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迷惑な魔物」(2007/06/07 (木) 20:33:50) の最新版変更点

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シュヴァルのとある喫茶店。 「ねぇねぇ、セオ。あれ、何かな?」 「んー?」 イルの目線の先には直立ニ足歩行をする小動物。 こちらの方へとトコトコと歩いてくる。 「こ、こら!これ以上お客様に近づくな!!」 従業員がその小動物を追い払おうとするが、あまり効果は無い。 「……。」 持っていたカップを置き、その小動物と向き合う。 「キュキュキョー?」 「………。」 「キュッ!!」 いきなりそれはテーブルの上に飛びのり、皿の上の物へ向かって歩き始める。 「おい…。」 「キュ?」 セオの声に反応し、小動物はセオを見る。そしてシュークリームを見る。 「……キュ、キョ。」 セオから目線をずらしたり合わせたりの繰り返し。 セオは小動物から目を離そうとしない。 「キュキョー…。」 「あぁっ!私のおやつー!」 おろおろしていたそいつは、イルの皿に残っていたシュークリームを銜えて逃走した。 「このぉ、おやつドロボー!!」 「あ、おいっ!!」 小動物を追いかけるイル、そしてイルを追いかけようとするセオ。 ―だが… 「ぐえっ…。」 「お客様、御代を。」 にっこりと笑った従業員に捕まった。 解放されてから約5分。 「どーこ行ったかな…。」 「……見つからないね。」 「あいつ、標的追跡時は通常の10倍、運動神経が上がるって…。あ、でも食べ物関係の時だけだからな…。」 「そう、なの?」 「ルウにそう聞いた。まぁ、ありえそうも無いけどな…。」 「そうでも、なさそう…あれ。」 ルカが指差した先には… 「まぁーてぇぇー!!」 「キュ!?キュキョォォォォォ!!」 屋根の上で小動物と追いかけっこをしていた。 「いつもああだと助かるんだけどな…。ほんと。」 セオは小さく呟いた。 「こらっ暴れないでよ!!返してもらうよ、私のおやつ!」 「きゅーっ。」 イルの腕の中には、口にベッタリとクリームをつけた動物。 食べてしまったものは返しようが無い。とでも言うようにその動物はキューキュー鳴く。 「…あ、セオ遅かったね。」 「シュークリーム代。払ってな。」 「えぇっ。」 「えぇっじゃない。お前、食いすぎ。5個も普通食べない。」 「おなか空いてたんだもん。」 「とりあえず、俺が払っておいたけど、シュークリーム代は返してもらう。」 「そんなぁー。」 がっくりとしているイル。 そして、逃げようと必死にもがく動物。 「さって…帰りますかね。」 「そこのお二人。ちょっとこちらへ…。」 「はい?」 「そこの、少年少女、聞こえているでしょう。こちらに来なさい。」 路地裏で、自警団と思われる方々に連れて行かれる。 「イル…それ金持ちのペットだったんじゃねえの?」 「え、だってコレは私のおやつ食べたんだよ? 大体、これがペットだったら飼い主の躾が悪いんだよ。」 「さて…。」 立ち止まった場所はシュヴァルツヴァルトへ入る手前の道。 「この魔物を捕まえてくださって、本当に感謝しております。」 「は?」 「我々、この小さな魔物にとても迷惑しておりまして。 何とか捕まえようとは努力をしていたのです。 そのような努力は一切報われず、この魔物は町に現れては当然のように商品を食い荒らし、住民達も困っておりました。 是非、お礼として、コレを受け取っていただきたい。」 差し出されたものは金と、矢の束。 「え、お金は要らないよー。」 「……そう、ですか。」 「うん。私が勝手に動いて捕まえただけなんだから。この矢束で充分だよ。」 「それだけでは…」 「本人がそれでいいって言ってるんだから別にいいだろ。 それ以上受け取る気はイルにはサッパリ無いんだからさぁ…。」 「は、はぁ…では、こちらも見回りの時間なので失礼させていただきます。」
シュヴァルのとある喫茶店。 「ねぇねぇ、セオ。あれ、何かな?」 「んー?」 イルの目線の先には直立ニ足歩行をする小動物。 こちらの方へとトコトコと歩いてくる。 「こ、こら!これ以上お客様に近づくな!!」 従業員がその小動物を追い払おうとするが、あまり効果は無い。 「……。」 持っていたカップを置き、その小動物と向き合う。 「キュキュキョー?」 「………。」 「キュッ!!」 いきなりそれはテーブルの上に飛びのり、皿の上の物へ向かって歩き始める。 「おい…。」 「キュ?」 セオの声に反応し、小動物はセオを見る。そしてシュークリームを見る。 「……キュ、キョ。」 セオから目線をずらしたり合わせたりの繰り返し。 セオは小動物から目を離そうとしない。 「キュキョー…。」 「あぁっ!私のおやつー!」 おろおろしていたそいつは、イルの皿に残っていたシュークリームを銜えて逃走した。 「このぉ、おやつドロボー!!」 「あ、おいっ!!」 小動物を追いかけるイル、そしてイルを追いかけようとするセオ。 ―だが… 「ぐえっ…。」 「お客様、御代を。」 にっこりと笑った従業員に捕まった。 解放されてから約5分。 「どーこ行ったかな…。」 「……見つからないね。」 「あいつ、標的追跡時は通常の10倍、身体能力がはね上がるって…。あ、でも食べ物関係の時だけだからな…。」 「そう、なの?」 「ルウにそう聞いた。まぁ、ありえそうも無いけどな…。」 「そうでも、なさそう…あれ。」 ルカが指差した先には… 「まぁーてぇぇー!!」 「キュ!?キュキョォォォォォ!!」 屋根の上で小動物と追いかけっこをしていた。 「いつもああだと助かるんだけどな…。ほんと。」 セオは小さく呟いた。 「こらっ暴れないでよ!!返してもらうよ、私のおやつ!」 「きゅーっ。」 イルの腕の中には、口にベッタリとクリームをつけた動物。 食べてしまったものは返しようが無い。とでも言うようにその動物はキューキュー鳴く。 「…あ、セオ遅かったね。」 「シュークリーム代。払ってな。」 「えぇっ。」 「えぇっじゃない。お前、食いすぎ。5個も普通食べない。」 「おなか空いてたんだもん。」 「とりあえず、俺が払っておいたけど、シュークリーム代は返してもらう。」 「そんなぁー。」 がっくりとしているイル。 そして、逃げようと必死にもがく動物。 「さって…帰りますかね。」 「そこのお二人。ちょっとこちらへ…。」 「はい?」 「そこの、少年少女、聞こえているでしょう。こちらに来なさい。」 路地裏で、自警団と思われる方々に連れて行かれる。 「イル…それ金持ちのペットだったんじゃねえの?」 「え、だってコレは私のおやつ食べたんだよ? 大体、これがペットだったら飼い主の躾が悪いんだよ。」 「さて…。」 立ち止まった場所はシュヴァルツヴァルトへ入る手前の道。 「この魔物を捕まえてくださって、本当に感謝しております。」 「は?」 「我々、この小さな魔物にとても迷惑しておりまして。 何とか捕まえようとは努力をしていたのです。 そのような努力は一切報われず、この魔物は町に現れては当然のように商品を食い荒らし、住民達も困っておりました。 是非、お礼として、コレを受け取っていただきたい。」 差し出されたものは金と、矢の束。 「え、お金は要らないよー。」 「……そう、ですか。」 「うん。私が勝手に動いて捕まえただけなんだから。この矢束で充分だよ。」 「それだけでは…」 「本人がそれでいいって言ってるんだから別にいいだろ。 それ以上受け取る気はイルにはサッパリ無いんだからさぁ…。」 「は、はぁ…では、こちらも見回りの時間なので失礼させていただきます。」

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