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????『ヌハハハハハ!! ハハハハハハ!!』
奴隷商B『なっ…!! 何だ一体!?』
烈心『誰だ…ッ!?』


 俺と奴隷商の男が声の聞こえた方向を振り向いた。
なんと其処には月光をバックにマントを着けた白装束の男が腕組みをして悠々と立ちはだかっていた…。


????『己が醜い欲望を満たさんとする為に、無抵抗な婦女子を略取する愚か者共よ!! その行いを恥と知れィッ!! 人…それを「下衆」と言うッ!!』
奴隷商B『なっ!? 何モンだてめぇは!!??』


 何処かで聞いたような前口上を発しながら悠々と立ちはだかる白装束の男に奴隷商の男が戸惑いながらも啖呵を切る。


????『我が名はジャスティスムゥゥゥゥゥンッ!!(ビシッ!!) 此の世の悪を滅する正義の剣なりッ!!』
烈心『じゃ………、ジャスティスムーンッ!?』
奴隷商B『まっ、まさか…、最近各地に出没しまくっている自称正義の味方かッ!?』
ジャスティスムーン『問答無用ッ!! 受けよ正義の鉄槌ジャスティスキィィィィィィィィィックッ!!』
奴隷商B『あわげッ!?』


 ジャスティスムーンと名乗るへんた…男は、いきなり飛翔し、奴隷商の男目掛けて強烈な飛び蹴りを食らわした。
不意を突かれた奴隷商の男は顔面にダイレクトに蹴りを食らい、吹っ飛ばされた。


烈心『す…、すげぇ威力…。』


 俺はその蹴りの鋭さに思わず関心してしまった…。その時…。


奴隷商A『こ…ッ! このヤロウ!! よくもやりやがったなッ!!』


 先程俺が投げ付けた氷塊にノックアウトされていた奴隷商の一人が、長剣を抜いてジャスティスムーンに斬り掛かって来た。


烈心『ッ!? ヤロウッ!!』


 俺は素早く刀を抜き、奴隷商の男目掛けて刀を振り放った。振り放った刀から剣閃…いわゆる真空波が放たれ、奴隷商の男目掛けて飛んで行った。


奴隷商A『ぶえっ!?』


 奴隷商の男は剣閃をまともに食らい、先程の男と同じく見事に吹き飛ばされた。


ジャスティスムーン『ぬッ!?』


 ジャスティスムーンはその刹那の出来事に目を丸くして驚いた。


烈心『ヒュウ…、ちと危なかったか?』
ジャスティスムーン『フッ、中々やるではないか貴様も。』
烈心『へっ。ところで、あんたは一体何も…』
ジャスティスムーン『む? どうやら世間話をしている暇では無い様だな。』


 俺が尋ねようとした時、ジャスティスムーンは何かを感じ、俺を制止させた。


烈心『おいおい、俺の話を…って、本当に話してる暇じゃないようだな。』


 俺も何かを感じ、辺りの気配を探ってみた。すると雪原の彼方の方から大勢の人間のどよめきが聞こえてきた。


奴隷商C『お、おい!! 一体何の騒ぎだ!!』
奴隷商D『確かこっちの方から聞こえてきたぞ!!』
奴隷商E『あ! あそこだ!!』


 なんと先程の奴隷商の仲間がまだ居たらしく、ゾロゾロと大挙して押し寄せてきた。


烈心『なんとまぁ…、沢山いるねぇ…。』
ジャスティスムーン『ヌハハハハハハ!! これぞ「飛んで火にいる腹の虫」ッ!! 此方から探す手間が省けたという事だ!!』
烈心『それを云うなら「飛んで火にいる夏の虫」だろ…。』
奴隷商C『なっ!! なんだお前らは!?』
奴隷商D『おっ、おい!! あれを見ろ!! 仲間がやられてるぞ!!』
奴隷商E『こっ、このヤロウ仲間をッ!! ヤロ~ぶっ殺してやる!!』


 奴隷商の仲間は同胞がやられたのを知って俺達に向けて殺意を露にしている。


烈心『んで、どうするジャスティスムーン?』
ジャスティスムーン『知れた事!! この悪党どもに天誅を与えるッ!!』
烈心『へっ! 上等ッ!!』


 俺達は再度身構えて、奴隷商の集団の中へ突っ込んでいった。
そして約十数分後、俺達の周りにはコテンパンに熨された奴隷商の連中が無様に転がっていた。


烈心『はっ、俺達にケンカ売ろうなんざ百億万年早いぜ。』
ジャスティスムーン『これで粗方片付いたか…。さて…。』


 ジャスティスムーンは、隅で怯えている獣人の少女の下へ駆け寄った。そして、自分のマントを外し、少女に優しく掛けてやった。


ジャスティスムーン『大丈夫だったか? 可憐なる獣人の少女よ。さぞかし可哀想な目に遭ったのであろう…。だがもう大丈夫だ。』
少女『あ…、ありがとう…ございます。』


 少女も彼が悪人ではない事を悟ると、漸く怯えるのを止めた。


烈心『ところで嬢ちゃん、君はどうしてこんな所にいたんだ?』
少女『私は…、この奥にある施設から逃げてきたんです…。』
烈心『施設? ひょっとして例の奴隷商の施設か?』
少女『はい…。』


 俺の問いかけに、少女は寂しげな表情で語る。そして、涙目で俺達に懇願をした。


少女『お願いです…、私達の仲間を助けて下さい…。あの地獄から…、私達を助けて下さい…。』


 少女はポロポロと大粒の涙を溢す。俺とジャスティスムーンは少女の肩を優しく叩いた。


烈心『嬢ちゃん…、あんたの仲間は俺達がちゃんと助けてやるからよ、だから泣くのは止めな。』
ジャスティスムーン『うむ! 少女よ、後は我輩達に任せるがよい!! 必ずや少女の仲間達を連れて帰ろうぞ!!』
少女『皆さん…、ありがとうございます…。』


 少女は泣くのを止め、優しく微笑んだ。俺達はその表情を見て安堵した。


烈心『それで…、その施設はどの方向なんだ?』
少女『あの一番高い山…、あの山の麓です。でも入り口はかなり厳重に守られているんです…。』
ジャスティスムーン『むう…、それは難儀だな…。して少女よ、君はどうやって逃げてこれたのだ?』
少女『私は…、地下排水溝をひたすら走って逃げてきました。排水溝の入り口は施設の横を流れている川に隣接されています。』
烈心『成る程…、其処を通れば内部に侵入できるって訳か。』
少女『でも気を付けて下さい。私が逃げた後、警備兵や防衛用の獣達が見回っている筈です。』
烈心『オーケィ!! んじゃ、君はひとまず安全な場所に隠れているといい。吉報を待ってな。』
ジャスティスムーン『では少女よ!! 泥舟に乗った気でいたまえ!! 次会う時は君の仲間と一緒だ!! 』
烈心『それを云うなら「大船」だ!!』


 俺とジャスティスムーンは少女を一先ず安全な場所に避難させ、少女が示した方向へ歩き出した。








 その時、遠くの高台で何者かが俺達をずっと見ていたのを俺とジャスティスムーンは気付く由も無かった…。



????『人間が…、儂の同胞を助けた…のか…。』





-- 第四話 終劇(五話へ続く) --