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チャプター19.精霊王アイリス」(2007/04/22 (日) 00:48:10) の最新版変更点

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―19― アイリスは、『死』に至る際にたまごのような膜で身体を覆い、その記憶と力を封印し、幼生体に還る事で生を繋ぐ。 そして、自ら選ぶ『親』の元で孵り、その成長に応じて徐々に封印された記憶と力を再生させていく。 それは、創世の時代から幾度と無く繰り返されてきた姿だった たまごに還る時期に、幼生期も成体期もなく、あるのは、ただ死はそのまま転生に繋がるという事実だけ。 「……なら、やりなさいよ」 黙って目を閉じ、何かを思考していたヒミンが、冷淡な瞳でそのまぶたを開き、男へとそんな言葉を向けた。 その一言は、周囲で構えていた仲間達の驚愕をも呼ぶものの、ヒミンは動じることなく言葉を続けて行く。 「確かにあなたの言った通り、アイリスは死の際にたまごへと還るから、アイリスを手に入れようとするだけなら、それでもかまわないのかもしれない……」 「何を言うのかと思えば、分かりきった事を……」 「……ふぇ……ぅぅ……」 わずかに笑みを浮かべる男と、恐怖に押され、涙を浮かべるもまともに声も出て来ないらしいイリス。 ……守るべき対象を、”殺してもいい”などと言い恐怖へ陥れる……それをわかっていながら、ヒミンは口を閉じることはない。 「……でも、その”後”にあなたを守るものは何?」 「なんだと?」 「あなたの頭なら分かってるはずでしょ。 命を奪ったその瞬間から、私達があなたに攻撃を渋る理由は無い……むしろ、そこにいる『親』の怒りを買って……今度こそ、灰にされかねないわね」 ふふっ、と強気な笑みを浮かべるヒミン。 そしてその言葉を受けたティールもまた、その目により強い決意を込めて、男に投げ掛けた。 ……が、身体の芯までダメージを残していたためか、その状態はまだ万全とは言えない。 たとえイリスが殺され、ヒミンが言うような行動に移すにしても……今の状態では、もう少し時間がかかるだろう。 「……」 ヒミンは、ちらりとその様子に目を向けると……一度深呼吸を行い、両手を大きく空へ向けて伸ばす。 「……ちょっとヒミン、まさか……」 その様を目にして、一瞬マーニが何か呼びかけようとしたが、ヒミンと目が合う事で、その言葉を止めた。 彼女から発せられる気配は、明らかに何か大きな事をしでかそうとしている事を示している。 それでも、男は先の彼女の言葉に捉われ、自身の意思に身体が従わず、完全に硬直してしまっていた。 「―我は天蓋の鍵を有する者 陽の舞う道に在りし&ruby(ゾディアックベルト){黄道十二宮}の使者よ 界の調停者の名の下に 解き放たれし門より現れ出でよ―」 ヒミンが言葉を紡ぐに連れて、その頭上に星屑のような光が集まってくる。 その無数の光は徐々に一つとなり、ついには、一つの光円を描くような姿を現していた。 「―世の理を統制せし星界の天秤 我望む あえてその均衡を破ることを―」 恐らく、それがこの詠唱の最終節なのだろう。 言葉紡ぎ終えた時、その光円の中心に、淡い光を纏う小さな天秤が現れ、それはヒミンの手に握られる。 その天秤の両の受け皿には何も載せられてはいなかったが、何故か、徐々に片側に傾いていく。 「天秤宮ライブラ・第三術法――&ruby(マッド・ライブラ){狂理天秤}!!」 「ぐっ――!!?」 そして、ある角度までそれが傾いたその瞬間、天秤が纏っていた光が急激に強まり、それはここ一体を包みこむように大きく、強く、広がっていった…… ――訪れるのは、静寂。 光は収まり、ヒミンの手の天秤は……大きく傾いたままではあるが、元通り淡い光を放つに留まっている。 そして、攻撃が来るのだろうかと身構えていた男は再び目を開き、突如として、笑い出す。 「クク……何かと思えば、やはりハッタリか!? 大口を叩いて置いて、貴様もこちらを攻撃などできぬと言う事だな!!」 状況は変わっておらず、それが強がっただけの言葉というのは本人も分かっているだろう。 だが、”状況”は確かに変わっていた。 星々が描く天秤、ライブラの力……その両の皿の均衡は”摂理の統制”を意味し、片側に傾く事は”摂理の破壊”を意味する。 「……イリス?」 ふと目を向ければ、今まで脅えた表情で涙を流していたイリスの顔から、全ての感情が消えている。 「――その手を離しなさい」 そして、ゆっくりと開かれた口から発せられる言葉。 ……それこそが、ヒミンの行使した、ライブラの力の発現を意味していた。 「貴方に&ruby(わたしたち){精霊王}を従える器はありません、離しなさい!」 「なっ……ぐあっ!?」 突如として、今までになく強い語調で言葉を口にするイリスに、半ば呆然とした声を出す男だったが、状況を整理させる暇も与えず、イリスの背から赤い輝きを放つ大きな翼が展開される。 そして、その翼は次の一瞬には炎へと姿を変え、その身体を焼き尽くすようにまとわりついていく。 「ぐっ……うああああ!!?」 熱に耐え切れず、イリスを掴んでいたその手を離す男。 そして、それに乗じてイリスは広げた炎の翼を羽ばたかせ上空へと浮かび、男の方へと身体を向けて停止する。 悠然と構えるその姿は、幼い姿ながら”精霊王”と呼ぶに相応しい空気を纏っていた。 「なんだろう……この感じ」 「…どうした?」 その姿を目にし、ふと、リスティが声を漏らす。 ヴァイはそれに反応し、すこし心配そうな目を向け、そう声をかけたが…… 「わからない……けど、すごく懐かしい感じ……」 リスティは、どこか呆けたような表情のまま、ただ上空に浮かぶイリスの姿を見つめているだけだった。 「ぐっ……貴様、何をした……!?」 イリスが離れると同時に炎の翼も離れ、全身に残る炎の痛みに耐えつつも、男は傾いた天秤を握るヒミンへと怒りを向ける。 しかし、ヒミンは黙したまま何も語る事はなく、ただ目の前で起こる展開を眺めているだけだった。 ……いや、『天秤』の力を使い続ける事に、意識を集中しているのかもしれない。 「……彼女は、この身体の中に封じられていた”先代”の力を解放しただけです」 「なんだと!?」 先代――つまりは、精霊王として積み重ねられた記憶と力が解放され、成長しきったアイリスの事。 本来ならば時間をかけて少しづつ再生させていくという『摂理』を崩す事で、解放したということだろうか。 「貴方は――何を望み、私を求めるのですか?」 上方から、悲しげな瞳で男を見下ろす”アイリス”。 問いかけるその言葉にも、どこか悲哀を帯びた響きが込められているかのようだった。 「………不死だ」 すこし間を開けて、意を決したような表情でその問いに答える。 それは、多くの人間が望みつつも、決して手に入れる事は許されない事象の一つ。 死を越える事は、輪廻の均衡を乱す大罪であり、それを侵した者は世界により罰せられる。 「貴様は、子に還る事で生を繋ぐ。 記憶の再生に時間はかかるというが……最終的に全てを受け継ぐ、それは事実上の不死!! その力を求めただけだ!!」 「だからと言って、他者の命を弄ぶのですか? 貴方の身勝手で自我を奪われた者達は……」 「知るものか! こいつらはただの駒だ!! 貴様を手に入れるためのな!!」 「……私は、”コア”を持つ魔物に近い存在です、輪廻の輪を介して転生するあなたがたとは、魂の成り立ちが違う」 「だが、貴様は人と同じく成長する”魔物”と”動物”の中間的存在だ。 ……その力の内側を見る事ができれば……」 その言葉を耳に、何かを想うようにまぶたを閉じるアイリス。 ……自己の存在が、人間に野望を抱かせたのは今に始まった事では無い。 還るごとに記憶も受け継がれる自分を……楽しい記憶だけでなく、幾度とない『親』との別れの記憶を、永劫に受け継ぎ続ける自分を悲しく思った事もあった。 そんな自分の魂の成り立ちを求める……その男の姿は、彼女にはひどく哀れなものに映っていた。 「……引きなさい。 そして、その望みは捨てなさい……永劫に継ぐ記憶など、悲しみが積み重なるだけ……」 「ククっ……ここまで来て、引くことなどできぬよ……」 そう返すと、男は胸の前で手を組み、呪文の詠唱を始め――アイリスもまた、その行動に答えるかのように、同じように呪文詠唱を開始する。 そんな状況を目にした一同は、それを止めようと駆け出そうとしたが……なぜか、リスティが無言のままに両手を広げ、その行動を遮っていた。 「……リスティ……」 彼女の奥底に眠るアルティアの記憶か、彼女自身の意思か…… おそらく、なぜ自分がみんなを止めたのか本人も分かっていないのだろう。 「――インフェナリィハグ!!」 指輪の力も加え、極大化された無数の闇の触手がアイリスに向けて放たれる。 その一方でアイリスの手元には、七色のマーブル模様に輝く魔法球が浮かんでいた。 「……レインボウドロップ」 そして、触手に捕縛される紙一重の一瞬に、その球体を男に向けて解き放つ。 創世の時代より積み重ねられた、強大なメンタル。 それは迫り来る触手を飲み込みながら、勢いも衰える事無く向かっていく。 「……おのれ! おのれおのれおのれーー!!!」 アイリスの悲哀の瞳にその姿を映しながら、男は七色の光球に飲み込まれていく。 ……戦いは、”アイリス”が目覚めたその時に、終わっていた。 [[<<前へ>チャプター18.天の三妖精]]     [[次へ>>>チャプター20.]]
―19― アイリスは、『死』に至る際にたまごのような膜で身体を覆い、その記憶と力を封印し、幼生体に還る事で生を繋ぐ。 そして、自ら選ぶ『親』の元で孵り、その成長に応じて徐々に封印された記憶と力を再生させていく。 それは、創世の時代から幾度と無く繰り返されてきた姿だった たまごに還る時期に、幼生期も成体期もなく、あるのは、ただ死はそのまま転生に繋がるという事実だけ。 「……なら、やりなさいよ」 黙って目を閉じ、何かを思考していたヒミンが、冷淡な瞳でそのまぶたを開き、男へとそんな言葉を向けた。 その一言は、周囲で構えていた仲間達の驚愕をも呼ぶものの、ヒミンは動じることなく言葉を続けて行く。 「確かにあなたの言った通り、アイリスは死の際にたまごへと還るから、アイリスを手に入れようとするだけなら、それでもかまわないのかもしれない……」 「何を言うのかと思えば、分かりきった事を……」 「……ふぇ……ぅぅ……」 わずかに笑みを浮かべる男と、恐怖に押され、涙を浮かべるもまともに声も出て来ないらしいイリス。 ……守るべき対象を、”殺してもいい”などと言い恐怖へ陥れる……それをわかっていながら、ヒミンは口を閉じることはない。 「……でも、その”後”にあなたを守るものは何?」 「なんだと?」 「あなたの頭なら分かってるはずでしょ。 命を奪ったその瞬間から、私達があなたに攻撃を渋る理由は無い……むしろ、そこにいる『親』の怒りを買って……今度こそ、灰にされかねないわね」 ふふっ、と強気な笑みを浮かべるヒミン。 そしてその言葉を受けたティールもまた、その目により強い決意を込めて、男に投げ掛けた。 ……が、身体の芯までダメージを残していたためか、その状態はまだ万全とは言えない。 たとえイリスが殺され、ヒミンが言うような行動に移すにしても……今の状態では、もう少し時間がかかるだろう。 「……」 ヒミンは、ちらりとその様子に目を向けると……一度深呼吸を行い、両手を大きく空へ向けて伸ばす。 「……ちょっとヒミン、まさか……」 その様を目にして、一瞬マーニが何か呼びかけようとしたが、ヒミンと目が合う事で、その言葉を止めた。 彼女から発せられる気配は、明らかに何か大きな事をしでかそうとしている事を示している。 それでも、男は先の彼女の言葉に捉われ、自身の意思に身体が従わず、完全に硬直してしまっていた。 「―我は天蓋の鍵を有する者 陽の舞う道に在りし&ruby(ゾディアックベルト){黄道十二宮}の使者よ 界の調停者の名の下に 解き放たれし門より現れ出でよ―」 ヒミンが言葉を紡ぐに連れて、その頭上に星屑のような光が集まってくる。 その無数の光は徐々に一つとなり、ついには、一つの光円を描くような姿を現していた。 「―世の理を統制せし星界の天秤 我望む あえてその均衡を破ることを―」 恐らく、それがこの詠唱の最終節なのだろう。 言葉紡ぎ終えた時、その光円の中心に、淡い光を纏う小さな天秤が現れ、それはヒミンの手に握られる。 その天秤の両の受け皿には何も載せられてはいなかったが、何故か、徐々に片側に傾いていく。 「天秤宮ライブラ・第三術法――&ruby(マッド・ライブラ){狂理天秤}!!」 「ぐっ――!!?」 そして、ある角度までそれが傾いたその瞬間、天秤が纏っていた光が急激に強まり、それはここ一体を包みこむように大きく、強く、広がっていった…… ――訪れるのは、静寂。 光は収まり、ヒミンの手の天秤は……大きく傾いたままではあるが、元通り淡い光を放つに留まっている。 そして、攻撃が来るのだろうかと身構えていた男は再び目を開き、突如として、笑い出す。 「クク……何かと思えば、やはりハッタリか!? 大口を叩いて置いて、貴様もこちらを攻撃などできぬと言う事だな!!」 状況は変わっておらず、それが強がっただけの言葉というのは本人も分かっているだろう。 だが、”状況”は確かに変わっていた。 星々が描く天秤、ライブラの力……その両の皿の均衡は”摂理の統制”を意味し、片側に傾く事は”摂理の破壊”を意味する。 「……イリス?」 ふと目を向ければ、今まで脅えた表情で涙を流していたイリスの顔から、全ての感情が消えている。 「――その手を離しなさい」 そして、ゆっくりと開かれた口から発せられる言葉。 ……それこそが、ヒミンの行使した、ライブラの力の発現を意味していた。 「貴方に&ruby(わたしたち){精霊王}を従える器はありません、離しなさい!」 「なっ……ぐあっ!?」 突如として、今までになく強い語調で言葉を口にするイリスに、半ば呆然とした声を出す男だったが、状況を整理させる暇も与えず、イリスの背から赤い輝きを放つ大きな翼が展開される。 そして、その翼は次の一瞬には炎へと姿を変え、その身体を焼き尽くすようにまとわりついていく。 「ぐっ……うああああ!!?」 熱に耐え切れず、イリスを掴んでいたその手を離す男。 そして、それに乗じてイリスは広げた炎の翼を羽ばたかせ上空へと浮かび、男の方へと身体を向けて停止する。 悠然と構えるその姿は、幼い姿ながら”精霊王”と呼ぶに相応しい空気を纏っていた。 「なんだろう……この感じ」 「…どうした?」 その姿を目にし、ふと、リスティが声を漏らす。 ヴァイはそれに反応し、すこし心配そうな目を向け、そう声をかけたが…… 「わからない……けど、すごく懐かしい感じ……」 リスティは、どこか呆けたような表情のまま、ただ上空に浮かぶイリスの姿を見つめているだけだった。 「ぐっ……貴様、何をした……!?」 イリスが離れると同時に炎の翼も離れ、全身に残る炎の痛みに耐えつつも、男は傾いた天秤を握るヒミンへと怒りを向ける。 しかし、ヒミンは黙したまま何も語る事はなく、ただ目の前で起こる展開を眺めているだけだった。 ……いや、『天秤』の力を使い続ける事に、意識を集中しているのかもしれない。 「……彼女は、この身体の中に封じられていた”先代”の力を解放しただけです」 「なんだと!?」 先代――つまりは、精霊王として積み重ねられた記憶と力が解放され、成長しきったアイリスの事。 本来ならば時間をかけて少しづつ再生させていくという『摂理』を崩す事で、解放したということだろうか。 「貴方は――何を望み、私を求めるのですか?」 上方から、悲しげな瞳で男を見下ろす”アイリス”。 問いかけるその言葉にも、どこか悲哀を帯びた響きが込められているかのようだった。 「………不死だ」 すこし間を開けて、意を決したような表情でその問いに答える。 それは、多くの人間が望みつつも、決して手に入れる事は許されない事象の一つ。 死を越える事は、輪廻の均衡を乱す大罪であり、それを侵した者は世界により罰せられる。 「貴様は、子に還る事で生を繋ぐ。 記憶の再生に時間はかかるというが……最終的に全てを受け継ぐ、それは事実上の不死!! その力を求めただけだ!!」 「だからと言って、他者の命を弄ぶのですか? 貴方の身勝手で自我を奪われた者達は……」 「知るものか! こいつらはただの駒だ!! 貴様を手に入れるためのな!!」 「……私は、”コア”を持つ魔物に近い存在です、輪廻の輪を介して転生するあなたがたとは、魂の成り立ちが違う」 「だが、貴様は人と同じく成長する”魔物”と”動物”の中間的存在だ。 ……その力の内側を見る事ができれば……」 その言葉を耳に、何かを想うようにまぶたを閉じるアイリス。 ……自己の存在が、人間に野望を抱かせたのは今に始まった事では無い。 還るごとに記憶も受け継がれる自分を……楽しい記憶だけでなく、幾度とない『親』との別れの記憶を、永劫に受け継ぎ続ける自分を悲しく思った事もあった。 そんな自分の魂の成り立ちを求める……その男の姿は、彼女にはひどく哀れなものに映っていた。 「……引きなさい。 そして、その望みは捨てなさい……永劫に継ぐ記憶など、悲しみが積み重なるだけ……」 「ククっ……ここまで来て、引くことなどできぬよ……」 そう返すと、男は胸の前で手を組み、呪文の詠唱を始め――アイリスもまた、その行動に答えるかのように、同じように呪文詠唱を開始する。 そんな状況を目にした一同は、それを止めようと駆け出そうとしたが……なぜか、リスティが無言のままに両手を広げ、その行動を遮っていた。 「……リスティ……」 彼女の奥底に眠るアルティアの記憶か、彼女自身の意思か…… おそらく、なぜ自分がみんなを止めたのか本人も分かっていないのだろう。 「――インフェナリィハグ!!」 指輪の力も加え、極大化された無数の闇の触手がアイリスに向けて放たれる。 その一方でアイリスの手元には、七色のマーブル模様に輝く魔法球が浮かんでいた。 「……レインボウドロップ」 そして、触手に捕縛される紙一重の一瞬に、その球体を男に向けて解き放つ。 創世の時代より積み重ねられた、強大なメンタル。 それは迫り来る触手を飲み込みながら、勢いも衰える事無く向かっていく。 「……おのれ! おのれおのれおのれーー!!!」 アイリスの悲哀の瞳にその姿を映しながら、男は七色の光球に飲み込まれていく。 ……戦いは、”アイリス”が目覚めたその時に、終わっていた。 [[<<前へ>チャプター18.天の三妖精]]     [[次へ>>>チャプター20.記憶の涙]]

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