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最初よりもより力を解放したのは剣の力かもしれない。
本来、彼、シャマルは魔力は高くなかった筈だと彼は記憶している。
本来はただ普通よりも強い戦士、の筈だが今の彼を見るとそうは思えない。
そうなると考えられるのは武具しか無い訳だが…
と判断する暇も隙も無く目の前のシャマルは凶剣と灼熱を操り攻撃を仕掛けて来る。
動きは先程よりも心なしよくなり、アインのコートの下の生の体にも傷が増えていく。
しかし、ただやられるだけではない。相手の動きをこの状況でも尚観察する。
そこで、不意に向こうは剣を此方に向けて投げつけて来た。
易々とそろ攻撃はかわし、攻撃の手が一瞬止まる。
「何をする気だ」
「気が付かないのか? ならばここで終わるか?」
「何…」
その言葉を吟味する暇もなく本能のままに動いた。全ては勘で、だが。
その直後、投げ入れた剣はその地点を中心に巨大な爆発を起こし、剣はシャマル向けて爆風によって吹き飛ばされる。
その爆発を回避もできず、アインはその身を爆発と熱によって焼かれることになる。

しかし、その身は膝をも屈することなくその場に残る。
「今の爆発に耐えたのは流石と言うべきか…しかし半分以上も軽減はできなかったか…?」
彼は親の血を半分受け継いだ半竜の者。その能力を使い、とっさに強靭な固さを持つ鱗の鎧で身を守ったが灼熱の強力さを物語るように全身が火により焼けている。それでも、大分被害を抑えれたがかなりのダメージを負った。
爆風を利用し一気に加速し離れていた距離を瞬く間に詰める。
「…竜の力にまた助けられる、か。だが、次は此方の番だ」
加速は続く、シャマルも灼熱を召喚し攻撃仕掛けるがスピードに乗った『風』の型の回避能力はその全てをかわす。
そして向こうの射程範囲に自ら飛び込み、二、三度と大刀からの攻撃から身をかわす。
そして有効射程に入る直前の剣撃を見切り、即座に型を変える。ここまで、互いが正に神速の力を出しきってだ。
変えられた型から技が出る刹那、こう叫んだ。
「その鎧、突き破って見せる」
「やれるものならな」
「それは『フラグ』というらしいな、四式奥義『封神炎技』」
直前に変えられたのは速さの「一式『雷』」でも気功を操る「六式『光』」でも無く、一瞬の最大破壊力を追求した「四式『火』」
彼はそれに賭けてみた。理屈から言っても一式では破壊力が足りるか正直予想は付いて無く、六式では間に合わず、他の型ではダメージを与えるのは困難。
ならば、一瞬に全力を乗せる。それしか最終的には思い付かなかった。

その賭けに彼は勝った。
「く…馬鹿な…この鎧が…」
その拳が鎧に当たった刹那から亀裂が入った。
その亀裂は音を立てながら広がり、遂には拳を喰らった地点を中心に内部へと伝わる。衝撃が直接、だ。
「どんな力を使おうと無敵など無い、ということだ」
「グググ…だが…まだだ…」
「何がお前を動かす原動力なんだ…まったく、底無しだな…」

鎧には穴が空いた。
しかし、戦意の炎は未だ消えず大刀を降り翳し、その剣にはこれまで以上のエネルギーが集約している。
恐らく、これで終わらせるために。
それに応えるべく、アインも構えを変える。
今度こそ「六式『光』」にだ。
アインも気を溜め始め、シャマルもエネルギーを掻き集める。
互いが最後の力を込めるべく、両目を閉じと集中する。

そして見開かれた互いの両目の前に写っていたのは二匹の竜。
一方は灼熱、もう一方は光…もとい、気だ。
互いの竜は互いに相手を押し込むべく力を出す、しかし完全な均衡がとれ、互いが押し込むに押し込めない。

 


均衡を破ったのはシャマルの方だ。
均衡がとれていた状況から一変して押し込みをかけている。
「くそ、どこにそんな力が…」
アインには珍しく悪態を付くのは逆に余裕が無いからだ。
「ならば、意地でも負けられぬな」
押されかかってたアインの方の竜は更なる力を込められ、再び押し返す。
均衡が再びとれる。
「なあ、アインよ」
シャマルからこの場で声をかけてきた。
「お前は変わらんな…」
「何をまた…」
「自分の思いに正直すぎる」
その声は以前聞いたそれと同じだった。
近年に近付くに連れて聞くことが無かった声でもある。
「シャマル…あんたは…」
「最後に聞く。この所業は正しいと言うのか」
「正しいか正しくないかでない、実行している本人がどう思うかだ。そして俺は正しいと思ったからだ」
「それは戯言では無いか?」
「例えそうだとしても、俺の意思は貫く。迷いなど無い」
「やはり変わらんな…アイン…」
シャマルの声は力が無くなっていた。
それでも、アインの心には深く響いた。
「ふふふ…俺の力、さっきので出しきった。お前が散ってくれるならなんとかなるが」
「だが、断る」
「分かっている。これから先、真実を知りたいなら行け」
力を徐々に緩め、二つの竜のエネルギーはシャマル、彼を飲み込むべく包み込む。
「去らば、だ」
その顔にはもう安らかなものだけしか残っていなかった。