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―Freesia―



まぁなんというか、世の中には色々な物語があるものである。
それは書物として残されていたり、伝記として伝えられている物に限らず、そのへんにいる人間一人が歩む人生も、一つの物語として見る事はできるだろう。


アリスキュア達の昇格の儀を終え、友人であるエルナと話し……その後、二ヶ月前に知り合った、ティールと言う少女とも話した。
そういえば、1か月ほど前にもミナルへの道中で出会ったディンとエミリアという支援士もいたが、あの二人は今はいったいどうしているのだろうか。
―我ながら、ひとくせもふたくせもある友人が多いものですね―
今思い浮かんだ人達の顔を思い返し、それぞれから聞かされた話を思い出す。
『世界』という宝島で夢を追う少女と、彼女を導き、守護者(ガーディアン)として盾となる青年。
心の内に測りしれぬ罪を抱き、自身という答えを探しづつける少女。
そして、業を業として受け止め、抱え込み続ける親愛なる我が友。
「本当に、色々ありますね」
バードである前にカーディアルトであるシアは、大小関わらず心に何かを背負った人間と話す機会は多い。
思い起こせば、彼ら以外にも様々な人と出会ってきたものである。
「あの二人も、そのうちのひとつでしたね」
今は自分のかけがえのない旅の友となった、無垢で幼い少女であるユキと、自分達の騎士として前に立つ銀牙。
あの二人もまた、親を失いうという数奇な運命の元に、今自分の元にいる。
幼い子供と魔物を連れているという事で、大分は収まってきたものの、まだこの3人で旅をする事に反対する声も多い。
自分としても、特にユキはもうすこし大きくなるまで町の中で暮らすべきとは思っているのだが……
あの子は、こうと決めたら本当にどこまでもついてくる、『声』という主張をもたない代わりに、余りある強い『意思』を抱いている。
…もちろん、それほどの意思を持てることは尊敬すべき事なのだが、旅の身である自分についてくるにはやはりまだ幼く、長旅になればそれだけ障害も多くなる。
…言ってもついてこられてはしかたないので、今はついて行こうと決めた相手が、『町』から『町』への旅が主となる自分でまだよかった、と思うようにしている。
将来的には自分を追うように教会へ入る、と言い出しそうな気もしてくるが、そうなればエルナと自分を合わせて2で割ったようなシスターに育ちそうな気がしてならない。
理由としては教会内であの子に一番近しいのが自分とエルナで、恐らく他の者に任せては手を焼くばかりであることと、元々エルナと同じくらいの無邪気さを持っているのを、自分が育てているような形になっているというものがある。
……良くも悪くもクセのあるシスターになること請け合いだろう。
―そろそろ、考えておいた方がいいかもしれませんね―
彼女と出会ってまだ1年は経っていないが、もうすぐ9歳の誕生日を向かえる。
もし自分の後を追うために教会入りすると言うなら、自分なりに心がまえとしてある程度教えておく必要がある。
「……さて、そろそろ向かうとしましょうか」



―シア・スノーフレーク
慈愛を抱く白き花(フリージア)』と『純潔なる雪の花(スノーフレーク)』の名を背負う一人の吟遊詩人。
今日もまた、町から町への旅路に身を置き、聖なる歌を歌い続けている。