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「だれだ! パロプンテなんて唱えたヤツはー!!」

 『まじん』の重量にものを言わせた攻撃で重症を負ったセー。
人間ぐらいの大きさだったら、そこまでのダメージを受けることはなかっただろうが、
セーの大きさから考えると、圧迫重量系攻撃に弱いのは目に見えている。


「もっかい出て来なさーいっ!! 正々堂々と勝負しろーーーっ!!」

 フラフラしながらも、なんとか飛び上がるセー。
その動きはどことなくぎこちない。
だが、それとは裏腹に、威勢だけはいつもにも増しているセー。


「セー、そんな事言って、本当に出てきたらどうするのよ!!」
「その時は、私があの『まじん』をぶっとばーーす!!!」

 突然出てきた『まじん』に、先ほどまで桟橋の隅で震え上がっていたリリーがそう言うも、セーはやる気マンマンだ。
マグノリアとシルエラは、船を探しに言ったきり、まだ姿を見せない。
まあ、あの2人ならきっとどこかでやり過ごしているだろうから、大丈夫だとは思うけど。



「だいたいパリプンテなんて卑怯なのよっ!! 強制パニックの付加効果さえなければ、あんな『まじん』、3秒でお空の彼方よ!!!」
「セー、微妙に呂律回ってないって・・・。」

 ハリセンを手に、ホームランを打つかのごとくポーズを決めるセーに、ツッコむリリー。
セーの言うには、怖いのは『まじん』そのものではなく、その登場時から一定の間、相手を強制的にパニック状態に陥れる付加効果の方らしい。
結果的に相手の防御力や能力を無視したダメージを与えることになるし。


「この私の、慣性の法則を無視したフルスイングをおみっ、うっ!!・・・」
「ちょ、ちょっと!? セー!!? 大丈夫!!?」

 何度目かの素振りの動作の途中で、急に胸を押さえて地面にうずくまるセー。


「うぐぅ・・・、がはぁ!!」

 吐血・・・。
とても大丈夫そうには見えない。
地面がみるみるうちに赤く染まっていく・・・。


「も、もう・・・、ダメ。」
「セーっ!! しっかりしてーっ!!!」

 鮮血の中に崩れ落ちるセー。
どうすればいいのか分からず、ただ叫び続けるリリー。



 その時、天から光をまとった3人の天使が舞い降りる・・・。

「ああ、ついにセーにもお迎えが・・・。」

 いや、よく見れば、天使にしては小さい・・・妖精?



「自業自得、因果応報。あんな状態で動き回るから・・・。」
「あばら3本に、左足骨折、・・・、さっきのは折れた骨が肺に刺さったのが原因ね。ソール、早速治療を・・・。」
「うん、わかった。」

 そう言うと、その太陽のような光をまとった妖精は、セーのもとへ近づき、なにやら唱え始める。
すると、セーの周りをやわらかな光が包み込み、見る見るうちに傷が回復していく。

 一方、その光景から目をそむけるように背を向け、腕を組んで飛んでいる淡い光をまとった妖精。

 そして・・・。

「大丈夫。あなたの大切な仲間は助かりますよ。」

 キラキラと輝く光をまとった妖精が私に話しかけてくる。

「あなたたちは、一体・・・?」
「私はヒミン。 こちらがソール、それにマーニ。 ただの通りすがりの妖精ですよ。」

 軽く自己紹介を済ませると、礼儀正しくお辞儀をするその妖精。
つられてこちらも頭を下げる。

「これはご丁寧にどうも・・・。 私はリリー。で、そっちで倒れてるのがセー。 セーを助けていただき、ありがとうございます。」
「いえいえ、同じ妖精のよしみですし、それに、元はといえば、こちらが撒いた種・・・」


 ガバッ!!

「きゃっ!!」

 その時、急に起き上がるセー。
反射的に一歩後ずさるソール。
みんなの視線がセーに集まる。
逆にセーは、睨むような目つきで、まず近くに居たソール、次にヒミン、最後に、マーニを、順に見定めると・・・。


「あーもうっ!! あと少しで、生と死の狭間で新たな力を手にして、華麗に大復活を遂げるところだったのにーーっ!!」
「セー・・・?」

 復活と同時に突拍子もない事を口にするセーに、苦笑するリリー。
それを受けて、こちらもぎこちなく笑うヒミン。
頭を抱えて暴言を吐き続けるセーに、キョトンとした目でそれを見つめるソール。

「まったく、誰よっ!! 勝手に回復させたりしたのはーーっ!!」



 パーンッ!!


「・・・・・・。」
「あなた、いい加減にしなさい!!」

 セーの頬を打つビンタ。
それはいつの間にかセーの前まで飛んで来ていたマーニのものだった。

「せっかくソールが治療してあげたのに、何? その態度!? 傍若無人にも程があるっ!!」
「・・・・・・。」

 しばらく打たれた頬を押さえて沈黙していたセーだったが、やがて表情を崩し、

「フフッ、ありがとう・・・。」
「な、何?」
「どうやら私はまだ、あの『まじん』付属の強制パニック効果で混乱していたみたいね・・・。」


 それだけ言うと、セーは、みんなの丁度真ん中に位置するように再び元気よく羽ばたき、宣言する・・・!!





「そう、これは何者かの陰謀よっ!!」
「「「「はいっ!!?」」」」

 『混乱は解けた』と先ほど発言したばかりのセーが、突然宣言したその言葉に、困惑の色を隠せない一同。
しかし、そんな周りのことを知ってか知らずか、かまわず続けるセー。


「あの『まじん』が現れたのは何故かっ!!!」

 問いただすように叫ぶセー。
順々にみんなを指差して回る。

「・・・それは?」

 原因を知っている故に受ける精神的疲労で胃が痛くなる者。
原因であるが故に緊迫した空気に冷や汗をかく者。
原因の一旦を担いながら、緊張のせいでそれを忘れて、続く言葉を今か今かと待つ者。


 そして、その答えが今、明かされる!!



「それは私が『東方ネタ』を使ったからよっ!!!」
「「「はぁ!!?」」」
「・・・・・・。」

 セーの意味不明暴走発言に、呆れる一同。
その混沌っぷりに、ヒミンの胃の痛みもさらに悪化する。

「セー、大丈夫?」

 リリーのその言葉も耳に届かないのか、セーの暴走は続く。

「そう、確かに私はあの時『東方ネタ』を使ったわ・・・。まあ、半分は『ワンピースネタ』でもあるけど・・・。」

「(・・・こいつ、大丈夫?)」
「(・・・これは流石にソールにも治せないな~。)」

 ソールとマーニのひそひそ話にも意を介さない。
半ばバレているのかと心配していたマーニにとっては、ありがたい話ではあるが。


「しかし、私に『東方ネタ』を使われるとまずい者がいたのっ!! そう、この近く、私たちから見えない所・・・、あるいは・・・」

「・・・あるいは?」

 セーの演説の助手に成り下がっているリリー。
内容がぶっ飛んでいるので、ほとんどついていけてないのだが。


「あの『ブラックシップ』の中よっ!!!」


 『ビシッ!!』と海に浮かぶ黒くて巨大な船を指差して、高らかに宣言するセー!!!

(いや、居ないから、そんなの・・・。)

 一同の心の声がシンクロする。
最早、呆れて声に出す気力もない。



「・・・ところで、あなたたち、誰?」
「・・・あっ、え?」
「えっと、ソールたちは、ソールたちは~・・・」

 急に話を振られて取り乱すソールとマーニ。
一瞬、不意を突いて情報を聞き出す為の策略かと思ったマーニだが、セー的には、これも立派な『東方ネタ』だったりする。


「私はヒミン。 それからソールにマーニ。 ただの通りすがりの妖精です。」
「ああ、これはどうも。私はセー。ギルド『セレスティアガーデン』で子守役をしてます。」

 挨拶を交わすヒミンとセー。
ひとまずはこれで和解といきたい。
というか、これ以上、事を大きくしないでくれと願うヒミンであったが、
最凶のネタ師、セーと関わったことで、事態(ヒミンの胃の状態)はさらに悪い方向へと進んでいくのであった。