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????「ヌハハハハハ!! フハハハハハハ!!」
ガマガエル面の男「なっ…!! 何だ一体!?」
烈心「だ、誰だ…ッ!?」


 俺と二人組の男声の聞こえた方向を振り向いた。
なんと其処には、岩の上で月光をバックにマントを着けた白装束の巨漢の男が腕組みをして悠々と立ちはだかっていた・・・。

 そして、何処からともなく変な音楽と歌声が聞こえてきた・・・。




 ど~このだ~れだかわ~からな~い~♪ け~れどもさ~っそうとあ~らわれる~♪

 せ~かいがやみに~そまるとき~♪ み~んなのえがおをまもるために~たたかうんだ~♪

 ひかれ~! せいぎのこぶしジャスティスパーンチ~!! はなて~! あくをきりさくジャスティスキーック~!!

 よわきをたすけ~つよきをくじく~♪ そのなは~♪ ほこ~りたか~きジャスティスムーン~♪ 




烈心「な、なんじゃこの変な曲は・・・!?」


 よく聞くと、白装束の男が自分で歌っているようだ・・・。しかし、歌はともかく音楽は何処から流れてくるんだ・・・?
そして変な音楽と歌が終わったと同時に白装束の男が変なポーズを決めながらいきなり叫び出した。


????「ヌハハハハハハ!! 月の光に導かれ、今宵も巷の悪を滅する!! 愛と正義の使者ジャスティスムーンッッッ! 今宵も華麗に参上ッ!!」
獅子舞面の男「じゃ、ジャスティスムーンっ!!??」
ガマガエル面の男「まっ、まさか・・・、最近各地に出没しまくっている自称正義の味方かッ!?」


 その二人組はよくわからん前口上を聞いて戦慄の表情を見せている。どうやら有名人・・・みたいな感じだ。


ジャスティスムーン「トウッ!! 受けよ正義の鉄槌ジャスティスキィーーーーーーック!!」
獅子舞面の男「おかぐらっっ!?」


 その『ジャスティスムーン』と名乗るへんた・・・じゃなかった男はいきなり岩の上から飛び降り、
獅子舞面の男の顔面に強烈な飛び蹴りを食らわせた。しかもつま先で。

 顔面にダイレクトに飛び蹴りを食らった獅子舞面の男は鼻血を吹き上げながら遥か後方に吹っ飛ばされた。
その吹っ飛び様から見るにかなり強烈な蹴りだという事が判別できる。


烈心「な、なんちゅう威力だ・・・。」


 俺はその蹴りのあまりの鋭さと威力にに思わず関心してしまった・・・。
その時、ガマガエル面の男が長剣を抜いてジャスティスムーンに斬り掛かって来た。


ガマガエル面の男「こ、このヤロウ!! よくも仲間を!!」
ジャスティスムーン「そんな攻撃ではかすりもせんぞッ!! 天罰覿面シャイニングナァーーーーーックルッ!!」
ガマガエル面の男「がまのあぶらばっっ!?」


 ガマガエル面の男は大きく振りかぶって斬ろうとしたが、しかし悲しいかなそんな大振りでは当たるはずもなく、
あっさりかわされて反対にこれまた強烈な裏拳を顔面に喰らい、獅子舞面の男同様鼻血を吹き上げながら大地に叩き付けられ卒倒した。
その姿は正に荷車に轢かれてぺしゃんこになったガマガエルそのものだ。

 俺はその一瞬とも思える出来事をただ呆然と見ているだけだった・・・。いや、正確には俺が介入する隙すらなかった。
それだけジャスティスムーンの戦闘能力が凄まじいものだと判別できる。


烈心「すげぇ・・・。一瞬でのしちまいやがった・・・。」


 俺が驚いているその時、先程俺が投げた氷塊に当たって卒倒していた10円ハゲの男が漸く目を覚ましていた。


10円ハゲの男「なっ!? なんじゃこりゃ~!? 一体どうなっていやがる!!」


 どうやら今の現状を把握しきれずに混乱しているようだ。そら今まで卒倒していれば気付く筈が無い。


ジャスティスムーン「お前の仲間は全て片付けた!! 残るはお前一人だ!! さあ悪党よ覚悟するがよいっ!!(ビシッ」
10円ハゲの男「なっ!? ニャにぃ!!」


 ジャスティスムーンは珍妙なポーズを決めて、ジリジリと10円ハゲの男の方に迫っていった。
しかし、10円ハゲの男はまだ奥の手があるのだろうか、不敵な笑みを浮かべて立ちはだかる。


10円ハゲの男「へ、へへへ・・・。俺にはまだ奥の手があるんだ・・・。さぁ出て来い!! マイペットども!!」
ジャスティスムーン「むっ!?」


 10円ハゲの男はそう叫ぶと懐から笛のようなものを取り出して吹き鳴らした。
すると周囲の雪原から白く大きな獣みたいなものが一斉に飛び出して来た。


ジャスティスムーン「むっ、これは白猿(びゃくえん)・・・!!」
10円ハゲの男「さぁ殺っちまえ白猿ども!! 跡形も残らず引き裂いちまえ!!」


 10円ハゲの男が思いっきり笛を吹くと同時に白猿と呼ばれた獣は一斉にジャスティスムーンに向かって飛び掛った。
流石に1対複数匹では分が悪い。俺はひとまず少女を安全なところに置き、ジャスティスムーンに加勢する為に飛び出した。


烈心「手を貸すぜジャスティスムーン!! うおらぁッ!!」
ジャスティスムーン「むっ!? 何者ッ!?」


 俺は飛び掛り様にジャスティスムーンの死角から飛び掛ってきた白猿を一刀の元に斬り捨てた。
そしてジャスティスムーンも同時に前方の白猿を蹴りで迎撃し、これまた一撃の元に蹴り飛ばした。
俺とジャスティスムーンはそのまま円状になって白猿どもを迎撃し、ものの数分も経たぬうちに白猿の群れを片付けた。


10円ハゲの男「ひ、ひぃぃ!! な、仲間がいやがったのか!?」


 自慢のマイペットを全て撃沈され、10円ハゲの男は完全に恐怖で体を震えさせている・・・。


烈心「さぁて、残ったのはお前一人だぜ?」
ジャスティスムーン「己が醜い欲望を満たす為に幼い娘を手に掛けるとは言語道断!! 己に相応しい報いを受けるがよい!!」
10円ハゲの男「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? た、たしゅけて・・・。」


 俺とジャスティスムーンに迫られ、10円ハゲの男はガタガタ震えながら命乞いをしている。なんて情けない姿だ。


ジャスティスムーン「問答無用ッ!! 受けよ正義の拳ムーンライトナァーーーーーックルッ!! 寸止めッ!!」
10円ハゲの男「○△※□×$#@☆¥£!!??」


 ジャスティスムーンは10円ハゲの男に振り下ろしの一撃を喰らわせようとしたが、顔面に当たる直前で止めた。
10円ハゲの男は失禁しながら口から泡を吐き、意味不明な言葉を言いながらその場に突っ伏した。


烈心「あらまぁ、寸止めかいな・・・。そのまま一撃を食らわしてやってもよかったんじゃ?」
ジャスティスムーン「ヌハハハハハハ!! 我輩は無益な殺生は好まぬのだ!!」
烈心「無益な殺生ねぇ・・・。あの一撃喰らったら死んでるぞ普通・・・。」



 ジャスティスムーンはガハハと笑いながら何処に隠していたのか持っていた荒縄で10円ハゲの男達を縛り上げた。


烈心「で、コイツらはどうするんだ? 何処かに引き渡すのか?」
ジャスティスムーン「うむ、我輩のデータによればこの者達はリックテールの街でお尋ね者になっていた連中でな。あの街で最近起きている誘拐事件と関連があるような連中なのだよ。」
烈心「へぇ・・・。そいつは大層な事件だねぇ・・・。っと、そうしたら昨日の奴らに追われていた子もその事件に巻き込まれたって事か・・・。」
ジャスティスムーン「むう、そうなのか?」
烈心「おっといけねぇ、あの子を放り出していたまんまだったんだ!!」


 俺はジャスティスムーンとの会話であの子の事をすっかり忘れていた・・・。
俺は急いで追われていた獣人の少女の所へ向かった。少女は相変わらず恐怖で震えていたものの、少しは落ち着きを取り戻しているようだ。


烈心「おい、もう大丈夫だ! お前を追っていた連中は俺とあのジャスティスムーンっていう正義の味方とで懲らしめてやったからな。もう安心していいぜ。」
ジャスティスムーン「うむ! これでもう君を追ってくる連中はおらぬ!! 安心するがいい少女よ!!」


 少女は呆然とした表情で俺を見つめていた。少し落ち着きを取り戻しているものの、まだショックはあるようだ。
そして俺は少女の傷を手当てしてやろうとして手を伸ばした瞬間、いきなり手に痛みを感じた。


少女「・・・っ!!??」
烈心「痛っ・・・!?」


 その痛みは、俺が手を伸ばした瞬間にいきなり少女が俺の手を引っ掻いた時に感じたものだった。


少女「フーーーーッ!! フーーーーーッ!!」


 少女は目に涙を溜め、憎悪の表情で俺を睨んでいた。どうやら俺も奴らの同類と思い込んでいるらしい。


烈心「お、おい・・・。俺はお前に危害を加えるわけじゃ・・・。」


 俺がそう云い掛けた時、ジャスティスムーンが間に入って俺を制止した。
先程の大仰な物言いや態度はどこへやらの落ち着いた様子で話しかけてきた。


ジャスティスムーン「心優しき青年よ、此処は我輩に任せるがよい。」
烈心「ジャ、ジャスティスムーン・・・。」


 そう言うと、ジャスティスムーンは少女の所へ歩み寄った。少女はジャスティスムーンにも睨みつけ、威嚇の体制を取っている。

少女「ガルルルルルルルルッッ!!」
ジャスティスムーン「少女よ、こういう手を使うのは我輩の本意ではないが、許してくれ給え・・・。」


 そう言ったと同時に、ジャスティスムーンの瞳が光り、次の瞬間少女は魂が抜けたようにその場へ崩れ落ちた。


烈心「催眠術・・・か?」
ジャスティスムーン「うむ。だが安心したまえ! 数時間もすれば目が覚めるだろう。」


 ジャスティスムーンは少女を抱き抱えると、自分の身に付けていた外套を少女に被せてやった。
そして、縛り上げた3人を何処から用意したか解らない荷馬車に放り込んで、自分も颯爽とその荷馬車に乗り込んだ。


ジャスティスムーン「さて、我輩はこの辺で去ろうとしよう!! 早くこの少女を安全な場所へ運ばなくてはならぬのでな!!」
烈心「あ、ああ・・・。」
ジャスティスムーン「心優しき勇敢な青年よ!! お前の正義の心しかと感じ取った!!」


 そしてジャスティスムーンはまた例の大仰な物言いに戻った。なんという落差の激しい性格だ。


烈心「まあ、依頼の途中で出くわしたものだからな・・・。それに、男ならあのような状況は放っておけないしな。」
ジャスティスムーン「ヌハハハハハハハ!! 流石十六夜の武人なだけはある!! 殊勝な心掛けだ!!」


 なんか言葉の使い方を間違えているような気もするが・・・、突っ込んでいたら切りがないので止めておこう・・・。


ジャスティスムーン「それで、一体何を探しておるのだね青年よ?」
烈心「ああ、氷華水晶っていうものなんだけどな・・・。何処にあるのかサッパリ解らんのだ、こいつがな。」
ジャスティスムーン「氷華水晶・・・? それならお前の足元にあるのだが?」
烈心「な・・・、なんだ・・・って?」


 俺は自分の足元を見た。其処には拳ほどの大きな氷塊があった。よく見ると血のようなものが付いている。
よくよく見ると、この氷塊は俺が10円ハゲの男に向けて投げつけた氷塊だった・・・。
まさか、コレが俺の探していたものだったとは・・・。


烈心「・・・・・・。」
ジャスティスムーン「むう、よく見ると見事な氷華水晶ではないか!! これほどの物が見つかるなどそうそうあるものではないぞ!!」


 ジャスティスムーンがその氷塊・・・氷華水晶を手にとって観察している。
どうやら相当純度が高くて硬度も相当な上質の氷華水晶らしい。しかしこんなに簡単に見つかるとは・・・。


ジャスティスムーン「それではさらばだ心優しき勇敢な正義の青年よ!! また会い見える時をあの月に誓おうぞ!! ハイヤ~~ッ!! ハッハッハッ~~!!」


 ジャスティスムーンはそう言い残すと荷馬車を動かし、雪原の奥に消えていった。


烈心「ジャスティスムーンねぇ・・・。よく解らん奴だが少なくとも悪人じゃあないわな・・・。それにしても・・・。」


 俺はそう言いながら、あの少女に引っ掻かれた手の傷を見て吐き捨てるように呟いた。



烈心「この世界にも・・・、下らねぇ差別があるのか・・・。」




 -続く-