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「……。」
「セオ?空ばっかり見てるけど何かあるの?」
船が引き返す間、ブツブツと呟きながらずっと空を見ている彼にイルが言った。
「…え?船?」
一瞬だけ見え、そしてすぐに見えなくなってしまった。
「セオ、あれなんだったの?」
「幽霊船…船ごと来るか?普通…。」
呆れた口調でいい、傷口を突き始めた。
「あっ、ダメですよ!止血してるんですから!」
「……ん?」
顔をしかめたまま、指を止めた。
「何か、聞こえる…。」
クリスが口を閉じ、じっとする。
「船長!どうなってるんですか!」
「しらん。」
「しらんじゃないでしょ!落ちますって海に突っ込みますよ!」
「大丈夫だろう。コイツは飛行船だが、あくまでも船だ。大丈夫大丈夫!」
微かに聞こえてくるのはどうやらどこぞの船長と乗組員の喧嘩らしい。
「お、おい!あれなんだ!突っ込んでくるぞ!」
一人の支援者が急降下してくる物体を指差して叫んだ。
落ちてくるものは、巨大な船。
イルが先ほど見た船だった。
甲板から垂れ下がるロープに必死に叫んでいる男はセオに向って叫んだ。
「カイン―――!助けろぉォォ!」
「何でいるの?」
首を傾げるセオ
「酷いぞ!我が弟ぉぉぉ!」
「あの、血のつながりないんだけど」
落ちてきた船は運よくそのまま海に浮いた。
「…な、なんなんだあの船。」
「空から落ちてくるってどういうことだ?」
など、様々な支援者の声
「……はぁ。」
その声に溜息をつきながら、こちら側に泳いでくる者を見ていた。
そして、左手には一本のオールを握る。
引き上げられた男はセオを見るなり近づいてきたが、
何か思い出したのか
「暑苦しいからこないで…」
「ヘブッ!」
「…痛そう。」
それをまじかで見たクリスが呟く。
一方、突っ込んで来たほうの船では
「船長、あそこにカインの私刑にあってる馬鹿がいます。」
「うむ、それにしても…何故この船は飛べなくなったのかな?バルトバルト君。」
「船長、96回目ですけど。私の名前はバーンベルトです!いい加減に人の名前を覚えてください。」
「悪かったな、バーンベルト君。さて、あちら側の船に近寄ろうか。」
舵を握っている男へ言う。
「了解です!リューグナー船長!」
近づく船と、公開私刑場になっているレオンたちが乗っている船。
「お、おい。近づいてきたぞ!」
「おっと…そう武器を近づけんでくれ。我々はただの人だ。」
出てきた船長とその他乗組員。
「武器を下ろせ。あっちも持ってないだろう。武器を。」
「はぁ…。」
レオンに言われ、武器を下ろす支援者。
「君が、この船の代表かい?私はリューグナーだ。」
「俺はレオン、よろしく。で、あんた達はどうして空から落ちてきたんだ?」
「それがな、空の旅を楽しんでいたんだが急に何があったかわからない状態に入って、
装置の故障かなんかで落ちてきてしまったらしい。思うに此処は異世界。違うかい?」
「まぁ、アンタ方にとっては異世界だろう。あの、セオの知り合いか?」
オールで今も男の頭を殴っているセオを見る。
そこにあるのは悲惨な光景で、男を拒否するセオとゾンビのような格好で徐々に近づいていく男の姿。
「…おや、あの子の名前を知らないのかね?」
「?…それはどういうことだ?」
「あの子の名前はカイン。セオという名前はこの世界に来て名づけられたのでは?」
「本人から聞いてみないとわからない。」
「まず、この世界の状況を教えてもらえますか?そうすれば何か手伝えることがあるかもしれません」
リューグナー船長とレオンはそれから数分間立ちながら話し合いをしていた。
「なるほど、わかりました。これからは補給に?」
「ああ。一度セオ…いやカインの治療も行わなければいけない。」
<バキッ>
あまりにももの凄い音が出たため、一度レオンが振り返ってみると
オールが真っ二つに折れ、こちら側に走ってくる彼の姿が見えた。
「セオ、お前の名前はカイン、だろ?どうして偽名を使っていた?」
「えっと、あの。この世界に来て初めてイルにあったときに名前聞かれたんです。
それで、最初はイルの怪我のほうに意識が言ってたので名前聞かれたことわからなくって。
したらイルが、『名前、無いの?じゃあつけてあげる。』って言い出して。
慌てて言おうとしたら『じゃあ、貴方の名前はセオだよ。』って…」
「なーるほど。で名前の訂正を諦めたと。まぁ仕方ないか…。」
「あ、どっちで呼んでくれてもかまいませんので。それに、すぐにカインって呼べないだろうし…」
「わかったよ。」
「ではレオン殿、我々はどうすればいいかね?」
「一度、港まで一緒に来てください。」
「うむ、では先導してくだされ。我々、この世界に着たばかりなので。では、よろしく。」
リューグナー船長は船に戻っていき、それぞれ乗組員に指示を与えていた。