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『作戦開始』―――その言葉を聞き、まず初めに動き始めたのは赤い鎧を着た銀髪の青年『レイヴン』と、ローブを着て特徴的な水晶を体の回りに浮かせている茶髪の青年『アウル』、その二人だ。
「ったく、何でこんな不憫な役を俺らがやるんだ?」
「そうは言っても相棒よ、面白そうではないか」
「まぁな」
そんな会話をしながら広めの通路まで歩いて行くと、
「おお、結構な数がいるな」
そこには浮遊している鉄で出来た目玉上の機械兵器『アイズ』が複数体徘徊していた。それらの機体は彼らが来たことを察知し一斉に襲い掛かろうとしている。
「準備運動には調度いいじゃねぇか…なぁ」
「確かにな、だが羽目を外しすぎて油断はするなよ。後は…」
「分かってる分かってる。さっさと片付けてしまおうか」
「だな」






「始まった…みたいね」
「そーだね」
「私たちも急ぎましょう」
―――彼らがアイズの群れと戦い始めて時を同じくして、白銀の鎧を着た橙色の髪の女性『ルイン』と、ドレスを着て、特徴的な機械の羽根を背負った金髪の少女『シータ』は、彼らがアイズ達を曳きつけている間に別のルートを通り、ルインは機械馬『トロイホース』を操り駆け、シータは背中の『ウエポンウイング』で飛行している。
ルインは普段持っている槍だけでなく、何かを背中に背負っていた。
そして彼女たちに託されたのは彼らを陽動要員にしてまでする意義がある、今回の作戦の要となることだ。
そのために進行中なのだが、今いるルートはアイズどころか一般兵も何故かいない。
「ねぇ、シータ…」
「ん、分かってるよ。人っ子一人、どころかアイズもいないってことでしょ?」
「そうよね…こんなことは今までに無い筈…よね」
普段はこの船内には巡回用のアイズが絶えずいる筈、しかし全くいないと言うこの状況はありえない。
(何かがおかしい、そして、あまりにも上手く行きすぎだ)
と、彼女が考えながら進んでいたその時、
「ルインちゃん! 止まって!」
不意にシータが小声で、素早く言ってきた。
大き目の通路との交差点に数体のアイズが此方からは伺える。幸いなことに向こうはまだ気がついていない。
「ん、予定通りボクが補佐するからルインちゃんはすぐに行ってっ」
「ええ・・・でも・・・」
「…? 迷ってるとか…ないよねっ?」
「うっ…」
「迷っちゃだめっ、ほら行くよっ!」
と言葉を言い残し集団に向かって飛び去る。
集団は―――三体一組で行動している一般型が数組。彼女の実力なら倒せる範囲内。
「そうね…迷ってちゃ、始まらないもんね」
彼女はシータの援護も受けつつ駆け抜けた。

彼女達の目的の為に。






―――レイヴンとアウルが周りの敵を粗方倒した調度その頃。
『クロックラビの救出に成功したわ』とルインからの連絡が入り、集合予定の場所へ彼らも向かうことになった。

―――今回の目的の一つは『クロックラビの救出』及び『アリス達の解放』にあった。
件のそれはアリス達の家族同然、それを囚われていたから彼女達は逆らうことも逃げることも出来なかった。
そして、彼女達はこの船の手中で動かされることになった。
彼、アインは彼女たちが囚われてから、まず、このことだけでも優先してすべきだと考えられていて、そして今実現した―――

―――彼女たちを縛るものはもう無い―――

そして、彼ら四人は最短ルートで集合場所であるアリス達が待つ大広間へ向かっているとのことだ。
しかし、アインは、と言うと。

ここまでの作戦にあまりにも障害が少ないこと。一般兵が出てこないこと。この二点に不審を抱いていた。しかも、先程彼らが確認したところ、一般兵は一人もいなかったと言う。
昨日まではかなりの人数がいたのが一日で消えた。このことは今日の朝にレイヴンが船尾から脱出していたのを確認していた。
つまり、事前に知られていた可能性が極めて高い、と言うことだ。
だが、それでも彼は不審に思うところがある。

『何故彼らの行動をそれでも放置していたのか』

先に掴んでいたなら何故対処しなかったのか、此方の人数は精鋭と言えども人数は少ない。
人海戦術に弱い、と言うことでもある。ならば実際に潰せば言い、そう彼は考えている。

行き着いた答えは、
「そうか…そういうことか…あいつらしいな」
その考えに思いが到達した時、無意識にそう呟いていた。
「成る程、それならお前がここにいるのも分かるな」
彼は集合場所に移動しながら暗闇に向かって言った。突如として現れた『それ』に向かって。
「そうだろ! カムシン!」

―――カムシン。彼は、この船の幹部の一人であった。