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[[《BACK》>—砂上墓所2—]]  〈カチッ! ……………………〉 光珠(ライト・オーブ)をペンダントにはめ込み、白い光が溢れ出すと同時に首に掛ける。 激しい日光が直接差し込まない遺跡の内部は炎天下の砂漠よりもずっと涼しく、熱中症 などによる体力消耗は心配なさそうだ。 …その一方で気になるのが、魔物の気配の多さ。 外界の熱気を避けて涼を求めるは、魔物どもとて同じこと。 いちいち戦っていたのでは、体力だけでなくアイテムまでも消耗することだろう。 「カネモリ。 地下2階に通じる階段までは、少し早足で移動するよ。」 「……………………。」 「戦う魔物は襲ってくるヤツだけ。それ以外は無視するんだよ。 …特に、床から生えた砂の生首みたいなのは絶対無視! 気持ち悪いかも知んないけど、気にしちゃダメだからね。」 「…承知しました、ジュリア。」  砂上墓所・地下1階。 〈ヒュン! ヒヒュン!!〉 剣を抜き放ち、心を虚無の彼方に追いやったジュリアが、先頭になって進む。 その後ろを、念のために手裏剣を手にしたカネモリが続いている。 周囲には数多くの魔物が蠢(うごめ)いているのだが、ふたりの人間のペンダントから 放たれる眩しい光に恐れを為してか、あまり近付こうとしない。 時折、飢えて我を忘れたサンディフォックスや毒蛇サイドワインダーが警戒しながら 襲ってくるが、目にも止まらぬ女ブレイブマスターの剣の血飛沫(ちしぶき)と消え去る。 かくして、地下2階に通じる階段を間近に控えた石のホールに到達した時点で、 その出来事は起きた。 『オオオオゥウウアアァーーーーッッ……』 ホールの床に溜まった一面の砂から生えて、ホールを埋め尽くす砂の生首。 その表情は苦痛に歪み、男女の判別すら出来はしない。 それらの口から発せられる呻き声が、ホール全体に響き渡っていたのだ! 「…ブロブーだ。それも、こんなに……。」 「ブロブー? …それは何でしょうか?」 「怨念の塊だよ。 …でも、気にしなけりゃ無害だから、さっさと通り過ぎるんだよ。」 虚無の深淵を宿した瞳のまま、ジュリアはブロブーを踏み付けにしてホールを進む。 彼女に言われるまま、カネモリは後に続くが…… 「(…いやァァーーっっ! アタシノいキぎも、とラナイデぇぇーーっっ!! …おうさまノタメニ、いキぎもとラレタアタシハドウナルノ? アノこミタイニ、よわッテしヌマデ、きぞくヤやくにんノ…おもちゃニ…… ぐぎゃあァァ〜〜っっ………!!)」 「(…おれハへいし。しんせいナルけっとうヲうケつグおうニ、ぜったいノちゅうせいヲちかウ へいかノてトナリあしトナルしもべ。 …アァ、ソレナノニへいか! ドウシテへいかハ…おれノむすこ、きんニモこんごうニモまさル たからヲイトモかんたんニうばイ、みずかラのせいきノタメニくラッタノダぁ!? コノくにニおさナごナド、ほかニイクラデモイヨウモノヲ…………)」 「う…うぅっ……、うあぁっ……………………。」 いくら「ブロブーの恨み言に耳を貸すな」と言われても、彼らの怨念は心の中に直接 染み込んで、それを冒してゆく。「元素」の気配を感じ取るために感覚が鋭敏になっている アルケミストなら、なおのことだ。  ジュリアに続いてブロブーのホールを抜けた錬金術師は、 「うう゛わあ゛ぁぁーーッッッ!!!」 袖の中から棒手裏剣を鷲掴みにすると、手当たり次第に砂の生首に打ち放ったではないか!? 「カネモリっ!!!」 〈パシッッ!!〉 咄嗟に正気を失いかけた中年男の胸倉を掴み、強烈な平手打ちを放つジュリア! 「ハッ!? わたくしは…いったい……」 「…だから言ったのに。 でも、キミは繊細だから仕方なかッた…かな? …さっ、急いで下の階に行くよ!」 覚醒したカネモリの前で、虚無の境地にあったはずだった深緑の瞳が微かに潤んでいたのは 気のせいだったのだろうか…? [[《NEXT》>—砂上墓所4—]]
[[《BACK》>—砂上墓所2—]]  〈カチッ! ……………………〉 光珠(ライト・オーブ)をペンダントにはめ込み、白い光が溢れ出すと同時に首に掛ける。 激しい日光が直接差し込まない遺跡の内部は炎天下の砂漠よりもずっと涼しく、熱中症 などによる体力消耗は心配なさそうだ。 …その一方で気になるのが、魔物の気配の多さ。 外界の熱気を避けて涼を求めるは、魔物どもとて同じこと。 いちいち戦っていたのでは、体力だけでなくアイテムまでも消耗することだろう。 「カネモリ。 地下2階に通じる階段までは、少し早足で移動するよ。」 「……………………。」 「戦う魔物は襲ってくるヤツだけ。それ以外は無視するんだよ。 特に、床から生えた砂の生首みたいなのは絶対無視! 気持ち悪いかも知んないけど、気にしちゃダメだからね。」 「承知しました、ジュリア。」  砂上墓所・地下1階。 〈ヒュン! ヒヒュン!!〉 剣を抜き放ち、心を虚無の彼方に追いやったジュリアが、先頭になって進む。 その後ろを、念のために手裏剣を手にしたカネモリが続いている。 周囲には数多くの魔物が蠢(うごめ)いているのだが、ふたりの人間のペンダントから 放たれる眩しい光に恐れを為してか、あまり近付こうとしない。 時折、飢えて我を忘れたサンディフォックスや毒蛇サイドワインダーが警戒しながら 襲ってくるが、目にも止まらぬ女ブレイブマスターの剣の血飛沫(ちしぶき)と消え去る。 かくして、地下2階に通じる階段を間近に控えた石のホールに到達した時点で、 その出来事は起きた。 『オオオオゥウウアアァーーーーッッ……』 ホールの床に溜まった一面の砂から生えて、ホールを埋め尽くす砂の生首。 その表情は苦痛に歪み、男女の判別すら出来はしない。 それらの口から発せられる呻き声が、ホール全体に響き渡っていたのだ! 「…ブロブーだ。それも、こんなに……。」 「ブロブー? …それは何でしょうか?」 「怨念の塊だよ。 …でも、気にしなけりゃ無害だから、さっさと通り過ぎるんだよ。」 虚無の深淵を宿した瞳のまま、ジュリアはブロブーを踏み付けにしてホールを進む。 彼女に言われるまま、カネモリは後に続くが…… 「(…いやァァーーっっ! アタシノいキぎも、とラナイデぇぇーーっっ!! …おうさまノタメニ、いキぎもとラレタアタシハドウナルノ? アノこミタイニ、よわッテしヌマデ、きぞくヤやくにんノ…おもちゃニ…… ぐぎゃあァァ〜〜っっ………!!)」 「(…おれハへいし。しんせいナルけっとうヲうケつグおうニ、ぜったいノちゅうせいヲちかウ へいかノてトナリあしトナルしもべ。 …アァ、ソレナノニへいか! ドウシテへいかハ…おれノむすこ、きんニモこんごうニモまさル たからヲイトモかんたんニうばイ、みずかラのせいきノタメニくラッタノダぁ!? コノくにニおさナごナド、ほかニイクラデモイヨウモノヲ…………)」 「う…うぅっ……、うあぁっ……………………。」 いくら「ブロブーの恨み言に耳を貸すな」と言われても、彼らの怨念は心の中に直接 染み込んで、それを冒してゆく。 「元素」の気配を感じ取るために感覚が鋭敏になっているアルケミストなら、なおのことだ。  ジュリアに続いてブロブーのホールを抜けた錬金術師は、 「うう゛わあ゛ぁぁーーッッッ!!!」 袖の中から棒手裏剣を鷲掴みにすると、手当たり次第に砂の生首に打ち放った!? 「カネモリっ!!!」 〈パシッッ!!〉 咄嗟に正気を失いかけた中年男の胸倉を掴み、強烈な平手打ちを放つジュリア! 「ハッ!? わたくしは…いったい……」 「…だから言ったのに。 でも、キミは繊細だから仕方なかッた…かな? …さっ、急いで下の階に行くよ!」 覚醒したカネモリの前で、虚無の境地にあったはずだった深緑の瞳が微かに潤んでいたのは 気のせいだったのだろうか? [[《NEXT》>—砂上墓所4—]]

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