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―首都防衛―





北部の首都、リックテール。
ここでは、ルナータから人間が手出しできない空を介し、首都まで攻めこんできた龍族や魔鳥といった、空中の魔物の相手を必然的に強いられていた。
それでも、それだけの魔物を送り込むのにも限度があるのか、強力な力を持つ魔物が送られてくるのは断続的で、雑魚と呼べるものがほとんどだった。
「ブレイブクロス!!」
―そんな中で、ひときわ巨大な体躯を誇る飛竜を相手にするチームが一つ。
黒服の女性のハルバードから放たれた十字の衝撃波が、飛龍の鱗を貫く。
その龍はそのまま大きく吹き飛ばされるが、少女の技後硬直の隙をつくかのように巨大な鳥型の魔物がその爪を突き立てようと背後に接近していた。
「シャドウヴォルト!!」
しかし、突如二人の間に投げ込まれた黒色の宝珠が、その呪文と共に黒い雷を放出し、その一撃を弾き飛ばす。
「―鳳炎鷲襲撃!!」
―そして、その直後。 全身に炎を纏った別の女性が、その魔鳥の全身を斬撃と共に焼き尽くした。






「―ふぅ……今のところはこれだけかな?」
現在視界内にいる最後の一匹を仕留めると、黒服の女性は”やれやれ”と言わんばかりの表情で、かろうじて土台が生き残っているベンチに腰を下ろした。
その周囲では首都防衛にあたっている支援士達が、束の間の休息時間で治療や休憩に集中している。
「そうね。 とりあえず、次の一波が来るまでは一休みかな」
薙刀をもった紅髪の女性は、そう言いながら黒服の少女の横で、水筒からお茶を取り出して、それを注いだコップをそのへんにいる人達に適当に配っていた。
「……しかし、『世界』を超えた大侵略とは、だいそれたことをする人間もいるものですね」
その横でぱたん、と手に持っている魔導書を閉じ、そう呟く一人の黒マントの青年。
……彼女らは、先だって強力な魔物の相手をし、少しでも他の仲間の負担を減らすかのように立ち回っていた。
その実力は支援士ランクに換算すれば、揃ってSランクは下らないだろう。
それを証拠に、あれだけ激しく立ち回っておきながらほとんど息を切らさず、目に見える怪我といえばかすり傷が数箇所、と言った具合だった。
「まー……本来なら私達が出張る事じゃないんだろうけど……この大陸が終えたら、私達のところまできそうだしね」
「……しかし、貴方一体どこからこんな情報を仕入れてきたんですか? しかも、それでわざわざ別大陸まで顔を出すなんて……」
「『代理人』の依頼だよ。 いつものように気まぐれだろうけど、この大陸の首都を守ってやれってね」
くすっと笑いつつ、黒服の女性はそう答える。
その笑顔は、どこか優しげなものを秘めつつも、いたずらっ子が見せるようなやんちゃな雰囲気も含んでいた。
「それに、ここには『もう一人の私』がいる。その子は既に私自身とは道を違えてるけど……話を聞くと、妹みたいな感じだから……
その子が住む場所くらい、守ってあげたいと思うじゃない」
「それで付き合わされる僕達の苦労も考えてくださいよ……まぁ、別に構いませんけど」
「私達も、あなたに救われて仲間になったからね。 戦って報いる事ができるなら、いくらでも力を貸すよ」
どこか不服そうな顔をしながらも、楽しそうな表情を含ませる黒マントの青年。
優しい微笑みを携え、絶対なる信頼の瞳を向ける紅髪の女性。
「ありがと。 貴方たちみたいなのが仲間で、私も本当に感謝してる」
その二人の目を交互に見つめ、黒服の女性はもう一度にっこりと笑顔を見せた。


……と、その時。空の向こうから、小粒な魔物の影が、再びこの首都に向けて飛来するのが3人の目に映った。
「さって、休憩終わり! いきますか!」
「りょーかいっ!」
「はい!」