うでない。皆には内緒じゃ。な?」

 飲み物を飲んで、意識がハッキリしたのか。リスティはエミリアの話に困惑の色を示した。
 飲酒に関しては、教会では強く二十歳以上になってからと決められている。
 もちろん、法として定められているので、二十歳未満の飲酒はご法度である。
 とはいえ、それでもエミリアのように未成年でも酒を嗜むようは人は多いし、
 ほぼ黙認されているようなものであった。

「もう…」

 リスティは『仕方ないなぁ』という感じで、エミリアの前に座り、水をコップに注いだ。

「ふむ…」

 エミリアは少し考え、その考えをリスティに持ちかけた。

「どうじゃリスティ。知った秘密じゃ。共犯してみんか?」
「ええぇぇ!? ムリムリムリです! わたしまだ15でお酒なんて味もわからないですし!」

 もちろん冗談で、エミリアはからかうように笑う

「アハハ。法もあってないようなものじゃ。教会の外にでてるのじゃから、こういった『ハメ外し』をしてみるのも悪くないものじゃぞ?」

 リスティならば、そう言っても教会の教えに準じて断るだろうとあまり期待していなかった。
 のだが、その回答は予想外だった。

「うー…でしたら、ちょっとだけお付き合いします」
(お?)

 照れたように、指をもじもじと動かしながら、リスティはエミリアに水を飲んだコップを出した。

「ふふ。これで私達は共通の秘密を持った共犯じゃ」
「あは……はい。私も共犯です」

 冗談しかめてエミリアはそう言い、ブランデーを注いだコップをリスティに差し出し、
 リスティははにかみながらそれを受け取った



 そう。この時、エミリアはただ軽い気持ちで誘っただけだったのだ


 …


「ヴァイさんも、なんれこぉわたしのきもちにああもきづいてくれないんれすかね! わたしだっていっぱいぎゅーしたいのに、おしゃべりしたいっていうのに、じーってヴァイさんのことみてるのに、きふきもしないれますたーさんとずううううううっとおはなししつづけれるんれすよ! そんらにますたーさんとはなしたいならもうますたーさんとほもほもしてれらいいらないれすか いらいいらいいらいってたまにはおふにしてデートとかしたいんれふよ! おでかけしなくれもおへやでぎゅーとかなでなでとかいろいろあるらないれすか! なんにもわかっれないです!! わたしだっておんなのこなんれすよ! なんらかいらいいっしょにするのがデートみたいにかんがえてるみたいれすけど、ヴァイさんおくてなんれるよ!! もっとせっきょくてきにつかまえてほしいんれすよ! でもわたしからいうのってなんかちがうじゃないれふか! ちょっとえみりあさんきいてるんれふか!!」

(何じゃ・・・これは一体何が起きているんじゃ…)

 酒を飲ませて数十分後。つまるところ、数十分前
 まず一杯飲んでぽーっとしたリスティが

『なんだか暖かいです・・・ほわほわします』
『ほんのり赤くなっとるぞ。お酒の入ったリスティは可愛いのぅ。色っぽく見えるぞ』
『え…ほんとうですか』

 エミリアの言葉にリスティは嬉しそうな表情を返し、
 そのいつも自信のなさそうなリスティとは違う、愛らしい表情にエミリアは嬉しくてニコニコとしていることに気付いた。

【私も酒が回っておるのかのぉ】
『あの…もっと頂いてもいいですか? 自信、つけたいんです』
『ん。構わんよ。でも飲みすぎると具合が悪くなるからムリはさせんぞ?』

 もう一杯で終わらせよう。とエミリアは思い、リスティのコップにブランデーを継ぎ足す。
 リスティは「うん」と頷いて、コップを両手で包むように持った。

『はい。お酒って不思議ですね。ぽかぽかして、自分に自信がつくようで。魔法みたいです』
『そうかもしれんの。お酒を飲んでいる間は不思議な感じじゃ。少し悪い事をしているようで、でも、少し違った自分になれるような。そんな力がある感じがするのぅ』

 のんびりグラスを見つめ、傾けて氷を転がしながら、エミリアはリスティを見つめそう言った
 言った・・・のだが、当のリスティを見てエミリアはびくぅ!と体を震わせる
 んぐ。んぐ。と一気にブランデーを飲み干すリスティの姿がそこにはあったのだった。

『………』
『あの…リスティ、さん?』

 いつも呼び捨てなのに、エミリアはその気迫に敬称を思わずつけてしまう。

『もう一杯』
『え、いや。あのじゃな、リスティ』
『もう一杯』

【目! 目が据わっておる!!】



 …と、今に至るわけである。
 身体を机に向かってうつ伏せ、エミリアはリスティの口から飛び出す言葉の散空斬連奏剣にウンウン唸っていた。
 リスティの絡み酒につき合わされ、エミリア自身もそうとう飲まされている。

「らいたいディンさんやティールさんもれふよ!! なんれいつもギルドにいるんれふか!! ふたりきりじゃないとできないこととかあるらないれふか!! ××××とか!! どきょうなしのヴァイさんもれふけどもっとくーきよみましょーよ!!」
(普通に放送禁止用語入っておるぞリスティィィ[汗])
「えみりあさんだってそうれふよね!! でぃんさんと二人きりでするころいっぱいありまふよね!! ちゅーだけでいいんれふか! ちがうでしょもっとらぶらぶのふわふわするようなシュチでいっぱいぎゅーしてもらってしあわせしたいれふよね! なのにわらひたちいっさいえんがないとか、こんなのぜったいおかしいよですよ!!」
「いや、その、あのな、リスティ…これ以上はいろんな意味でマズイと思うんじゃ・・・な?」

 じーっとエミリアの顔を見るリスティに、エミリアは「そろそろお開きにしよう。部屋まで送ってあげるから」と付け加えようとしたかしないかで

「もうえみりあさんでもいいかも」
「え。ちょ、リスティ? リスティ!?」

 ぼーっとした焦点の定まってない空ろな瞳で、リスティはエミリアへと急に近づき、
 そのままリスティはエミリアの唇を奪おうと顔を近づけてくる。

「マズイ! それはマズイのじゃ! 気を確かに持てリスティぃぃ!!」
「…」

 しかし、直前でぴたりと動きが止まると、

「すぅ…すぅ…」

 寝ている。
 「寝たのか?」とか、「大丈夫か…?」という声が出る前に、
 エミリアから一番最初に飛び出した言葉は

「た、助かった…」

 であった。



 そして、心に決めた。
 もうリスティにお酒を飲ませるのはやめよう。と




「おは…よう、ございま…うぅぅぅ……」
「お、おはよう。リスティ。どうしたんだ…?」

 ヴァイは水と朝食のプレートを持ってきて、彼女のその異様な様子に半ば引いていた。

「あたまいたくて…きぶんがわるいんです……」
「具合が悪いのか? 熱はあるのか? 湯冷めしたとか、身体冷やして寝てしまったとか無いか?」
「わからないです……夜お水飲んでから、いつのまにかベッドで眠ってて・・・」
「無理するな。あとで食べやすいもの持って行くからゆっくり寝てろ」
「はい…すみません」

 ヴァイはそう言ってリスティの手を引いてリビングを出て行った。
 その一方、

「風邪といえば今朝エミィも具合が悪いとかで寝込んでるから、皆自己管理はしっかりしておかないとな」

 隣でコーヒーを口にしているティールに、ディンは声をかける。

「しかし、同時に風邪とは珍しいな」
「風邪とは限らないかもよ」

 ディンの横でコーヒーを口にしたティールが含みのある言い方で言葉を返した。

「どういうことだティール?」
「ま、女の子には色々あるっていうことだよ」

 お前も女だろう。という突っ込みもありそうだが、ティールがごく自然に口にした言葉に
 違和感はあまりない。
 しかし、ディンは少し考え、何を思ったかハッと顔を挙げ

「そ、そうか…いや、デリカシーの無い事言ってしまったな。そりゃ女なら仕方ないか。しかし同時に来るとは珍しいな…いやいや。出来れば話題に出さない方が良いか。すまんティール。助かった」
(…たぶん思ってることと違うと思うけど)





 しかし、お酒の魔力と言うのは本当にあるのかもしれないが…いや、むしろ現実逃避に近いのかもしれないが、
 エミリアは、「あの晩はリスティの新しい面が見れて良かったかもしれぬ」と思うようにした。

「酒か…」

 エミリアはベッドから起き上がりながら、もう殆ど残っていないブランデーのボトルを見つめ思う。
 知り合いと酒を酌み交わせば、ひょっとしたらその人の新しい面が見れるかもしれない。

「それも、また面白いかもしれんの」

 楽しく飲むか、再び後悔に苛まれるか。
 それはまた、別のお話






  あとがき

というわけで、ベースとしてエミリアとお酒をテーマに、リスティと絡ませてみました。
つまり、この話題で物語を増やしていくのであれば。皆様は「エミリアとお酒」+「誰かキャラクター」という形で書いていただくことになります。
これは例題ですが、もちろんご参加いただいて構いません。むしろご参加ください(ぇ

そしてもちろん、別の『話題』をあげていただいても構いません。『ヴァイと炎の料理』とかあっても良いかもしれませんね


しかし、どう考えてもリスティが壊れすぎた(汗
ひらがなで読みにくいと思いますが(もちろん意識して読み難くしてますが)、気合と根性で読解すると、
どう考えてもお前コレおかしいだろ!!とツッコミを入れたいセリフが多々含まれております。

新たな企画ですが、みなさまのご参加心よりお待ちしております!