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 風をもとめて —砂上墓所—


 かつて大陸がひとつの王国により統治された時代。
ひとつの王家に生まれたふたりの王子の間で、王位継承問題が浮上した。
やがてそれぞれの王子を擁立する陣営の間で政争が勃発し、王朝は数年間の麻痺状態を
経たものの、やがて聡明なる第二王子が実権を握り、政争は終結した。
 政争に敗れた第一王子の一派は王国を追われ、大陸の南方へと落ち延びてゆくものの、
大陸南端の乾燥地帯に追い詰められた際、この地に「神聖王国」の樹立を宣言した。
「神聖王国」は250年にわたり存続を続けたが、開祖たる第一王子は内政能力に劣っていた
ため、歴代の王は次第に進行する領土の砂漠化を止められず、民衆の人心の荒廃もまた
顕著なものとなっていった。
 そして神聖王朝歴231年。最後の王、人呼んで「砂漠の愚王」が即位した。

 王位に就く前、王子の頃から世継ぎの男子に恵まれなかった愚王は、やがて
『自らが永遠の生命を得て、永遠に王国を統治してゆけばよい』
との誤った思想に囚われるようになり、後世に伝わる幾つもの愚策を実行し始めた。
国中の薬師(製薬クリエイターに相当)を集めて「不老不死の薬」の研究を命ずる一方、
「乳幼児を調理して食す」「壮健な若者の生き血を飲む」「処女の生き肝を食す」といった
筆舌に尽くし難い蛮行を繰り返した。
 一方で乱れた民衆の統制を図るべく厳罰主義を導入し、多くの民が些細な罪状で処刑
されていったと伝えられている。
 しかし、不完全な「不老不死の薬」の度重なる服用によって心身を蝕まれた愚王は、
いつしか「永遠の死後の世界の統治」に救いを求めるようになり、ついに神聖王朝歴254年、
生前から建造を進めていた地上部土塁・地下部王廟の墓所内部に全ての民を集め、全ての
国家財宝を収容し、愚王自らも墓所最深部の王廟に入り、全ての出入口を塞いで内部を
毒霧で満たしたのだった。

 〈パタン〉
「…これが、この砂漠に徒花のように栄え滅んだ『愚王の王国』の真相とされています。
僅かに発掘された古文書を、フォンブリューヌ博士とわたくしで解読したものです…。」
「すごーい☆ キミって古文書、よく読んでるよねー?」
「過去の錬金術を知るために始めたことですが、いつの間にかわたくしの趣味となって
しまいました。」
「そういえば、ボクはあんまり本なんて読まないな。
ブレイブマスターの剣術なんて、口伝(くでん)と実践あるのみだからなぁー…。」
天高く昇った太陽が、乾ききった砂の海を焼き焦がす中を歩み行くは、
黒髪の中年男・錬金術師(アルケミスト)カネモリと
栗色の髪の若き女剣士・支援士(ヘルパー)ジュリア。

 〈ザッ ザッ ザッ…〉
「…ハァ、それにしても…暑いね。」
「…そうですね。黒い羽織は熱を集めますから、なおさらです。」
「でも、この『潤飴(ウェット・キャンディー)』はすごいなぁ♪
口に入れてるだけで少しずつ水気が出てきて、ちっとも喉が渇かないよ☆」
「『水の元素』を利用した発明品です。
『四大元素』はエリクシールや賢者の石の材料になるだけでなく、それぞれ単独でも
薬やアイテムの材料となるのですよ。」
「ふーん……、あれっ!?」
『元素』の意外な利用法に感心していたジュリアが、向こう側の砂の丘にふと目を留める。
そこでは、ふたりの冒険者が一匹の巨大なトカゲと戦っているではないか!?
ミナル河でときおり見掛けるミナルワニ(体長4〜5フィート)にも匹敵する体躯のそれは、
口から体色の赤よりも朱い火柱を吐き出している!
「サラマンダーですね…。しかも…大物です。」
「あのふたりは苦戦してる! 助けに行こうよ!」
「そうですね、急ぎましょう!」