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「ふむ、中の様子は良く分かったわ、ありがとうアリス」
「…お礼はいいの…だから…」
「分かってるわよ、さてとどうするか…」
アリスに中の様子を『エレメントシーカー』の力で覗いた所、指令室前の最後の大部屋の一つだけあって多くの機兵に加え大型のゴーレム、恐らくはエメト零と呼ばれるβシリーズと冠された兵器の一つまでもが設置されているようだ。
彼女達が望むのは短期決戦、しかしこれまで以上に体数がいることもあり、決着には時間を要するかもしれない。
しかし、それでも短期決戦を仕掛けたいのは彼女だけではない。
奥へ一刻も早く行く、そのためでもあるが、短期決戦により体力の消費を抑えたい、という理由もあってだ。


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そして彼等は突入を決めた。
決めるまでにはそう長くは時間は必要としなかった。
中の情報が分かっているのだから決めるまでに時間はそう長くは必要ない。
ルインは戦略、統率のスペリシャリスト、彼女がいるというのも作戦を早く決めれる要因の一つだった。
―――

機械兵達がいる大部屋の扉を開け、先陣を切ったのはレイヴンだ。
「オラッ、行くぜ!」
威勢の良い掛け声と共に扉の周辺にいた数機の機械兵をまとめてブーメラン状の斧剣『銀月牙』で薙払い、そのまま一刀の元に切り捨てる。
「この勢いを止めないで一気に敵陣を崩すのよ!」
士気を高めるべくルインが続けて近くの機兵を大型のランス『フラグメントホーン』で突き刺し、それに続くようにアリス、アルも突入する。
それだけではなく加えてアリスが召喚したアルカナトランプの兵士も多数いる、ここまでにメンタルだけでなく兵達も消費しているだけあって兵の数は十分に増えている。戦力としては十二分に互角以上に戦える。
多少の被害は与えたがまだ多勢に無勢、整った陣を敷き、しかも指揮官型の兵がいるのでより統率力が高まっている。
鶴翼の陣、過去の戦争の中で得た陣の一つ。左右に翼を張ったように敵兵を中に取り込めようとする陣で、加えて両翼の後列に砲撃型の機体が設置されているので攻めにも守りにも長けているようだ。
敵の狙いは包囲からの攻撃、それは陣の型からその目的は読み取れていた。
真っ先にレイヴン、ルイン、アリス、アルとアルカナの兵全体で左の翼へ向かって駆ける。
少数の人数でやるには不利だがアルカナの兵達がいるお陰でに加えて個々の能力の高さも加わり互角以上と読んだからだ。
力はこちらの方が高いが左翼だけでもかなりの体数がいるので実際は予想通り拮抗していた。
そして右翼と陣の本隊ごと包み込むよう攻めて来た。左翼の前衛は踏み止まり、こちらの攻撃を抑えて後列の矢による雨のような攻撃を仕掛けて来ている。その間にも右翼と本隊は素早く包囲しようと駆けて来ている。
それこそが彼らの本当の狙いだった。ルインはわざと囲まれるように仕向けた。
そのまま囲いから逃れるようにして敵陣から脱出する。
殿軍に置いたアルカナの兵達は数体は犠牲になったようだが、全体として見れば被害は少なく、受けていても軽傷だ。
そして、全員で部屋に向かって左方向に移動する。
もちろん敵兵はそれを追うようにして追撃してくるので陣の形は若干崩れる。
そして、最初に見たV字型のまま追撃したため形はL字型に近い形に変わる。
一直線上に並ぶ、その瞬間を待ち望んでいた。これが短期決戦の策であった。

「二人とも! 今よ!」
「分かっている…今こそ解き放つ刻」
「やあってやるよー、ドカンといっぱーつ!」
今まで部屋のほぼ後方、外で待機していたアウルとシータが遂に動き始める。
彼の体の周りに回りながら浮く七つの水晶『セブンスクリスタル』はこの部屋に入った時より既に妖しく、美しくも怪しく光り輝いていた。それは既に魔力が通っている証でもある。
彼の能力は魔法の詠唱を途中、又は完了後、一つだけ一時的に発動せず待機状態にして任意のタイミングで放つことができる『スタンバイ』という能力を持っている。
シータもその機械翼『ウエポンウイング』の発射口にエネルギーを溜め終えている。

全てを一瞬に賭けた一撃は成功した。

玉から放たれた混沌のエネルギーが具現化した竜『シャドゥオブドラグーン』と発射口から放たれた無数のビーム攻撃はは直接上の敵を薙払っていく。
瞬く間に何百もいただろう敵は最早左翼と本隊の一部を残すだけになった。

しかし、このエネルギーが与えた影響は機兵だけではなかった。

「…様子がおかしい」
最初に反応に気が付いたのはアウル、続くように皆がそれに気が付く。
感じとったのは巨大な魔力のエネルギー反応、それも術士でなくても反応に気が付くほどのエネルギーだ。
そして反応は嫌でもすぐさま知ることとなる。
ここまで一切の反応を見せなかったエメト零、それが遂に起動したのであった。