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艦内を猛スピードで駆け抜ける馬…のような物に乗った女性がいる。
彼女の名は―――ルイン。
「速く―――急がないと!」
そう馬上で呟いていた。

そもそも何故彼女がこんな事をしているかと言うと―――


事件は数十分前に戻る。
「ん…ああそうか、なんでもない。以上で通信を終える」
アインがややいらついた顔付きで
―――といっても殆ど表情は変わってはいないのだが―――受話器を置いた。
「間違いなくどうかしたのね…」
「ああ、こちらにとっては緊急事態だ。
『アイズ』がB8、例の兎の部屋に3機設置された。それも高性能型の奴をだ」
「…βシリーズ!」

βシリーズ―――
彼も製作、研究に関わっていた物の総称。
いわば先に言った『人造兵器』の開発がメインであったプロジェクト。
しかし、本来の目的は違っていたらしいが―――

「部隊を半々にするのは良かった…だが、あれが関わってくるとなると話は別だ」
彼はそこで言葉区切り、ルインを指差し、
「そこでだ。お前に頼みたい…いや、ここでは『命令』だな」
「断れる訳が無いでしょう。当然行きましょう」
と、彼女が行こうとした時、アインが呼び止め、
「これに乗って行け、一刻も早く行く為にな」

馬…ではなく、これもβシリーズの一体である『トロイホース』
最も、戦闘能力が皆無の為、アインが引き取った物だが。

最後に彼が言ったのは、
『絶対に生きて戻れ、俺も後に続くからそこまでは―――いや、俺が生きている間はな』

―――このような経緯から彼女は今、一刻を争う事態に巻き込まれた。
そして今からやろうとしていることは、もはや『反逆』に当たるのだから、
彼女はもう向こう側には戻れない。
だからこそ、最後に言われたことを果たす為に今―――

―――――――――――――――


―――そして残された物が只一人でいる監視室。
彼の前にある無数の画面には今も人や、物がただ映し出されている。

(静かだ…)
彼女が言ってから未だ数分しか経っていないが、それでも十分に長すぎると思えた。
定期的に来ることになっているコールも未だ来ない。

「βシリーズ…か」
彼はその言葉を噛み締めるように呟いた。
彼女もまた『βシリーズ』なのだから。

「同属同士で潰しあうのは少しからず嫌悪感があるのかもしれないが、仕方はあるまい」
だが、そんなことを言っている時間は無い、何度も言うように『時間は無い』

(さて、彼女が無事にアリス達を救うその時まで、俺は奴らの犬になっているとするか)