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シュヴァルのとある喫茶店。

「ねぇねぇ、セオ。あれ、何かな?」
「んー?」
イルの目線の先には直立ニ足歩行をする小動物。
こちらの方へとトコトコと歩いてくる。
「こ、こら!これ以上お客様に近づくな!!」
従業員がその小動物を追い払おうとするが、あまり効果は無い。
「……。」
持っていたカップを置き、その小動物と向き合う。
「キュキュキョー?」
「………。」
「キュッ!!」
いきなりそれはテーブルの上に飛びのり、皿の上の物へ向かって歩き始める。
「おい…。」
「キュ?」
セオの声に反応し、小動物はセオを見る。そしてシュークリームを見る。
「……キュ、キョ。」
セオから目線をずらしたり合わせたりの繰り返し。
セオは小動物から目を離そうとしない。
「キュキョー…。」
「あぁっ!私のおやつー!」
おろおろしていたそいつは、イルの皿に残っていたシュークリームを銜えて逃走した。
「このぉ、おやつドロボー!!」
「あ、おいっ!!」
小動物を追いかけるイル、そしてイルを追いかけようとするセオ。
―だが…
「ぐえっ…。」
「お客様、御代を。」
にっこりと笑った従業員に捕まった。

解放されてから約5分。

「どーこ行ったかな…。」
「……見つからないね。」
「あいつ、標的追跡時は通常の10倍、身体能力がはね上がるって…。あ、でも食べ物関係の時だけだからな…。」
「そう、なの?」
「ルウにそう聞いた。まぁ、ありえそうも無いけどな…。」
「そうでも、なさそう…あれ。」
ルカが指差した先には…
「まぁーてぇぇー!!」
「キュ!?キュキョォォォォォ!!」
屋根の上で小動物と追いかけっこをしていた。
「いつもああだと助かるんだけどな…。ほんと。」
セオは小さく呟いた。

「こらっ暴れないでよ!!返してもらうよ、私のおやつ!」
「きゅーっ。」
イルの腕の中には、口にベッタリとクリームをつけた動物。
食べてしまったものは返しようが無い。とでも言うようにその動物はキューキュー鳴く。
「…あ、セオ遅かったね。」
「シュークリーム代。払ってな。」
「えぇっ。」
「えぇっじゃない。お前、食いすぎ。5個も普通食べない。」
「おなか空いてたんだもん。」
「とりあえず、俺が払っておいたけど、シュークリーム代は返してもらう。」
「そんなぁー。」
がっくりとしているイル。
そして、逃げようと必死にもがく動物。
「さって…帰りますかね。」
「そこのお二人。ちょっとこちらへ…。」
「はい?」
「そこの、少年少女、聞こえているでしょう。こちらに来なさい。」
路地裏で、自警団と思われる方々に連れて行かれる。
「イル…それ金持ちのペットだったんじゃねえの?」
「え、だってコレは私のおやつ食べたんだよ?
大体、これがペットだったら飼い主の躾が悪いんだよ。」
「さて…。」
立ち止まった場所はシュヴァルツヴァルトへ入る手前の道。
「この魔物を捕まえてくださって、本当に感謝しております。」
「は?」
「我々、この小さな魔物にとても迷惑しておりまして。
何とか捕まえようとは努力をしていたのです。
そのような努力は一切報われず、この魔物は町に現れては当然のように商品を食い荒らし、住民達も困っておりました。
是非、お礼として、コレを受け取っていただきたい。」
差し出されたものは金と、矢の束。
「え、お金は要らないよー。」
「……そう、ですか。」
「うん。私が勝手に動いて捕まえただけなんだから。この矢束で充分だよ。」
「それだけでは…」
「本人がそれでいいって言ってるんだから別にいいだろ。
それ以上受け取る気はイルにはサッパリ無いんだからさぁ…。」
「は、はぁ…では、こちらも見回りの時間なので失礼させていただきます。」