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「セーオー眠いよぉ…。」
「いつ魔物が来るかわからないんだからさ…そんなこと言うなよ。」
日は既に暮れ、月が出ている。
「だって、セオは昼夜逆転生活してるからだよ…。だから眠くないんだよ。」
目を擦りながら呟く彼女。
「失礼な…ちゃんと朝早く起きて仕事してるじゃないか。」
「あ、あの?イルさん、イルさーん。何処行くんですかー!」
「うー?」
二人からどんどん離れていく彼女。
「そっちじゃなーい!勝手にどっかに行くなぁぁ~!
わかったから…背負ってやるから。どこかに行くのはやめてくれ…。」
歩き続け、日が昇ったころにはシュヴァルの一歩手前。
「セ…セオの、バカ。バカァァァ!」
「耳元で叫ぶな…。寝てても人の悪口を…いてっ」
寝ながら髪を引っ張り、寝言で悪口を言ってくる。
「いやだよ。卵ばっかりなんて…
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、割れちゃえ…全部割れろ…。」
一体どういう夢を見ているかはわからない。
「寝言を聞いてる俺も嫌だよ。卵じゃなくて頭割るぞ…いい加減に起きて。」
隣では、笑いながら日記を書いているライ。
「笑うなぁ…。」
「すいません。」
起きようとしない彼女を背負っているセオにも精神と体力の限界が見え始めていた。
「うぁぁぁっいい加減にしろーっ!!
大体、お前はほんとに……あぁもういいや。」
「セオさん…怒りたい気持ちはわかりますが、もう少しでシュヴァルにつきますから我慢してください。」
「……我慢、か。」
それから数時間が経ち、一行はシュヴァルへと到着した。
「最後の…最後まで寝通したかぁ~。」
いまだ寝続けている彼女を見下ろし、伸びをする。
「これから、どうしますか?」
「まずは…食べる。イル起きろ~朝抜くぞ~?」
「い、いや…それだけは、だめ…。食べないと死んじゃう…。」
寝ぼけ眼でこちらを見ながら彼女は言う。
「それじゃ、行くか。ちゃんとついて来いよ?」
「うん。」
彼女は傍らにおいてある古い弓を持ち、セオ達を追いかける。
夜明け前の町はまだ静まり返っている。
「いらっしゃい。」
食器を拭いているマスターが静かに挨拶をした。
「パンと紅茶、それと…」
「それと?」
「マスター、今日のお勧めは?安いので…。」
残金を心配しながら聞く。
「シチューはどうかな?」
「じゃぁそれで。」
三人分で2600フィズを払い、お茶を飲みながらしばらくの間話をする。
「弓、直してきたのか?」
「うん。ちょっと高かったけど…。」
「残金どれくらい残った?防寒具買わなくちゃいけねぇから…。」
「結構残ったよ。」
笑顔のまま皮袋を逆さまにする。
チャリン…
「いっ…一枚?!」
出てきたのは1枚のコイン。
「…………。」
正直本人もここまで減っているとは思っていなかったのだろう。
頭を抱え、ため息をついている。
「…シュヴァルツヴァルトで一稼ぎだ。」
「はぁい。」
席を立ち、剣を取る。
「僕も行きます。少しは魔法使えますから。」
「そっか。でも気をつけてね。ほら行くよ。」
彼女に手を引っ張られながら走ってくるライ。
少し、顔が赤くなっている。
その様子に微笑しながら、森へ向かった。