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プロローグ.画聖の憂鬱」(2007/04/09 (月) 18:55:14) の最新版変更点

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―プロローグ― この世界には、いろいろな人がいる。 それは平穏に日々を暮らす町人だったり、そんな人達を守る騎士だったり、名声を求めて旅する冒険者だったり…… その人生の形も様々で、それら一つ一つが世界と言う名の書物に刻まれる。 人間は、一人一人がそんな物語の主人公であり、人それぞれの苦難にも出会うだろう。 たとえ成功者と呼ばれる者であっても、幾度の試練を超え、またこれからも挫折と成功を繰り返しながら生きていくのだ。 ――人は、明日への希望を忘れない限り、どこまでも歩いていけるのだから。 「―ふぅ」 ……そう思って、毎日を生きている。 今まで生きてきた時間も、大きなもの、小さなもの、様々な壁があったと思う。 時には、大きな壁にぶつかって先へ進めなくなったこともあったけれど、それでも、回り道を探したり、無理にでも乗り越えたりを繰り返して、なんとか今日まで生きてきた。 「……だめ、こんなんじゃ、とても人になんて見せらんないよ……」 多分、今ぶつかっている壁もそんな中の一つ。 でも、目の前にある真っ白な世界にぶつかってもう半年は経つだろうか。 ……食べていくだけなら、今までの蓄えもあるので無理をしなければ当面は心配は無い。 けれど、自分は白紙の世界に自分の世界を描く以外の道を知らない。 今更逃げて他の事を始めようとしても、とてもではないが無理だろう…… 「……ちょっと休も……」 ちゃぽん、と音がたつような勢いで、その手に持っていた絵筆を筆洗い用の水の中に放り込む。 彼女の目の中に映るのは、純白の世界……美術系クリエイターの必需品である、真っ白なカンバス。 一度たりとも筆をつける事のなかったパレットも、そっと横の机に置き椅子から立ち上がると、両手を高々と上げて、全身をぐーっと引き伸ばした。 「……あっ」 気晴らしとばかりに紅茶を淹れて、買いおきのクッキーを引っ張り出して、ちょっと気取ったティータイム。 そんな中で溜息混じりに過ごしていると、ふと覗いた窓の外の雲ひとつない空の上に、暖かな光を放つ太陽が見えた。 ……”彼”は毎日東の果てからやってきて、日の終わりには西の果てへと去っていく。 そしてその光は地上に生きる全てのものに力を与え、日々、自分達を見守ってくれている。 ……そんな”彼”はきっと”旅人” 何度も何度も世界を巡り、いまだ終わらぬ旅を続けている冒険者。 「あなたにくらべたら私の人生なんて、きっととるにたらないものなんだろうな……」 ぽかぽかと降り注ぐ陽光を右手で遮りながら、そんな事を呟いてみる。 ―アウロラ・ピアレスティ 幼少の頃から絵の才能で注目され、若くしてその道の一流と称された彼女は、今ではリエステールが誇る美術家の一人として名を連ねている。 しかしその名声そのものが、今の彼女の壁となっている事は……恐らく、彼女自身も気付いていない事かもしれない。 [[次へ>>>チャプター1.名声]]

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