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 砂上墓所・地下2階。
〈コツ コツ コツ…ザッ……〉
地上に近い地下1階とは異なり、獣の気配はほとんど感じられない。
それに代わり…
「この階では死臭が感じられますね?
死した人間が発する、独特の腐臭が…。」
「…ここからは不死魔(アンデッド)が出没するんだ。
かつて愚王の道連れにされた沢山の可哀想な人々の怨念が、その屍を突き動かすんだって…。」
「『死んでも死に切れない』とは、正にこのことですね。」
「カネモリ、…実はボク、弱点を突いて倒せない不死魔がちょっと苦手なんだ。
不死魔との戦いは少し長引くから、その間の護身はしっかりしておいて欲しいよ。」
「…分かりました。」

 ふたりは墓所の回廊や小部屋で、「グロリム」と呼ばれる不死魔に何度か遭遇した。
グロリムたちは手にしたボロボロの剣や杖を振り上げて襲いかかるが…
〈トスッ!〉
それをかいくぐって、ジュリアは細身の剣を魔物の首の中心に突き立てる!
それと同時に、突き立てた剣に捻りの力を加えながら、さらに強く押し込んでゆく…。
「コーク…スクリュー!」
〈ゴトッ★〉
捻られた剣の力に負け、グロリムの首がもげて胴体から落ちる!
それでも攻撃を止めない不死魔に対して、支援士はその両腕も同じ方法でもぎ取ってしまう!
「……………………。」
哀れ胴体と足だけになり果ててしまったグロリムに、戦う力は残っていない。
それをジュリアが蹴り倒し、全てにカタが付く。
「…ねっ、不死魔はメンドくさいでしょ?」
「グロリムは、血を流さないのですね?」
「身体がほとんど乾いちゃッてるからね。さぁ、行こっ♪」

 しばらく進むと、目前に鉄格子のある部屋が見えてきた。
「カネモリぃ、どーしよう?
この鉄格子、鍵が掛かってるよ!」
「ちょっと見せて下さい。
…ふむ、この型なら大丈夫ですよ。」
自信ありげにカネモリが袖から取り出したもの。
それは様々なタイプの鍵を解除できるように作られた、ピッキング工具だった!?
「えぇっ!?
キミって…、泥棒だったのぉ?」
「ジュリアまでそのような事を…。
これでも、鍵を無くした方から頼まれることだってあるので……」
ふと、光珠で鉄格子の向こう側を覗き込んだ錬金術師は絶句した。
「???」
思わず女支援士も覗き込む。
すると…
『グハァァーーーッッ グハァァーーーッッ……』
部屋の中には大勢のグロリムたちが幽閉されていて、ふたりの光珠の光に反応して
鉄格子に向かって殺到しているではないか!?
 〈バキンッ!!!〉
数多くの生ける屍の怪力で鍵は弾け飛び、鉄格子はついに開放されてしまった!
数百年ぶりに目にする光を救いとすがるように、グロリムたちが飛び出す!!
「うわぁ〜〜ッッ!!
こんなにたくさん、いくらボクでも片付けられないよぉぉ〜〜★」
「…参りましたね。
こうなったら、奥の手です!」
カネモリは懐から銅細工の缶をいくつも取り出し、その中の油を逃げる後ろに撒き散らし
始めた!
「…偉大なる錬金術の祖・ヘルメス=トリスメギストゥスよ、我が
火に宿りし精霊・サラマンドラの力借ること許し給え……」
「火の元素」の力を借りるための詠唱を始めながら、赤い光を緩やかに放つ塊を少し砕き、
グロリムの集団に向かって投げ付けた!
そして彼は振り返り…
「…火の精霊・サラマンドラよ、我の前にその力示す可し。
『元素解放《エレメント・リリース》』!!」
〈ボッ!! ボボボッッ……〉
「火の元素」から解放された炎が不死魔の足下に撒かれた油に点火し、やがてその者たちを
回廊に沿った炎の川の中に包み込んでゆく…。
「グロリムの身体は乾いていましたから、きっとよく燃えるはずです。」
「ほえぇ……。」
 しばしの時間をおいて炎の川が消え去った後には、骨さえ残さず燃え尽きた愚王の民の
成れの果てが、真ッ白な灰だけを残していた…。
「…ありがとう、カネモリ。
キミに助けてもらったのは…二度目だね?」
「冒険を続ける限り、お互いに助け合うのは当然ですよ、ジュリア。
…あなたがいなければ、わたくしはここまでも来られなかったことでしょう。
これからも、お互い頑張りましょう。お互いのために。」
「……うん。」

 こうして、グロリムの集団を一掃したカネモリとジュリアはその先の通路を安全に通過し、
地下3階に通じる階段を下って行った。