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「フォーメーション・オメガ」(2007/04/10 (火) 09:04:29) の最新版変更点
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「こうなったら、もうヤケクソでいくよーーっ!!『フォーメーション・オメガ』っ!!」
「「「&ruby(ラジャ){了解っ}!!」」」
それを合図にそれぞれ武器を構えるマグノリア、シルエラ、リリー。
そして、頭一つ高く飛び上がったセーは、いつになく真面目に詠唱を開始する。
「数多の世界を結び隔てる時空の歪よ、我は『門』にして『鍵』なる者なり、其は我に力を与え、我は其に新たな理を示さん!!」
それはいつもの悪戯魔法の詠唱とは違い、彼女の本気の詠唱。
「いくよ、連続ゲート殲滅陣・『フォーメーション・オメガ』っ!!!」
ギャァァアアアア!!
グォォォ・・・!!
「な、何が起こっているんだ!!」
今度こそまともに戦えると思って剣を構えるヤクモの前方の海上で、死散する魔物の数々。
ある者は翼をもぎ取られ、ある者は胴を真っ二つにされて海に沈む。
「あれは、時空の裂け目!!? それもとてつもない数の!!?」
「あれはセーのジョブ『ゲートキーパー』の基本魔法、ただの空間ゲートよ。ただし、問題はその数・・・。」
ゲートの縁を直接相手に当てて次元ごと切り裂くのは基本戦術として、店長の言うように問題は数の多さ。
敵の魔物の形成する壁のいたる所に無数のゲートが出現している。
そして、ここからCG組の連携攻撃が開始される。
「一番手、マグノリア、いくぞーーっ!!」
目の前に開いていた1つのゲートに飛び込むマグノリア。
すると次の瞬間には敵陣に無数に形成されたゲートの一つから飛び出し・・・。
「はあぁぁぁああ!!」
敵の鳥獣型モンスターをライトセイバーの一撃で両断する。
グオォォォ!!
すぐさま近くにいたガーゴイルが追撃をかけるも、マグノリアは対面のゲートを使ってさらにその背後。
「甘いっ!!」
背後から首を切り落とされたガーゴイルは海へボチャン。
「ゲートを駆使した連続空間移動を用いた乱撃とは、こちらのお嬢さん方も面白い戦い方をする!!」
「ようし、若様、私も行ってまいります!!」
「止めておいた方がいいと思うけど。」
店長の警告も聞かず、先ほどマグノリアが通った船上のゲートに剣を構えて突撃するヤクモ。
「うおおおおおおおおっ!!」
しかし、ゲートをくぐり、出た先は・・・。
「うおっ!! な!? なんとっ!!?」
ザッパーーン!!
ゲートをくぐり、船のやや後方の空中で足をじたばたさせて数秒間滞空した後、海に落ちたヤクモ。
ロープを投げる門下生たち。
「あれは、刻々と変わるゲートの位置と転移先のパターンを練習で完全に覚えているマグノリアだからこそ出来る芸当。そう易々と真似できるものじゃないわ。」
「ははは・・・。」
店長の言葉に苦笑するクウヤ。
まあ、さっきのはそれプラス運も関係していそうだけど。
「うおおぉぉぉおおおお!!」
その後もますます勢いを増して敵を次々と切り落としていくマグノリア。
「なんというか・・・、無駄が多いわね。」
「まあ、無駄が多いのは確かね。」
どう考えたって使ってないゲートがあるだろうと、そこに注目する妖精二人。
「あれ、あっちでは何やってるのかな?」
ソールの指した方向では、シルエラちゃんがただひらすら矢を撃ち続けている。
「第二波、準備完了しました!!」
「分かったわ、じゃあ、マグノリアっ!! 戻すよっ!!!」
「え? もうかよ!!?」
シルエラちゃんの第二波の準備が整ったことで、強制的にマグノリアの軌道上にゲートを開いて船上へ帰還させるセー。
それに合わせて敵周辺のゲートが消えていき、次は敵の上空に巨大なゲートが出現。
「「いっけぇーーーーっ!!」」
セーとシルエラちゃんが叫ぶと、先ほどシルエラちゃんがひたすら矢を撃ち込んでいたゲートの転移先、
上空の巨大ゲートから大量の矢が降り注ぐ。
ズドドドドドドドッ!!
体中に矢の雨を受けて次々と海に落ちていく魔物たち。
「最後、リリーっ!!?」
「了解っ!!!」
すると、セーとリリーは同時に詠唱を開始する。
「『開花』の名を冠する汝、我に力を貸し与えたまえ、大気に宿りし風の精よ!! 天空を巡りし竜の怒りよ!!」
「数多の世界を結び隔てる時空の歪よ、我は『門』にして『鍵』なる者なり、其は我に力を与え、我は其に新たな理を示さん!!」
「我が呼びかけに答え、その力を解き放て!! 『ウインドアロー』っ!!」
「いでよっ!! 世界の楔、解き放てし奇跡!! 『ツインゲートXXX』っ!!!」
リリーの放った風の中級魔法、『ウインドアロー』は真っ直ぐ船の前方へ飛んでいく。
しかし、それはセーの開いたゲートに入り、次に出てきたのはその出口である2箇所のゲートから2本の『ウインドアロー』
が、それもすぐにゲートをくぐり、今度は4つのゲートから計4本の『ウインドアロー』が出現。
こうしてどんどん増えていくウインドアロー。
それは次第に魔物たちの作る巨大な肉の壁をまるごと包み込むように包囲しながら、とてつもない数にまで膨れ上がっていく。
「ぁ・・・、もう・・・ダメっ!!」
しかし、連続でのゲート魔法行使で限界に達したセーは、力を失い、甲板に倒れこむ。
バリーーーンッ!!!
それを合図に、かなり広範囲に展開していた無数のゲートが一斉にガラスを割ったかのごとく砕け散る。
潜るべきゲートを失った無数のウインドアローは、増殖を止めて標的である敵集団に向かって飛んでいく。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
複雑に、かつ規則正しく無数に重なり合ったウインドアローの渦巻く突風と空気の断層。
一瞬にして眼前の敵船との間の空間が白一色に染まる。
それはカマイタチをいくつも交差させてできる磨りガラスによる太陽光の乱反射だが、光の濃淡の差が全く無い。
そして、その光が晴れた時には、敵船『ブラックシップ』とこちらの船との間にもう敵は1匹も残っていなかった。
「こ、これは・・・、正に一撃殲滅級奥義・・・」
「失敗ね、セー・・・。」
「うぅ~・・・」
クウヤの言葉も無視して、セーに厳しい評価を下す店長。
セーは返す言葉もない。
「まあいいわ、神霊水、持ってきておいてあげたから、早くこれ飲んで回復しなさい。もうすぐ突入みたいよ。」
そう言うと、セーに水差しを渡す店長。
なんだかんだ言って、セーのことも考えてあげているらしい。
「すごかったねー、今の!!」
「一刻千金。発動から敵に当たるまでに時間かかりすぎよ。」
「うん、あと、術者にばかり負担が集中しすぎね。」
そして、ここにもまた厳しい評価を下す者たちがいるのであった。