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ブラック・シップの一室。
見るものの目を奪う繊細さと美しさを兼ね備えた黄金色の髪と、こどもならでは可愛さと愛らしさをもった顔立ちの少女―アリスが、こっくりこっくりと椅子の上で眠っていた。
『ごきげんよう、よく眠っているかな?』
そんな中で、部屋の隅のクローゼットの上に、一匹のネコがスーっと空気から溶け出すように現れ、開口一番そんな一言を口にする。
「チェシャ、こんな時に何をしていた」
その言葉に答えるのは、眠りこけているアリス本人ではなく、トランプ模様のメイド服を着た少女、アル。
チェシャ、と呼ばれたネコは、変わらずニヤニヤとした笑顔を浮かべたまま、再び口を開く。
『この世界、なかなか面白い人間がそろっていたね。 向こうの兵士の中にも異世界の人間が何人かいたよ』
「―何?」
『どの世界の住人かまではわからないけどね、一人は世界にはない力を振るって、別の一人はこの世界には無い技術……空を飛ぶ船に乗っていた』
「……なるほど、つまるところ、ここは複数の世界が交わる不安定な世界ということか。 それゆえに様々な世界の人間が迷い込む」
『この船みたいに、”手段”さえあれば簡単に別の世界へ行ったり来たり事もできるみたいだけどね』
「……できれば壊したくはなかったが、それならなおさらだ……シャマルにこの世界を拠点にされれば、他世界への侵攻もさらに容易になる……」
『けど、アリスが逆らえない今はどうしようもないね。 オイラも、アルも』
「……ラビさえ取り返すことが出来れば、アリス様がシャマルに従う理由は無い……この世界の戦士達に期待するしかないのか……」
『なら、侵入者とは戦わないのかい?』
「……できればアリス様と私の前に現れないことを祈る。 出会えば、倒さなければならなくなる……」
『人質をとられるってのは大変だねぇ』
「笑い事じゃない」
『この顔は生まれつきさ』
「……」