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子鬼の愚痴と少女の気遣い




「涼蘭の人間好きは承知しているが……」
雪原に続く町、クロッセル。
十六夜程ではないが寒さが身に染みるこの町の宿の一室で、いぶかしげな表情で自分に出された御膳を口にする見た目は14歳程度の少女が一人……と、彼女に向かい合う位置に座り、半ば苦笑いを浮かべつつ同じ食事に箸をつけるもう一人。
そちらは先の少女よりも多少歳は上……17、8といったところだろう。
ちなみに涼蘭というのは、今は温泉にいってこの場にはいないが、二人の友人の一人である。
「……椿は、やっぱり人間が嫌い?」
湯飲みのお茶を一口すすり、愚痴を続ける少女――椿にそう語りかける。
「…………人の全てを嫌だと言っているわけじゃない。 でなければ、晴華、お前とこうして寝食共にするということもないだろう」
「それは分かるけど」
晴華は少し複雑な表情で椿の言葉に答え、また彼女の次の言葉を待つかのように黙り込んだ。
椿の人間嫌いは、人が人を嫌うものとは少々様相が違う。
なぜなら彼女は世の人に鬼と呼ばれる存在であり、その成り立ちそのものが異質なのだ。
……もっとも、理由に関してはそういった細かいものなど特に関係なく、もっと単純な事なのだが。
「……私が嫌うのは、我等の角目当てでずかずかと我らの領域に踏み込んでくる連中だ!」
ドン! と御膳の乗ったちゃぶ台を叩き、ガチャッと食器が音を立てる。
彼女が本気でそれをすればちゃぶ台を軽くぶち抜きかねない勢いなのだが、理性はちゃんと働いているのかどうにかひびははいらずにいたようだ。
「ま、まあ……椿みたいな鬼族の角は、強力な霊薬の材料になるから……」
一例としてあげるならば【鬼神の(たわむれ)】という霊薬だろうか。
霊薬と呼ばれるだけにその効果は高く、ほんの一時ではあるが使用者の全ての能力を大幅に強化する力を秘めた薬。
ただし材料となる鬼の角の粉に色々と注文が多い薬でもあり、力の弱い鬼族の角ではそんな大した効果も期待できない。
……それゆえに、作り手側もそれなりの手段をもってそれなりの鬼の角を得ようとしているのが現状である。
「我らにとって角を持つ事は誇りだ! 正面から正々堂々と挑み、見事勝利を得たと言うのなら喜んで渡そう!!」
「……まあ、椿の性格だと、そういう話ならわかるけど」
「だが実際は何だ!? ぞろぞろと人数引き連れて、姑息に罠を張って捕らえ、動きを封じたところで悠々と角を折って行く! 私達を鹿かなにかと勘違いしていないか!!?」
ふたたびちゃぶ台を叩く音が、部屋中に響き渡った。
そろそろ怒りと理性が本格的にせめぎあってきているのか、本気でぶちぬかないかどうかという心配も晴華の胸中にはあらわれはじめている。
……弁償費は誰が払うんだろう、と
まあ、椿も幻術により角を隠し、人間に化けて支援士として活動し、人間のお金……フィズを得ているので、晴華にすべて振りかかるという事は無いかもしれないが。
ちなみに、人間嫌いがそんなことをしている理由とは、食をはじめとした人間の文化は面白いから旅費も含めて、という理由だったりする。
結局、先の言葉通りに頭から否定しているわけでは無いということだろう。
……正体を隠しながらの旅ではあるのだが。
「角は斬られても再生できるとはいえ、飼い殺しにされているようでどうにも許せん……」
「……」
さすがにどんな言葉をかけるべきかわからなくなり、黙って聞く体勢に入る晴華。
元々話すことはそんなに得意ではなく、これだけ言葉が出るのも、相手が比較的親しい椿であるからこそだ。
最初に話に出てきた涼蘭も、晴華にとってはいい友人のひとりであり、彼女に対してもそんなに躊躇というものはないのだが。
まあ、それはあくまで親しい相手だから、という話である
――閑話休題
とにかく、話下手な晴華としては、こういった空気は苦手であった。
「大頭様は大頭様でなにかする気もなさそうだし、我らの地位も落ちたものだ……」
はぁー、と深い溜息をついて、がつがつと御膳の料理を口に入れ……というか流し込むと言った方がしっくり来る勢いで食べ始める。
晴華は、噛まずに飲み込むような自棄食いはあまり身体にはよくない、などとどこかのんきな事を考えつつも、椿の心痛を思うとそんなくだらない一言を口から出すことなど出来るはずもなかった。
「つ、椿……」
普段は無口で無愛想な性格のせいかクールなイメージを持たれる椿だが、親しい相手の前では多少感情を露にする――とは言っても、ここまで勢いづくのはさすがに珍しい。
そういえばつい最近鬼の角を狩ってきたという支援士を十六夜の酒場で見かけた気がするが、もしかしたらそれが原因なのかもしれない。
まあ、それは蒼色で椿や涼蘭の角とは色が違う上、サイズも小さいので別人……別鬼?のものと思われるが。
椿にとっては、その事実自体が気に食わないのだろう。
「と、とりあえず食べ終わったら温泉に行かない? ……愚痴ばかりじゃ気分は悪くなる一方だし、露天で月見酒、好きでしょ?」
まあ、人であれ鬼であれ好きな事、趣味というものはあり、そこをつけば機嫌をとるのはそう難しい事でも無い。
とりあえず空気に耐え切れなくなったらしい晴華は、クロッセルや十六夜限定ではあるが、夜の露天風呂で清酒という組み合わせで落ち着ける事にした。
……どう見ても成人以下の女の子が風呂で酒を呑むという光景ははっきり言って異質というかあまり感心しないものかもしれないが、この大陸には酒と年齢に関しての決め事など特になく、自己責任の世界である。
身体的に未発達の子供が酒など、健康上の危惧はされているものの、別に他人が口を挟んでまで止める理由も無いのだ。
まあ、普通は親かそれに近い立場にいる者が止めるだろうが。
「…気を使わせたか。 すまない」
晴華の行動の意味を察したのか、少し表情を落ち着けてそう答える椿。
晴華もまた、少し微笑んで無言のままに椿のその言葉に応えていた。








「……晴華、今度鬼族の銘酒でも御馳走しようか」
「…………人間に飲めるものなら、喜んで」

鬼が人間の数倍酒に強いのは、よく知られた話である


というわけで横槍をいれるような感じでゴメンナサイ(汗
涼蘭が出たなら椿も――と思って涼蘭が温泉につかっているその時の椿を書いてみました。
一緒にいる晴華は登場未定キャラに書いていたドミニオン、月満晴華です。
正体を知りつつも友人としての仲は続く涼蘭と椿と晴華の三人、まぁおまつり好き仲間ってことでカンベンをw


月満 晴華(ハルカ・ツキミツ)

性別:女 年齢:17歳
ジョブ:ブレイブソード→十六夜の武人(ドミニオン)
能力:嵐・火
武器:鬼穿迅(キセンハヤギリ:全長1.2Mの太刀)
装飾品:白摘草の髪留め(ヒスイで作られたクローバーを模した髪留め。 お気に入りのトレードマーク)
支援士ランク:B中期


  • 所持能力
エレメンタルウェポン:武器に属性(嵐・火)を付加する

  • 所持技
大上段:叩き割るような豪快な一撃
フルスイング:敵を吹き飛ばす効果
チャージ:突っ込んでの攻撃。切り込み技
閃破走:直線に特攻し、その直線状に居る敵を捌いて行く技
落地星:空中の敵を地面に叩き落とす。
旋《つむじ》:武器から放たれる衝撃波。 軽戦士の散空斬より出が遅く威力が高い
旋五連:旋の五連撃。 ただし一撃の威力は下がる
螺旋葬:螺旋を描くような剣閃で周囲を纏めて攻撃する
朧月《おぼろづき》:剣圧による旋風で対象を上空に巻き上げる
月群雲《つきむらくも》:空中の敵への乱撃。 朧月からの連携に使われる事が多い。
螺旋風月《らせんふうげつ》:螺旋葬に朧月を加え、周囲の敵をダメージと共に上空に巻き上げる。
空木《うつぎ》:構えを解き、動けば揺れる『気』の流れを読んで敵の技を絶対回避する。 (※止水と同効果)
空木朧《うつぎおぼろ》:空木の回避後、朧月に連携する。


詳細
十六夜生まれの女剣士。
支援士をやっているのは出稼ぎという理由もあるが、比較的おとなしく、話すのは苦手という少し人見知りな性格をなんとかしたいという理由もある。
……と言うわりにはお祭り好きで、何かの催し物がある日にはそれが行われている町に必ず出没するという。
尤も、その性格が災いして比較的すみっこの方で楽しむくらいで満足しているようではあるが。

片刃剣の中でも重戦士系のみが扱えるという太刀を振るうが、ドミニオンというジョブの性質状攻撃力よりも速度と技に秀でているのでブレイブマスターに戦闘の上での特性が近いが、太刀の特徴であるその長いリーチから攻撃範囲が広く攻撃力も高いものの、刀を振るう速度ではブレイブマスターに少し劣る。
得意なコンボは空木→朧月→月群雲→落地星の連携攻撃。

手にしている太刀『鬼穿迅』はかつての動乱の時代から伝えられている月満家の家宝の一振り。
十六夜の妖怪の中でも上位に位置する『鬼』をも一撃の下に葬ると言われている名刀だが、彼女はまだ使いこなせているとは言えない

ちなみに、パニクると言葉遣いがおかしくなる

セリフ集
「えっと……ハルカです。 よろしくおねがいいたします」(護衛などで依頼人と会った時)
「すみません……その、私、話すという行為が苦手でして……」
「月満晴華、参ります!」(戦闘開始)

「わ、わたいそんな事できるわきゃないっちゃっ!!」(混乱中)