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『ネコを追う者たち』


――中央都市リエステール――
 ――酒場・カウンター。

「はぁ・・・」

 溜息を漏らすのは、ギルド・リトルレジェンドのギルドマスター、ティール。
手には現在依頼受付中の支援士依頼がリストアップされた台帳。

「分かってはいるけど、近場で割のいい依頼はないなぁ・・・」

 これでも14歳独身・一児の母。
つい先週、1週間の長期の依頼を終えたばかりで、今はあまり街から離れたくない頃合。
イリスにも今日は早く帰ると言って出た手前、時間のかかる依頼は受けたくないのだが・・・。



「ん・・・?」

 そんなことを考えながら、依頼の一覧を見ていると・・・。

「え? なにこれ? 猫の捕獲依頼・・・、報奨金・10万フィズ!!?」

 それは、ありえない依頼だった。
ただ猫を捕まえるだけで、10万フィズも報奨金を出すというのだ。
同ランクの依頼の報奨金の相場を考えると、馬鹿げた内容である。

「猫の捕獲依頼かぁ・・・」

 と同時に、なつかしさも感じた。
そう、彼女がこの世界へ来て、はじめて受けた依頼も猫の捕獲依頼だった。
あの時は、モレクの街で、アーリーという白猫を捕まえた。
もっとも、それは支援士依頼というよりは、昇格試験的なものだったけれど・・・。



「ああ、この依頼か・・・。 コイツはやめておいた方がいいと思うぜ・・・。」

 ティールがその依頼を眺めていると、酒場のマスターがあまりおすすめできないといった面持ちで声をかけてきた。

「その依頼を出しているのが、とある貴族でなぁ・・・。 金持ちの道楽というか、支援士が依頼に苦戦しているのを見て喜んでいるとかって話だ。」
「でも、そんなのすぐに誰かが捕まえちゃうんじゃないかな?」
「ところが、この黒猫『レイ』ってのが曲者でなぁ、もう何人も速度重視系職のSランク支援士が捕獲を諦めている。」

 漆黒の閃光・レイ。それが依頼の黒猫の名前である。
モレクのアーリーと違い、こちらは飼い猫で、依頼主の貴族が飼い主だったりする。
ダイアの散りばめられた、純金製の首輪を付けていて、それ自体が時価数千万フィズという品らしい。
支援士のみならず、今まで幾度となく盗賊が首輪狙いにこの猫を襲ったことがあったが、全て失敗に終わっているらしい。

 が、それにしても、報奨金はよくても、いけ好かない依頼ではある。
あからさまに挑発的な内容。
何より、人が苦労しているのを見て楽しむという貴族の態度が気に入らない。

 そんなこんなでティールが悩んでいると・・・。



「あれ? ティールじゃん? なんか依頼受けるの?」
「リーゼ!?」

 そこには、最近よくギルドに遊びに来るという少女、リーゼ。
彼女は、ティールの側まで歩み寄ると、苦笑しながら、

「えへへ、あんまり仕事サボるなってねーちゃんに叱られちゃったよ。」

 まあ、当然である。
イリスの遊び相手になってくれるのは嬉しいが、一日中ギルドに入り浸りという日もあったりした。

「そう言えば、先週はギルドに行っても姿が見えなかったけど、どうしたの?」
「先週は遠出の依頼に出ていて・・・」
「ダメじゃないか!? イリスを置いて遠出なんかしちゃ!!?」

 リーゼに怒られるティール。
はっきり言ってどっちもどっちではあるが・・・。

「ん? ティール、この依頼受けるの?」

 ティールの持っている支援士依頼台帳を覗き込むリーゼ。

「ふむふむ、猫の捕獲依頼か・・・。」
「あ、いや、私はまだ受けると決まったわけじゃないけど・・・。」

 しかし、そんなティールをよそに、何かを閃いたような表情を浮かべたリーゼは、

「よーし、それじゃあ、この前の決着も兼ねて、どちらが先にこの猫を捕まえられるか、ボクと勝負だーー!!!」
「えーー!!?」

 こうして、リーゼの登場により、強引に依頼を受けさせられることになった。



―――――――――――――――――――――――――

――中央都市リエステール――
 ――中央広場付近・裏路地。

(ねえねえ、アレじゃないかなティール?)
(うん、確かに言われていた特徴とも一致する。)

 民家と民家の間の小さな通路。
そこに、ポリバケツにあふれるほど詰められた黒いビニールの上で寝ている黒猫を発見。
その首には純金の首輪が輝いている。
どうやら依頼の黒猫で間違いないらしい。

(じゃあ、そーっと近づいて・・・。)

 幸運にも黒猫は熟睡中。
気づかれずに近づけば、あっさり捕まえられるかもしれない。
スピード勝負に持ち込みたかったリーゼは残念そうだが、ここはティールに合わせることにする。



 が、世の中そううまくはいかないもので・・・。

「寝ている間に捕まえようなんて、甘いわね!!」

 黒猫・レイが寝ているポリバケツを挟んで反対側。
そこに一匹の妖精の姿があった・・・。

「あなたは確か、セレスティアガーデンのセー!!」
「ティール、あの妖精知ってるの?」

 そう、セレスティアガーデン所属の妖精セー。
好きなものはネタとゲームと悪戯。
あまり関わりたくない相手ではあるが、今の口ぶりからすると、こちらが黒猫の捕獲依頼を受けていることは既に知っているらしい。
それを知っていて、この場に現れたということは、どうやら関わらずには済みそうにない。

「何の用、今忙しいんだけど?」
「あなたたちと同じよ。 最も、こっちはオクサイドだけど・・・。」
「オクサイド?」
「依頼の横取りよ。」
「そんなことさせるかーーっ!!」

 事も無げに告げるセー。反発するリーゼ。
が、しかしこの時ティールには嫌な予感がしていた。
横取りとかそういうのじゃなくて、何かこう直感的に・・・。



「いくわよっ!! BGM魔法『R&R Junkiee』っ!!」
「わっ!! ちょっと、猫が起きちゃう!!!」

 辺り一体になんだかノリのいい音楽が流れはじめる。
黒猫レイの耳がぴくぴくと動いている。これはもう絶対に起きているだろう。

「んでもって・・・、魂のともし火よ! 眠りし獅子を呼び覚ませ!」
「させるかーっ!! 『MAXドライブ』っ!!」
「って、出遅れた!! ―滾るは心――燃えるは魂――我が力、内なる灯火と共に―― 」

 乱れた意識を集中するために魂の言葉を唱えるティール。
勝負を宣言した以上、手を抜くつもりはない。
となれば、リーゼのスピートについて行くためにはブレイブハート状態でなければダメだろう。
 対するリーゼは三者の中では最も早く動く。
瞬時にスケーターの出力を最大にし、レイの方向へと突っ走る。
 一方、一番の曲者セーは、レイのいるバケツに対して何かを仕掛けるべく、斜め上空で何かを唱えている。

「覚醒の能力(ちから)『サイコ・バーガンディ』っ!!」
「なにっ!!」

 セーの方が初期位置が近かったこともあり、リーゼが目標まで3メートルまで迫った所で、
炎をまとったセーが猛スピードで猫めがけて突っ込む。
たちまち爆炎を上げるポリバケツ。

「わわっ!! ちょっと!!!」

 その炎の勢いに、危険と判断したリーゼはバックステップで後退する。
嫌な予感はしていた・・・。 が、まさか魂の炎を真似するとは・・・。
しかし・・・。

「『ブレイブハート』っ!!」

 裏路地を包み込む勢いで広がる爆炎にも臆することなく、後退するリーゼとすれ違いざまに炎に突っ込むティール。
セーの使う能力の大半は、見かけ以上の効果はないはず。
となれば、この炎も私たちを牽制するための煙幕代わり。

「やっぱり・・・」

 その思惑は功を奏し、炎のエフェクトにダメージはなかった。
感じる力は魂の炎なんだけど・・・。
 そして、炎の煙幕を抜けるとそこには・・・。

「ぶみぃ・・・。」

 ポリバケツの黒いゴミ袋に上半身突っ込んで、身動きが取れない体勢になっている妖精セーを発見。
足だけ外に出してじたばたしている。
獲物を独り占めするために煙幕を張ったはいいが、獲物に返り討ちにされては意味がない。



「猫は?」

 対する黒猫の姿は見えない・・・。
やがて爆炎が消え始めると。

「もらったっ!! 『壁走りドライブ』っ!!」

 一時は炎から逃れるべく、路地の外まで後退していたリーゼ。
今度はスケーターを壁に付け、壁を地面として斜め上へと走っていく。
まさか壁走りまで出来てしまうとは・・・。
もっとも、壁がよほど平らな所でしか使えないわけで、街中ぐらいしか使う機会はないだろうが。

 そして、リーゼの走っていく先の上空には・・・。

「あんな所にっ!!」

 今や爆炎が完全に消え去った空。
建物と建物の間に跳躍する猫の姿があった。

「どうやってあんな高く?」

 ここ一帯の建物は総じて高く作られており、ゆうに20メートルはある。
だが、あの猫は今やその建物の屋根に届こうとしていた。

 そういえば、以前モレクでアーリーを追いかけた時にも、こんなシチュエーションがあったっけ・・・。
そう、あの時は、龍の力による能力の上昇に気づかず、高く飛びすぎたんだった。
でも今度は、全力で飛んでも届くかどうか・・・。
ん、あの時アーリーは確か・・・。

「『バーストステップ』っ!!」

 ブレイブハートの力を脚部に集中し、爆発的な勢いで跳躍するティール。
だが、それは10メートルを超えた辺りで失速するが・・・。

「さらにっ!!!」

 丁度勢いが落ちてきた辺りで、反対側の壁を蹴り、さらに上空へと飛翔する。
いわゆる三角跳びというヤツである。

「猫ーーっ!! つかまえたーーっ!!」

 が、ティールが二回目の跳躍をした頃には、既にリーゼの手が黒猫レイに届こうとしていた。



 シュン!!

「って、何っ!!」
「え?」

 ところが、ここで更なる番狂わせが起こる。
なんと、上空の、足場もない所で、突然猫の姿が消えたのである。

 シュン!!

「て、わ!? ちょっと!!! ボファっ!!!」

 一瞬の後、今度はリーゼのすぐ目の前、わずか5センチという所に突如として現れた猫の顔。
そして炸裂する『ネコパンチ』。
 突然の奇襲を喰らい、スローモーションで顔をゆがめるリーゼ、飛び散る唾。
体勢を崩しながらもなんとか猫を捕まえようと手を動かすが、惜しくも届かない。
 さらに、ここまで絶妙な重心移動で壁走りを行っていたわけで、
一旦体勢が崩れると、スケーターは壁から離れ、完全に空回り。
後は重力に従いまっさかさま。

「この角度は、もしかして!?」

 そのリーゼの落下の軌道は、ティールの跳躍の軌道とほぼ一致しているわけであり・・・。

 ドン!!

「なんで私まで・・・。」
「ゴメン、ティール・・・。」

 回避しきれずに衝突するティールとリーゼ。
そして行き着く先は・・・。

 ドスーーン!!

「いたたた・・・。」

 最初に猫が寝ていたポリバケツだったりする。

「ティール? 大丈夫?」
「私は大丈夫。 だけど・・・。」

 立ち上がった二人が見たものは・・・。

「あーあ・・・。」
「完全につぶれちゃってるね・・・。」
「ぐるぐるぅ~~・・・。」

 ティールとリーゼ二人分の体重を受け、目を回している妖精セーだった。



―――――――――――――――――――――――――

――中央都市リエステール――
 ――時計塔・屋根。

「ふんふんふ~ん♪、今日もいい天気だな~。」

 そこは軽く50メートルは超える時計塔の最上階、鐘楼のある階よりもさらに上、三角に傾いた屋根の上である。
普通は危険すぎて、誰もこんな所には上がらない場所だが、
そんなことはお構いなし、鼻歌を歌いながらうたた寝しているのは、ひだまりの妖精・ソールである。
と、そこへ・・・。

 シュン!!

「・・・へ?」

 一瞬、言葉を失うソール。
目の前に突然現れたのは黒い猫の顔。
その猫は、ソールのすぐ脇の屋根に着地すると、何事もなかったかのように屋根の反対側へと歩いていく。

「まてまてまてーーーぃ!! こんな所に登ったからって、ボクから逃げられると思うなーーーっ!!」

 直後に下から聞こえて来るのは、人の声・・・、そして、滑車の回る音?
それは段々近くなっていき・・・。

 グォーーーーン!!

 次に目の前に現れたのは、車輪のついた特殊な靴をはいた少女。
壁が途切れ、勢いまかせに屋根の上へと飛び出ると、宙返り。
そして、天と地が逆転した所で時計塔の頂上にあるポールを目掛けてロープを投げる。
ロープがしっかりと固定されたことを確認すると、ロープを引っ張り、体重移動して、見事に時計塔の屋根に着地。
勢いそのままに屋根の上を爆走するのである。

「ティールっ!! そっちに行ったよ!!!」
「分かった!!」

 走りながら叫ぶ少女。
それにつられてソールも起き上がり、屋根の向こう側を見ると、そこにも一人の少女が居た。

「あの子、確か今アイリスの母親してる子だ・・・。」

 そう、以前、虹の精霊王をめぐる戦いの時に、その母親として選ばれていた少女、ティール。
今はその虹の精霊王ことイリスを育てつつ、ギルドを結成しているらしい。

「あ・・・」

 その少女は、先ほどの黒猫に掴みかかろうとする。
が、惜しい所で黒猫はシュンっと消える。
一瞬の後に、今度はその少女の頭の上に現れ、ポンと蹴ると、そのまま壁を蹴って地上へ降りていく。
それを追いかけるようにして、先ほどの車輪のついた靴を履いた少女が、猫に頭を蹴られた少女ティールに駆け寄ると、
その手を掴んで、再び壁伝いに時計塔を下っていく。

「なんだったのかな?」

 確かこの時計塔、教会関係者以外の立ち入りは基本的に禁止で、入るにしても付き添いが必要だったと思うんだけど・・・。
他に入る方法があるとしたら、不法侵入か、外から登るか・・・。

「・・・まさかね。」

 そこまで考えた後、思考を中断して再びうたた寝に入るソール。
今日も実にいい天気である。



―――――――――――――――――――――――――

「まてーーっ!!」

 黒猫レイを追いかけるティールとリーゼ。
その戦場は屋根から路地、広場から建物内部へと場所を選ばない。

「一体何なの? あの瞬間移動は!?」

 そう、この猫、惜しい所でいつもシュンと消え、少し離れた場所にシュンと現れる。
今まであと少しで手が届くという所で、幾度となく逃げられている。
どうりで今までSランクの支援士が何人も挑んでいながら、誰も捕まえることが出来ないわけだ。



 その時、リーゼにとって好機が訪れる。

「ねーちゃん!!!」

 路地に佇むのは、日傘を差し、買い物カゴを片手に持った女性、リーゼの姉・カノン。
幾重にも結界が編みこまれた傘は、敵の攻撃のみならず、夏場の紫外線も完全に防ぎきる。
今は買い物の途中らしい。

「あらあら~、リーゼじゃない~・・・、こんな昼間から~街中で~何やってるの~?」
「いいからねーちゃん!! その猫止めてーーっ!!!」

 シュン! シュン! シュン!! と瞬間移動を繰り返し、人ごみを避けながらカノンのいる方へと走っていくレイ。
一方カノンも、リーゼが何をやっているのか気づいたらしく、傘を一回閉じ、猫の方へ向けて構える。
それを見てリーゼも、カノンが何をしたいのか理解し・・・。

「『MAXドライブ』っ!!!」
「あ! 抜け駆け!?」
「この勝負!! もらったーーっ!!!」

 リーゼが真っ直ぐ走る先には黒猫レイ、その先には傘を構えたカノンと、直線状に並んでいる。
そしてレイがカノンのすぐ前まで来たその時・・・。

「えい~!」

 バサッ!!

 カノンは一度閉じた傘を、猫めがけて一気に開く。
急に目の前を傘で埋め尽くされたことで、混乱し、キョロキョロと辺りを見回すレイ。
古典的な手ではあるが、どうやら効いたようだ。

「たぁーーーっ!!」

 そして、混乱している猫めがけて飛び掛るリーゼ。
流石はこの姉妹、そのチームワークは戦いのみならず、この様な依頼の場合でも発揮される。
しかし、リーゼの手がレイに届くか届かないかギリギリの所で・・・。

「え?」

 突然リーゼの方を見るレイ。
リーゼはその瞬間、レイが笑ったように見えた。
そしてその姿はシュンと消えて・・・。

 ガコーーーン!!

「いったーーーっ!!」

 勢い余って、姉の広げた傘にそのまま頭から突っ込むリーゼ。
数多の強敵の攻撃を受けても、今までびくともしなかった傘は流石に頑丈である。
一方リーゼは、頭を抱えてのたうちまわる・・・。

「痛そーっ・・・」

 それを見ていたティールも、思わず頭を押さえる。
あのレイとかいう猫、わざと狙ってやっているのか・・・。



 だが、姉妹に訪れた悲劇はこれだけには留まらなかった。

 シュン!!

「あれ~・・・」

 次にレイが現れたのは、カノンと傘の間の空間。
そしてひょいとカノンの頭に飛び乗ると・・・。

「あぁ~、髪がぁ~、私の髪がぁ~~!!」

 わしゃわしゃとカノンの髪をかき回すレイ。
やがてそれにも飽きたのか、路地の向こうへと駆け出した。

「だ、大丈夫?」
「うぅ~、ノミを移されました~~・・・」

 『アンブレラ』、猫相手にまさかの敗北である。



―――――――――――――――――――――――――

 どんな大技にも、連続で出せる回数には限りがある。
そう、あの黒猫・レイの瞬間移動も同じだ。

 今まで幾度となく見てきた行動パターンを考えると、
あの猫は5回目の瞬間移動で、必ず私たちから見えない死角へ移動している。

 そして、あの猫の瞬間移動を見た限りだと、無限にどこまでも移動できるわけではないようだ。

「つまり、5回目の瞬間移動の際に、近くに死角になりそうな場所がなければ、あの猫は無防備になるはず!!」
「うむ、それは分かるんじゃがのぉ、猫相手に『クラウン』の能力を使うのはどうにも・・・、アウドムラに怒られそうじゃ。」
「それはノミ対策!!」
「ノミ・・・?」

 現在この噴水のある広場で、黒猫レイと対峙しているのは、
最初から追いかけているティール、リーゼ、それに助っ人として新たに加わったエミリア、ディンの4人である。

 ちなみに、ティールの勧めで、エミリアは既にアウドムラから授かった『氷昌』の能力を開放している。
ノミ対策らしいが、何がどうなってノミ対策なのか、エミリアには理解できない。

「『クラウン』はともかく、街中でこの『ドレス』は恥ずかしいのじゃが・・・」

 それは氷昌の冠『クリスティオンクラウン』と共にアウドムラから授かったドレス、『雪姫のドレス』。
ただでさえ仲間に見せるのも恥ずかしいというのに、人通りの多い街中ではなおさらだ。
今回は、ここがリエステールの中でもあまり人通りの少ない場所だったのがせめてもの救いだが。



「いくよっ!!」

 ティールの掛け声にあわせて、行動を開始する一同。

「・・・・・・。」

 まずはパラディンナイト・ディン。
何をするわけでもなく、ただ猫の前に出て無言で立ち尽くす。

「・・・・・・。」
「・・・・・・にゃ。」

 シュン!!

 例の瞬間移動で離脱する黒猫レイ。

「って、何で俺がこんな役目なんだーーっ!!」

 鬼の形相(?)によりレイに1回目の瞬間移動を誘発させたディン。
直後にその表情は嘆きに変わったが・・・。

「『フローズンピラー』!!」

 続いてエミリアが、詠唱破棄による氷柱で、再び現れたレイの行く手を阻む。

 シュン!!

 目の前を氷の壁で埋め尽くされ、たまらず側面方向への2回目の瞬間移動で逃げるレイ。
しかし、それを見越して移動していたティールが手を伸ばす。

「はあぁぁぁ!!」

 シュン!!

 その手が触れるか触れないかギリギリのタイミングで、再び瞬間移動。
しかし、ティールも捕まえることではなく、今は瞬間移動を誘うことが目的だったので、
すぐさま体勢を立て直し、追尾体勢を取る。

 レイは3回目の瞬間移動でがらりと方向を変え、先ほどまでの逃げから、逆にエミリアの方向へ向かう攻め(?)に転じる。
が、この行動は既に前回経験済み。

「おっと、ここは通さねーぜ!!」

 エミリアの前に立ち、行く手を阻むディン。

「・・・・・・にゃあ」

 シュン!!

 4回目の瞬間移動。

「だから、何で何もしてないのに逃げるんだーーっ!!」

 ディンの叫びはこの際無視で・・・。

 残るはあと1回。
恐らく次で死角となる場所へ瞬間移動するはず。
そして、現在猫のいる場所から近い、この場にいる全員の死角になりそうな場所は、広場の外へ抜ける2つの通路。

「『MAXドライブ』っ!!」
「『フローズンピラー』っ!!」
「にゃにゃにゃ!!?」

 その2つの通路のうちの片方めがけて、スケーターを全開にして先回りするリーゼ。
と同時に、もう片方に氷柱を並べて通路を封鎖するエミリア。

「これで・・・、5回目ーーーっ!!」
「にゃにゃにゃぁああ!!!」

 移動目標を見切られて、先手を打たれて混乱するレイ。 そこへ飛び掛るティール。

 シュン!!

 5回目の瞬間移動。
だが、混乱したレイのそれは、狙いが定まらず、無防備に広場の中央付近、噴水の前にその姿をさらすことになった。

「狙う時は今っ!! 『ブレイブハート』っ!!!」
「させるかーーっ!! 『MAXドライブ』っ!!!」

 ティールは瞬時に体勢を立て直し、猫の転移先を捕捉、ブレイブハートの炎を纏いながら猫を追撃する。
一方、一旦は広場の端の通路まで行っていたリーゼも、流石というべきか、ティールに追いつく勢い。
そして・・・。

「せぇぇぇぇえええい!!!」
「はぁぁぁぁああああ!!!」

 そして、併走する二人が黒猫レイめがけて手を伸ばしたのは、寸分の狂いもなく、ほぼ同時だった。
が・・・。

 シュン!!

「はい?」
「なにーーーっ!!」

 あっけに取られるティール。 驚くリーゼ。

「わ、ちょっとリーゼ!?」
「うわぁぁあああ!!」

 ドンガラガッシャーーーン!!

 目標が予想もしない6回目の瞬間移動を行ったことで、体勢を崩した二人は、勢い余ってそのまま転倒。

 ザッパーーーン!!!

 さらには噴水に突っ込むのであった。

「・・・ったたた、猫は?」

 ティールが噴水の水に膝までつかりながらも立ち上がると、そこには。

 シュシュシュシュシュシュシュン!!!!

 恐るべき早さで瞬間移動を繰り返す黒猫の姿が。
それはティールとリーゼが突っ込んだ噴水を、何匹もの残像で取り囲んだ後、
少し離れた所にある銅像の頂上に立ち、

「にゃぁおーーーーっ!!」

 まるで勝ち誇ったかのように雄たけびを上げるのだった。

「ウソ・・・、何? 今の!?」

 ティールの予想をはるかに上回る動き。
瞬間移動の最大回数は、5回どころか、数十回を数えてなお余裕の表情。
あれを果たして猫と呼んでいいものか・・・。



「だから甘いのよっ!!!」
「にゃにゃにゃっ!!?」

 その時、猫のいる銅像を挟んで向かい側、5階建ての建物の屋上に見えるのは、小さな影・・・。

「げっ!?」
「また来たの・・・。」

 リーゼはその影を噴水の中から指差し、
ティールはわざわざ屋根の屋上から夕日をバックに登場する芸の細かさに呆れている。

「しっしっし、妖精セー、ただいま参上っ!!」

 構わずポーズをばっちり決めるセー。(本人主観)
そして・・・。

「私の活躍を、しかとその目に焼き付けなさい!! たぁーーーーっ!!!」

 五階の屋根から飛び降りるセー。 いや、妖精だから羽根付いてるんで、特にすごいわけでもなんでもないのだが・・・。
その舞い降りる着地点は猫のいる銅像・・・。
が・・・。

 キュピーーーン!!

 黒猫レイの目が妖しく輝くと・・・。

 ゴーーーーン!!!

「ぶみぃ・・・。」
「・・・・・・・。」

 あっさり背後に回りこまれ、セーは猫に踏み台にされた挙句、像に叩きつけられる。
一方踏みつけた猫は何知らぬ顔で見向きもせずに歩き出す。
その光景に釘付けになり、沈黙する一同。
登場が目立ってた分だけ、失敗も目立つ。
ある意味その光景は、みんなの目に焼きついたことだろう。
が、やがてセーも起き上がり・・・。

「ったーーーっ!! いい? あんたたちっ!!! 大技を常に最大回数撃ってくる時ってのはねーーっ!!!」

 セーは、なにやら逆切れ気味に、頭を押さえながら叫びだす。
が、この時、既に皆の注目は、この広場へのもう一人の来訪者に集まりつつあった・・・。



「ママー!!」
「イリスっ!!!」

 通路を通り、この広場へとやってきたのは、ティールの子、イリス。
母親であるティールを見つけるや否や、真っ直ぐに、先ほど噴水から出たばかりのティールの方へ歩いていく。
 しかし、その軌道は丁度猫の歩く軌道と交差していて・・・。

「イリスっ!! 危ないっ!!!」
「にゃぁぁ~~♪」

 イリスの髪に何か感じるものがあったのか、走り出す黒猫。

「わーー!!」
「イリーーースっ!!」

 ティールも駆け出すが、時既に遅く、黒猫レイはイリスに向かって大ジャンプ。



「つまり、あの猫は、あなたたちの追いかけっこじゃ、全然切羽詰ってなくって・・・、って、人の話は最後まで聞きなさーーーいっ!!」

 無視されたことに怒った妖精は、手に持つ刃・・・、もとい、ハリセンを振り下ろす。

「今回は秘密道具持参なんだからーーっ!!」

 すると、猫とイリスを包み込むように謎の半透明の球体が形成される。

「イリーーーーーースっ!!」

 イリスを包み込んだ球体は、そのまま妖精セーのいる銅像の所まで引き寄せられる。

「あれ? 猫は?」
「あっち・・・」

 イリスごと猫を捕まえるつもりだったセー。
しかし、球体の中にいるのはイリスだけで、猫の姿はどこにもない。
どうやら球体が形成される寸前に瞬間移動で脱出したらしい。
 球体の中からイリスが指差した方向には、まるで挑発するかのように、像の前をのんびりと歩く猫。

「あの猫・・・。 まあいいわ、丁度この技使ってみたかったし。」

 それだけ言って、猫に向かってハリセンを構えるセー。
が、イリスを捕らえられてティールが黙っているわけがなくて・・・、

「イリスを放せっ!! 『ブレイブハート』っ!!!」

 今日使った中で最大級の炎がティールを包み込む。
そして、一直線にイリスとセーのいる方へ駆け出すティール。

「今は近づかない方がいいわよ。 巻き込まないって保障はないから・・・。」
「何を・・・」

 そんなティールの行動をよそに、視線は猫から背けずに言い放つセー。
そして続けて・・・。

「『イグザズノシス・アクシオーマ・デイテロン』っ!!」

 ズドドドドドドドドッ!!!

「くっ・・・」

 セーの持つハリセンから無数の閃光が放たれたかと思うと、辺りに正体不明の霧が立ち込めはじめる。

「こんな霧っ!!」
「待て! ティール!! あの猫を見るのじゃ!!!」

 構わず霧に突入しようとするティールを、エミリアが制止する。

「にゃ・・・にゃあ・・・・・・」

 それは、足元から徐々に石に変わっていく黒猫・レイの姿。
やがてその進行は全身に達し、完全に石化してしまった。

「なんて霧だ、触れたものを石に変えちまうなんて・・・」
「一旦引くよっ!! ティール!!!」

 リーゼが呼びかける。
が、ティールの様子がおかしい。

「・・・こんな霧っ!!! 消し飛ばしてやるっ!!!」
「あれは・・・、いかん! 『オーバーハート』じゃ!!!」

 ティールの纏うブレイブハートの炎が肥大化し、勢いを増す。
それは、以前イリスをさらわれそうになった時に出した力。
そして今回もイリスの危機に際して引き出される。

「ディン!! リーゼ!! ティールを止めるのじゃ!!!」

 が、それは今のティールにはまだ制御しきれない大きすぎる力。
そして今回は、前回と違い、まずい点が2つほどある。

 1つは場所。
いくら人通りが少ないとはいえ、街中で荒れ狂う炎の龍なんて放ったら、
建物の倒壊は勿論、下手をすれば通行人に死傷者が出かねない。

「おい!! ティールっ!! 落ち着けっ!!! ぐはっ!!」

 ティールを止めに入るディンだが、あっさり吹き飛ばされる。

「見てっ!! ティールの腕が・・・!!!」

 そして、もう1つ。それは武器。
直前まで猫の捕獲依頼をしていたティールは、今、これといって武器を持っていない。
前回のそれは、ティールの持つハルバードの先端に炎を収束して放ったが、今回は何も持っていない。
今ティールが炎を収束しているのは、ティール自身の右腕。
 ただでさえ自身の身を焼く大技。
それを自分の腕に集めて放つとなれば、体へのダメージは前回の比ではない。

「くそっ!! せめて霧の中の状況さえ分かれば・・・。」

 今のティールを動かしているのは、石化の霧でイリスが見えなくなったことによる不安と、
イリスを捕縛し、霧で包み込んだ妖精セーに対する怒り。
 せめてイリスの無事さえ確認できれば、落ち着くかもしれないのだが・・・。

「私にこの霧を払うだけの風の魔法が使えれば・・・。」

 エミリアが呟く。
そう、今や広場の半分を埋め尽くすほどに広がった霧。
それを取り払うとすれば、広範囲の風の魔法で吹き飛ばすか、あるいは大量の熱で一気に消し飛ばすか・・・。
そして、今ここにいるメンバーでそれが可能なのは、
残念ながらティールの『ハウリングブレイズ』を除いて他にない。

 しかし、その時・・・。



「万物を包む大気 風精の契約の下に命ず 万象を絡めとる 輪舞曲 (ロンド)を奏で・・・」

 とてつもない早口で詠唱する、聞き覚えのある声。
それは常人にはとても何を言っているのか聞き取れない早さだが、かろうじてその声の主は分かる。

「ねえちゃんっ!!!」
「・・・ここに舞い踊れ『サイクロンウェイブ』っ!!!」

 やがて詠唱が完成すると、霧を包み込むように渦を描いて舞う烈風。
それは緩やかに霧を巻き上げ、天へと昇る。

「お待たせしました~、みなさん~。」
「ねえちゃん!! もう頭は大丈夫なの!?」
「うぅ~、まだ頭が~、かゆいです~・・・。」

 猫にノミを移され、戦線離脱していたカノン。
ここに来て、活躍の場を全部持っていく。
緩急自在なその魔法は、本人の口調と同様に、時には激しい嵐、時には霧を吹き飛ばす春風にもなるらしい。



 一方ティールは・・・。

「ハウリングブレ・・・、へ?」

 いざ大技を放たんとしていたティールだったが、目の前の霧が晴れ、現れた光景に驚き呆れる。
それこそ、先ほどまで高めていた炎が一瞬で冷めるぐらいに・・・。

 まずは猫。
霧に触れ、石化する所を間近で見た猫は、やはり霧が晴れても同じ場所で固まったままだった。

 次に、ティールが一番気がかりだったイリス。
霧が現れる前は、謎の球体に閉じ込められていたイリスだったが、
霧が晴れてからすぐに、その球体は消えうせ、そして・・・。

「ママーー!!」
「イリスっ!!」

 何事もなかったかのように、ティールの方へ駆け寄ってくる。
ひとまずイリスは無事のようだ。

 で・・・。

「じ、自爆・・・?」
「完っ全に固まっておるのぅ・・・。」

 霧を放った張本人である妖精セーは、何故か銅像の上で石化しているのだった・・・。



―――――――――――――――――――――――――

「で、この猫どうしようか・・・。」

 目の前にあるのは先ほど石化した猫の石像。
ちなみに妖精の方は既にセレスティアガーデンの店長に引き取ってもらった。
そして、その際・・・。

「さっきセレスティアガーデンの店長から解除用のアイテムを貰っただろ、それを使えばいいんじゃないか?」

 そう、石化した妖精を引き渡す際、迷惑料ということで石化解除のアイテムを渡されている・・・が、

「じゃがのぅ、ディン。 おいそれと使ったらまた猫に逃げられてしまうではないか。」
「あ、そうか・・・。」

 そう、問題はそこ。
依頼は猫の捕獲であって、石化した猫の石像を持っていくことではない。
しかし、迂闊に石化を解いてしまうと、またさっきの鬼ごっこの再開となる。

 石化する直前に猫が見せた動きからすると、逃げられた場合に捕まえられる自信はあまりない。
が、そんな皆の思考を他所に・・・。

「ねこー!!」
「わっ!! ちょっと!! イリス!!?」

 石化解除用のオーブを猫に向けるイリス。
やがてオーブから閃光が照射されると・・・。

「にゃぁぁあああ!!!」
「わっ!! 復活しちゃった・・・。」

 戦闘準備・・・、もとい、捕獲準備の構えを取る一同。
が、しかし・・・。

「にゃ~・・・ごろごろ。」
「ねこ~ねこ~♪」
「・・・あれ?」

 なんと、猫はイリスにじゃれ付いていたりする。
流石は虹の精霊王というべきか・・・。



「ようし!! イリス!! その猫をボクに渡すんだ!!!」

 猫を抱きかかえるイリスに手を差し出すリーゼ。

「って、リーゼっ!!! イリス~、その猫、ママに頂戴?」

 対するティールもイリスから猫を渡してもらおうと、手を伸ばす。

「えっと・・・。」

 同時に二人から手を伸ばされて、混乱するイリス。
そしてイリスはしばらく考えた末に・・・。

「ママー!!」
「そう!! イリス・・・え?」

 なんと、猫を空中に放り出して、ティールに抱きつくイリス。
流石は虹の精霊王・・・、もとい、流石はイリス。

「もらったーーっ!!!」

 イリスに抱きつかれて身動きが取れないティールを尻目に、リーゼは猫に手を伸ばす・・・が。

 シュン!!

 やはり猫の方が何枚も上手なのか、あっさり逃げられる。



「・・・いい度胸じゃん!! こうなったら・・・」

 それは一瞬の出来事・・・。

「わっ、ママー!!」
「イリスーーっ!!」

 突然イリスの前から消えるママ・ティール。
次に一同の前に姿を現したのは・・・。

「こうなったら、どっちかが捕まえるまで勝負だーーっ!!」
「え? えーーっ!!?」

 リーゼはティールを無理やり連れて、猫の逃げていった方に向かって爆走。
こうして猫捕獲依頼、第二ラウンドが幕を開けたのだった。



―――――――――――――――――――――――――

 ―――3日後・・・。

「ねえ、リーゼ。 いい加減辞めない? この依頼・・・。」
「まだまだーーっ!!」

 猫はまだ捕まらなかったりする・・・。






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 はい、というわけで、イベントということでティールを主人公に話を書いてみたら、どういうわけか長編に・・・。
しかもテーマの『日常』はどこへ行ったのやら・・・。
(一応、時計塔の上でお昼寝してる妖精とか、買い物中のエンシェントとかそれっぽい描写はあったけど・・・。
 あえて言うならセレスティアガーデン基準では日常です(爆))

 というか、当初の目的は、今書いてる本編のネタの流れで、
セーにティール相手に『サイコ・バーガンディ』撃たせることだったりしたのですが、
気づいたらイリス巻き込んで『イグザズノシス』まで撃っていたという謎展開・・・。
(別にイリスから力を奪って放っているわけでもないし、
 イリスを包んでいた球体も、前半は猫捕獲、後半は霧からの保護以上の意味は無かったり・・・。)

 で、意図しない所で、何故かティールとリーゼがかなりのドタバタコンビっぷりを発揮(?)

 最後に謎の黒猫、レイのステータスを載せておきます。


レイ

性別:メス 年齢:不明
種族:猫(黒猫)
能力:-
装備:ゴージャスな首輪(純金製で、ダイアが散りばめられた首輪。時価数千万フィズの一品。)


所持技
瞬間移動:いつもあと一歩という所で支援士をあざ笑うかのように消える。距離制限はあるが、回数はほぼ無限。
     空中発動も可能で、中間に障害物があっても移動できるが、完全に囲まれると無理らしい。謎です。
ネコパンチ:ぱんぱんぱんと腕を振り下ろす攻撃。爪は立てないのがレイの流儀。
ノミ移し:かの『アンブレラ』をわずか数秒で倒したという伝説の技。移されるとかなりかゆいです。



詳細
 リエステール在住。どこかの金持ちの貴族の飼い猫らしい。
そして、その貴族が、支援士に対して挑戦的に出している猫捕獲依頼の猫がレイ。
速度重視系職業のSランク支援士ですら今まで誰一人として捕まえることができなかったらしい。
漆黒の閃光の通り名を持つ、リエステール最速の猫だが、
実はモレクのアーリーを目の前にすると、メロメロになってまともに動けなくなるという弱点がある。