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―開幕―




一般的に、貴族というものは優美で不自由のない、すべてが思い通りにできる生活を送っていると考える人は確かに存在している。
フィズはフィズのあるところに集まる等ともいわれ、実際にそういう傾向が世の中にはある事も誰も否定はできず、それは先に述べた言葉を肯定する要素のひとつだろう。
しかし、そんな華美な世界に生まれながら、時に”人柱”のような役目を課せられる立場にある者がいることも確かで、それは、主として女性が請け負うもの。
直接的に口にするならば、それは他の貴族とのつながりを深めるための、『婚約』である。
実際はどうであるかはいささか不明瞭ではあるが、書物で伝えられる物語では、政略結婚とはストーリーを盛り立てるスパイスのひとつ。
そこに当事者である令嬢の意思が入ることはなく、あくまでも親の意思で強行されるものであることが多い。


これから語られるのは、そんな不幸に見舞われた一人の女性を追う、とある夏の物語
――その幕は、ある満月の夜から開かれる――