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 砂上墓所・地下3階。
〈コツ コツ コツ…ザッ……〉
もはや地上を焼き焦がす熱波の影響は及ばず、重厚な岩の構造物が肌寒さすら漂わせている。
…あるいは、この肌寒さは無念の死を遂げた愚王の民の、救われない魂の温度だろうか?

 「ちょっと待って、カネモリ。
ソフィアの話じゃ、この階は閉じ込めた人々が脱走したり、盗掘者が入ってきたりしない
ように、危険なカラクリをあちこちに仕掛けてあるらしいよ。」
「そうなのですか、ジュリア。
『元素』が放つ微妙な気配の差を感じ取れればよいのですが……。
………!!」
〈シャッ……カーン!〉
しばらく目を閉じて集中していたアルケミストがカッと目を見開いて棒手裏剣を取り出し、
向こうにある石畳のひとつに向かって打ち付けると…
〈ボコッ!!〉
床が抜けて落とし穴が姿を現したではないか!?
『…………………。〈ゾォ〜〜っ★〉』
「あ…、あのさ…。
キミ……、カラクリ『見えてる』の?」
「いいえ、あくまで『元素の気配』の違いを感じ取っているだけです。
でも、そこには確かに仕掛けがありましたね?」
「お願いッ! ここからはキミが先に行って、カラクリ見つけてぇぇ〜〜★」
「…仕方ありませんね。
でも、魔物が出たときは、お願いしますよ。」

 〈ザッ ザッ ザッ…〉
カネモリが先頭に立ち、用心深く数歩歩いては目を閉じて「元素の気配」を読む。
ジュリアはその後に続きつつ、魔物への警戒を忘れない。
〈シャッ……カキーン!〉
錬金術師が「元素の気配」に不審な箇所を離れた場所から発見すると、そこに向かって
手裏剣を打つ。すると…
〈ビュン! ビュビュン!〉
ある所では死角を付いた場所から勢いよく投石が浴びせ掛けられ、
〈ヒュ〜ッ……ザクッッ!!!〉
またある所では天井から槍衾(やりぶすま)が降ってきたではないか!?
「ひえぇ〜〜っ!
カラクリを発見できない人たちは、どうやって先に進んだんだろ?」
「カラクリのスイッチとなる石畳は、ジュリアが思っているよりもずっと少ないようですよ。
気付かない人々はそのまま通り過ぎ、運悪くスイッチを踏んでしまった人々は…。」
ふたりの光珠が照らし出すその先に、四方から放たれた何本もの矢に貫かれて息絶えた
冒険者たちの骸があった。

 『……………………。』
狡猾な罠の犠牲者たちを弔うように、カネモリは両手を合わせ、ジュリアは十字を切って
その場を立ち去ろうとしたとき…
『ヴヴゥ……、愚王ノ……秘宝…ヨコセ………』
なんと! すでに死して時間を経過した冒険者たちの骸が起き上がり、カネモリとジュリアに
むかって戦闘体勢を取ってきた!
「…………………」
冒険者たちの骸のリーダー格はブレイブマスター。
それに続くはベルセルク・ネクロマンサ・フェイタルスキルだ。
「ジュリア…。
死霊の集まる場所では、死者は不死魔になりやすいのでしょうか?」
「そんな事ボクには分かンないよ。
でも…、敵になるものはみんなやっつける!」

 ふたりもまた、武器に手を掛けて戦闘体勢に入っていた。