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「……あの、若様。 アレは一体……」
ブラック・シップを取り囲む結界が取り払われた事が影響してか、フローナの町まで上陸してくる魔物の数も随分と減少していた。
おそらく、内部に進入したこちらの味方の対処と、これから進入しようとしてくる艦に対してその大半を裂いているためであろうかと予想される。
そこまで考えたクウヤは門下生達に上陸船の手配をさせ、部隊の一部を残党狩りのために港に残し、今まさに乗り込もうとしていたのだが……
「……私もわからん」
近くでなにやら妖精と思わしきものが四人と、少女がもめ事のようなものを起こしているのが目に入り、あっけにとられて眺めてしまっていた。
最後あたりで大砲のように妖精のひとりが飛ばされて大爆発を起こした気がするが、何事も無かったかのように戻ってきているというのが余計に不可解である。
「……一応連合軍の者だとは思いますが……あまり関わりたくないですね……」
あの漫才ペースに巻きこまれたら、おそらくそう簡単には抜け出せないような……そんな気がする。
門下生の一人は、そう思っていることがありありとわかる顔で、少女たちの方を見つめていた。
「ヤクモ、あまりそういうことは言うものじゃない。 人には人の生き方があり、ああしたものもまたその一つだ。あれが彼女達の関係の形だとすれば、我々が口を挟むべきではない」
「まあ、その言葉には同意いたしますが……」
とりあえず、巻きこまれたら慣れない者にとってはひとたまりもないのは確かである。
「とにかく、私達も急ぐとしよう。 味方は進入に成功しているようだが、敵の数はそれ以上のはずだ」
「は、はい!」
クウヤの言葉を受けて、姿勢を改めるヤクモ。確かに、今は細かい事に構っている時では無い。
二人は用意された艦に乗り込むべく、一歩足を進めようとした……が、丁度その時だった。
「そこの、今からあの船に乗り込むのか!?」
「――む? そうだが、君達は……?」
二人の少女が駆け足で近付き、クウヤとヤクモに向けて声をかけてきた。
「あたしはマグノリア、こいつはシルエラ……近くにあと二人ほど仲間もいるんだけど、これからあの艦にお宝探して乗り込むところなんだ!」
「……宝って……確かに無いとも言い切れないが……」
趣旨が違ってないか? とヤクモはツッコミかけるものの、黒艦に辿り付くまでは、自分たちは艦から外に逃げる事はできないのだから、まぁ味方が増えるのは心強い。
と、一抹の不安を感じつつもヤクモはクウヤに視線を向けて指示を仰ぐ。
そして、返ってきた答えは……
「いいだろう。 だが、急いで出航したい、早く仲間を呼んできたまえ」
「はい、ありがとうございます」
クウヤの言葉にシルエラがそう答えると、マグノリアはその仲間を呼びに走っていった。
ヤクモはやれやれとばかりに溜息をつき、改めて艦に乗り込もうと足を甲板に乗り上げたが……
マグノリアが走っていった方向を思い返し、はっとそちらを振り返った。


「セー、リリー、船見つけたぞ!!」


「……ぉぉぉぉぉ……」
「ははは、合縁奇縁。 人生そう思い通りにはいかない、ということだな。 ヤクモ」
その先にいたのは、先程見かけた漫才師御一行。
クウヤはそれはそれでいいではないか、と笑っていたが、関わりあいになることを出来れば避けたかったヤクモは、どんな顔をしていいかわからない、といった様子でその光景を眺めていた。
「……どうしたんですか?」
自分が離れていた間に、妖精の一行に何が何をしていたか知らないシルエラは、そんなヤクモの様子を見て、ただ首をかしげるばかりだった。