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大陸南部、中央都市リエステール。
中央都市の名に恥じず、その大きさは南側の街で最大規模を誇っているのは
この世界に住むものなら誰でも知っている筈。
その街に建つ、何処にでもありそうな小さな料理店の店長の話をしよう。
何、暇を潰すには一番言い話しだと思うのだが…?
今から私が語るのは日常を彩る歯車達。
即ち、街の住民達の話しだ。
今は静かに、口を閉じて聞いてもらえるとありがたい―


中央都市、リエステール。
その街には沢山の店が建ち、皆それぞれの仕事を持っている。
その沢山の店の中で、一店だけ名前を持たない料理店がある。
店で働いている店員の姿も少なく、店自体それほど大きくない。
立地条件が悪かったのかどうかまでは分からないが訪れる客は指で数えられる程の少数。

「…………。」

カウンターテーブルに座り、顔を机に突っ伏しているのは紛れもないこの店の店長。
営業時間のほとんどは寝ているため、従業員も余り話したことが無いのだと言う。
店長がこんなのでいいのだろうか…。
訪れる客、そして働く従業員の少数がそのようなことを思っている。
彼女が朝から寝てしまう理由…
朝の仕込みをやっているからとか、夜更かしして本を読んでるからではないかと
従業員達は口々に言うが、実際それは本人に聞かないとわからないことで。
一度、それを店長へ言おうとした従業員がいたのだが…
答えは聞き出せないまま、店長は再び眠り込んでしまったという。

普段なら、眠っている彼女だが今日は珍しく起きていた。
だが仕事は一切せず、文字の羅列に目を通していく。
その分厚い本にはリエステール中央図書館のエンブレムシールが張られていた気がする。
集中力が途切れたのか、目が疲れてしまったのか。
文字の羅列から目を離すと、静かに本を閉じた。

「…やれやれ。」

それだけと呟き、厨房の中へと入る店長。

「スティロ店長、コーヒーですか?」
「うん。どうも…。」

マグカップに入った黒い液体をすすりながら、彼女はまたカウンターテーブルについた。
また本でも読むのかと思えば、本には人触れもせず目を細めてとある客を凝視している。
その客は、周りをキョロキョロと見回し何かを待っているような感じだった。
給仕人達が厨房へ注文された料理を伝えにいく。
それと同時にその男は行動を開始した。


「…お待ちください。」

端的な言葉が聞こえてきた、男性客は全身をこわばらせた。
声をした方向へ顔を向けると、そこには眼を冷たく輝かせる店長の姿があった。

「な、なんだよ。お前」
「代金を、お支払いください。」

ぼそりとした声だったが、はっきりとした意思を持っていた。
目の前の女性に気圧され、男性客はいつも食い逃げをするように、
腰のポケットから折りたたみナイフを取り出し、派手な音を立てて抜き放つ。

「お、大人しくしろなぁに、騒がなきゃ何もしねぇよ。
死にたくないんならとっととそこから退きな。」

使い慣れていない脅し文句。
そんな彼を見て、何を思ったのかスティロは何のためらいもなく男性客へと歩み寄った。

「さ、騒ぐんじゃ…」

慌てた男性客は、脅しのつもりでナイフを下から突き上げた。

「……騒いでいるのは、君。」

呟きながら拳を握った両手をクロスしそのまま覆いかぶさるようにして下へと突きおろす。

「なっ」
ナイフを握った相手の手は、交差したスティロの手首に止められる。
そして流れるような動きで、いつの間にか握られていた男の手首は、
彼女の方へ引き寄せられ入れ替わるように、彼女の体自体が男の後ろへと回り込んだ。

「あれ?」

逆らえば、折れる。

「あ、がががっ!」

気がつけば、後ろに立たれて腕をひね上げられている。
ナイフが床に落ち、店長は何事もなかったように片手でナイフをたたみポケットへしまいこむ。

「…折れるよ。」
「るせぇ!放しやがれぇ!!」

そう叫んだ瞬間、嫌な音が店内に響き渡った。


少人数の従業員といつも寝ている店長の料理店から食い逃げすることは容易いとでも考えていたのだろうか?
あまり知られていないが、数々の食い逃げ事件を未遂で終りにしており一度も食い逃げされたことが無いという。
それでもこんな奴が来るのは何故か?
それは、何処からどう見てもこの店はそういった人物達にとって食い逃げしやすい。
という印象を抱かれているからであろう。

「ハリーさん、自警団お願いできるかな?」
「にゃー。」

とことこと走っていく黒猫。
自警団という言葉に反応する男。
彼はすぐに立ち上がり、出入り口へと向かおうとしたのだが
店内の明かりが一斉に消えた。

「ふむ、ご協力感謝。」

暗闇が支配する店内。
聞こえてくるのは、静かに詠唱をする店長の声。
それもはっきりとではなくボソボソと呟いているので余計に怖い。

「如何なる賢者であれ、零れる砂は止められない。
君に用意された銀色の砂時計、残された砂はあとわずか…。
小さな棺の揺り籠で、目覚めぬ君を送ろう。」

「やめてくれぇぇぇぇえ!!」

男は暗闇の中で何を見たのか?
それは彼自身と何かを呼び出した店長しか知らない。
足に力が入らなくなってしまった男は結局、ハリーさんが連れてきた自警団に連行された。

「スティロ店長、エルヴィオン姉妹が起こしになられてます。」
「スッティロー、久しぶりー。」
「相変わらず、小さいな。」

コーヒーをすすりながら、厨房へと引っ込んでいくスティロ。
食い逃げ目当ての連中がいない限り、今日も彼女の店は平和である。

「皆、お疲れさま。ウィル・オー・ウィスプも、明日に備えて休んでくださいな。」




―――

キャラ紹介

スティロ・チャック

性別:女
年齢:16歳
ジョブ:?
能力:?
武器:
支援士ランク:?
形見:-
所属:幽霊船 名前のない料理店 店長

  • 所持能力

店長命令:店内に存在する悪魔、精霊、妖精全てに絶対命令を出せる。※店内限定

他、いくつかあるらしいが不明

詳細
リエステールにある小さな名前のない料理店の店長を務める少女。
普段は寝てばかりいて、食い逃げしやすい店だという印象をつくってしまった人物で
狙われるのは自分の責任だ、ということから自らの全能力を使って対象を容赦なく叩きのめす。


ハリー

性別:オス
年齢:不明
ジョブ:-
能力:-
武器:己の牙と爪
支援士ランク:-
形見:-
所属:名前のない料理店

  • 所持能力

人語の理解:人が何を言っているか理解できる。

詳細
リエステールにある小さな名前のない料理店の店長が、
支援士として活躍していた頃、馬車にひき逃げされた所を助けられる。
人語を理解する賢い猫で今では、店の看板猫として活躍中。