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(勝った…か、これであいつにも示が付く…と思う)

時を同じくして、シャマルと戦った空間でも、ワルツと戦った空間でも戦いは終結した。
そしてアインは最後にシャマルの方へと歩を進め、鎧が砕けた部から直接彼の体に触れる。
息はあった。弱々しくだが。
「決着はついた、後は好きにしろ」
それは周りにいる筈の幹部の面々に向けて言った言葉で、言うべきことは全て言ったといった感じで踵を返す。
そして、再び現れたカプセル状の扉の上に先程は無かった紫水晶、それはいつもシャマルが肌身離さず持っていた物だが、それが掛っていた。
何かの意図を感じそれを持ち、彼はここより立ち去った。

 

そして彼は皆の待つ指令室へと帰ってきた。
簡単に向こうであったことを話し、新たに加わったワルツについても説明を終え、これからのことを決めることにした。
船を制圧し、機能を完全に掌握するのまでが本来の最終の目的であり、それより先のことまでは流石に決めていなかったからだ。
そこでアインは提案する。
これから更に奥の今まで謎に包まれた部屋へ行く、ということをだ。
無論、これより先の行動は一応は任意。制圧までの関係であったからだ。
しかし、誰一人として異議は申し立てなかった。
この船に乗る者が行くことは禁忌ともされていた謎の部屋、行かざるを得ないという心理も皆の心にはあったからだ。

そして彼らは指令室奥に隠されていた扉を探り当て、その扉の奥の昇降機に乗り下へと降り、そして扉の前にあった小型の台座の上に件の紫水晶を置く。
『ロック解除確認』
という無機質な機械音声が聞こえた直後に扉は静かに開く。

そして全員が部屋に入り、その部屋の光景に暫し動くことはできなかった。
瞬く星星が広がるこの空間、夜空とも違うもっと遠くの場所。
宇宙空間。
そう誰もがそう表現するだろう。少なくてもここにいた八人はそう思った。
そして、暫くして不意にアインは何かを感じ取り部屋の中心に一際輝く星を見て言う。
「何者だ?」
と、簡潔に、手短にだ。
『ああ、ようやく気付いてくれたね。始めに言うけで、音だけなのは承知して欲しいね』
そこから聞こえた声は少年のような、そんな子供のような感じの声で、無邪気さも含まれていた。
「途中から気が付いてはいたが…言い出せなくてな…まあ、よい。それで?」
『神、と読んで欲しい』
「神?」
これは全員の声が重なった。
『そう、まあ仮の名前だからそうして欲しいね。で、君達は何をしにきたんだい?』
「この船に起きたことの全てだ」
これはアインだ。

『僕が産まれたことから説明しないといけないね。この船ができる前に僕は突然産まれたんだ。それは僕よりも上にいる人達によってね』
「何だ? 自称神様の上に誰かいるってことか?」
「いいから黙って聞いていてくれ、相棒よ」
『いや、今そこの銀色がいいことを言ったね。僕は神になるべく『作られた』んだよ』
「つまり…どゆこと?」
『神に相当する力を持つ者、それはある神の思い付きだった。そして、神によって君達も含めた者達はこの船と大戦争をくり広げる筈だった』
僅かな静寂のあと、続けた。
『しかし、イレギュラーな事態が起こされた』
「成程、一日早く反乱を起こしたことで本来の結果とは別の結果が起こされた、と」
『そういうことだね』
「でも…なにか引っかかる…」
「アリス様?」
「じゃあ、私たちが行動をする一つ一つはきまってた、ということ?」
「俺にも言わせて貰う、全てが予定調和なのではないか? 俺達が反乱を起こすのも、『それ以前のこと』も何もかも」
『結論は『どちらも正しい』んだよ』
固唾を飲んで次の言葉を皆が待つ。
『最初に言うべきだったけど、ここまでの僕からの話しはいうことは誰にも言うことはできないからね。情報として世界に知られるのは不味いからね』

 

―――それから先のことは鮮明な記憶は無かった。
端的に言うと私達の行動一つ一つがある神の予定通りであったということ。
そして、それは反乱が起きる以前からもだ。
そして神が表舞台に間接的に出たのは本来は複数の神が関与しやすいように作られた統合の思念体である…流石にここら辺は誰も理解できなかった。
そしてここで聞いたことは鮮明に覚えている。
『僕が形を確立したのは…君達の存在、それを認め、君達がいるべき場所、いる意味をも作り出すためなんだ―――そう、あの大陸にだ』
そしてこう繋げた。
『…君達も僕も、存在しない筈だった。でも産まれてしまった…しかし、関与できるのは統合思念の渦巻く空間でだけ。本来の世界には干渉出来ない…言うならば『使い捨て』に近い存在、それを認めたくない神がいた。それが今回の君達の行動を決めたんだよ』
それを言い終えると共に、彼らがいた空間は崩れていく。
役目を終えたことを暗示するかのように。
『さて、僕は統合思念の世界へと戻る。でも、君達は連れて行けない。君達は君達のあるべき場所へ送るよ、有無も心の準備も問わない』

 

…それから先のことは覚えていない。
でも声が聞こえた気がした。

また会おう、と。