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SS2 リスティ

 ある日の朝、それはまだ二人がギルド入りして居ない頃の話し――――

「ヴァイさん!」

 だが、ある程度ほとぼりが冷め
 教会の側も折り合いをつけたある日の宿で

「私も・・・支援士になりたいです!」






「って言うわけで、教会職にはキツイって言ってるのに頑なだから一応連れてきたんだが」

 ヴァイはそう言って、リエステール酒場のマスターに話をした。
 一方のリスティは決意を固めた顔をしており、マスターの目からも言葉だけでは無理だろうと十分にわかった。

「それにしてもリスティ嬢ちゃんよ。なんで支援士になりてぇと思ったんでぃ?」
「・・・ヴァイさんは、いつも私に合わせて依頼をこなしています。私一人で出来そうな依頼はいつも『やってみろ』と言って、ヴァイさんは私にやらせます。それに不満があるワケでは無いんです・・・ただ、私が枷になってヴァイさんが仕事を出来無いって思うと・・・だったら、私も支援士登録して一人でも出来る仕事があればしたいと思うんです!」

 そのリスティの言葉に、マスターは「ふぅむ」と一つ声を上げた。

「そういや、シア嬢も支援士登録を受けたのはここだったな」
「え・・・シア先生もですか?」
「ああ。ビショップやカーディアルトで支援士登録をするケースは珍しい。だろう、ヴァイ?」
「・・・ああ。オレも支援士登録をしている教会職は、エルナばあちゃんに同級生でクリシュナとなったヤツと、シアさんくらいのモンだな」

 元来、教会職はアルティア教の中で生きる者であり、
 支援士として活動すると言う事は殆ど無いのである。
 もちろん、手伝いなどは自由で時折依頼を受けるケースもあるが、その殆どがボランティアに近い。
 それだけに、リスティのような娘が支援士登録をすると言う事は珍しいと言えるのだ。

「ふむ・・・まあ、支援士登録試験を受けるのは個人の自由だ」
「マスター!」

 少しの沈黙の後、ポツリと呟いたマスターの言葉に、ヴァイは不満そうに声を上げた

「ヴァイ。お前も昔は依頼の選択は支援士の自由。という事に甘えてきた身分だ。儂の事を責めるのは門違いじゃねぇか?」
「・・・まあ、確かにそうだけどよ・・・」

 支援士の依頼を受けるのは個人の自由。
 自分が気に食わない依頼であれば絶対に受ける必要も無い。
 ただ、それを除外されるケースがA・Sランクに存在しているのも事実だ。

「ま、そんなワケで支援士認定試験の依頼を出す。待ってな」

 奥の、常とは違う依頼帳簿の中から、一切れの紙を取り出し、二人に見せる。
 依頼のランクはD。特定魔物の討伐である。
 報酬は支援士認定証。これがあれば、ある程度支援士として活動する事でCランク上になる事が出来る。

「話は簡単だ。だが、そう単純には行かねぇ。砂上墓所に行って指定の魔物を討伐するんだ。
 なぁに、入り口付近だから問題はねぇ。それに、試験監督としてB級支援士以上の存在が必要となってる。万一にも危険は無い。
 今回はヴァイ。お前が試験監督をしろ。身内だからって甘い判定はするんじゃねぇぞ?」
「・・・むしろオレはいつも通りで良い・・・だから、リスティが支援士になる事は反対してるんだがな」
「オイオイ、だからってキツく見すぎるんじゃねぇぞ?」
「判っている。オレとてリスティの事を無下に扱ったりはしない」

 そうして話がまとまった後、その紙にヴァイやマスターの指示通りにサインをした後、
 リスティの支援士認定試験が始まるのだった。



「まずは砂上墓所までの距離と効率を考えて一先ず5000フィズでお釣りが出るように準備をするんだ。
 回復剤。食料。移動費など。特に砂漠は暑い。足が速い食料は買うなよ」
「はい!」

 街角に居る露店や店屋。至る所を除きながら
 時にはヴァイの紹介で『この店はなじみがあるから利用すると良い』とか、『良質の食料の見方は・・』など、経験を聞く事も出来た。
 内、一通りの準備が終わった後で、ヴァイも初めて入る店の中で事は起こった。

「ん・・・? アンタ、教会の人間かい?」
「え? ・・・あ、は―――」

 店主がリスティにそう声をかけ、リスティの返事を待った。
 それに真面目に応えようとしたリスティ。
 だが、その店主とリスティの間に入るようにヴァイは立ち、店主に言った。

「オレの支援士仲間だ。服装は似てるかもしれんが違う」
「いや、でもねぇ・・・」

 ポツポツ引っ込みがつかないような店主の文句に、ヴァイは睨みを聞かせて言い返した。

「それとも何か? この店は年頃の娘の服飾を見て悦するような趣向を副業として開いているというのか? なんならそう宣伝してやっても良いぞ。支援士達の情報網を甘く考えるな」
「は・・はい!! どうぞごゆっくり! ご無礼の程、サービスで返させて頂きます!!!」

 ヴァイはその反応に一息付くと、その言葉通りメンタルを回復させるアイテムを中心に半額よりも更に値下げさせた値段で買って店を後にした。




「あのなぁ・・・」

 リエステール西街道に向かう道でヴァイはもう一つため息をついた。
 真面目にリスティが「はい」と答えようとしたのを見逃してはいなかったのである。

「フェイタルスキルとは聖十字騎士団のフェリルとの関係があるから友好的だけど、クリエイターと教会の関係は最悪だって事は知ってるよな?」
「は、はい・・・」
「だから、馬鹿な執着して考えているクリエイターだって居る。そりゃみんなエルナさんみたいに教会もクリエイターも折り合いつけるような考えなら良いだろう。教会にも執着した考えを持ってるヤツが居るように、クリエイターにだってそう言うヤツは居る。あの店はもう利用するな」
「は、はい・・・」

 もちろん、だからと言ってリスティが悪いわけではない。と言うことはヴァイも理解している。
 だが、それでも教会の人間としてある以上、リスティは気を張ってもらわなければならないのだ。

「ま、後は馬車でも捕まえながら歩きで行くしか無いな」
「はい・・・」

 リエステール西側入り口。
 そこに立って、ヴァイはリスティに言った

「じゃあ、行くぞ」
「はい!」



 馬車に揺られながら、サンドヴィレッジの方へと向かう。
 今思えば、サンドヴィレッジはグリッツの生まれ故郷だった。
 彼の境遇は知っている。家族の為に支援士業をして、仕送りをして居る事も。
 だから、あの軽い性格でもヴァイは彼を見放そうという気にはさせなかったのだ。

「そう言えば・・・ヴァイさん」
「ん?」

 リスティの声に何気なく返し、その言葉の続きを待った。

「ヴァイさんの支援士認定試験はどんなのだったんですか?」
「あー・・オレは支援士認定試験じゃなくて、昇格依頼が支援士認定試験になったパターンだな」
「と言う事は、認定証無しで仕事をしていたんですか?」
「そうそ。オレの支援士認定試験はモレクで迷子猫を捕まえるって依頼だったな」
「迷子の猫さん?」

 遠い目をしながら、ヴァイは思い出しながら語る

「まあ、今にして思えばタダの迷子の猫が素早く逃げるっていうのもオカシイと思ってたケドよ。
 アレだな。あの時だけかも知れんな・・・動物相手に剣を抜いて追い回し、捕まえた直後に毛皮を剥ぎ取ろうとしたのは。
 その後、酒場のマスターが慌ててオレを押し止めてネタばらしをしたのも良い思い出だな」
「ア、アハハハハハ・・・・(汗」

 ついでに、ヴァイがモレクに訪れた際。その一匹の猫が家の隅や陰などに隠れるようになった話は内緒

「確かに依頼は単純だ。だが・・・」

 一つヴァイは言葉を切ってリスティの方を見る。
 その様子に「?」と顔をしたリスティに、ヴァイは首を振った。

「・・・ま、実際に受けてみれば判るだろ」

 そうして、馬車はサンドヴィレッジへと辿りつく。
 砂上墓所にて・・・何人か、支援士になろうとした教会職の人々を泣かせてきた、支援士認定試験に――――



「あ・・中は案外涼しいんですね」
「ああ。だが、過ごしやすい環境を求めるのは魔物相手も同じだ。今までの砂漠よりも敵は強いと思え」
「は、はい・・・」

 リスティは気を引き締める一方で、少し疑問に思っていた。
 グノル地下。砂上墓所。シュヴァルツヴァルト奥地。
 この三箇所は黒系・・・つまり、闇や魔の集まりやすい場所となっており、
 教会職としては結構気楽な部類ではあるのだ・・・もちろん、実力を伴っている上での話しだが。
 黒は万色を奪う色。だが、白は万色に染められるも唯一その黒を濁す事の出来る色。
 故に、白系の能力は黒系に勝るのである。
 指定魔物もマスターの言うとおりであれば楽に倒せるのだろう。
 ・・・だが、今までのヴァイの話を聞く限りでは、きっとそう上手い話では無いのである。

「居た」

 ヴァイの言葉に、リスティはハッとなった。
 ボーっとするのは悪い癖だ。今は首を振って認定試験に集中する。

「見えるか、リスティ。あの砂で形成された顔みたいな魔物だ」
「・・・」

 ヴァイの言葉に一つ頷く・・・だが、正直その魔物の姿は怖気をさせる。
 まるで、生首が地面から生えているような感じなのだ。砂で形成された顔はリアルに歪み、それが恐怖を呼ぶ。

「オレ達の間では“ブロブー”と呼ばれてるザコの一つだ。
 まあ、あの程度アルティレイの一発でも当てれば倒せる。アイツの相手に集中できるように、他の敵はオレが相手にするから、倒して来い」
「は・・はい・・・!」
「ただし。・・・いつもよりも少し近い距離に立て。まあ、アルティレイくらいなら直ぐに撃てるだろ?」

 ヴァイの、その追加する条件。
 その言葉に、リスティは少し疑問を持った。
 ・・・だが、その答えは直ぐに身をもって知る。



 ヴァイが他に徘徊していた魔物を手早く倒す中、
 リスティはヴァイに言われたとおり、敵“ブロブー”の近くに寄る。
 ・・・と言っても、正直近付きがたい相手であるため、少々中距離的な位置になるが。

(言われたとおりいつもより近い位置なんだし・・・もう、良いよね?)

 そう思い、リスティはアルティレイの詠唱へと移る

「聖アルティアの祈りを以って―――裁け、悪しき心を持つ者に正義の―――――」

 だが、

『オネガイ・・ころサナイデ・・・!!』
「!?」
『わたしノせいきデアレバ、すキニシテかまイマセン・・・ダカラ、ドウカむすめハァァァァァ!!! オウサマァァァァァァァ!!!!』
「ぁ・・ぁぁ・・・・・・」

 怨々と響く声に、リスティは足が震え、立つのにも辛くなる。
 だが、それでも魔物は声を止める事は無い。
 今度は、女の声から男の声に変わる。

『いやダ・・・! おうノきげんヲそこネタダケデうチくびナンテ・・・しニタクなイ、しニタクなイヨォォォォ・・・・』
「っ・・・」

 吐き気がして、詠唱を続ける気にならなかった。
 ・・・この魔物は、一体何なのか。
 だが・・・その声は急に止む。

「・・・一旦外に出よう。相当顔が青くなってるぞ」

 ヴァイが両断し、その魔物を倒したからである。

「は、はい・・・」

 言われるままにヴァイに肩を預け、リスティはゆっくりと墓所の出口へと向かうのだった



「あの魔物は・・・?」

 夕暮れ時。外に出て少し気が落ち着いたリスティは、ヴァイへと問いかけた。

「呪怨の塊“ブロブー”。その昔、この辺りで傲慢な王が国を作っていたのは知ってるな?」
「はい・・・その愚かなる王は永遠の命を求め、天壌の裁きによりて神判の滅を受けた・・・聖典の第121項の『戒』に上げられています」
「なら、オレよかリスティの方が詳しいだろう。あの塊は、その愚王によって理不尽な経験や思い、死をした者の残留私念だ」
「あ・・・」
「一番初めの女の言葉・・・愚王は永遠の命を求め、一つの理論に妄信した時期があった。単純且つ明快。多量の褒美を得た提案者は翌朝には既に行方を眩ませた」

 話すのも気分が悪い。と言う風に、ヴァイは「ふぅ」と疲れたような息をついた。

「そ、それは・・・・?」
「喰らう事さ」
「・・・え?」

 そのヴァイの言葉に、リスティは呆けた。
 言葉に処理が追い付かない。

「自らと同じ種族。即ち“人”を喰らう事で生気を得る。その生気は寿命として本来の自らの寿命に上乗せされる。というものだ。その時期、赤子。子供。多くの幼い命が毎夜毎夜食べられた」
「く・・狂っている・・・・!」
「その犠牲者の親の一人だろう」

 そのヴァイの話を聞いただけで、リスティはポツポツと涙の雫を地面に落としていた。
 救いたい。でも、救えないのだ。
 それこそ、時を遡らない限り、あの魔物の念を無くすことなど。
 そう思うと。今度は自分がどうかしてしまったのか。
 ・・・倒せない。
 今度あの魔物を前にして、聖光の魔法の詠唱をする自信すら・・・無い。

「・・・まあ、このまま続けるにせよ帰るにせよ体力は必要だ。とりあえず少し休め」
「はい・・・は、い・・・・・」



 砂漠の夜は、打って変わって寒い。
 火を熾し、暖めながら身を休める。

「どうすれば良いのかな・・・?」

 そんな時に思い出すのは、師であるエルナだった。
 ・・・先生ならば、きっと容赦なくアルティレイを・・・いや、それどころかアルテナフレアくらいは放ちかねない。
 なら、何で先生はそんな事が出来るんだろう。とも
 強い? いや、長く付き合って判った。
 先生は、そんなに強い人じゃない。それこそ、独りに出来無いくらい危く儚い存在。

「ヴァイさん・・・」
「あ?」

 だから、

「エルナ先生なら、きっと倒すんだろうね・・・」
「そうだな。あの人なら容赦なく魔法を撃つか、もしくは殴り飛ばしそうだな」

 聞いた。
 だが、ヴァイから帰ってきた答えは冗談を含んだ簡素なものだった。
 沈黙が続く。

「・・・まあ、」

 だが、その沈黙に耐えかねてか、ヴァイが口を開いた。

「きっと、エルナさんは考え方が違うんだ」
「・・・あ!!」

 そう。そこでリスティは気付いた。
 エルナは、ただ三人にだけ記憶消去魔法“ブレインアウト”を使って居ない。
 一人はティール。あの時行方が判らなくなったというのも有るが、エルナなりに彼女の実力ならバレていても問題ないし、彼女の判断力なら気軽に口にする事は無いと考えたのだろう。
 そして、二人目はヴァイ。これも同じく、実力と判断力を考えた上で消さなかった。と言うよりも、ミスすると余計な記憶まで飛ぶ可能性もある“ブレインアウト”を、ヴァイに掛けたくは無かったのだろう。
 ・・・で、三人目がリスティである。これは、判断力はあるが実力が伴わないから消すべきだったのだが、聖女の記憶が刻まれた事は思いの他複雑で難解。ブレインアウトを下手に叩き込めばそれこそ記憶喪失になりかねない。その為に、彼女の記憶を消す事は無かった。
 だから、リスティはエルナ・・・いや、フロリアの事を思い出す。

「・・・奪いし業を背負う」
「ああ。『弱きものを護る』『全ての者を温かく包む気持ちを持つ』。確かにアルティアの考えは正しいんだろう。
 それこそ、信仰対象として根付くぐらいにな。
 だが、それが全てじゃない。オレ達支援士がその考えの下に動くんなら、自分より弱くとも民間人にとっては危険な魔物の討伐も出来なくなっちまう。それこそ、今のリスティがブロブーを倒せなくなった程にな」
「・・・」
「結局。どこかで折り合いをつけるしかねぇのさ。それが出来無いんなら支援士なんざ諦めた方が良い。・・・この仕事は、人が思っているほどキレイな仕事でも無いんだ。・・・オレだって、依頼人の要望でリエステール街道の危険な魔物を殲滅した事もあった。そんな仕事と比べればブロブーの撃破程度は出来無いと、支援士業なんて出来はしない」
「・・・・はい」

 「今日はもう寝ろ」と言って、ヴァイはリスティの頭を三度ほど撫でた後、
 剣を持って見回りへと向かった。
 ・・・明日。自分なりの答えを示さなければならない。
 そう思って、リスティは目を閉じた。



「じゃあ、今日も昨日と同じだ」
「・・・はい」
「無理そうなら早々に引き上げるぞ」

 そうして、再びヴァイはブロブー以外の魔物を倒しに掛かる。

(・・・同じだ)

 リスティが思い出したことは、両親が死んだ事。
 そして、その原因となったスティレット家の両親が死んだ事。
 ・・・でも、今はそれを思い出す時ではない。
 このことには、また何時か折り合いをつければ良い。

『オオオオ・・・』
「ごめんなさい・・・・もし、貴方達の時代に私が居れば・・・少しは力になれたかも知れない。ううん、力になれないかも知れないけれど、アルティア様の教え通りに貴方達を守る為に最善の努力を出来たかもしれない。・・・それこそ、自己満足だって思われても仕方が無いよね」

 ホーリィカード。昨日は取り出さなかったソレを手に持ち、人差し指と中指の間に挟んで持つ。
 それを顔の前で縦に構え、カードの動きと共に印を切る。
 小一節。ただ指を二閃動かす。

「でも、私は逃げない。私は、戦う」

「アルティア様の考えを使って逃げるような真似は、もうしない」

 その印が完成し、アルティレイの一撃がブロブーに入る。
 苦しげな悲鳴と共に、砂が拡散し、地面に落ちる。
 ・・・それはもう、ただの砂と化していた。

「・・・これで、良いんですよね・・・?」
「正しいか悪いかなんて判らん。それはリスティ。お前自身が自信を持って考えるしかない。
 ただ今言える事は・・・おめでとう、リスティ。これで、支援士試験は合格だ」
「・・っ・・ぅ・・ぅぁぁぁっぁぁぁああ!!!」

 まるで、ぷつりと切れたように、
 ヴァイにしがみ付いて、リスティは大きく泣いた。
 ・・・彼の者の魂。救いあらんこと。
 似つかわしくも無いが、ヴァイはブロブーの砂を見ながらそんな事を思った。



「しっかし・・・良くそんなモンを持って帰ろうなんて思うな・・・」
「うっ・・・」

 リスティと歩きながら帰る際。
 ヴァイは、小瓶に入っている砂を指しながらそう言った。
 中に入っているのは、リスティが倒したブロブーの砂である。

「でも・・・これで、私も支援士なんですね」
「ああ。でも、E級からだぞ」
「はい。でも、私はティールさんみたいに強く無いですし、ドジしたりしちゃいますけど・・・私の出来る限り、一歩一歩仕事をこなして行こうと思います」
「・・・そうだな」

 日が昇る中、ようやくサンドヴィレッジが見えてきた。
 陽光を手で遮りながら、砂上墓所を振り返る。
 きっと、この砂は忘れられない物となる。

「ヴァイさん」
「あ?」
「早く町に行きましょう! 早くしないと馬車なくなりますよ!」
「判った判った・・・」