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 砂上墓所・地下3階。
カネモリ・ジュリアの生者ふたりと、
ブレイブマスター・ベルセルク・ネクロマンサ・フェイタルスキルのゾンビ4体が対峙する。

 「深淵ニ住マイシ黒ノ精霊ヨ、全テヲ裂ク刃ヲココニ…」
魔術書らしきボロボロな本のページを開き、詠唱を始めるネクロマンサのゾンビに…
〈トスッ! トストスッ!!〉
そうはさせじとカネモリの棒手裏剣が突き刺さる!
その上…
〈ボッ! ボボワッ!!〉
手裏剣の刺さった場所から火の手が上がり、ネクロマンサの屍を包み込んでゆく…。
「魔法を使う厄介な相手は、燃焼薬で早めに戦線離脱して頂きましょう。
フェイタルスキルは引き受けますから、ジュリアはブレイブマスターとベルセルクを!」
「……………………。〈コクリ〉」

 深緑の瞳から普段のお茶目な感情を追い払ったジュリアの目前には、ゾンビ化しつつも
サーベルを構えるブレイブマスターと、大型のモーニングスターを振り回すベルセルク。
…と、ここでブレイブマスターが、腐り落ちた左手でベルセルクを制しながら一歩前に出る。
(…さすがはブレイブマスター。一対一の決闘を望んでるよ…。)
死してなお朽ちない心意気に感心したジュリアも一歩前に出て、ゾンビのサーベルに自らの
コリシュマルドを重ね合わせる…。
〈キンッ!!〉
両者の剣が火花を散らし、死者と生者の決闘が始まった!
 〈カカカン…キン! カッッ!!〉
身体の機敏さは生きた身体を持ったジュリアに分があるものの、ゾンビの武器・サーベルは
斬り払いにも対応しており、突き専門のジュリアの攻撃を巧みに払い除ける。
〈スッ……シャシャッ!!〉
ふっと間合いを取ったゾンビが散空斬双剣を放ち、ジュリアの両腕を落としに掛かる!
「!!」
散空斬の剣圧を実体の剣では弾けないと判断したジュリアは、咄嗟に剣を左手に持ち替え、
「『気拳打撃《ブロウ・フィスト》』!!」
二発の空気の拳を繰り出し、目には見えない散空斬双剣を弾く一方で…
「コーク・スクリュー!」
利き手でない左手のコリシュマルドを器用にゾンビの右肩にねじ込み、その右腕を鮮やかに
もぎ落としていたのだ!
〈ザシュザシュッ!〉
目標を外した散空斬双剣が石畳の砂を吹き飛ばしたのと同時に、
〈…ドサッ!〉
ブレイブマスターの屍は戦う力を失い、再び石畳に崩れ伏した…。

 「……………………。」
アルケミストが木箱を手放して地面に預けるとき。
それは大抵、何者かと真剣勝負をするときである。
しかも相手は、器用さでは何者からも一目置かれるフェイタルスキル!
…その両手には、投げナイフが数本握られている……。
〈シャッ! シャシャッ!!〉
ほぼ同時に放たれた、カネモリの手裏剣とフェイタルスキルのナイフ。
どちらも直接相手を狙ってはいないが、床や壁に当たって軌道を変えれば命中するやも知れぬ
リコシェ−跳ね返り−だ!
「…!!」
かすめるナイフがカネモリの髪や着物に切れ目を作るが、逃げる訳にはゆかない。
(この勝負は、逃げた方が敗れるように出来ている!)
事実、手裏剣の猛攻に耐えかねたフェイタルスキルが一歩だけ足を退いたとき、そこには
石畳の隙間に刺さったカネモリの棒手裏剣が一本だけ立っていて、ゾンビはそれを踏み抜いて
しまったのだ!
〈ゴォッッ!〉
燃焼薬と「火の元素」を油で練り混ぜた薬が塗られていたその手裏剣は、たちまち不幸な
フェイタルスキルの屍を紅蓮の炎で包み込んでいった…。

 〈ビュン…ビュン……ドカッッ!!〉
一方その頃、ジュリアは最後に残ったベルセルクのゾンビが振り回す直径8インチもの
モーニングスターの猛攻を必死で避けていた。
(あんなモーニングスターの打撃を細いコリシュマルドで受けたりしたら、問答無用で
折れてしまうに違いないよ…!)
ジュリアは剣を鞘に仕舞い込んでいるので、攻撃の手は止まったままだ。
ただひたすら三角飛びやバック転で、トゲ付き鉄球の重い一撃をかわし続けるのであった。
「…!」
そんな彼女の目に、文字通りキラリと光るものがあった。
〈ダッ!〉
ジュリアはベルセルクの股の間をすり抜けるようにスライディングし、カラクリが放った
矢が無数に落ちている場所に到達!
〈シャッ!〉
それらのうちの一本を拾い、回転する鉄球の鎖に向かって投げ付けた!
〈ジャララッ……〉
トゲ鉄球を支えていた鎖が矢に絡まり、モーニングスターが不規則に振動してベルセルクに
一瞬の隙を与えた次の瞬間…
〈トスッッ!〉
ベルセルクの右肩を電光のようにコリシュマルドが貫き、モーニングスターの遠心力に
耐え切れなくなった右腕が千切れ飛んだ!
「……………………。」
勝負あったり。
ベルセルクの屍には、首と左腕を捻り落とされる宿命が待っているのみだった…。

 「ジュリア! 怪我はありませんでしょうか?」
「ボクは大丈夫だよ♪
…それよりも、カネモリは?」
「わたくしも大丈夫です。…着物以外は★」
「…もう不死魔は来ないかな?
だったらボクが繕ってあげるけど…」
「ふたりで片付けましょう。その方が早いですよ。」
「あれっ、キミもお裁縫できるのかな?」
「…この歳まで独身でいれば、大抵のことはできますよ★」

 繕い物を終えて、ふたりが再び立ち上がったとき、目的の地下4階に通じる階段はすぐ
目前にその口を開いていた…。
「さっ、行こ、カネモリ!」